「良性の大腸ポリープ」は見た目でわかるの?悪性の大腸ポリープの特徴も医師が解説!
良性の大腸ポリープは見た目でわかる?Medical DOC監修医が悪性の大腸ポリープの特徴・症状・原因・大腸ポリープができやすい人の特徴・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。
監修医師:
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)
目次 -INDEX-
「大腸ポリープ」とは?
大腸ポリープとは大腸粘膜から突出した腫瘤のことを指します。ポリープを大きく分けると、腫瘍性と、非腫瘍性に分けられます。腫瘍性には腺腫、非腫瘍性には過誤腫性、炎症性、過形成性ポリープがあり、ポリープの中で最も多いものは腺腫です。
大腸ポリープの種類
大腸ポリープは大きく分けて腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに分けられます。それぞれのポリープの特徴について解説します。
腫瘍性ポリープ
大腸ポリープの中で頻度が多いものは、腫瘍性ポリープの腺腫です。この腺腫はがん化する危険性があり、注意が必要です。特に大きくなると、ポリープにがんを含むことも多くなると言われています。前述のように、内視鏡検査で性状を確認しますが、見た目のみで良悪性の区別がつかないことも多いです。このため、一般的に6mm以上のポリープでは切除の適応があると言われています。しかし、患者さんの状態やポリープの性状などで判断されるため、詳しくは主治医に確認しましょう。
非腫瘍性ポリープ
大腸ポリープの中で非腫瘍性ポリープは「過誤腫性」「炎症性」「過形成性」ポリープなどに分けられます。腺腫に次いで頻度が多いものは、「過形成性」ポリープです。過形成性ポリープの見た目は、白っぽい扁平隆起であることが多いです。非腫瘍性ポリープはがん化する可能性はなく、多くは経過を見ます。しかし、(まれではありますが)大きくなり、腸閉塞や腸重積などの危険性がある場合には切除を検討することもあります。
良性の大腸ポリープは見た目でわかる?
大腸ポリープが良性か悪性かの判断は見た目のみである程度は判断できます。内視鏡の拡大機能やNBIという特殊な光を用いて、ポリープの表面の血管や粘膜を観察し良悪性の鑑別を行いますが、中には見た目のみで判断がつきづらいこともあります。その他の判断材料として大きさをみます。ポリープの大きさが6mm以上となる場合には、がんを含む可能性が高くなるため切除を検討する場合が多いです。また、小さなポリープでも形がいびつであったり、陥凹しているような所見の場合には、切除を検討する場合もあります。これらの所見を総合的に判断した上で、ポリープの良悪性を判断しますが、最終的には病理組織診断での結果を確認します。
悪性の大腸ポリープの特徴
悪性の可能性がある大腸ポリープの特徴について解説いたします。
腫瘍性ポリープ(腺腫)
まず、内視鏡検査で観察し、腺腫であるかどうかを判断します。腺腫の場合には、時間の経過とともにがん化する可能性が高くなります。
サイズが大きい
腺腫のサイズが大きくなるほどがんを含む可能性が高くなることが分かっています。がんを含む可能性は、報告により違いはありますが、大きさが10mmを超えるとがん化率は10~25%上昇すると言われています。日本での報告では、がんを含む確率が径5mm未満では0.4%、5mm以上10mm未満で3.4%、10mm以上15mm未満で12%とポリープのサイズが大きくなるにつれてがんを含む可能性が高くなり、5mmを超えるとがんの可能性が大きくなることが分かっています。このため、6mmを超える腺腫では切除が推奨されています。
ポリープの性状
大腸内視鏡検査で、ポリープの表面が不整であったり、NBI拡大画像で血管構造の乱れや消失などみられる場合には悪性の可能性が疑われます。これらの所見は、専門医の診断によります。主治医より大腸内視鏡検査の所見を良く聞いてみましょう。
大腸ポリープができると現れる症状
大腸ポリープは初期では症状が出ないことが多いです。ここでは、大腸ポリープが大きくなった場合にみられやすい症状について解説します。
血便
大腸ポリープが大きくなると、腸管の中で便が通過する際にこすれて出血することがあります。出血の量が多いと、便に血液が付着していることで気が付くこともありますが、見た目では判別がつかず便潜血検査で初めてわかる方もいます。血便を認めたり、便潜血検査で陽性の場合には消化器内科を受診しましょう。
便通異常
大腸ポリープが大きくなり、腸管の内腔に突出すると便が通過しづらくなり便秘となったり、細い便が出たりする場合もあります。今までと違う便通の変化がある場合には、消化器内科で相談をしてみましょう。
腹痛
大腸ポリープが大きい場合、便が通過する時に腹痛を伴うことがあります。何度も腹痛が起こる場合など、気になる症状がある時には、消化器内科を受診しましょう。
大腸ポリープができる原因
大腸がんは腺腫から発生することが多いです。このため、大腸ポリープができやすい原因は大腸がんの危険因子を参考にして予防しましょう。
遺伝的素因
大腸がんの約3割は遺伝的素因が関係していると考えられています。また、原因遺伝子が判明している病気の一つが家族性大腸腺腫症(FAP)です。この病気は、大腸に若年から腺腫が多く認められ、がん化します。このため、若い時から大腸内視鏡検査をしてポリープを切除することが勧められています。このように、大腸がんは遺伝的要因が関係していると考えられ、同様に大腸ポリープも遺伝的要因が関与すると言え、注意が必要です。大腸がんの家族歴がある方では若いうちから大腸がん検診や大腸内視鏡検査を定期的に受診して注意しましょう。
飲酒・喫煙
アルコールの摂取量が多いと大腸がんができやすいと報告されています。男性では1日当たり平均日本酒1合程度までにとどめましょう。(女性ではその半量程度が推奨されています。)
また、喫煙に関しても、喫煙者は非喫煙者と比較して大腸がんになりやすいということが分かっています。飲酒は適量にとどめ、禁煙が勧められます。
高カロリー食、赤身肉・加工肉
高カロリー摂取や肥満、赤身肉・加工肉の過剰摂取は大腸がんのリスクとして報告されています。また、食物繊維が不足することも大腸がんの発生の危険性があると考えらえています。このため、バランスの良い食事を摂ることが大腸がんのリスクを低下させると言えます。
大腸ポリープができやすい人の特徴
家族歴
大腸がんは家族歴があると危険性が高くなることが分かっています。家族に大腸がんの方がいる場合には注意が必要です。
年齢
大腸がんは40代以降に発生が増加します。加齢も大腸がんの危険因子です。40代以降では大腸がん検診を定期的に受けることをお勧めします。また、家族歴がある場合には特に注意をした方が良いでしょう。
生活習慣の乱れ
大腸がんの危険因子として、多量の飲酒、喫煙、肥満、高カロリー食、赤身肉・加工肉などが挙げられます。このような生活習慣の乱れが大腸がんの発生につながると考えられます。このため、バランスの良い食事や適正体重を保ち、節酒、禁煙に努めることも大切です。
大腸ポリープの予防法
大腸ポリープ、大腸がんの予防法としては、
- ・定期的な大腸がん検診、大腸内視鏡検査を行うこと。特に家族歴がある人、40代以降では大切です。
- ・節酒・禁煙
- ・バランスの良い食事を摂取する
- ・適正体重を保つ。適度な運動を行う。
これらに気をつけましょう。
「良性の大腸ポリープは見た目でわかる?」についてよくある質問
ここまで良性の大腸ポリープの特徴などを紹介しました。ここでは「良性の大腸ポリープは見た目でわかる?」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
大腸ポリープ切除後、悪性だった場合どのような治療を行いますか?
和田 蔵人 医師
大腸ポリープを切除した後、切除した組織を顕微鏡で細かく観察をします。ここで切除した組織が悪性であると判明した場合、がんをすべて取り切れているかどうか、がんが大腸のどの程度まで浸潤しているかなどを詳しく観察します。その上で、手術など追加の治療が必要かを判断します。詳しくは主治医に確認してみましょう。
大腸ポリープが2㎝だった場合、良性でしょうか?
和田 蔵人 医師
大腸ポリープの種類にもよりますが、腺腫であった場合、大きさが1cmを超えるとがん化率が上昇すると言われています。ある日本の研究では、2cm以上2.5cm未満でがんの確率が26.6%、2.5cm以上3cm未満で32.1%、3cm以上で28.7%と報告されています。このように2cmを超えた場合、悪性の可能性もあり注意が必要ですが、まずは切除を行い病理組織検査の結果を確認します。
大腸ポリープが4㎝だった場合、大腸がんを疑うのでしょうか?
和田 蔵人 医師
大腸ポリープが4cmだった場合、がんの可能性は高くなります。正確には、病理組織検査で詳しく調べてみなければわかりませんが、4cmのポリープは切除が勧められます。
「大腸ポリープ」と関連する病気
「大腸ポリープ」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
内科の病気
- 生活習慣病
- 肥満
大腸ポリープは生活習慣の乱れが影響していると言われており、肥満や生活習慣病の方では注意が必要です。40歳以上の方は定期的な大腸がん検診を受診することをお勧めします。
「大腸ポリープ」と関連する症状
「大腸ポリープ」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
上記のような症状が持続する場合には、消化器内科で相談してみましょう。また、大腸がんを早めに発見するためにも、特に家族歴がある方では検診を受けましょう。
参考文献