「涙が止まらない」原因はご存知ですか?精神状態が原因で止まらない場合も解説!
涙が止まらない時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
伊藤 裕紀(医師)
「涙が止まらない」症状で考えられる病気と対処法
涙は目を乾燥から守り、目に栄養や酸素を届けたり、目に入ったゴミやホコリを洗い流すなど大切な役割を果たしています。しかし涙が過剰に流れる場合は病気の可能性もあります。涙が止まらない症状で考えられる病気には、アレルギーや結膜炎、ドライアイなど目の疾患からけいれんを引き起こす神経系の病気や精神的な病気など様々です。原因を探り、適切な対処を心がけましょう。
涙が止まらない症状で考えられる原因と治し方
涙が止まらない、目がかゆい、目がゴロゴロするなどがこの症状の特徴です。
このような場合は、アレルギー性結膜炎の可能性が考えられます。アレルギー性結膜炎とは、花粉やハウスダストなどのアレルゲンが原因で目の結膜に炎症が起きる病気です。
人工涙液を点眼するなどして目の表面に付着した汚れを洗いましょう。コンタクトレンズの使用を控えるといいでしょう。
主な診療科は眼科です。アレルギーの原因物質を特定するために、症状が出る時の記録を取って医師に説明するといいでしょう。
精神状態が悪く涙が止まらない症状で考えられる原因と治し方
精神状態が悪く今まで泣かなかったようなことでも涙が出る、涙もろくなる、気分が落ち込む、眠れないなどがこの症状の特徴です。
このような場合は、うつ病の可能性が考えられます。うつ病とは、気分障害の一つで、一日中気分が落ち込んでいるなどの精神症状と共に、眠れない、食欲がないなどの身体症状を伴い日常生活に支障が生じます。
症状を落ち着かせるには休養を取ることが大切です。心身が疲れきっている可能性があるため、仕事量を減らす、なるべくストレスから離れる、睡眠時間を確保するなどを心がけましょう。
涙もろい、気分が落ち込む、眠れないなどの症状が2週間以上続く場合は精神科を受診しましょう。早期治療が大切です。
片目だけ涙が止まらない症状で考えられる原因と治し方
まぶたや口角部などが痙攣する、片目だけ涙が出るなどがこの症状の特徴です。
このような場合は、顔面けいれんという病気の可能性が考えられます。顔面の筋肉の動きを司る神経が圧迫されることなどによりけいれんを引き起こす病気です。
症状を落ち着かせるためにまずは休息をしっかりとりましょう。また仰向けに寝ると症状が起こる頻度が軽減する可能性があるとされています。
腫瘍ができている可能性もありますので、早めに脳神経内科を受診しましょう。
目が痛い・赤くて涙が止まらない症状で考えられる原因と治し方
目が痛い、赤くて涙が止まらないなどがこの症状の特徴です。まつげが何らかの原因で目に接触している可能性があります。
このような場合は逆さまつげの可能性が考えられます。逆さまつげは、まつげの向きが眼球に向かって生えている場合や、子どもなどで下まぶたの皮膚や皮下脂肪が盛り上がってまつげが眼球側に押し込まれる場合、まぶた全体が眼球方向に向いてしまうなどの原因があります。
セルフケアとして、まつげを切ったり抜いたりしないようにして、角膜保護の目薬を使用します。まつげを切ったり抜いたりすると、先が尖ったまつげが生えてきて目をさらに傷つける可能性があります。
涙や目やにが増える、充血するなどの症状がある場合は結膜炎や角膜炎を起こしている可能性があります。視力低下を引き起こす可能性もあるので、早めに眼科を受診しましょう。
すぐに病院へ行くべき「涙が止まらない」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
涙が止まらない症状に加え白目が真っ赤に充血している場合は、眼科へ
涙が止まらない、急に白目が真っ赤になり大量の目やにが出る、リンパ節が腫れるなどがこの症状の特徴です。
このような場合は流行性角結膜炎という病気の可能性があります。アデノウイルスというウイルスにより結膜が炎症を起こす病気で、大変感染力が強い病気です。
主な診療科は眼科です。涙や目やににもウイルスが含まれているため、涙をふく時は使い捨てのクリーンコットンなどを使用しましょう。
受診・予防の目安となる「涙が止まらない」のセルフチェック法
・白目が真っ赤になる状態で涙が止まらない場合、目やにが大量に出る場合は緊急を要する可能性があります。できるだけ早く眼科を受診しましょう。
「涙が止まらない」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「涙が止まらない」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
うつ病
うつ病とは気分障害の一つで、一日中気分が落ち込んでいる、眠れない、食欲がないなどの症状が現れます。発症の原因は正確にはわかっていませんが、精神的ストレス、身体的ストレスや、体の病気や内科治療薬が原因となることもあると考えられています。
治療には、しっかりと心身の休養が取れるよう環境を整えることが大切です。また、散歩などの軽い有酸素運動も症状の軽減に役立つ可能性があります。治療法としては、抗うつ薬などの内服による薬物療法、認知行動療法などの精神療法等があります。
涙もろい、気分が落ち込む、眠れないなどの症状が2週間以上続く場合は精神科を受診しましょう。
麦粒腫(ものもらい)
麦粒腫とはまぶたにある涙や汗の分泌腺や毛穴などに細菌感染が起こる病気です。まぶたの一部が赤く腫れ、軽度の痛みや痒みを伴うなどの症状が現れます。
くれぐれも、汚い手で目をこすったりしないようにしましょう。治療法としては、抗生物質の点眼や内服を行います。化膿が進んでいる場合は切開手術を行う場合もあります。
数日で症状が治らない場合は眼科を受診しましょう。
結膜炎
結膜炎とは結膜という目の白目とまぶたの裏側を覆っている膜に何らかの原因で炎症がおきる病気です。涙が出る、目やにが出る、目が赤くなるなどの症状が現れます。細菌やウイルスによる感染が原因の場合と、アレルギー反応の場合、かぶれによるものなど発祥の原因は様々です。
細菌感染が原因の結膜炎には抗菌目薬の点眼で治療します。ウイルス性の結膜炎の中には感染力が強いため学校は登校停止となるものもあります。
花粉症などのアレルギー性結膜炎の場合は、目に付着したアレルゲンを人工涙液で洗い流すことや、抗アレルギー薬の点眼や内服などの治療法があります。
サラサラの目やにが大量に出る場合はウイルスが原因の結膜炎の可能性があります。集団感染を引き起こす可能性が高いので、すぐに眼科を受診しましょう。
涙嚢炎(るいのうえん)
涙囊炎とは、涙が目から鼻に通る道の途中にある涙囊という組織に細菌感染が起きて炎症が起きている病気です。常に目が潤んでいる、涙が出る、目やにが出る、目頭から1センチほど下方が腫れるなどの症状が現れます。大人が発症することもありますが、赤ちゃんにも多い病気です。
治療法としては抗生物質の目薬の点眼などを行います。涙囊炎は、涙の通り道が詰まって流れない鼻涙管閉塞が起きている可能性があり、その場合は手術を行うこともあります。
赤ちゃんで常に目が潤んでいる、目やにが多い場合は早めに病院を受診しましょう。また、痛みを伴う場合や症状がよくならない、悪化している場合は大人も早めに眼科を受診しましょう。
ドライアイ
ドライアイとは、涙の目の表面に広がる性質が失われ、目の不快感や見えにくさが生じる病気です。目が乾く、目が霞む、目が疲れる、目が痛むなどの症状が現れます。
対処法としては、人工涙液の点眼、コンタクトレンズの装着を控える、エアコンの風が直接あたらないようにする、加湿器を使用するなどの方法があります。
治療法としては涙の不足成分を補う目薬や目の炎症を抑える目薬の点眼、涙点プラグを涙点に埋めこむなどの方法があります。
症状が強く日常生活に支障がある場合は眼科を受診しましょう。
「涙が止まらない」ときの正しい対処法は?
病院に行く時間がない場合や、症状が軽い場合は市販目薬を使用してもいいでしょう。
ソフトサンティア(参天製薬)は涙液不足に伴う目の乾きを改善させる効果があります。ドライアイの症状を緩和できる可能性があるでしょう。市販目薬を選ぶ場合は、防腐剤が入っていないものを選ぶのもポイントです。
早く治したい場合は、病院に行き正しい治療を受けることと、コンタクトレンズの使用を控えること、アイメイクはまぶたの内側にはしないこと、患部を触らないようにしましょう。
長時間パソコンやスマートフォンの画面を見ることはドライアイの危険因子として知られています。目を乾燥から防ぐためにまばたきの回数を増やすこと、画面をできるだけ目から離すこと、適度な休憩を取り入れるようにしましょう。
コンタクトレンズは目が乾燥しやすくなり、細菌感染の可能性が高まるため、目にトラブルがあるときは使用を控えた方がいいでしょう。どうしても使用する場合は、手指を清潔にしてからコンタクトレンズの着脱を行うことや、コンタクトレンズの使用期間などを守るなどが大切です。
まつげの根元付近には、目を乾燥から守る脂質を分泌する腺などがあり、アイメイクはそれら分泌腺の詰まりや炎症の原因となりえます。まつげの内側のアイメイクは控え、マスカラもまつげの根元にはつけないようにしましょう。
ドライアイが原因の場合、目の周りの血流を促すツボをマッサージするといいでしょう。目頭と鼻の付け根の間のくぼみにあるツボ、眉毛の真ん中のくぼみのツボ、目尻のさらに指一本分外側にあるツボの三箇所を押しながらほぐしましょう。
目の周りを温めると、まぶたにある脂の分泌腺から脂が出やすくなり、涙の質が改善されドライアイが改善する可能性があります。
温めるアイマスクは、目の周りの血流を良くしたり、脂の分泌腺の詰まりを解消するのに効果的でしょう。ドライアイの症状が軽減する可能性があります。
目元用シャンプーなどで、固まった脂を排出するようにまつげの根元周辺を円を描くように優しくマッサージしながら洗うといいでしょう。まつげの間の汚れも取れるように横に優しくこすりましょう。汚れが洗い流され、脂の分泌腺のつまりが解消されてドライアイの症状に効果がある可能性があります。
ドライアイを改善させるには、目に潤いを与え、涙が目の表面に広がる性質を安定させるのに効果があるビタミンAがオススメの栄養素です。鶏レバーや人参、ほうれん草などに多く含まれています。
花粉や紫外線などの刺激はアレルギー反応を起こしやすくなったり、涙が不足している場合は強い刺激となったりします。花粉防護メガネをつけることや、帽子を被って花粉や紫外線の影響を少なくするよう心がけましょう。
精神状態が辛くて「涙が止まらない」ときの正しい対処法は?
日常生活で、楽しみや喜びを感じなかったり、食欲がない、眠れなくなるなどの症状が現れたら、うつ病の可能性があります。うつ病の回復には休養が重要です。仕事の量を減らしたり残業をしない、仕事を休み自宅療養するなどレベルは様々ですが、早めに専門家に相談して適切な対処をとりましょう。
ストレスとどう付き合うかというよりも、できるだけストレスを避けることが大切です。仕事などのストレスはなかなか自分でどうすることもできないことも多いですが、仕事の進め方ややり方を見直すことでストレスを軽減できる方法があるかもしれません。
また、物事の考え方や受け止め方により、ストレスを強く感じる場合があります。完璧主義だったり、自分のことを責めてしまう、悪い面ばかり見てしまうという特性がある場合は、それらを見直してみるとストレスの軽減に役立つかもしれません。できなかったことではなくできていることに目を向けたり、良いものは良いものとして素直に受け取るように心がけてみましょう。
また、普段から日中に軽い運動習慣があるといいでしょう。睡眠が十分に取れていない場合は15分から20分程度の短い昼寝をすると活動しやすいでしょう。40℃以下のぬるめのお風呂に20〜30分ゆったりと浸かりましょう。眠るときは部屋を真っ暗にする方がいいでしょう。
「涙が止まらない」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「涙が止まらない」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
目がしみて涙が止まらないのは何科の病院で治療できますか?
伊藤 裕紀(医師)
目がしみる場合は眼科を受診しましょう。目に傷がついている可能性があります。
なみだ目で涙が止まらないのはドライアイと関係がありますか?
伊藤 裕紀(医師)
涙が止まらないのはドライアイと関係があるとされています。ドライアイは目が乾燥しますが、乾燥を防ごうと過剰に涙が分泌されることがあります。
突然片目から涙が止まらなくなるのは結膜炎でしょうか?
伊藤 裕紀(医師)
細菌感染が原因の結膜炎では、片目から涙が出たり目やにが出るなどの症状が現れることがあります。結膜炎の他にも、顔面けいれん、腫瘍などの可能性もあります。
鼻水が出て涙も止まらなくなる症状は何かのアレルギーですか?
伊藤 裕紀(医師)
鼻水が出て涙が止まらない症状は、アレルギー反応を起こしている可能性があります。アレルギーの原因にはスギやヒノキなどの花粉、ダニ、ハウスダストが原因であることが多いです。
仕事に行こうとすると涙が止まらないときの対処法を教えてください。
伊藤 裕紀(医師)
休息をとり、ストレスの軽減を図ることが大切です。夜しっかり睡眠をとれるよう就寝4時間前からのカフェイン、1時間前からの喫煙は覚醒効果が継続するため要注意です。寝酒も避けた方がいいでしょう。仕事のストレスはなかなか自分でコントロールするのは難しいですが、物事の考え方や受け止め方を変えることでストレスの感じ方が軽くなる可能性もあります。
企業内の産業医や介護職に相談したり、精神科・心療内科などの医療機関を受診しましょう。
高校生で学校のことを考えると涙が止まらないのは病気でしょうか?
伊藤 裕紀(医師)
うつ病や不安障害など精神的な病気の可能性もあります。早めに専門家に相談をするといいでしょう。薬物療法やカウンセリングなどの治療法があります。友達や家族に相談するだけでなく、学校の先生やスクールカウンセラー、精神科や心療内科、保健所や精神保健福祉センターの相談窓口などを利用することもできるでしょう。
まとめ
涙が止まらない症状では、結膜炎やドライアイなど角膜や結膜も炎症を起こしてしまい、目が傷ついている場合もあります。痛みや違和感がある場合は受診するようにしましょう。
また、赤ちゃんは逆さまつげや涙囊炎などの病気になることも多いです。涙が止まらないとまではいかなくても目が潤んでいる、目やにが多い場合は早めに病院に連れて行きましょう。精神的な病気が原因の場合も、早期治療が大切です。症状が軽いうちから専門家に相談するといいでしょう。
「涙が止まらない」で考えられる病気と特徴
「涙が止まらない」から医師が考えられる病気は23個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
眼科の病気
涙が止まらない場合には、何らかの理由があることが多いでしょう。結膜炎やドライアイなど角膜や結膜も炎症を起こしてしまい、目が傷ついている場合もありますので眼科を受診することをお勧めします。
「涙が止まらない」と関連のある症状
「涙が止まらない」と関連している、似ている症状は17個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
「涙が止まらない」他にこれらの症状がある場合、「眼瞼炎」「アレルギー性結膜炎」「小児緑内障」「うつ病」「膠原病」「不安性障害」などの疾患の可能性が考えられます。
様子をみても改善しない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。