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「子宮筋腫の手術費用」はどのくらい?入院期間についても解説!【医師監修】

 公開日:2025/06/22
「子宮筋腫の手術費用」はどのくらい?入院期間についても解説!【医師監修】

「子宮筋腫って良性って聞いたことがあるんだけど、手術が必要?」や「もし必要になったときにかかる費用はどのくらい?」などはよく耳にする質問です。

病気に関する悩みでも、手術や入院にかかる費用は上位にランクインするほどの大きな問題となっています。

本記事では、子宮筋腫の手術費用・治療方法や入院期間も併せて解説します。子宮筋腫に関する知見を広めたい方は、ぜひ一読いただけますと幸いです。

永井 恒志

監修医師
永井 恒志(医師)

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医師、医学博士(東京大学)、東海大学大学院客員准教授。
平成15年金沢医科大学医学部卒。東京大学医学部附属病院内科研修医を経て東京大学大学院医学系研究科教官時代に大型放射光施設SPring8を利用した多施設共同研究(国立循環器病研究センター、東海大学ほか8研究機関)をリードし、多数の国際医学雑誌に論文を発表した。
特に免疫細胞であるM1マクロファージの画期的な機能の一端を解明した。現在は腫瘍免疫学の理論に基づきがんの根絶を目指してがん免疫療法の開発と臨床応用を手掛けている。

子宮筋腫の手術費用

子宮筋腫を発症した際に行われる手術の種類ごとにかかる費用を解説します。

子宮全摘術の場合

子宮全摘術はその名のとおり、子宮を完全に摘出する手術です。この手術は子宮筋腫が大きい・多数発症している・症状が悪化している場合に適用されます。子宮全摘術にかかる費用は一般的に300,000〜500,000円程度です。ただし、病院や地域によっては手術費用が多少なりとも異なります。
保険適用の手術のため、自己負担額は1~3割になりますが、実際には100,000〜200,000円程度の支払いになることがほとんどです。入院期間は7〜10日程度ですが、その間の入院費用も加算されることに留意しましょう。

子宮筋腫核出術の場合

子宮筋腫核出術は、内視鏡を使用して子宮のなかから子宮筋腫を摘出する方法です。手術のなかでは、傷が小さいため、軽度で回復が早いのが特徴です。
手術費用は200,000〜400,000円程度となります。保険適用される場合の自己負担額は60,000〜120,000円程度が一般的です。入院期間は3~5日程度で短く、患者さんの体調に応じて退院できます。

子宮鏡下子宮筋腫摘出術の場合

子宮鏡下子宮筋腫摘出術は、内視鏡を使用して子宮のなかから子宮筋腫を摘出する方法です。内視鏡を使用するため傷が小さく、回復しやすいことが特徴です。
手術費用は200,000〜400,000円程度になります。保険適用の場合の自己負担額は60,000〜120,000円程度です。入院期間は3〜5日程度で、患者さんの体調に応じて退院できます。

子宮鏡下子宮内膜焼灼術の場合

子宮鏡下子宮筋腫摘出術は、子宮内膜に発症した子宮筋腫を焼灼して治療する方法です。内視鏡を使用して子宮内に器具を挿入し、マイクロ波を局部に当てて子宮内膜を壊死させます。
子宮を温存したまま、子宮筋腫を治療できます。手術費用は200,000〜350,000円程度が一般的です。保険適用の場合は60,000〜100,000円程度が自己負担額となります。入院期間は1〜2日程度と、短期間で退院が可能です。術後の回復も早いため、日常生活をいち早く戻したい方にはうれしい治療方法でしょう。

子宮動脈塞栓術の場合

子宮動脈塞栓術は、子宮筋腫に栄養を供給している血管を塞ぐことで、腫瘍を小さくする方法です。手術費用は300,000〜500,000円程度になります。
保険適用の場合は100,000~150,000円程度が自己負担額になります。入院期間は2〜4日程度と短く、術後の回復がしやすいことが特徴です。子宮動脈塞栓術はほかの手術に抵抗がある方や子宮を温存したい方におすすめの治療方法になります。

子宮筋腫とは?

子宮筋腫は、子宮内の筋層に発生する良性の腫瘍です。症状が軽度なため、発見が遅れることがほとんどですが、腫瘍が大きくなると月経過多・不正出血・腹部の膨満感や圧迫感などを引き起こすことがあります。子宮筋腫はエストロゲンというホルモンの影響を受けるため、20〜40代の女性ホルモンの分泌が活発な年齢層の方が発症しやすい病気です。
また、子宮筋腫が複数存在することもあり、腫瘍の大きさや数によって症状の現れ方が異なります。子宮筋腫は超音波検査やMRIなどによって診断が行われ、必要に応じて治療を受ける流れになります。もし、前述した症状を自覚した場合には、速やかに産婦人科を受診しましょう。

子宮筋腫の治療方法

ここからは子宮筋腫の治療方法について解説します。もし、子宮筋腫が発生しても症状がない状態で腫瘍も拳より小さいのであれば、定期検診を受けるだけで大丈夫です。
しかし、腫瘍が大きかったり増大傾向にあったりする場合には以下の治療が考慮されます。

薬物療法

薬物療法は、偽閉経療法と対症療法の2種類があります。偽閉経療法は、女性ホルモンであるエストロゲンの産生を抑える治療方法です。腫瘍を小さくしたり、閉経が近い場合や手術による重篤な合併症を避けたりしたい場合に行われます。投与方法は月に一度の経口薬か注射、あるいは1日2回の点眼薬になります。
治療中は無月経となるため症状は改善しますが、更年期症状が現れるデメリットがあることに留意しましょう。骨量が減少する副作用も報告されているため、6ヶ月以上の使用はできません。偽閉経療法を止めると子宮筋腫が進行したり、症状も再発したりします。対症療法は、子宮筋腫による症状を緩和する治療方法です。

  • 鉄剤
  • 非ステロイド性抗炎症剤
  • LEP製剤(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤)
  • 子宮内黄体ホルモン放出システム

症状によって、上記の治療方法が適用されます。鉄剤は、過多・過長な月経による貧血が認められる場合に処方されます。非ステロイド性抗炎症剤は月経痛や月経困難に対する疼痛コントロールを目的とし、LEP製剤は月経困難を軽減するために処方されるものです。
子宮内黄体ホルモン放出システムは子宮内膜の発育を抑制して過多月経や月経困難を軽減するために使用されます。

子宮全摘術

子宮全摘術は妊娠の希望や予定がなく、子宮を温存する必要性がない場合に適用される治療方法です。腫瘍の大きさや可動性の有無を考慮した腹腔鏡下子宮全摘術で施行されることがほとんどです。

子宮筋腫核出術

妊娠の希望や予定がある方には、子宮筋腫核出術が治療方法の対象となります。子宮筋腫の部分だけを取り除くため、妊娠に必要な子宮体部を残すことができます。
腫瘍の発生部位・大きさ・数を考慮したうえで、開腹手術か腹腔鏡手術かを選択できますが、子宮筋腫が再発する可能性もあるため注意が必要です。

子宮鏡下子宮筋腫摘出術

子宮鏡下子宮筋腫摘出術は、子宮内の粘膜下筋腫が対象となる治療方法です。手術の対象になるかどうかは、子宮筋腫の大きさや子宮腔内へ突出しているかによって決まります。

子宮鏡下子宮内膜焼灼術

子宮鏡下子宮内膜焼灼術は、妊娠の希望や予定がない場合に適用される治療方法の一つです。マイクロ派によって子宮内膜を壊死させて過多月経の症状を緩和させることが期待できます。しかし、子宮筋腫を小さくする効果は期待できません。また、子宮内腔や子宮壁の状態によっては、治療方法に適用されないこともあります。

子宮動脈塞栓術

子宮動脈塞栓術は子宮筋腫を小さくすることに有効な治療方法です。しかし、妊娠機能が低下してしまう恐れがあります。
また、治療後の疼痛・感染・発熱・倦怠感・卵巣機能低下などの合併症も報告されているため、一般的には適用されることの少ない治療方法になります。

子宮筋腫手術の入院期間

子宮筋腫手術の入院期間は、治療方法や患者さんの回復状況によって異なります。腹腔鏡手術や子宮鏡下手術の場合は、3〜5日程度と入院期間が短くなることがほとんどです。
子宮全摘術や子宮筋腫核出術の場合には、7〜10日程度の入院期間を目安としましょう。回復の状況によっては、早期退院が可能なこともあります。完全に回復するまで数週間を要します。

子宮筋腫の手術費用についてよくある質問

ここまで子宮肉腫になる確率・症状・治療方法などを紹介しました。ここでは「子宮筋腫 手術費用」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

治療や手術の種類はどのように決定されますか?

永井 恒志永井 恒志 医師

治療や手術の種類は、子宮筋腫の大きさ・発生している数・発生部位・患者さんの年齢・将来的な妊娠希望や予定があるかどうかなどを考慮して、総合的に決定されます。子宮筋腫の状態によっては、ホルモン治療で症状を軽減することもありますが、月経過多や痛みなどの症状が改善されない場合には手術も選択肢になることがほとんどです。患者さんの希望や生活習慣、健康状態を踏まえたうえで治療方法が決定されます。

手術後に再発するケースもありますか?

永井 恒志永井 恒志 医師

子宮筋腫は良性の腫瘍ですが、手術後に再発するケースもあります。治療方法にもよりますが、内視鏡手術や子宮鏡下子宮筋腫摘出術の場合は再発のリスクは低いものの、完全に取りきれなかった子宮筋腫が再度問題になる可能性は否定できません。子宮筋腫の再発を防ぐために、術後には定期的な検診やホルモン療法を併用することもあります。再発した場合には、再度手術が必要になることもあると認識しておきましょう。

編集部まとめ

今回は、子宮筋腫の手術費用・治療方法や入院期間も併せて解説しました。

子宮筋腫は良性の腫瘍ですが、症状が進行もしくは数が増えた場合には治療が必要不可欠です。発見が遅れるケースがほとんどですが、定期的な検診で早期発見に努めることで短期間で治療が可能な疾患です。

特に妊娠を望んでいる方は、早めの検診と予防を心がけましょう。

子宮筋腫と関連する病気

「子宮筋腫」と関連している、似ている病気は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

上記の病気は似たような症状が現れるため注意が必要です。特に子宮肉腫は悪性腫瘍で、がん細胞の進行が速い危険性のある病気になります。早期発見・早期治療に努めましょう。

子宮筋腫と関連する症状

「子宮筋腫」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

これらの症状を放置してしまうと、病気を発見したときには遅かったケースも少なくありません。症状を自覚した場合には、速やかに病院を受診しましょう。

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