【子宮筋腫】手術が必要なケースは「筋腫の大きさ」にあった
子宮筋腫と聞くと非常に悪い病気で、すぐにでも手術をしなければと思いがちです。しかし子宮のどの辺りにできて、体にどのような影響を及ぼすか、きちんと知らない人も多いのではないでしょうか。必ず手術をしなければいけないほど悪い病気なのか、石川てる代ウィメンズクリニックの石川先生に教えてもらいました。
監修医師:
石川 てる代(石川てる代ウィメンズクリニック 院長)
千葉大学医学部卒業後、千葉大学医学部附属病院の産婦人科に入局。千葉市立青葉病院や九段坂病院の産婦人科に勤務した後、平成5年に石川てる代ウィメンズクリニックを開業。水と空気がきれいな国分寺で、女性が健康で元気に生活できるようにサポートしている。
筋腫のできる場所により症状もさまざま
編集部
具体的にはどのような病気ですか?
石川先生
子宮の筋肉が増大して、腫瘍ができる病気です。筋腫は女性ホルモンの関係で、大きくなると言われています。しかし子宮筋腫は良性腫瘍です。ごく稀ですが、「肉腫」という悪性腫瘍でも子宮が大きくなります。
編集部
どのような症状がでますか?
石川先生
また子宮のどこにできるかにより、3つに分けられており、筋腫のできた場所によって症状も変わってきます。
編集部
それぞれについて教えてください
石川先生
一つ目は筋層内筋腫です。お腹に痛みがあり診察に来て、発覚することが多く、子宮筋腫の中で大きな割合をしめるのがこちらの筋腫になります。
編集部
あと二つについても教えてください
石川先生
二つ目は粘膜下筋腫です。この筋腫は出血が多くなり、貧血・めまい・頭痛・動悸などの症状が強くでます。最後は漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)で下っ腹が膨れる、お腹が硬いと感じて受診に来る人が多くいらっしゃいます。
編集部
症状がでない人もいますか?
石川先生
そうですね。無症状の方もいらっしゃいますよ。そういった方は、主に健康診断で見つかります。
編集部
どのような検査でわかりますか?
石川先生
疑わしい場合、超音波検査を行います。より詳しい検査が必要なときは、MRI検査を行うこともあります。
対症療法や経過観察で過ごすことがほとんど
編集部
必ず手術が必要なのですか?
石川先生
そのようなことはありません。筋腫が小さい、特に症状がないときは経過観察で大丈夫な場合がほとんどです。
編集部
痛いなど、症状があるときはどうですか?
石川先生
症状がある場合は治療を行いますが、必ずすぐに手術というわけではありません。子宮筋腫は女性ホルモンにより大きくなるため、閉経すると小さくなっていきます。そのため閉経まで対症療法で治療することもできます。
編集部
対症療法とは具体的にどのようなことをするのですか?
石川先生
内服薬や漢方を処方して、痛みや出血を抑えます。ピルで月経を止めて、筋腫が大きくならないようにすることもあります。
妊娠希望の方や筋腫が8cmを超えると手術が必要
編集部
では手術が必要なのはどのような場合ですか?
石川先生
筋腫が8cmを越えた場合は、手術をしたほうがよいでしょう。あまり大きいと出血を起こし貧血気味になり、心臓に負担がかかってしまいます。
編集部
では8cm以下の場合、手術はしなくても大丈夫ですか?
石川先生
妊娠を望んでいて、子宮筋腫が不妊の原因と考えられる場合は、筋腫が小さくても手術をしたほうがいいでしょう。ピルで生理を止めていると、妊娠ができません。また粘膜下筋腫は不妊の原因となり、流産の可能性も高くなります。小さくても筋腫の種類によっては、手術をしたほうがいい場合もあります。筋腫核だけ取り除けば、妊娠をすることは可能ですよ。
編集部
予防はできるのですか?
石川先生
20代前半~40代の女性に多いのですが、筋腫ができる人に特徴はありません。原因がわからないため、有効な予防法もありません。
編集部
予防法がないのは怖いですね……。最後に読者の方にメッセージがあればお願いします
石川先生
予防法がないからといって、必要以上に気に病む必要はありません。無症状の場合は毎年の健康診断で見つかりますし、症状が出ていてもほとんどが対症療法で手術することなく治療が可能です。気になることがありましたらお気軽に地域の婦人科に相談することをおすすめします。
編集部まとめ
子宮筋腫はほとんどの場合が良性で、経過観察や対症療法で治療をすることがほとんど。筋腫が8cmを超える、妊娠を望んでいて不妊の原因と考えられる場合は、手術を勧めるとのこと。
筋腫はできる場所により3種類の名前でわけられ、それぞれ症状などが異なります。月経量が多い、お腹が痛い、お腹が硬いなどの症状があるときは、診察に行くとよいでしょう。
医院情報
所在地 | 〒185-0021 東京都国分寺市南町3丁目1−28 |
アクセス | 中央線「国分寺駅」から徒歩3分 |
診療科目 | 婦人科 |