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「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」とは?症状・原因・予防法についても解説!

 更新日:2023/03/27
「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」とは?症状・原因・予防法についても解説!

ものもらいというと一般的にはまぶたが腫れるような症状を指しますが、病気の原因や症状によって病名が異なります。

今回は同じまぶたが腫れる病気の中でも霰粒腫という病気がどんなものであるかご紹介していきます。

霰粒腫の症状や一般的なものもらいとの違い、予防する方法などについて解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

松澤 宗範 医師

監修医師
松澤 宗範(医師)

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2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業
2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医
2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局
2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科
2017年4月 横浜市立市民病院形成外科
2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科
2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職
2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長
2020年5月 青山メディカルクリニック 開業
所属学会:日本形成外科学会・日本抗加齢医学会・日本アンチエイジング外科学会・日本医学脱毛学会

霰粒腫の特徴

目の下を気にする女性(困る)

霰粒腫とはどのような病気なのでしょうか?

  • 霰粒腫は霰粒腫はまぶたの皮脂腺であるマイボーム腺に分泌物がたまり、異物反応を生じた結果の慢性肉芽腫性病変です。しこりが出来たと訴えて受診される患者さんが多く、基本的には痛みは伴いません。
  • 霰粒腫に細菌感染が起こると痛みや赤みが生じ、ものもらいである麦粒腫との鑑別が難しくなります。これを急性霰粒腫といいます。
  • 霰粒腫は無菌性の炎症であり、細菌感染を伴うことはないため他の人にうつることはありません。
  • 自然に治ることもありますが炎症が続くとステロイド薬や抗生物質などで症状を抑え、場合によっては手術が必要になることもあります。

霰粒腫の症状を教えてください。

  • 霰粒腫の典型的な症状としては、大きな痛みや赤みなどはなく初期段階ではまぶたに違和感がある程度です。次第にまぶたの腫れが大きくなりコロコロとしたしこりができるようになります。
  • 症状が続く場合でも痛みが強くなることは少なく、しこりだけが残ることも特徴の1つです。しこりが小さい場合は自然と吸収されることもありますが、腫れが大きくなるとステロイド薬の注射や手術による摘出が必要になります。
  • 霰粒腫自体は無菌性の症状ですが、腫れた部分が細菌に感染して炎症部分がさらに化膿した急性化膿性霰粒腫になる場合もあります。

「ものもらい」との違いは何ですか?

  • 霰粒腫と似たような症状のものとして一般的にものもらいと呼ばれる麦粒腫がありますが原因や症状は異なります。霰粒腫は細菌感染を伴わない無菌性の症状ですが、麦粒腫の場合原因は細菌感染によるものです。人から人へうつる病気ではありませんが、身体の抵抗力が弱まっているとまぶたの傷などから感染しやすくなります。
  • 麦粒腫の症状は霰粒腫と同様にまぶたが腫れ目の周りに異物感が生じますが、霰粒腫と違い痛みが伴うケースが多いです。また、目のかゆみや充血なども伴うケースがあり、症状が進行していくと化膿した患部から膿が出る場合もあります。膿が出てしまった後は症状が回復することが多いです。
  • 霰粒腫との違いとしては、まぶたの腫れや赤みだけでなく痛みが伴う場合は麦粒腫の可能性が高いと考えられます。麦粒腫の原因は身体の抵抗力が弱まってる状態などで細菌に感染することで発症するケースが多いです。そのため、麦粒腫は症状が出てもが出て炎症が治まれば、その後繰り返す可能性は低いと考えられています。霰粒腫は細菌感染が原因ではないため、特に要因が掴めない状態で症状が繰り返し出る場合は霰粒腫の可能性が強いです。

霰粒腫を発症する原因は何ですか?

  • 霰粒腫は無菌性の炎症であるため、細菌感染が原因ではありません。そのため、一般的なものもらいのようにまぶたの傷から感染するといった明確な原因がないのが特徴です。
  • 霰粒腫はまぶたの奥にある脂腺と呼ばれる脂を分泌する出口が塞がってしまうことで引き起こされます。その原因は、不規則な生活やストレスなどでホルモンバランスが崩れることや油脂の多い食生活などによるものだと考えられています。
  • ただ、原因が分からないケースも多いため汚れた手で目をこすらないことや不必要な市販の目薬等を避けることが発生防止につながります。

霰粒腫の検査・治療法

女医 OKサイン

霰粒腫の検査方法を教えてください。

  • まぶたの腫れ等で目の異常を感じた場合は、専門医に診察してもらい原因をはっきりさせることが必要です。同じまぶたの腫れの症状でも、細菌感染が原因となる麦粒腫と霰粒腫では対処法も異なります。一般的に霰粒腫は麦粒腫と違い痛みのないことが多いのですが、霰粒腫の患部が細菌に感染すると強い痛みが発生することもあります。
  • 医師による診察の内容は身体状況や生活状況についての問診や、まぶたの腫れについて詳しく確認していく触診などです。また、必要に応じて膿を採取してどのような細菌がいるのかを調べることもあります。
  • 稀なケースに高齢者の方などで同じような症状のまぶたのがんである脂腺がんを発症している場合もあります。特に原因のない状態で繰り返し発症する場合では脂腺がんの可能性があるため、状況によっては病理検査やがん検査が必要です。

霰粒腫の治療はどのように行うのでしょうか?

  • 霰粒腫は腫れが小さいうちは自然治癒するケースも少なくありません。しかし、痛みがなくとも目の違和感が続きしこりがある状態が続くようであれば眼科に行き診断を受けたほうがよいでしょう。
  • 早期の症状であれば腫れた患部に副腎皮質ステロイド薬を注射することで快方に向かうケースも多いです。
  • また、患部に細菌感染が伴った急性化膿性霰粒腫の場合は抗生物質や抗炎症剤の点眼が使用されます。

手術が必要となるのはどのようなケースなのでしょうか?

  • 点眼等の治療を行っても症状が続いてしまう場合や、まぶたの腫れが大きく広がっているような場合には手術が必要になることもあります。
  • 霰粒腫自体は細菌に感染しなければ痛みを伴わないため、放置しても大きな問題が起こることは少ないです。しかし、まぶたが腫れた状態では見た目の問題や視野の違和感などもあるため切除したほうがよいでしょう。
  • 霰粒腫の手術ではまぶたを裏返して切開し腫れた部分を取り除きます。手術で切開する部分も少ないため、術後の傷跡が気になるようなことも少ないです。

霰粒腫の予防法

女医 イメージ

霰粒腫の効果的な予防法を教えてください。

  • 霰粒腫は一般的なものもらいとは違い細菌感染ではないため、目の周りの傷などが直接的な原因になるケースはほとんどありません。それでも、普段から目の周りを清潔に保ち汚れた手などで目をこすらないように気を付けることは重要です。
  • また、揚げ物や肉類といった油脂が多い食生活も原因になる場合があります。バランスの良い食生活を心掛け、適度な運動を行うなどして身体の代謝を良くすることも予防を行ううえで重要なことです。

再発を防止するにはどうしたら良いのでしょうか?

  • 霰粒腫は一度治った状態でも、また再発してしまうケースが少なくありません。
  • これは個人差があり、人によっては手術を行っても複数回再発してしまう方がいます。霰粒腫はまぶたの奥にある脂腺と呼ばれる脂を分泌する部分が詰まってしまうことが原因で起こる病気です。そのため、出口が詰まらないようにホットタオルや温めるタイプのアイマスクなどの使用が効果的です。
  • 他にもまぶたの周りを優しくマッサージなどすることにより、脂の詰まりや角質が溜まった状態が改善する効果が期待できます。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

  • 霰粒腫は、一般的なものもらいである麦粒腫とは原因や症状が大きく異なります。
  • 麦粒腫は主にまぶたの傷に細菌感染することなどで発症しますが、霰粒腫は基本的に無菌性の炎症であり細菌感染が原因にはなりません。そのため、霰粒腫を引き起こす原因は比較的分かりづらく、人によっては何度も再発してしまうケースがあります。
  • 霰粒腫を予防するためには、目の周りを清潔に保ち、汚れた手などで目を触らないことなどが重要です。また、生活リズムなども影響する場合があるため、睡眠をしっかり取り油脂の多い食品を摂り過ぎないことも予防につながります。
  • 高齢者に再発する霰粒腫の場合には、脂腺がんの可能性を疑う必要があります。表面が凹凸不整で不規則に増殖している場合や、潰瘍を伴う場合、血管走行異常がある場合などにはとくに注意が必要です。

編集部まとめ

白衣を着た女性(ガッツポーズ)
一般的にものもらいというと、まぶたが腫れて膿が溜まり、痛みがあるような症状を指すことが多いです。

そのような症状の場合は麦粒腫である可能性が高く、膿が出てしまえば快方に向かっていきます。

しかし、同じようなまぶたが腫れる症状でも長期間しこりが残る場合では霰粒腫を疑ったほうがよいでしょう。

霰粒腫の場合は痛みはほとんどありませんが、しこりがある状態が続き腫れが大きくなってしまうと手術が必要になるケースもあります。

症状を悪化させないために、痛みがない状態でも早めに眼科を受診し、専門医の診断を受けることをおすすめします。

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