目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 症状から調べる
  3. 「めばちこ」ができる原因・予防法はご存知ですか?医師が監修!

「めばちこ」ができる原因・予防法はご存知ですか?医師が監修!

「めばちこ」ができる原因・予防法はご存知ですか?医師が監修!

「朝起きるとまぶたが赤く腫れている」「目がゴロゴロしてかゆみを感じる」などの症状が現れる「めばちこ」について解説します。

めばちことは、医学的には「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」といい、感染によってまぶたに炎症が引き起こされる目の病気です。

地域によって様々な呼び方がされており、「めいぼ」や「ものもらい」といわれることもあります。

麦粒腫とよく似た症状が現れる病気として、代表的なのが「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」です。

この記事では、めばちこの特徴・霰粒腫との違い・原因・症状・予防方法について詳しくご紹介します。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

プロフィールをもっと見る
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

めばちことは

目を気にする女性
「めばちこ」とは、まぶたが赤くはれたり痛みがでたりする病気のことです。医学的な名称は、「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」です。地域によっては、「めいぼ」「めばちこ」「ものもらい」など、様々な名称で呼ばれています。
麦粒腫は、まぶたの外側に生じるものを「外麦粒腫」、まぶたの内側に生じるものを「内麦粒腫」といいます。これらは、まぶたにあるマイボーム腺やまぶたの根元に存在する皮脂腺に黄色ブドウ球菌が感染することにより目に炎症が起こる病気です。
免疫力が下がっている時や汚れた手で目を擦ってしまった時などに発症しやすくなります。症状の出方は様々で、一部だけがぷっくりと腫れることもあれば、まぶた全体が大きく腫れ上がって膿が溜まってしまうこともあります。
また、似たような名称の目の病気に「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」と呼ばれるものがあります。こちらもまぶたの腫れや痛みが伴うこともありますが、霰粒腫は感染性の病気ではありません。まぶたの皮脂腺が詰まって中に内容物が溜まることにより発症します。

めばちこの原因

メイクをする女性
めばちこは、まぶたに炎症が起こる病気ですが、具体的にはどのようなことが原因で発症するのでしょうか。麦粒腫の原因を2つ確認しましょう。

細菌

多くの場合、まぶたの涙腺・皮脂腺・毛穴などから細菌が感染することにより引き起こされます。主な原因菌は、黄色ブドウ球菌です。例えば、以下のような場面で細菌感染のリスクが高まります。

  • 不潔な手で目を擦った
  • アイメイク用品の清潔が保てていなかった
  • 洗浄が不十分なコンタクトレンズを使用した
  • 寝不足や疲労などにより免疫力が低下している
  • 免疫が下がる疾患を患っている、または薬の副作用で免疫力が低下している

麦粒腫は、不潔な状態で目を触ってしまった際に発症しやすくなりますが、もともとまぶたに存在する常在菌によって発症することも多いです。例えば、不規則な生活などにより免疫力が低下している場合や免疫低下にかかわる疾患を患っている場合には、免疫力で対抗できずに発症してしまいます。
また、まつ毛の根元部分には汚れが蓄積しやすくなります。アイメイクをした日には、しっかりとクレンジングを行うように心がけましょう。

前髪などによる刺激

前髪の刺激によって、まぶたに炎症が引き起こされることもあります。また、前髪以外にもアイメイクによる摩擦が刺激となることも考えられるでしょう。例えば、粘膜にアイラインを引いたりまつ毛の根元につけまつ毛をつけるなどです。

めばちこの症状

顔を抑える女性
ここでは、麦粒腫でみられる特徴的な症状を2つご紹介します。

まぶたが赤く腫れる

めばちこの特徴的な症状は、まぶたが赤く腫れることです。まぶたが腫れること以外にも、目が充血したり目やにが多く出たりすることもあるでしょう。
まぶたの腫れ方は様々です。部分的に腫れることもあれば、目が開けにくいと感じるほど腫れ上がってしまうこともあります。大きく腫れ上がる場合には、中に膿が溜まることが多いです。この膿は自然に排出されることがほとんどで、膿が排出されれば次第に腫れが落ち着いてきます。
多くの場合、数日で症状は治まるでしょう。しかし、膿が自然に排出されずに腫れが大きくなってしまった場合には、切開して排膿することもあります。

痛みやかゆみ

麦粒腫では、痛みやかゆみといった症状が現れることもあります。ゴロゴロとした違和感を覚えることもあるでしょう。
かゆみや違和感が強い場合は気になってしまう方も多いでしょうが、患部を触ったり強く擦ったりすることは控えるようにしてください。また、痛みやかゆみといった炎症反応がみられるうちは、コンタクトレンズの使用やアイメイクも控えたほうが良いでしょう。

めばちこの予防方法

手洗い
この章では、めばちこの予防方法をみていきましょう。

こまめに手を洗う

麦粒腫を防ぐためには、こまめに手を洗うことが大切です。様々な場所に触れた手は、想像以上に菌が付着しています。特に、以下のような場面では手を洗うようにしましょう。

  • 咳やくしゃみをした後
  • トイレの後
  • 帰宅した後
  • 動物や植物などに触れた後
  • コンタクトレンズを装着する前

また、こまめに洗うことはもちろんですが、正しい手洗い方法を身につけることも大切です。石鹸やハンドソープをしっかりと泡立て、洗い残しがないように手を洗いましょう。洗う部分は以下の通りです。

  • 手のひら
  • 手の甲
  • 指と指の間
  • つめ
  • 親指のまわり
  • 手首

この時、20秒以上かけて丁寧に洗うことが大切です。手洗いに加え、アルコール消毒も基本的な感染症対策に有効です。

免疫機能を高く保つ

めばちこは感染によって引き起こされる目の病気ですので、免疫機能を高く保つことも有効な予防法といえるでしょう。免疫機能を高く保つためのポイントは、主に以下の5つです。

  • 適度な運動
  • バランスの良い食事
  • 十分な睡眠
  • 規則正しい生活
  • ストレスを溜め込まない

日頃から適度な運動を行うことで免疫機能が向上することが明らかになっています。しかし、激しい運動を行った場合、逆に免疫機能が下がってしまうというデータが報告されています。身体に負担がかかるような激しい運動を行うのではなく、あくまでも適度な運動を継続して行うことが大切です。
また、バランスの良い食事も免疫機能の維持には欠かせません。免疫細胞を活性化するタンパク質を多めに摂取することを心がけましょう。抗酸化作用のあるビタミン類も積極的に摂取するのがおすすめです。
さらに、腸内環境を整えることが免疫の維持に効果的だといわれています。ヨーグルトやチーズなどの発酵食品や海藻などの食物繊維も摂取すると良いでしょう。なお、規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠時間を確保することも重要です。ストレスを上手く発散し、免疫力を高める習慣を身につけてみてはいかがでしょうか。

まつ毛の内側にアイメイクをしない

まつ毛の内側には、皮脂腺と汗腺があります。この部分に雑菌が繁殖したり刺激が加わったりすることで炎症を起こしやすくなるため、まつ毛の内側にアイメイクをしないように心がけることが大切です。
アイメイクをする際やクレンジングの際には、以下のような点に気を付けると良いでしょう。

  • まつ毛の内側にアイラインやアイシャドウを塗らない
  • まつ毛の根元にマスカラを塗らない
  • クレンジングの際に強く擦らない
  • クレンジングの際にしっかりと汚れを取り除く

目はとてもデリケートな器官です。これらの点に気を付けることで、麦粒腫だけでなく、霰粒腫やドライアイの予防にもなります。適切な方法を身に付けて、目の健康を維持していきましょう。

すぐに病院に行った方が良い「めばちこ」症状は?

めばちこのみでは緊急性は低いですが、まぶたの上にできものができたり、何度も繰り返し発症したりする場合には、早めに病院受診を検討しましょう。

行くならどの診療科が良い?

主な受診科目は、眼科です。

問診、診察、培養検査、病理検査などが実施される可能性があります。

病院を受診する際の注意点は?

持病があって内服している薬がある際には、医師へ申告しましょう。

いつから症状があるのか、他に症状はあるのかなどを医師へ伝えましょう。

治療する場合の費用や注意事項は?

保険医療機関の診療であれば、保険診療の範囲内での負担となります。

まとめ

女性ビジネスマン
「めばちこ」とも呼ばれる麦粒腫は、黄色ブドウ球菌の感染により発症する目の病気です。

通常は害を及ぼさないような常在菌ですが、免疫機能が低下している場合には、炎症が強く現れることもあります。

時に、まぶた全体が大きく腫れ上がったりまぶたに膿が溜まったりすることも考えられます。

仕事やプライベートで大切な予定がある日にまぶたが赤く腫れ上がってしまった場合、気分が落ち込んでしまう方も多いでしょう。

麦粒腫の場合、眼科を受診すれば抗生物質の点眼薬が処方されることが一般的です。

抗生物質の点眼薬を使用すれば治りが早くなりますので、疑わしい症状がある場合には早めに眼科を受診することをおすすめします。

なお、麦粒腫を予防するために日頃からこまめな手洗い規則的な生活を心がけることも大切です。

めばちこ症状の病気

この記事の監修医師