「ビタミンB」の多い食べ物はご存知ですか?不足すると現れる症状も解説!

ビタミンBの多い食べ物とは?Medical DOC監修医がビタミンBの多い食べ物・種類・一日の摂取量・効果・不足すると現れる症状・不足しやすい人の特徴・効率的な摂取方法などを解説します。

監修管理栄養士:
中岡 紀恵(管理栄養士)
目次 -INDEX-
「ビタミンB」とは?

生命維持に不可欠な微量栄養素です。炭水化物・脂質・タンパク質のようにエネルギー源や体の構成成分にはなりませんが、体の機能を正常に維持するために必要です。水溶性ビタミンであり、多量に摂っても体内に蓄積されずに排出されてしまうため、毎食食べ物から一定量を摂る必要があります。
ビタミンBの種類

ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ビオチンの8種類あるため、ビタミンB群とも呼ばれています。
ビタミンB1
体内で糖質がエネルギーに変わるときに必要な補酵素として重要な働きをします。ごはんを主食とする日本人には欠かせないビタミンです。他にも、脳の中枢神経や手足の末梢神経の働きを正常に保つためにも役立っています。豚肉(ヒレ肉・モモ肉)やうなぎのかば焼き、玄米などに多く含まれています。
ビタミンB2
糖質・脂質・タンパク質を分解してエネルギーに変える反応を、補酵素としてサポートします。エネルギー消費量が多いほど、必要量も増大します。成長促進、皮膚・髪・爪などの細胞の再生にも関与するほか、有害な過酸化脂質を分解する働きもあります。
レバーや魚介類、牛乳などの乳製品といった動物性食品に多く含まれています。
ビタミンB6
補酵素としてタンパク質の代謝をサポートします。タンパク質を多く摂る人ほど、必要量が増えます。ビタミンの中で唯一タンパク質の摂取量に基づいて推奨量が決められています。更にはセロトニン、ドーパミン、アドレナリン、γアミノ酪酸(GABA)など重要な神経伝達物質の合成にも必要です。カツオやマグロなどの魚介類、レバーなどの動物性食品に多く含まれます。
ビタミンB12
造血作用に関わるビタミンで、葉酸とともに骨髄で巨赤芽球から正常な赤血球を作り出し、悪性貧血を防ぐほか、神経や脳の機能を正常に保つ働きもあります。レバーや牡蠣などの魚介類、チーズ、卵などに多く含まれます。
ビタミンBの一日の摂取量

一日の摂取量は年齢、性別により異なります。
・ビタミンB1(推奨量)
成人男性(18歳~64歳)1.1~1.2mg/日
成人女性(18歳~64歳)0.8~0.9mg/日
妊婦・授乳婦は+0.2mg/日
・ビタミンB2(推奨量)
成人男性(18歳~64歳)1.6~1.7mg/日
成人女性(18歳~64歳)1.2mg/日
妊婦は+0.3mg/日・授乳婦は+0.6mg/日
・ビタミンB6(推奨量)
成人男性(18歳~64歳)1.5mg/日
成人女性(18歳~64歳)1.2mg/日
妊婦は+0.2mg/日・授乳婦は+0.3mg/日
・ビタミンB12(目安量※)
成人男性(18歳~64歳)4.0μg/日
成人女性(18歳~64歳)4.0μg/日
妊婦・授乳婦も同じ値になります
※体内量が適正に維持される摂取量をもって目安量としました。
ビタミンBの効果

疲労回復と代謝促進
ビタミンB1は疲労回復に効果があります。疲労物質である乳酸の蓄積を抑制し、糖質を効率よくエネルギーに変換します。また、ビタミンB群全体が基礎代謝の維持に重要で、不足すると代謝が下がり、疲れやすくなる可能性があります。
皮膚と粘膜の健康
ビタミンB2は「美容のビタミン」とも呼ばれ、皮膚や粘膜の健康維持に関わっています。ビオチン(ビタミンB7)にも髪や肌を健康に保つ効果があります。
神経系統の健康維持
ビタミンB6は神経機能を正常に維持し、リラックス効果があります。GABAなどの神経伝達物質の合成に関わっており、脳の興奮を鎮める作用があります。
血液の健康
葉酸とビタミンB12は赤血球の形成に関わっており、貧血を防ぐ効果があります。
二日酔い防止
ナイアシンはアルコール摂取による二日酔いの原因物質であるアセトアルデヒドを分解するときの補酵素としても活躍します。お酒を飲む人ほどその消費量は増大します。
ビタミンBの多い食品

未精製の穀物(玄米など)
主食は玄米や胚芽米、全粒粉のパンなどがおすすめです。玄米ごはん1杯150g当たり0.24mgのビタミンB1が含まれています。
レバー
豚レバーに1.80mg、牛レバーに1.50mg、鶏レバーに0.90mg(一食50g当たり)のビタミンB2が含まれています。比較的調理損失が少ないため、フライや煮物、炒め物などお好きな食べ方で大丈夫です。
肉類
豚ヒレ肉に1.06mg、豚もも肉に0.72mg、豚ロース肉に0.55mg(一食80g当たり)のビタミンB1が含まれています。にんにくの香り成分であるアリシンと一緒に摂ると吸収されやすくなりますので、にんにくと一緒にソテーすると良いでしょう。
魚介類
カツオ(100g)に0.76mg、マグロ(80g)に0.68mg、サケ(80g)に0.51mg(一食当たり)のビタミンB6が含まれています。冷凍保存や調理の損失が多いので、鮮度の良いものをお刺身で摂るのがおすすめです。
牡蠣(70g)に16.1μg、アサリ(30g)に13.4μg(一食当たり)のビタミンB12が含まれています。熱には比較的安定していますが、水溶性なので牡蠣鍋やアサリの味噌汁は汁やスープごと食べられて良いでしょう。
野菜類
菜の花(100g)に340μg、ほうれん草(100g)に210μg(一食当たり)など、緑黄色野菜には葉酸が多く含まれています。葉酸は光に弱いので野菜は購入後冷蔵庫で保存し、新鮮なうちに食べることをおすすめします。水溶性なのでスープなどにすると効率よく摂取できます。
ビタミンBが不足すると現れる症状

神経機能の異常
ビタミンB1が不足すると食欲不振や倦怠感、手足のしびれ、膝蓋腱反射の消失など脚気の症状が現れます。手足の麻痺や意識障害が起こるウェルニッケ脳症も起こることがあります。糖質やアルコールを多量に摂る人、運動によるエネルギー消費量が多い人の中には潜在的なビタミンB1欠乏症の人がかなりいると考えられています。
皮膚の異常や成長障害
ビタミンB2が不足すると口角炎や口内炎、舌炎、皮膚炎などの症状が現れます。ビタミンB2不足は他のビタミン類の不足と合わせて起こりやすいとされています。成長促進にも関与することから、欠乏すると子どもでは成長障害が起こります。
貧血
葉酸とビタミンB12の不足により、造血作用に異常が起こる巨赤芽球性貧血や、胃粘膜の 萎縮による内因子の低下からビタミンB12を吸収できず欠乏することで生じる悪性貧血が起こります。ビタミンB12は植物性食品にはほとんど含まれていないため、ベジタリアンでは欠乏することがあります。
ビタミンBが不足しやすい人の特徴

食生活が偏っている
少食や偏食をする人、ベジタリアン(菜食主義者)は動物性食品の摂取が少ないことから、特にビタミンB12、B2が不足しやすい傾向にあります。
過度な飲酒や運動をしている
飲酒量が多いとアルコールや二日酔いの原因となるアセトアルデヒドを分解するときの補酵素として働くナイアシンが多く必要となります。過度な運動などエネルギー消費が多いスポーツ選手等は、糖質、脂質、タンパク質を分解してエネルギーに変える反応を補酵素として担っているビタミンB2の必要量が増大して不足しがちになります。
多量の服薬が続いている
多量の抗生物質や精神安定剤、副腎皮質ホルモンなどの薬剤を長期間服用することにより、ビタミンB2の欠乏が起こる場合もあります。
ビタミンBの効率的な摂取方法

ビタミンBと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
にんにく、ニラ、ネギ類に含まれるアリシンと、豚肉等に含まれるビタミンB1を一緒に摂るとビタミンB1の吸収力を高め、体内に貯蔵しやすくなります。豚肉をにんにくやネギと一緒に炒めたり、水溶性ビタミンのため鍋にしてスープも一緒に飲むことで、効率よく栄養素が摂取できます。
ビタミンBと一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品
ビタミンBと一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品」として、アルコールや過度なカフェイン摂取が挙げられます。アルコールはビタミンB群の代謝に影響を及ぼし、吸収を妨げることが知られています。また、カフェインも過剰に摂取すると栄養素の吸収を阻害する可能性があります。ビタミンB群は相互に関係しながら働くため、単体で摂取するよりも複合的に摂取することが推奨されています。これらのことから、バランスの良い食事が重要です。食事で摂るのが難しい場合は、サプリメントを活用するのも一つの方法です。
ビタミンBの効果を高める摂取タイミング
ビタミンB群は水溶性ビタミンであり、体内に蓄積されにくく、余分な分は数時間〜1日ほどで体外に排出されます。そのため、こまめに摂取することで効果を高めることができます。三食きちんと食事をすることが重要です。
「ビタミンBの食べ物」についてよくある質問

ここまでビタミンBの食べ物などを紹介しました。ここでは「ビタミンBの食べ物」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
ビタミンBが多く含まれる果物を教えてください。
中岡 紀恵
ドリアン(100g)にはビタミンB1が0.33mg、ビタミンB2が0.20mg、はるみ(柑橘類)にはビタミンB1が0.11mg、バナナにはビタミンB6が0.38mg含まれています。糖質・脂質・タンパク質の代謝の補酵素として働くことから疲労回復に役立ちます。
ビタミンBを簡単に摂取する方法を教えてください。
中岡 紀恵
肉類(特にレバー)、魚介類、卵、牛乳・乳製品を積極的に摂取したり、白米を玄米に変えることでも、ビタミンBは摂取できます。生で食べる、サッと焼く、または鍋やスープを汁ごと食べるメニューにするなど調理方法を工夫すると良いでしょう。忙しい時や手軽に栄養補給したい時は、ドリンク剤やゼリー状ドリンクやサプリメントを活用するのもひとつの選択肢です。
編集部まとめ
ビタミンBは体内での代謝の補酵素の役割を持ち、主に食べ物からの栄養素をエネルギーに変える働きがあります。多めに摂取しても過剰分は体内に排出されるため、毎日の食事でこまめに摂取することが望ましいと言えます。単体で摂取するよりも組み合わせて摂取することにより、ビタミンB群と呼ばれるチームとしての相乗効果を発揮します。バランスよく食事をすることが最も大切です。
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