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「胃がんの末期症状」はご存知ですか?なりやすい人の特徴も医師が徹底解説!

 公開日:2025/02/05
「胃がんの末期症状」はご存知ですか?なりやすい人の特徴も医師が徹底解説!

胃がんの末期症状とは?Medical DOC監修医が胃がんの末期症状・原因・胃がんになりやすい人の特徴・治療法・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

齋藤 雄佑

監修医師
齋藤 雄佑(医師)

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日本大学医学部を卒業。消化器外科を専門とし、現在は一般外科、消化管内視鏡検査、生活習慣病を中心に診療を行っている。現在は岩切病院、高砂内科・消化器科クリニックに勤務。
日本外科学会外科専門医。日本医師会認定産業医。

「胃がん」とは?

胃がんは、胃の粘膜に発生するがんです。初期には自覚症状が少ないことが多く、進行すると様々な症状が現れます。早期発見・早期治療が重要ですが、進行がんの場合でも適切な治療により症状の改善や延命が期待できます。

胃がんの末期症状

強い腹痛

胃のあたりに感じる持続的な痛みは、胃がんの末期によく見られる症状です。この痛みは、食事とは関係なく、常に感じられることが多く、市販の痛み止めでも治らない場合もあります。このような痛みは、胃がんの進行による胃壁の浸潤や周囲臓器への転移によって引き起こされますが、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、膵炎などでも同様の痛みを感じることがあります。痛みが強い場合は、消化器内科や消化器外科、または救急外来を受診しましょう。

吐血・下血

口から血液を吐く吐血や、黒色便や血便が出る下血も、胃がん末期の症状として現れることがあります。これらの症状は、胃がんの進行による胃の粘膜からの出血が原因で起こりますが、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、食道静脈瘤などでも同様の症状が見られることがあります。吐血や下血が大量の場合は、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。消化器内科や消化器外科を受診し、適切な処置を受けましょう。

貧血

胃がんが進行すると、慢性的な出血やがんによる消費亢進により貧血が進行する場合があります。貧血の症状としてはめまいやふらつき、立ちくらみ、動悸などが現れることがあります。これらの症状は鉄欠乏性の貧血や婦人科疾患、血液疾患でもみられる貧血の症状ですので、気になる症状がある場合は内科を受診しましょう。

食欲低下・体重減少

胃がんが進行すると食欲がなくなり食事量が減ったり、体重が著しく減少したりすることがあります。これは、胃がんの進行による胃の機能低下や胃がんによるエネルギー消費の過剰、心身に与えるストレスなどが原因で起こります。食欲低下や体重減少の原因がないか、内科や消化器内科を受診して相談するか、健康診断の受診がおすすめです。症状が著しい場合は、早めに内科を受診しましょう。

お腹が張る

胃がんが進行して、胃の壁を超えてお腹中にがん細胞がばらまかれる状態を腹膜播種といいます。腹膜播種が起こると腹水がたまり、お腹が張ります。
腹水の影響で体重が増えたり、食欲が低下することも少なくありません。腸閉塞を起こして、吐き気が止まらない場合もあります。これらの症状は胃がんの腹膜播種が原因で起こりますが、その他にも肝硬変や心不全、腎不全などでも同様の症状が見られます。このような症状がある場合は、内科・救急外来を受診しましょう。

胃がんを発症する主な原因

ここでは、胃がんの危険因子について解説いたします。

ピロリ菌

ピロリ菌は、胃の粘膜に生息する細菌で、慢性胃炎を引き起こし、胃がんのリスクを高めます。ピロリ菌感染の有無を調べるには、消化器内科を受診し、胃カメラの検査を受ける必要があります。また自費検査では胃カメラの検査に先行して、ピロリ菌の抗体を測る検査もあります。ピロリ菌の感染が証明されれば、内服薬による除菌治療を行います。健康診断などでピロリ菌の感染が疑われた場合は、消化器科の医師に相談しましょう。

塩分の多い食事

塩分によって胃の粘膜が損傷され、慢性的な胃炎(萎縮性胃炎)を起こすとされています。萎縮性胃炎の背景があると胃がんの発生するリスクが上がります。特に古くからある日本食で漬物や魚卵や塩辛などの加工食品には注意が必要です。緊急の受診の必要性はありませんが、普段から減塩を意識しましょう。

喫煙者

喫煙で胃がんのリスクが高まります。タバコが胃がんの原因になる理由は、タバコに含まれる発がん性物質が、胃の粘膜を傷つけるためです。タバコは胃がん以外にも様々な悪性疾患との関連がありますので、禁煙をおすすめします。自身での禁煙が難しい場合は禁煙外来を受診し、医師に相談しましょう。

過剰な飲酒

過剰な飲酒が胃がんのリスクになることがわかっています。アルコールは適量にとどめましょう。普段からの節酒習慣が重要です。

遺伝

胃がんの家族歴がある人はない人と比較して胃がんの罹患リスクが高いとされています。親族に胃がんの方がいる場合は積極的に胃がん検診を受けましょう。

胃がんになりやすい人の特徴

ここでは胃がんになりやすい人の特徴についてお話いたします。

ピロリ菌感染者

前述の通り、ピロリ菌は、萎縮性胃炎を起こし、胃がんの原因となります。ピロリ菌感染者は5倍程度胃がんにかかりやすいとされています。まずはピロリ菌の感染がないか、お近くの消化器科で検査を受けましょう。

塩分摂取量が多い人

前述の通り、塩分の高い食事により、胃がんのリスクが上がると考えられています。漬物や味噌汁、魚卵や塩辛や塩辛などの加工品をよく摂る人は注意が必要です。日常の中で減塩を意識した食事を心がけましょう。

喫煙者

前述の通り、喫煙は胃がんのリスクになります。禁煙ができない場合は禁煙外来で医師に相談しましょう。

大酒家

前述の通り、過剰なアルコール摂取が胃がんのリスクになることがわかっています。エタノール量で100gを超えるようなアルコールの摂取量が多い方は特に注意が必要です。

60代以降の年齢

胃がんは高齢になると罹患率が上がります。胃がんになりやすい年齢は70~80代の方です。罹患率が上がり始めるのは60代からです。50歳から胃がん検診の受診が推奨されます。また、スキルス胃がんといって比較的若い年齢でも胃がんを発症することもあるため、注意が必要です。

胃がん・ステージ4の主な治療法

手術療法

胃がんのステージ4の中でも転移臓器が少なく、転移巣の個数が限られている場合、手術療法が選択されることが多いです。また、全身化学療法で転移巣が縮小し、手術でがんが取り切れると判断された場合にも化学療法から手術に移行することもあります。手術は、原発の胃だけでなく、周辺のリンパ節や転移巣を含めた切除が行われます。診療科は消化器外科で、入院期間はおおむね10日~数週間程度です。手術後は化学療法のため通院が必要です。

化学療法

胃がんステージ4の中心的な治療となるのは化学療法です。切除不能胃がんに対しての治療は化学療法が中心的な役割を担います。現時点で化学療法による完全治癒は困難ですが、癌の進行に伴う症状の改善や生存期間の延長が期待できます。治療を担当する専門科は消化器外科か腫瘍内科です。初回の治療は入院で行うこともありますが、基本的には外来で治療をします。定期的な通院・検査が必要です。

放射線療法

放射線療法はステージ4胃がんの限局した再発巣に対して、根治を目的とする場合や、胃の病変や転移巣により食物が通らない・痛みがあるなどの症状の緩和目的で行われます。放射線科の外来で加療を行うため、定期的な通院が必要です。

緩和ケア

緩和ケアでは、症状の緩和や生活の質の向上を目的としたケアが行われます。緩和ケア科や緩和ケアチームで行われ、入院、外来、在宅など、患者の状態に合わせて治療が提供されます。患者の状態により、通院が必要な場合もあります。

胃がんの予防法

ピロリ菌除菌

ピロリ菌の除菌は、ピロリ菌感染による慢性胃炎を改善し、胃がんのリスクを低下させます。医療機関を受診し、ピロリ菌の検査・除菌治療を受けましょう。

バランスの取れた食事

バランスの取れた食生活は、胃がんのリスクを低下させます。塩分を控えめにする、野菜や果物を積極的に摂取する、加工肉や燻製食品の摂取を控えるなど、食生活に気を配りましょう。

禁煙・節酒

禁煙は、胃がんを含む様々ながんのリスクを低下させます。禁煙外来など専門機関のサポートを受けながら、禁煙に挑戦してみましょう。また適度な飲酒は、胃がんのリスクを低下させます。飲酒量を控えるように心がけましょう。

「胃がんの末期症状」についてよくある質問

ここまで胃がんの末期症状などを紹介しました。ここでは「胃がんの末期症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

胃がん・ステージ4の余命や生存率はどれくらいでしょうか?

齋藤 雄佑齋藤 雄佑 医師

胃がんステージ4の余命や生存率は、がんの進行度や患者さんの状態、治療の効果などによって大きく異なります。切除不能進行・再発胃がんの生存期間の中央値はおおよそ15ヶ月とされています。また、ステージ4の胃がんの2015年の5年のネット・サバイバル(がんのみが原因となる場合の生存率)は6.7%でした。近年では、新しい治療法の開発や進歩により、生存率は向上傾向にあります。

編集部まとめ 胃がんの早期発見のためにも、胃がん検診を受けよう!

胃がんは早期発見・早期治療が重要ですが、末期がんの場合でも適切な治療により症状の改善や延命が期待できます。また胃がんの予防のためには生活習慣の是正やピロリ菌の除菌が有効です。定期的に胃がん検診を受けることをおすすめします。また、気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、専門医の診察を受けましょう。

「胃がん」と関連する病気

「胃がん」と関連する病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

血液科の病気

胃がんと症状が似ている病気、胃がんが発生しやすい病気を挙げました。これらの病気がある場合、胃がん検診を定期的に受診して胃がんの発生が無いかチェックをすることが大切です。

「胃がん」と関連する症状

「胃がん」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 食欲不振
  • 便秘・下痢
  • 血便・黒色便・下血
  • 吐血
  • 貧血
  • 腹部膨満

胃がんは初期では症状が分かりづらいです。上記に挙げられたような症状が持続的にみられる場合には注意が必要です。症状が続く場合には消化器内科を受診しましょう。

この記事の監修医師