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『猩紅熱(しょうこうねつ)』は大人でも感染するの?症状や感染経路についても解説!

 公開日:2023/09/06
『猩紅熱(しょうこうねつ)』は大人でも感染するの?症状や感染経路についても解説!

昔は法定伝染病に認定されていて死亡率も高かった猩紅熱ですが、現在では原因が判明し薬物療法によって治療が可能となりました。

猩紅熱の原因といわれているA群β溶血性連鎖球菌は感染力が強いことで知られています。そのため感染経路は、感染者からの飛沫感染や接触感染による感染が多いです。

またA群β溶血性連鎖球菌が原因となる病気は他にもありますので、普段の生活から意識して予防する必要があります。

症状は風邪に似ていますが、全身・舌・のどに現れる発疹が特徴です。さらに、合併症も引き起こす可能性があるため、それらも合わせて解説します。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

猩紅熱(しょうこうねつ)の原因や症状

ドクター

猩紅熱とはどのような病気ですか?

猩紅熱は溶連菌感染症のひとつです。A群β溶血性連鎖球菌という細菌によって起こる感染症で、昔は死亡率が高かったため法定伝染病に指定されていました。
しかし現在では抗生物質による治療が可能になったため、一般的な感染症として扱われています。猩紅熱にかかるとさまざまな症状が現れますが、主な症状として咽頭炎があります。また全身に赤い細かい点状の発疹が現れ、日焼けをした皮膚のようになるのが特徴です。さらに発疹は強い痒みを伴います。これらの症状はA群β溶血性連鎖球菌が毒素を出すために起こる症状です。

猩紅熱の感染経路を教えてください。

感染経路は飛沫感染・接触感染・健康保菌者からの感染の3つです。実際に感染している患者からの感染と、健康保菌者からの感染が考えられます。飛沫感染は、患者の咳やくしゃみなどの飛沫に含まれているウイルス・細菌から感染するパターンです。通常2メートル以内の距離で感染するといわれ、飛沫が気道の粘膜や目の粘膜から侵入することによって感染します。溶連菌はマスクのような繊維質を通過することがないとされているため、飛沫感染対策にはマスクが効果的です。
また、患者から排出されたウイルス・細菌などを含む唾液・体液・分泌物・排泄物から感染することを接触感染といいます。接触感染では直接触れることでも、ものを介して関節的に触れることでも感染するとされています。触れた箇所が自身の目・鼻・口に触れたり、食べ物を食べたりして感染を引き起こすのです。接触感染には手洗い・清掃・除菌などが有効な予防手段とされています。
さらに実際に感染している患者以外から感染するパターンもあり、それが健康保菌者からの感染です。健康保菌者とは体内にウイルス・細菌を保有しているが、発症も自覚症状もなく健康そうに見える人を指します。研究者などが健康保菌者になっている場合が多いようです。しかし、健康保菌者からの感染は稀とされています。このように主な感染経路は、感染している患者からの飛沫感染・接触感染が多いようです。感染している方と会う時は、マスクをする・手洗いをまめに行うなどが有効な対策になります。

原因について教えてください。

猩紅熱は、A群β溶血性連鎖球菌という細菌が原因で、感染する部位は主に呼吸器や皮膚が多いです。具体的には鼻・のどの粘膜・扁桃腺などに感染することが多いとされ、感染経路は前述したように、感染者からの飛沫感染・接触感染がほとんどだといわれています。
またA群β溶血性連鎖球菌は、さまざまある細菌の中でも感染力が強いといわれ、身近に感染者がいる場合は、感染しないような対策が重要です。

特徴的な症状が出ると聞いたのですが…。

猩紅熱は、全身に出る皮疹や舌がいちごのように赤くなる(いちご舌)などが特徴的な症状です。猩紅熱にかかると喉に強い痛みがでます。
のどの痛みと同時に38〜39度の高熱・頭痛・腹痛・嘔吐・吐き気などの症状があるようです。その後に全身にかけて発疹が現れるというのが猩紅熱にかかったときの症状です。風邪の症状と似ていますが、風邪とは異なる点があります。それは、のどに痛みがあっても、咳や鼻水がでないということです。

猩紅熱は大人でもかかるのですか?

猩紅熱にかかるのは2〜10歳くらいの子供が多いとされていますが、大人でもかかる可能性は十分にあります。学校や保育園などの集団生活施設で流行・感染し、子供から家族に感染するケースが多いようです。そのため子供がいる家庭では感染するリスクが高くなる傾向にあります。
またストレス・過労・睡眠不足などで免疫力が低下している場合は、通常より感染しやすくなってしまうので注意が必要です。また大人が感染した場合は子供に比べて症状が軽くなるため、風邪と勘違いしやすいです。しかし、合併症を引き起こす可能性を秘めているため、診断してもらう必要があります。

猩紅熱(しょうこうねつ)の検査や治療

診察

どのような検査が行われますか?

まず問診によって熱の程度・のどの痛み・全身の発疹を確認します。これらを確認した上で溶連菌の感染が疑われる場合は、綿棒を使って喉の分泌物から細菌の有無を調べる検査を行い判定されます。
これ以外に他の病気に感染・合併症を引き起こしている場合は血液検査も追加で行うことがあるようです。溶連菌による感染症の検査は、短時間で済むことが多く5〜10分程度あれば検査結果がでます。

治療方法について教えてください。

A群β溶血性連鎖球菌に感染している場合は、抗生物質の投与や解熱鎮痛剤による薬物療法が一般的です。薬によって熱やのどの痛みなどの症状を和らげるほか、抗菌薬によって猩紅熱の原因となっているA群β溶血性連鎖球菌を撃退します。処方された薬を飲むと数日で熱は下がり、のどの痛みも治るとされていて、発疹がある場合は皮むけが認められるようになります。
また、確実に撃退できないとそのほかの合併症を引き起こす可能性があるので、処方された薬は症状が良くなってもしばらくは飲み続ける必要があります。合併症にはリウマチ熱や急性糸球体腎炎などがあるようです。

猩紅熱(しょうこうねつ)の合併症や感染予防

消毒する

猩紅熱で合併症が起こることはありますか?

猩紅熱は、合併症を引き起こす可能性があります。肺炎・髄膜炎・敗血症などの化膿性疾患や、リウマチ熱・急性糸球体腎炎などの非化膿性疾患を引き起こす可能性があるようです。リウマチ熱は溶連菌感染が認められた後に免疫反応によって生じる病気です。発熱・関節炎・心臓の炎症などが症状としてあります。
急性糸球体腎炎は溶連菌が腎臓に悪影響を与え発症する病気です。10日間の潜伏期間を経て発症することが多いです。症状は顔面や足のむくみ・肉眼的血尿・乏尿・一過性の高血圧などがあります。これらは溶連菌に感染することで起こりうる合併症のため、薬物療法によって溶連菌を撃退できると発症する可能性は低くなるでしょう。

感染予防のために注意するべきことを教えてください。

猩紅熱の原因となるA群β溶血性連鎖球菌に有効なワクチンは存在していません。また溶連菌には抗原性が違うものが多くあるため、繰り返し発症する可能性があります。
そのため感染予防に有効な手段は、感染者との濃厚接触を避けることです。感染者が身近な方の場合は、マスクによって飛沫感染を予防し、感染者の触れた箇所を清掃・除菌が重要になります。溶連菌は細菌の中でも、感染力が強いので徹底した予防が必要です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

猩紅熱は昔は原因がわからなかったため、法定伝染病のひとつに認定されていました。しかし、現在ではA群β溶血性連鎖球菌が原因で発症することがわかったため、薬物療法によって治すことが可能となった病気です。
しかし、溶連菌の感染力が強いため日常生活での予防は欠かせません。飛沫感染と接触感染に気をつけることで猩紅熱にかかるリスクを下げることが可能です。また感染した際は早くに治療を開始することが重要で、治療が遅れた場合は合併症を引き起こす可能性があります。処方された薬をしっかり服用し、溶連菌による感染症を防ぎましょう。

編集部まとめ

子供達
猩紅熱は呼吸器に感染することが多い病気で、のどの痛み・高熱・頭痛・腹痛・嘔吐・吐き気が症状としてあります。

猩紅熱で最も特徴的なのが赤い発疹です。全身・舌(いちご舌)・のどに見られます。

A群β溶血性連鎖球菌による感染で引き起こされる病気は猩紅熱以外にもありますので、普段から手洗い・うがいは重要です。

A群β溶血性連鎖球菌に感染した場合には、処方されたものを正しく服用しA群β溶血性連鎖球菌を撃退しましょう。服用を途中でやめてしまうと再発する恐れがあるためです。

細菌・ウイルスは、目に見えないので物質のため普段から手洗い・うがいを心がけるようにしましょう。

この記事の監修医師

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