「目が腫れる」原因はご存知ですか?医師が予防する食べ物も解説!
目が腫れる時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
伊藤 裕紀(医師)
「目の腫れ」で考えられる病気と対処法
目の腫れには様々な原因が考えられます。まぶたの皮脂腺の詰まりや細菌感染によるまぶた由来のものや、アレルギー反応、甲状腺機能障害やむくみが原因である可能性もあります。原因を突き止め、早めの対処が大切です。
目の腫れで考えられる原因と治し方
目の周囲が腫れる、むくむのがこの症状の特徴です。
むくみが原因であれば、お酒や水分、塩分の過剰摂取を控えることで解消できることがあります。また睡眠中は顔が下に向かないようにしましょう。
このような場合は、過剰なアルコール摂取や、水分、塩分の過剰摂取、睡眠不足などによりむくみを起こしている可能性があります。
足などにもむくみがある場合は腎臓疾患の可能性もありますので、内分泌内科を受診しましょう。
目が腫れているが痛くない症状で考えられる原因と治し方
まぶたが腫れる、異物感があるのがこの症状の特徴です。痛みや赤みもない場合が多く、小さな固いできものが形成されます。
すぐにできる症状の落ち着かせ方は、まぶたを温熱ピローなどでじっくり温めることです。38度前後で5分間温めると、詰まっている脂がとけ、まぶたの血流が改善して、症状が和らぐ可能性があります。
このような場合は、霰粒腫(さんりゅうしゅ)という病気の可能性が考えられます。霰粒腫とは、まつげの生え際付近に位置する涙の成分を分泌する腺が詰まることが原因で発生します。
瞼の腫れはだんだん大きくなる可能性がありますので、大きくなる前に眼科を受診しましょう。治療としては、大きくなったものは霰粒腫を包んでいる袋ごと摘出する手術を行うことがあります。緊急性は高くはありませんが、高齢者では悪性腫瘍の可能性も考えられるので一度受診したほうがいいでしょう。
目が腫れて痛い症状で考えられる原因と治し方
まぶたの一部が赤く腫れ、痛みを伴うのがこの症状の特徴です。腫れた部分が破れて膿が出ることもあります。
痛みや症状を悪化させないように、汚い手で目をこすったりしないようにしましょう。抗生物質の点眼で症状が改善する可能性があります。
このような場合は、麦粒腫(ものもらい)という病気の可能性が考えられます。麦粒腫とは、まぶたにある涙や汗の分泌腺などに細菌感染が起き炎症が起こる病気です。
麦粒腫は膿が出てしまえば症状は回復に向かうことが多い病気ですので緊急性は高くありません。しかし症状が長引く場合は重症化したり他の病気の可能性もあるため眼科への受診をお勧めします。
目が腫れてかゆい症状で考えられる原因と治し方
まぶたの周辺が腫れる、赤くなる、熱感や痒みが現れるなどが症状の特徴です。
このような場合は眼瞼炎(がんけんえん)という病気の可能性があります。眼瞼炎は眼瞼、つまりまぶたの炎症です。ウイルスや細菌感染によるものや、アトピー、かぶれ、アレルギーなど原因は様々です。
すぐにできる処置としては、アレルギーが原因の場合は目元を冷やす、それ以外の場合は目元を温めることが効果的です。細菌感染が原因の場合は抗菌成分の入った軟膏や点眼剤が菌の種類が合っていれば症状が落ち着くでしょう。
眼瞼炎は原因が多岐にわたり、特定が難しく慢性化しやすい病気です。原因特定のためにも早めに眼科や皮膚科を受診したほうが良いでしょう。
アレルギーで目が腫れる症状で考えられる原因と治し方
アレルギーで目が腫れる場合、痒みを伴うのが特徴です。他には、目が赤くなる、目やにが出る、目がゴロゴロする、白目がぶよぶよに腫れるなどの症状が現れることもあります。
症状の落ち着かせ方としては、アレルギーの原因となる物質を特定して除去しましょう。目についたアレルギー物質を人工涙液で洗い流すことも大切です。花粉症の人は防御メガネの使用なども効果的でしょう。
アレルギーで症状が現れる病気としては、花粉症などの季節性アレルギー性結膜炎、ダニやハウスダストなどが原因となる通年性アレルギー性結膜炎、幼少期の男の子に多く見られる春季カタルなどがあります。
アレルギーは原因物質の特定が大切ですので、どのような時に症状が現れるのかを記録をとっておくと受診した際に説明しやすいでしょう。また、花粉症などが原因となる季節性アレルギー性結膜炎は、症状が現れる前から点眼を開始すると症状が軽く済むため、症状が現れる前に眼科やアレルギー科へ受診をすると良いでしょう。
目の下・下まぶたの腫れで考えられる原因と治し方
目の下、下まぶたが腫れるのがこの症状の特徴です。腫れの他、痛みや涙が増加したり、目やにが出るなどの症状も現れることがあります。
このような場合、涙嚢炎(るいのうえん)の可能性が考えられます。涙囊とは目頭から鼻に通る涙の通り道にある組織で、そこに炎症が起きるのが涙囊炎です。
症状を落ち着かせるには、違和感があっても、目を触らないように注意しましょう。早急に眼科に行きましょう。
涙囊炎は手術が必要になることのある病気です。早めに眼科を受診しましょう。
すぐに病院へ行くべき「目の腫れ」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
熱感や激しい痛みを伴うまぶたの腫れがある症状の場合は、眼科へ
熱感や痛みを伴うまぶたの腫れ、目が赤くなるのが特徴です。強い痛みがあり、眼球が突出したり眼球運動障害が現れることもあります。子どもに多く発症する傾向があります。
このような場合は、眼窩蜂窩織炎という病気の可能性があります。眼窩とは眼球が収まっている部分で、そこに起こる細菌感染症が原因で起こります。
受診が遅れると失明の可能性や生命に関わるため、少しでも疑わしい場合は早急に眼科を受診しましょう。
受診・予防の目安となる「目の腫れ」のセルフチェック法
- ・目の腫れの他、視力低下や物が二重に見える状態の場合、緊急を要する可能性が高いです。できるだけ早く眼科を受診しましょう。
「目の腫れ」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「目の腫れ」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
眼瞼炎
眼瞼炎とは、まぶたの周囲に充血や腫れ、熱感を伴う炎症を起こす病気です。まつげの生え際の眼球側で発生するものや、皮膚側で発生するもの、まぶたの皮膚全体に症状が現れるものなど様々です。原因はウイルスや細菌による感染、アレルギー、アトピー、かぶれなどです。
細菌感染が原因の場合は抗菌薬の点眼や軟膏を使用すると改善する可能性があるでしょう。かぶれの場合は、原因の物質に触れないように気をつけ、目の際のアイメイクやコンタクトレンズの使用を控えたほうがいいでしょう。
数日経っても症状が改善しない場合は眼科や皮膚科を受診しましょう。
麦粒腫(ものもらい)
まぶたの涙や汗の分泌腺や毛穴に細菌感染が起こるのが麦粒腫という病気です。まぶたの一部が赤く腫れ、痛みや痒みを伴うこともあります。
数日で膿が出て、その後回復することが多い病気ですので、汚い手で触らないようにして様子を見ましょう。
数日で症状が改善しない場合は重症化する場合があるので眼科を受診しましょう。
結膜炎
結膜とは、白目やまぶたの裏を覆っている膜で、この部分に炎症が起きるのが結膜炎です。原因はウイルスや細菌、アレルギーなどがあります。腫れや痒み、白目が充血して赤くなるなどの症状が現れます。
アレルギーによる結膜炎には、アレルギーの原因物質を避けること、抗アレルギー薬の点眼などの治療法があります。
結膜炎は放置すると視力低下につながることもあるため早めに眼科を受診しましょう。また、ウイルスによる結膜炎の中には大変感染力が強い物もあります。白目が真っ赤になり、まぶたが腫れ、大量の目やにが出るなどの特徴があります。疑わしい場合はすぐに受診しましょう。
涙嚢炎(るいのうえん)
涙囊とは目から鼻につながる涙の通り道にある組織で、そこに細菌感染が起き炎症が起きるのが涙囊炎です。常に目が潤んでいる、目やにがたくさん出る、目頭から1cm程度下方が腫れるなどの症状が現れます。
涙囊炎は涙の通り道が狭くなったり塞がっていることが原因で起きることが多く、病院での治療が基本となります。点眼や内服治療が行われます。
疑わしい場合は早めに眼科を受診しましょう。
霰粒腫(さんりゅうしゅ)
霰粒腫とは、まぶたの中にコロコロとした小さな固いできものができる病気です。まつげの根元にある脂の分泌腺が詰まることで発症します。
目元を温めると詰まった脂が溶け、症状が改善することがあります。ホットアイマスクや温めたアイピローを使い、5分程度を朝晩2回行うと良いと言われています。
症状が改善しない、悪化する場合は眼科を受診しましょう。
「目が腫れている」ときの正しい対処法は?
早く治したい時には眼科を受診しましょう。処方薬は市販薬より効果が高く、病院では細菌やウイルス感染の場合は検査して特定できる可能性もあります。
コンタクトレンズの着用は細菌感染の確率が高くなります。目が腫れている時はできるだけ着用を控えた方がいいでしょう。どうしても着用する場合はコンタクトレンズを着脱する前に手指を洗うことを徹底し、保存ケースも清潔に保つよう定期的に新しいものに交換しましょう。
まつげの内側のアイメイクは控えた方がいいでしょう。まつげの内側には目を乾燥から守る脂を分泌する腺などがありますが、まつげの内側にアイシャドウやアイラインを入れるとこの分泌腺の出口がふさがれやすくなってしまいドライアイや霰粒腫を引き起こします。
目の腫れがむくみが原因の場合は、ツボ押しで血流を良くすることでむくみが改善される可能性があります。目頭と鼻の付け根の間のくぼみにあるツボ、眉毛の真ん中のくぼみのツボ、目尻のさらに指一本分外側にあるツボの三箇所を押しながらほぐすのを3セット行うといいでしょう。
アレルギーによる症状には冷やすこと、霰粒腫など脂の腺の詰まりが原因の場合は温めると症状が和らぐと言われています。
霰粒腫には温めるアイマスクが有効です。ただし、アレルギーに対しては温めるのは逆効果となりますので、原因を突き止めることが重要でしょう。
頭皮をもんだり、耳をマッサージすることで頭全体の血流が良くなり、目元のむくみが解消される可能性があります。指を大きく広げ、頭皮をもみ、左右の耳を軽くつまみ上下左右に引っ張ったり回したりしましょう。
まぶたの皮膚は薄く、むくみがまぶたに現れることは多いです。むくまないよう、アルコールや塩分、水分の取りすぎは控えましょう。
入浴はシャワーで済ませるのではなく、お風呂で体を良く温めると、血流が良くなりむくみが解消される可能性があります。洗顔は、まつげの根元付近を優しくマッサージするように洗浄すると皮脂腺の詰まりや汚れが解消されやすくなるでしょう。アイメイクを落とした上で、洗浄剤でまぶたの際を円を描くようにマッサージしたのちまつげの間を綺麗にするように横にも優しく洗うといいでしょう。
バナナやカボチャなどに多く含まれるカリウムは塩分を排出する働きがあるため、むくみの解消には効果があるとされています。
応急処置をしても症状が収まらない場合は、眼科を受診しましょう。
「目が腫れる」症状におすすめの市販目薬は?
市販目薬は、時間がなく病院に行けない場合や、症状が軽い場合は、応急処置として使用しても良いでしょう。
ソフトサンティア(参天製薬)は涙液不足に伴う目の乾きを改善させる効果があります。防腐剤が入っていないので、目薬のさし過ぎで目を傷つける可能性が低いです。
目の表面に付着した汚れや花粉などを洗い流すには、アイボンなどの防腐剤不使用の人工涙液の点眼が推奨されています。
「目の腫れ」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「目の腫れ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
突然片目が腫れるのはものもらいでしょうか?
伊藤 裕紀(医師)
ものもらいの可能性もあります。他にも皮脂腺が詰まる霰粒腫や涙の通り道が炎症を起こす涙囊炎の可能性もあります。
まぶたが腫れてかゆいのはアレルギーによる反応でしょうか?
伊藤 裕紀(医師)
アレルギーによる反応はかゆみを引き起こすことが多いですので可能性があります。アレルギーは、直接まぶた付近に触れる機会のある化粧品や塗り薬のほか、飲み薬や注射、マンゴーやニンニクなどの食品などもまぶたに症状が現れるアレルギーの原因となりえます。
目の腫れを即効で治す方法を教えてください。
伊藤 裕紀(医師)
むくみなどが原因の場合は、十分な睡眠を取ること、目元を温め血行を促進することで速く症状が緩和する可能性があります。
寝起きに目が腫れる原因が知りたいです。
伊藤 裕紀(医師)
寝起きに目が腫れるのは、むくみが原因の可能性があります。むくみは血液の循環が悪くなり、余分な水分が肌の内側に溜まってしまうため起こります。うつ伏せ寝なども目の周辺のむくみの原因となります。
どのくらい目が腫れぼったいと眼科に行くべきですか?
伊藤 裕紀(医師)
少しでも目の腫れがあれば眼科に行きましょう。甲状腺の病気の可能性や心臓病、腎臓の病気の可能性もありますので、眼科で原因がわからない場合は内科の受診も検討しましょう。
まとめ
目の腫れの症状がある場合は、一時的なむくみの可能性もありますが、感染症や全身の病気の可能性もあります。放置せず原因を突き止め早めの対処を心がけましょう。
かゆみを伴う場合は触りたくなるかもしれませんが、目の周りの組織は繊細で傷つきやすいので触らないようにしましょう。
「目の腫れ」で考えられる病気と特徴
「目が腫れる」から医師が考えられる病気は24個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
皮膚科の病気
- 接触性皮膚炎
- アトピー性皮膚炎
一時的なむくみが原因である可能性はありますが、目や全身の病気が原因となっている可能性もあります。
「目の腫れ」と関連のある症状
「目が腫れる」と関連している、似ている症状は15個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「目が腫れる」他にこれらの症状がある場合、「眼瞼炎」「麦粒腫」「接触性皮膚炎」「アトピー性皮膚炎」「全身性浮腫」「甲状腺機能障害」などの疾患の可能性が考えられます。様子をみても改善しない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。