寝起きに片目が腫れる症状の治し方は?医師が主な原因と考えられる病気とともに徹底解説!
寝起きに片目が腫れるのを治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
伊藤 裕紀(医師)
「寝起きに片目が腫れる」症状で考えられる病気と対処法
寝起きに片目が腫れるのは生理的なむくみのほか、まつげの毛穴やまぶたの皮脂腺の炎症や詰まりやアレルギーなど、様々な可能性が考えられます。症状ごとに考えられる病気と対処法についてお伝えします。
寝起きに片目が腫れる症状で考えられる原因と治し方
寝起きに片目が腫れる場合、病気ではなく生理的なむくみの可能性があります。うつぶせ寝で寝ると目元に水分がたまり、まぶたがむくみやすくなります。
むくみが気になる場合は塩分が多い食事を控えましょう。十分に睡眠をとることも重要です。
起きて活動していくうちに解消する生理的なむくみが原因であれば問題ありませんが、むくみが長く続いたり痛みを伴う場合は、腎臓や甲状腺などの病気が隠れている場合があるので、内科を受診しましょう。
寝起きに痛くないが片目が腫れる症状で考えられる原因と治し方
寝起きに痛くないが片目が腫れる症状の場合は、霰粒腫の可能性が考えられます。
霰粒腫とは、涙の成分を分泌する脂の腺の出口が詰まる病気です。まぶたにコロコロとしたできものが出来て、まぶたが腫れる、異物感があるなどの症状が現れます。霰粒腫は、まぶたにあるマイボーム腺という皮脂の分泌腺が詰まってしまうことが原因で発症します。すぐにできる対処法としては、目元を温めると詰まった脂が溶けて、症状が和らぐ可能性があります。霰粒腫は放置するとしこりとなり残る可能性があるので、早めに医療機関を受診しましょう。主な診療科は眼科です。
寝起きに片目が腫れて痛い症状で考えられる原因と治し方
寝起きに片目が腫れて痛い症状の場合、麦粒腫の可能性が考えられます。麦粒腫とは、まつげの毛根や、マイボーム腺という涙の成分を分泌する脂の腺に細菌が感染し炎症を起こす病気です。症状の特徴は、まぶたの一部が赤く腫れ、膿がたまり、軽度の痛みや痒みが現れることもあります。
すぐにできる処置としては、汚い手で目を触らないように気をつけ、抗菌薬の点眼と体力の回復に努めることです。麦粒腫の原因となる細菌は様々ですが、一番代表的なものはブドウ球菌といい健康な人の皮膚に常在する菌で、体力の低下やストレスなどにより免疫力が低下すると発症します。
麦粒腫は、数日で膿が破れて自然に治癒する場合もありますが、治らない場合は点眼薬を使用したり、切開して膿を排出する必要がある場合もあります。症状がひどくなる前にできれば医療機関を受診しましょう。また痛みや異物感がひどく目の付近を触ってしまう場合は悪化する可能性が高いので早めに受診しましょう。主な診療科は眼科です。
寝起きに片目が腫れてかゆい症状で考えられる原因と治し方
寝起きに片目が腫れて痒い症状がある場合、アレルギー性眼瞼炎の可能性があります。アレルギー性眼瞼炎とは、アレルギーが原因で眼瞼、つまりまぶたに炎症を起こす病気です。
症状の特徴としては、目がかゆい、まぶたがパンパンに腫れる、目やにが出る、涙が出るなどが挙げられます。すぐにできる処置には、アレルギーの原因を突き止め除去することや抗アレルギー薬の点眼などがあります。アレルギーの原因には、花粉、ダニ、ハウスダストなどがありますが、片目に症状が現れるということは、何かに接触してアレルギー反応が起こる接触皮膚炎の可能性も大いに考えられます。
痒みが強いと目の周辺を触ったり掻きたくなることもあるかもしれませんが、症状が悪化したり傷がついてしまう可能性が高いので控えましょう。生活に支障が出たり、症状が悪化している場合は病院を受診したほうがいいでしょう。主な診療科は眼科です。
まぶたの腫れが繰り返す症状の原因と治し方
結膜炎とは、アレルギーやウイルス感染などによって目の結膜とよばれる部分に炎症がおきる病気です。結膜は白目の部分とまぶたの裏側にあり、炎症がおきると充血がおき、普段は平坦なまぶたの裏側に隆起ができることもあります。かゆみのために目をこすったりするとさらにまぶたが腫れてしまいます。アレルギーが原因の場合は、アレルギーの原因をつきとめ除去すること、抗アレルギー薬の目薬や内服薬を使用することが対処法となります。症状が繰り返している場合は、慢性化していたり悪化している可能性が考えられます。早めに医療機関を受診しましょう。診療科は眼科です。
すぐに病院へ行くべき「寝起きに片目が腫れる」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
ケガをした際に片目が腫れる症状の場合は、形成外科、眼科へ
外傷後すぐに問題なくても、翌朝など寝起きに片目が腫れる場合はすぐに医療機関を受診することをお勧めします。スポーツでぶつかったりボールが当たったり転んだりして目の近くを打ったあと、直後は症状がなくても、寝て次の日の朝、目が腫れることがあります。その場合は、目の周りの骨が折れている可能性があります。眼球を入れる骨のくぼみを眼窩といい、その部分が骨折することを眼窩底骨折といいます。ものが二重に見えたり、眼が落ち窪んだりすることがあります。また、鼻をかむと症状が悪化するため鼻をかむのは控えましょう。主な診療科は形成外科、眼科です。レントゲン撮影やCT検査を行う可能性があります。
受診・予防の目安となる「寝起きに片目が腫れる」ときのセルフチェック法
- ・寝起きに片目が腫れる以外に視力低下の症状がある場合
- ・寝起きに片目が腫れる以外にものが二重に見える症状がある場合
- ・寝起きに片目が腫れる以外に目を動かすと痛い症状がある場合
「寝起きに片目が腫れる」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「寝起きに片目が腫れる」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
ものもらい
ものもらいとは、まつ毛の毛根などに細菌感染が起きたり、まつ毛の根元付近にある皮脂腺が詰まってしまう病気です。医学的には、感染によるものを麦粒腫、皮脂腺が詰まることによるものを霰粒腫と呼びます。症状は、まぶたが赤く腫れる、膿がたまる、まぶたが痛いなどです。
痒かったり異物感があっても患部を触らないように気をつけましょう。細菌感染が原因の場合は抗菌薬の目薬の点眼、皮脂腺の詰まりが原因の場合はまぶたを温めることで症状が和らぐ可能性があります。数日で良くならない場合は病院を受診しましょう。主な診療科は眼科です。
細菌性結膜炎
細菌性結膜炎とは、結膜が細菌感染により炎症を起こす病気です。結膜とは白目とまぶたの裏をおおう薄い膜です。症状は、目が充血したり黄色や白色の目やにが出るなどが現れます。対処法としては、抗菌薬の点眼で症状がおさまる可能性があります。数日で良くならなければ眼科を受診しましょう。また、性感染症であるクラミジアが目に感染し結膜炎になることもあります。黄色く粘っこい目やに、まぶたの腫れ、排尿痛などがクラミジア感染の特徴です。目以外の症状がある場合は泌尿器科や婦人科も受診しましょう。
流行性角結膜炎(はやり目)
流行性角結膜炎とは、アデノウイルスというウイルスが原因で角膜や結膜に炎症が起こる病気です。症状は、突然白目が真っ赤になりサラサラした目やにが大量に出る、耳の前にあるリンパ節が腫れるなどです。アデノウイルスは大変感染力が強いため、学校は出席停止となります。通常発病後2〜3週間程度で治ることが多いでしょう。
アデノウイルスに有効な薬剤はないため、自然に治るのを待ち、周りの人に感染させないように気をつけましょう。
目やにや涙を拭く場合はウイルスが付着しているので使い捨てのティッシュや綿棒を使用する、家族間でのタオルの共用は避けるなど感染防止に努めましょう。流行性角結膜炎かどうかは眼科で検査できます。疑わしい場合は二次感染防止のためすぐに医療機関を受診しましょう。流行性角結膜炎は重症の場合は黒目が傷つき視力に影響を及ぼすことがあります。自覚症状がなくなっても黒目の炎症を抑える治療をする必要がある場合があります。
「寝起きに片目が腫れる」の正しい対処法は?
寝起きに片目が腫れるのが生理的なむくみである場合は、むくみは塩分の取りすぎからも起こるため、塩分を取りすぎないよう気をつけましょう。バナナやかぼちゃなどに含まれるカリウムには、塩分を排出する働きがあるので積極的に取り入れましょう。睡眠時間をしっかり確保し休息をとることや、ストレスを溜めないようにすることも大切です。一方、目の腫れのほか、かゆみがある場合はアレルギー反応である可能性があるため、アレルギーが原因の目の腫れには目元を冷やすと症状が和らぐ可能性があります。コンタクトレンズは目が乾きやすくなり、装着の際にまぶたに触れる刺激も負担となるので、もし目の不調がある場合は控えた方がいいでしょう。目をこするのも控えましょう。また、アイメイクはまつげのきわまでしないようにしましょう。まつげのきわには皮脂腺などがあり、アイメイクにより皮脂腺が詰まったりしっかり洗顔しきれないと感染が起きたりする可能性があります。早く治したい場合や応急処置をしても良くならない場合は医療機関を受診しましょう。
「寝起きに片目が腫れる」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「寝起きに片目が腫れる」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
寝起きに片目が腫れたときの対処法を教えてください。
伊藤 裕紀(医師)
腫れの原因によりますが、むくみが原因の場合はまぶたを温めてみましょう。血行が良くなり症状が緩和される可能性があります。症状が悪化した場合はすぐにやめましょう。
朝起きると片目がむくむ・腫れやすいのはアレルギーが原因ですか?
伊藤 裕紀(医師)
アレルギーの可能性も考えられます。化粧品、シャンプー、植物、動物の毛などが目に症状が現れるアレルギーの原因として多くみられます。
朝、片方のまぶたが腫れぼったくなるのは眼科で治療できますか?
伊藤 裕紀(医師)
まぶたの炎症や皮脂腺の感染症や詰まりの場合は眼科を受診しましょう。まぶたが腫れるのに加え体がだるいなど全身症状がある場合は内科を受診しましょう。
寝起きに片目が腫れるのはストレスの原因も考えられますか?
伊藤 裕紀(医師)
直接の原因ではありませんが、ストレスにより自律神経が乱れ免疫力が低下すると、ものもらいができやすくなったり、むくみによりまぶたが腫れる可能性は考えられます。
まとめ
寝起きに片目が腫れるのは、生理的なむくみであることが多いですが、慢性化している場合は病気が隠れている可能性がありますので放置しないようにしましょう。また外傷後の症状は緊急性が高い場合があります。目の周りの皮膚は大変薄く繊細です。腫れた場合は特に触らないよう気をつけ、早めに医療機関を受診しましょう。
「寝起きに片目が腫れる」症状で考えられる病気
「寝起きに片目が腫れる」から医師が考えられる病気は20個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
脳神経系の病気
- 海綿静脈洞血栓症
多くの場合には生理的なむくみですが、慢性化している場合は病気が隠れている可能性があります。
「寝起きに片目が腫れる」に似ている症状・関連する症状
「寝起きに片目が腫れる」と関連している、似ている症状は16個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください
関連する症状
「寝起きに片目が腫れる」症状の他にこれらの症状がある場合でも「麦粒腫」「霰粒腫」「眼瞼炎」「アレルギー性眼瞼炎」「アレルギー性結膜炎」「細菌性結膜炎」「流行性角結膜炎」「バセドウ病」「橋本病」「心不全」「ネフローゼ症候群」「海綿静脈洞血栓症」などの疾患の可能性が考えられます。目を動かすと痛い場合やケガをした後に目が腫れる場合には、早めに医療機関を受診しましょう。