おりものの異常と考えられる病気を詳しく解説！原因や治療方法もご紹介します

おりものは、子宮頸部・子宮内膜・膣から出る分泌物です。膣内に潤いを保ち、雑菌の侵入・増殖を防ぐなど女性の身体には重要な役割を担っています。

しかし、おりものはデリケートな部分なので、何か異常が出ても気軽に相談することが難しい場合がありますよね。

そこで、本記事ではおりものの異常と考えられる病気について詳しく解説していきます。

さらに、おりもの異常の原因や治療方法も一緒にご紹介しますので、おりものやデリケートゾーンの病気が気になっている方は、ぜひ最後までご覧ください。

監修医師：
馬場 敦志（宮の沢スマイルレディースクリニック）

おりものの異常と考えられる病気

おりものは、少し身体に異変があると色や臭いで異常を知らせてくれる役割を持っています。日頃からおりものをチェックすることで、自分自身の健康を守り維持することにもつながるので、確認していきたいものです。
しかし、どのようなおりものの状態が病気につながっているのかよくわからない方が多くいらっしゃるはずです。ここでは、おりものの状態や臭い別にどのような病気が考えられるのかを見ていきましょう。

水っぽいおりもの

水っぽいおりものは、排卵期や妊娠初期などに見られることがあるおりものです。しかし、排卵期以外に水っぽいおりものが出る場合、3つの病気が隠れている可能性があります。水っぽいおりものが出た時に、考えられる病気は次の通りです。

• クラミジア感染症
• 細菌性腟炎
• 子宮・卵巣・卵管がん

クラミジア感染症とは、クラミジア・トラコマチスという病原体が粘膜に感染して起こる感染症です。性交渉で感染することが多くあります。細菌性腟炎は、性交渉や日々のストレスなどが原因で起こる感染症です。不衛生な指などで腟内を触られたり、潤滑油の代わりに唾液を使用したりすることで感染します。
子宮・卵巣・卵管がんなどは、おりものへの異常が出る傾向にある病気です。水っぽいおりものが続く場合、一度病院を受診することをおすすめします。そのまま放置してしまうと、病状を悪化させ、がんに関しては他の臓器に転移してしまう可能性があります。
どの病気も必ず症状が出るとは限りませんので、婦人科を受診しましょう。まれではありますが、子宮・卵巣・卵管がんが原因でおりものの異常が出る場合があります。

茶色いおりもの

茶色いおりものは、月経期間中や月経前後、妊娠初期などに見られることがあります。しかし、月経終了から1週間以上茶色いおりものが続く場合は、いくつかの病気が隠れていることがあります。

• 子宮がん・子宮頸がん
• 子宮筋腫
• 子宮頸管ポリープ
• クラミジア感染症
• トリコモナス膣炎
• カンジダ膣炎

茶色いおりものに加え、腹痛・腰痛・排尿痛・性交痛がある時は、すでに病気に罹患している可能性があります。月経期間中や月経前後の茶色いおりものであれば、過剰に心配する必要はありません。
しかし、月経期間外や1週間以上出血が続く時は、何かしら病気が隠れている場合があります。自然に治ることはないので、早めに婦人科などを受診するようにしましょう。

黄緑色のおりもの

下着やおりものシートなどに、黄色から黄緑色のようなおりものがついていた場合は、病気の可能性があり注意が必要です。
黄緑色のおりものが出る時に考えられる病気は、7つあるといわれています。

• 膣トリコモナス症
• 性器クラミジア感染症
• 萎縮性膣炎（いしゅくせいちつえん）
• 淋菌感染症
• 細菌性腟炎
• 子宮頸管炎
• 子宮内膜炎

上記の病気は、自然に治ることはほとんどありません。そのため、黄緑色のおりものが出た時はなるべく早い段階で婦人科などを受診するようにしましょう。
仕事や私生活が忙しいため、ドラックストアの市販薬で対処しようと考えている方もいるでしょう。しかし、自己判断で対処することは、かえって病状を悪化させる原因にもなります。自己判断で治療はせず病院で的確な治療を受けましょう。

ヨーグルトのようなおりもの

ヨーグルトやボロボロとしたチーズ状のような白いおりものが出る場合には、膣カンジダ症という病気の疑いがあります。膣カンジダ症は性感染症と思われがちですが、カンジダ菌という腟内にいる常在菌が何らかの異常で繁殖し、発症する場合があります。
膣カンジダ症の発症は、疲労・ストレス・デリケートゾーンが蒸れて不衛生な状態が続いていることが原因です。症状としては、激しいかゆみや灼熱感などを感じることがあります。膣カンジダ症は、再発しやすく女性なら誰でもかかる可能性があります。適切な治療を受ければ、1週間ほどで良くなることが多いです。

泡立ったおりもの

泡立ったおりものが出る場合、トリコモナス膣炎に感染している可能性があります。トリコモナス膣炎の感染経路は2パターンあるといわれています。
1つ目は、性交渉です。性交渉によって、膣トリコモナス原虫が女性の膣内や子宮に寄生し感染します。2つ目は、便器や浴槽などにも潜んでいる場合が稀にあり、使用することで感染します。症状としては、外陰部・膣の激しいかゆみが出てきます。感染してから症状が出るまでの期間に10日〜6ヶ月と人によって幅があるのが特徴です。
トリコモナス膣炎は治療せず放置すると、卵管も炎症を起こしてしまい、不妊・早産・流産の原因になるので早めに治療を受けるようにしましょう。

臭いが強いおりもの

正常なおりものであれば、少し酸っぱい臭いがしています。これは、膣内に住みついている乳酸菌の一種が影響しているためです。しかし、いつもと明らかに違う強い臭いがしている場合は、3つの病気が隠れている可能性があります。

• 細菌性腟炎
• 膣トリコモナス症
• 萎縮膣炎

3つの病気はそれぞれ特徴的な臭いをしています。細菌性腟炎は、生臭さやイカ臭さなどを感じます。細菌性腟炎は無症状の場合が多く、気づかないこともある病気です。
卵管にも炎症がおこると不妊につながったり、妊娠中に起こると流産・早産につながる場合があり早めに治療を受けるようにしましょう。膣トリコモナス症は、強い悪臭を伴い外陰部や膣に強烈なかゆみを感じます。
萎縮膣炎は、おりものの臭いが強くなり、かゆみや性交痛などの症状が出る可能性があります。症状によっては、日常生活に支障をきたすことがあるので、早めに婦人科などを受診しましょう。

おりものの異常の原因

おりものの異常で考えられる原因は、様々あります。

• 女性ホルモンバランスの変化
• 体調の変化
• クラミジア感染症
• カンジダ症
• 淋菌感染症
• トリコモナス膣炎
• 萎縮性腟炎
• 細菌性腟炎
• 子宮・卵巣・卵管がん

おりものの異常は、病気や感染症だけが原因とは限りません。女性ホルモンのバランスに何かしら変化が起きたり、免疫力が低下し体調に変化があったりした場合にも異常は見られます。
おりものという女性にとっては身近な存在ではありますが、重大な病気が隠れている場合もあるので、おりものの異常があれば婦人科などを受診するようにしましょう。

おりものの異常の治療方法

おりもの異常の治療方法は、症状によって異なります。感染症などが原因の場合は抗生剤・内服薬・錠剤、がんの場合は手術・放射線治療・薬物療法などがあります。感染症は悪化する前に適切な治療を行えば、完治できる病気です。
がんも定期健診を受け、早期発見早期治療ができれば、治る確率は高くなります。おりものに異常が出た時は、早めに婦人科などを受診し治療を開始しましょう。

すぐに病院に行った方が良い「おりものの異常」症状は？

血液が混じったおりものや褐色のおりものの場合は、子宮体癌のような悪性腫瘍も考えられますので、早めに受診を検討しましょう。

行くならどの診療科が良い？

主な診療科目は婦人科、産婦人科です。

問診、触診、顕微鏡検査、培養検査、膣分泌物検査、超音波診断、画像検査（MRIなど）、血液検査などが実施される可能性があります。パートナーに検査・治療をすすめられることもあります。

病院を受診する際の注意点は？

持病があり内服・外用している薬がある場合は医師に申告しましょう。

治療する場合の費用や注意事項は？

保険医療機関の診療であれば、保険診療の範囲内での負担となります。

まとめ

ここまで、おりものの異常について症状・原因・治療方法について解説してきましたが、少しは理解していただけましたか？

正常なおりものが変化するということは、何かしら身体に異常があることを指します。

とくにかゆみや痛みなどの症状がないからと放置してしまうと、不妊の原因や重大な病気に発展してしまう恐れがあります。

今まであまりおりものを気にしていなかった方は、今日からのおりものに異常がないかご自身の目で確認をしましょう。

そして、異常がある場合は早めに病院を受診し検査を受けることをおすすめします。

おりものの異常症状の病気