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「腎臓がんの再発率」はどれくらい?治療法や治療後の経過も解説!【医師監修】

 公開日:2024/11/20
「腎臓がんの再発率」はどれくらい?治療法や治療後の経過も解説!【医師監修】

腎臓がんは、初期症状はほとんどなく、特に男性に多くみられるがんです。

ほかのがんと同様に、ステージが進むにつれて生存率が下がり、再発率も高くなる傾向にあります。

治療により完治が可能ですが、治療後の再発が気になる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、腎臓がんの再発率や治療法について解説します。

腎臓がんの再発率について気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。

小幡 史明

監修医師
小幡 史明(医師)

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自治医科大学医学部卒業 / 現在は医療法人静可会三加茂田中病院、医療法人在宅会 みんなのクリニック勤務 / 専門は総合診療科、腎臓内科、感染症科

腎臓がんとは?

腎臓がんとは、腎臓にできる悪性腫瘍です。発生頻度は、人口10万人あたり2.5人程度で、50~70歳代の男性が多く罹患している傾向にあります。腎臓は肋骨の下端にあり、そら豆のような形をした臓器で左右に1つずつあります。
血液を濾過し、老廃物や余分な塩分を尿として排泄する働きをします。初期の段階では腫瘍が小さく、自覚症状はほとんどありません。腫瘍が大きくなると、血尿・背部や腰部の痛み・腹部のしこりなどが現れます。全身的には、全身倦怠感・食欲不振・体重減少・貧血などの症状が見られます。
腎臓がんはほかの臓器に転移することがあり、転移した腫瘍が見つかってから詳しい検査で腎臓がんが発見されることが多いです。

腎臓がんの再発率

腎臓がんの5年生存率は、腫瘍の進行度によって大きく異なります。腎臓に限局している腫瘍の場合は73~93%、腎周辺脂肪組織に浸潤している腫瘍の場合は63~77%、遠隔転移がある腫瘍の場合は11~30%と報告されています。
つまり、腎臓にとどまる小さな腫瘍は90%以上の高い治癒率ですが、治療後も再発の可能性があるため、慎重な経過観察が必要です。

腎臓がん全体の再発率

腎臓内にがんが留まった状態で根治的に腎臓を摘出しても、20~30%の方に再発がみられるといわれています。

ステージ別の再発率

腎臓がんは、1期~4期にステージ(病期)がわけられ、進行するにつれて数字が大きくなります。原発巣の大きさ・リンパ節への転移の有無・ほかの臓器やリンパ節への転移の有無というカテゴリを加えた組み合わせで、ステージは決められます。各ステージ毎の再発率は下記のとおりです。

  • ステージ1(早期・局所性):約5%~15%
  • ステージ2(局所進行)約15~30%
  • ステージ3(局所進行):約30~50%
  • ステージ4(遠隔転移あり):約50~80%

ステージ1~2は、再発率は低い傾向にあり、手術後の定期的な検査やフォローアップによる経過観察が必要です。ステージ3の再発リスクは中程度で、やや再発しやすい状態であるといえます。ステージ4はすでにほかの臓器への転移がある状態で、再発率が高くなります。

腎臓がんが再発しやすい期間

腎臓がんが再発しやすい期間は、術後1~2年目です。手術で取り切れなかった小さな転移や治療後に残っていた腫瘍細胞が再び増殖する可能性が高いからです。そのため、定期的な受診や検査による経過観察を行う必要があります。
術後2~3年を過ぎると、再発リスクは低くなりますが、4~5年までは再発の可能性が残るため注意が必要です。術後5年以上が経過すると、多くの患者さんで再発のリスクはさらに低くなります。

腎臓がんの治療法

腎臓がんの治療法は、手術療法・薬物療法・免疫療法があります。がんの状態・患者さんの意向・生活環境・身体の状態などをみながら治療方針を決めるのが一般的です。ここでは、腎臓がんの治療法について解説します。

手術療法

手術療法は、がんやがんが発生した臓器を切除する治療法です。ステージ1~3の腎臓がんの場合、標準治療として外科療法が適応となります。腎摘除術が一般的な術式ですが、がんが小さい状態であれば、腎部分切除が適応となる場合もあるでしょう。
手術の方法には、開腹手術と腹腔鏡を使用する腹腔鏡手術があります。最近では、腹腔鏡を使う手術のひとつとして、ロボット支援手術で行う場合もあります。

薬物療法

手術でがんを切除できないと判断した場合、薬物療法が行われます。場合によっては、治療の効果を高めるために薬物療法を手術前に行うこともあります。腎臓がんの薬物療法で主に使用されるのは、分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬です。
分子標的薬はがん細胞が増殖する際に関わるたんぱく質や、がんを攻撃する免疫に関係するたんぱく質などを標的にし、がんを攻撃する薬です。免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞を攻撃する免疫の力を保持する効果があります。
分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が使えない場合には、サイトカイン療法を行うことがあります。免疫細胞がつくるたんぱく質の一種である、サイトカインの特徴を活かした治療法です。がんや患者さんの全身状態などを考慮し、薬の効果を観察しながら薬の量や種類を調整します。

免疫療法

免疫療法とは、免疫力を利用してがんを攻撃し治療をする方法です。私たちの身体は、免疫により身体に発生したがん細胞を攻撃し排除しています。免疫細胞と呼ばれる血液中の白血球が主に免疫の役割をしており、そのなかのT細胞は、がん細胞を攻撃する性質を持っている細胞です。
T細胞が弱り、がん細胞が免疫機能を抑制してしまうと、がん細胞が攻撃をはじめます。T細胞ががん細胞を攻撃する力を保つようにしたり、がん細胞を攻撃する力を強めたりすることより、がん細胞を攻撃する治療法が免疫療法です。

腎臓がんの治療後の経過

腎臓がんの治療後は、どのように過ごしたらよいのだろうかと不安に思う方も多いのではないでしょうか。ここでは、治療後の生活や再発防止のために取り組むとよいことなどを解説します。

治療後の生活環境

手術療法を受けた後の日常生活では、腎臓が片方だけの場合でも残った腎臓が正常に機能していれば、通常の生活ではなんら問題はありません。残った腎臓の機能を維持するために、高血圧や糖尿病などにならないよう注意する必要があります。
また、薬物療法は通院で行う場合が多く、仕事・家事・育児・介護など通常の生活を続けられます。しかし、体調が悪くなる場合もあるため、治療中は体調が万全ではないことも考慮しながら日常生活を送るようにしましょう。

再発予防のためのポイント

再発を予防するために大切なポイントは、定期的な診察と検査を受けることです。治療により完治したとしても、再発するリスクがゼロになったわけではありません。そのため、検査により継続的にがんが再発していないかを確認することが重要です。

治療後の再発リスク

腎臓がんの再発率の部分でもお伝えしましたが、手術療法や薬物療法で見た目上ではがんが消えた場合でも再発するリスクはあります。そのため、定期的な受診と検査の継続が大切です。がんが再発した場合、がんが小さいうちに発見し早い段階で治療を受けられれば、少ないリスクで治療が可能です。

定期検診の重要性

治療後は、定期的に通院し検査を受けることが大変重要です。検査の頻度は、がんの進行の程度や受けた治療法により決められます。定期検査では、CT検査・MRI検査・超音波検査などの画像検査を行います。
腎臓がんは、治療を終えてから10年以上経ってから再発する可能性があるのです。そのため、退院後の定期通院が終わった後にも、定期検診を受けるようにしましょう。

腎臓がんの再発率についてよくある質問

ここまで腎臓がんの再発率などを紹介しました。ここでは「腎臓がんの再発率」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

腎臓がん再発後の治療法はどのようなものがありますか?

小幡 史明医師小幡 史明(医師)

腎臓がんが再発した場合、再発した場所・広がり具合・患者さんの全身状態・今まで受けた治療の内容などにより、治療法が決められます。局所的に再発した場合には、手術で腎部分切除や腎摘除術を行ったり、アブレーションにより局所的に治療を行ったりします。また、手術が困難であると判断される場合には、放射線療法が選択されることもあるでしょう。腎臓以外のリンパ節・肺・骨・肝臓などに転移した場合は、外科治療・放射線療法・免疫療法など、状態に合わせた治療法が選択されます。

女性と男性での腎臓がん再発率に違いはありますか?

小幡 史明医師小幡 史明(医師)

腎臓がんの再発率に、男女差を明確に示すデータはありません。しかし、腎臓がんになる割合は、男性の方が多い傾向にあります。そして、男性の方が腎臓がんが進行した状態で見つかる場合が多いというデータがあります。進行した状態では、再発する確率が高くなるため、男性の方が腎臓がんの再発率が高くなるともいえるでしょう。

編集部まとめ

腎臓がんは、初期の段階では症状がなく早期に見つけるのが難しいがんです。自覚症状が出てから見つかると、がんが大きくなりほかの臓器に転移している可能性が高くなります。

また、進行した状態で見つかると治療後の再発率が高くなるという部分には注意が必要です。

再発を防ぐためには、治療後の定期受診・定期検診を受け、早期発見・早期治療につなげることが大切です。

また、治療後は規則正しい生活を心がけ、体調の回復を図るようにしましょう。

禁煙・節度のある飲酒・バランスのよい食事・適度な運動などを行い、残った腎臓の機能を維持できるよう、規則正しい日常生活を送ることが大切です。

腎臓がんと関連する病気

腎臓がんと関連する病気は5個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

腎臓がんは、初期の段階では自覚症状がないため、早期発見が難しいがんです。肺や肝臓などほかの臓器にがんが見つかり、詳しい検査をしていくなかで腎臓がんが見つかる場合が多いです。早期発見・早期治療のために、定期健診や人間ドックなどを受けるようにしましょう。

腎臓がんと関連する症状

腎臓がんと関連している、似ている症状は8個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

腎臓がんは初期の段階では自覚症状がありません。がんが進行すると、上記のような症状がでてきます。また、腎臓がん以外の疾患の可能性もあります。気になる症状がある場合には、早めに医療機関を受診し医師に相談しましょう。

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