「胸焼け」とは?原因・吐き気を伴う症状についても詳しく解説!


監修医師:
マイマイテイリ イマム(新宿アイランド内科クリニック 院長)
プロフィールをもっと見る
医師、医学博士。2009年新疆医科大学を卒業し、中国医師免許取得。2014年10月に血液悪性腫瘍の研究を志して、神戸大学大学院に入学。2019年3月に医学博士号と日本医師免許を取得。赤穂市民病院、亀田総合病院などを歴任後、2022年2月新宿アイランド内科クリニック院長に就任。内科全般の疾患を幅広く診療している。
目次 -INDEX-
「胸焼け」の症状で考えられる病気と対処法
胸の辺りが焼けるような感じがして苦しいという経験をした方は多いと思います。症状の原因は複数考えられますが、食道や胃といった消化管の病気が関わっている場合が多いです。どんな場合に医療機関へ受診した方がよいか解説していきます。胸焼けがする症状で考えられる原因と対処法
胃酸が込み上げてくるような感じや、胸が焼ける感じにより胸に違和感を覚える状態を胸焼けと言います。このような場合、消化器系の疾患が疑われます。食道から十二指腸にかけての消化管に異常があることで認めやすい症状です。 消化器内科へ受診し詳しく検査することをお勧めします。症状が胸焼けだけの場合緊急性はないため日中の受診を行いましょう。吐き気を伴う胸焼けがする症状で考えられる原因と対処法
胃酸が込み上げるような胸焼けとともに吐き気を伴うような症状がある場合、機能性ディスペプシアなどの病気が考えられます。他にも胃もたれやすぐにお腹が膨れるなどの症状が出ることがあります。原因は腸の機能異常やストレス、ライフスタイルの欧米化など様々なものが考えられます。 主な診療科は消化器内科です。緊急性はないため日中の受診を行いましょう。胃痛、腹痛を伴う胸焼けがする症状で考えられる原因と対処法
胃の辺りがキリキリと痛んだり、腹痛がある時に胸焼けも同時に感じているという症状がある場合、胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの消化性潰瘍が考えられます。原因には、ピロリ菌感染やロキソニン®︎などの痛み止めの飲み過ぎによる薬剤性のもの、喫煙などが挙げられます。 市販の痛み止め(カロナール®︎)などで一時的に症状をとることができますが、治癒はしないためしっかりと医療機関に受診して治療を開始することが大切です。 主な診療科は消化器内科です。激しい腹痛を伴わない場合緊急性はないことが多いので日中に受診をしましょう。食後に胸焼けがする症状で考えられる原因と対処法
食後2−3時間以内に胸が焼けるような症状がある場合、胃食道逆流症が考えられます。これは胃酸の逆流により食道粘膜が傷害されることによって起こります。 このような場合には睡眠時に頭を上げたり、就寝前3時間以内の食事を控えたりすることが有効であることもありますが、消化器内科へ受診し早めの治療を開始することをお勧めします。緊急性はないため日中の受診を行いましょう。生理中や妊娠中、産後に胸焼けがする症状で考えられる原因と対処法
女性の方で、生理中や妊娠中、産後などに胸焼けの症状を認める場合、月経困難症、つわりなどが考えられます。 月経困難症の場合は市販の胃薬などで対応してみるとよいでしょう。つわりの場合は食事を小分けにして回数を増やすなどの対処法があります。 どちらも産婦人科への受診をお勧めします。基本的に緊急性はありませんが、食事を全然食べられない時は早めに受診しましょう。子どもで胸焼け症状で考えられる主な原因と対処法
胸焼け症状で悩むのは元々は高齢者が多かったのですが最近は若年化して子供にも見られることがあります。子供に胸焼けの症状が出る場合にも胃食道逆流症が考えられます。 子供の場合、下部食道括約筋という筋肉が未発達なことがあり、これにより食べ物が逆流してしまうことがあります。まずできることとしては食べた後にすぐ横にならないようにすることや脂っこい食事を控えるなどです。 小児の場合胸焼け症状がひどい場合には小児科へ受診するのがよいでしょう。緊急性はないので日中に受診しましょう。すぐに病院へ行くべき「胸焼け」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。 応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。 以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。強い腹痛を伴う場合は、消化器内科へ
胸やけと共に強い腹痛を伴う場合は、消化管に潰瘍が存在する場合があります。程度がひどいと消化管に穴が開いて緊急手術が必要な場合もあります。強い腹痛があり改善しない場合には消化器内科へ受診しましょう。胸痛を伴う場合は、循環器内科へ
狭心症や心筋梗塞といった疾患で胸焼けの症状が出る場合もあります。すぐに血管内カテーテル治療が必要な場合もありますので、循環器内科へ受診しましょう。受診・予防の目安となる「胸焼け」のセルフチェック法
- • 胸焼け以外に腹痛の症状がある場合
- • 胸焼け以外に胸痛の症状がある場合
- • 胸焼け以外に喉がつかえるような症状がある場合
「胸焼け」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「胸焼け」に関する症状が特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。逆流性食道炎・胃食道逆流症
胃食道逆流症は、胃内容物が食道へ逆流しておこる病気の総称です。発症の原因としては食生活の欧米化、胃酸分泌量の増加、ピロリ菌感染率の低下などです。 自身でできる対処法としては、過食や脂肪の多い食事を避ける、睡眠前3時間以内の食事は控えるなどですが、酸分泌抑制薬による治療がより効果的です。 胸焼けが続く場合には消化器内科へ受診するとよいでしょう。機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシアとは、検査では異常がないにもかかわらず、上腹部の不快な症状が継続する疾患です。特徴的な症状としては、すぐにお腹いっぱいになる、胃の付近が痛い、胸焼けがするなどです。原因は複雑であり、心理的因子、ライフスタイル、内臓の知覚過敏などが複雑に絡み合って発症するとされています。 主な診療科は消化器内科です。上記のような症状が長期間継続する場合には日中に受診するとよいでしょう。食道癌
食道癌は食道にできた悪性腫瘍であり、発症の原因としては喫煙、飲酒、そして慢性的な胃食道逆流症による食道の炎症などが挙げられます。 早期であれば内視鏡で取り切ることもできるが、進行した場合手術による切除が必要となります。 定期的な検診が大切ですが、喉が詰まるような感じや声が掠れるような症状があった場合には早期の受診が必要です。 消化器内科もしくは外科への受診がよいでしょう。「胸焼け」がするときの正しい対処法は?
市販の胃薬は一時的に症状を改善させる可能性もありますが、基本的にはその場凌ぎの対応と考えてよいでしょう。このような場合の市販薬はガスター10®︎などが挙げられます。 胸焼けだけの場合なら一時的な改善を目標にしてガスター10®︎などを飲んでもよいと思いますが、胸痛、腹痛など他の症状がある場合には市販薬は飲まずに医療機関に受診するとよいでしょう。 また症状を和らげるために食習慣に気をつけることも大切です。脂っこいものは控えめにする、喫煙やアルコールは控えることなどが重要です。 ヨーグルトなどの乳製品やバナナやリンゴなどは胸焼けが辛い時におすすめの食品です。逆に梅干しなどの漬物やコーヒー、紅茶などは控えた方がよいでしょう。 また定期的な運動やストレスを溜め込まないことなども胃酸の分泌を抑えるのにつながるため心がけるとよいでしょう。 就寝時の体勢や眠る前の過ごし方にも注意が必要です。寝る前3時間は食事摂取を控えたり、寝る時に枕を高くすることが症状改善につながります。 これらの習慣に気を付けて生活していても胸焼けが継続するという場合には医療機関に受診し、胃酸分泌抑制薬の処方を受けることをお勧めします。「胸焼け」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「胸焼け」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
胸やけと胃もたれの違いは何ですか?
マイマイテイリ イマム 医師
胸焼けはみぞおちの辺りから喉の方へ広がり、焼けるように感じる症状を言います。胃もたれは食事を食べた後に、食事内容が残っていて胃が重く感じるような症状を言います。
胸焼けを起こしやすい食べ物や飲み物はありますか?
マイマイテイリ イマム 医師
脂肪分の多い食事や香辛料が豊富な食事、アルコールやコーヒーなどにより胃酸が多くなることで胸焼けを起こします。
食後に胃酸が逆流して胸焼けするのは何科の病院に行くべきですか?
マイマイテイリ イマム 医師
食後に胃酸が逆流して胸焼けする症状は胃食道逆流症が最も考えられる病気です。これに対しては胃酸分泌を抑制するお薬が効果的です。消化器内科への受診をお勧めします。