「ストレスが原因で大腸ポリープ」ができることはある?医師が徹底解説!

ストレスが原因で大腸ポリープができることはある?Medical DOC監修医が大腸ポリープの症状・原因・大腸ポリープができやすい人の特徴などを解説します。

監修医師:
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)
目次 -INDEX-
「大腸ポリープ」とは?
大腸ポリープとは、大腸の内側にある粘膜が、いぼ状に突出したものです。大腸ポリープは腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープの2つに分けられます。腫瘍性ポリープは、さらに悪性腫瘍(大腸がん)と良性腫瘍(腺腫)に分類されます。大腸がんは、この腺腫が悪性化してがんになるものが多いです。
大腸ポリープの種類
大腸ポリープは大きく2つに分けられます。腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープです。
腫瘍性ポリープ
腫瘍性ポリープとは、主に腺腫のことを言います。大腸ポリープの中で腺腫が最も多く、腺腫が成長し、大きくなると一部にがんを含む確率が高くなります。5mm未満の腺腫ではがんを含む確率は0.46%ですが、6mm~9mmでは3.3%と大きくなるほどがんを含む可能性が高くなります。このため、径6mm以上のポリープは切除が推奨されています。
非腫瘍性ポリープ
非腫瘍性ポリープは、過誤腫性ポリープ、炎症性ポリープ、過形成ポリープに分類されます。大腸ポリープの中で腺腫に次いで多いものが、過形成ポリープです。通常、非腫瘍性ポリープが悪性化することは、少ないです。そのため、切除せず経過観察をすることが多いです。しかし、ポリープが時に大きくなり、腸閉塞の危険性がある場合には、切除を検討することもあります。
ストレスが原因で大腸ポリープができることはある?
ストレスが直接影響することで、大腸ポリープができるとは言えません。しかし、大腸ポリープの原因として、喫煙や食事の影響、肥満などが挙げられており、生活習慣の乱れが原因となって、ストレスがかかり、間接的に大腸ポリープの原因となる可能性は考えられます。以下に大腸ポリープのリスクをあげますが、これらのリスクを避け、バランスの良い食事をすることや生活習慣を見直すことはとても重要です。
大腸ポリープができる原因
大腸ポリープは、さまざまな原因が関与して発生します。ここでは大腸ポリープの原因、そして大腸ポリープから発生する大腸がんのリスク、原因について主に解説いたします。
喫煙・飲酒
喫煙、飲酒は大腸ポリープ・大腸がんのリスクです。
喫煙はさまざまながんでも危険因子として知られていますが、大腸ポリープ・大腸がんでも同様です。たばこを吸っていると、たばこの発がん性物質が直接触れない大腸粘膜からも検出されます。これにより、大腸がんの危険性が高くなると考えられています。たばこを吸う人は、吸わない人と比較して大腸がんの発生率は1.4倍です。
また、飲酒は、アルコール摂取量が増加することが危険因子となります。日本の研究報告では、男性では、1日平均1合以上アルコール摂取をする人では、大腸がんの発生率が増加しました。
お酒に含まれるエタノールが分解されたものが、アセトアルデヒドです。このアセトアルデヒドが分解される時に活性酸素が発生し、細胞を傷つけます。これが、がんの発生に関係していると考えられています。この報告では、飲酒量が増加すると大腸がんの発生率は、増加する傾向にある事が分かりました。このため、1日1合未満の飲酒量にとどめることが重要です。この報告では女性では、飲酒量による発生率の差がみられませんでしたが、これは女性の方が全体として男性より飲酒量が少ないためと考えられ、女性でも同様に節酒をすることが重要と考えられます。
また、喫煙と飲酒を両方する人ではより危険性が増加すると考えられています。禁煙、節酒をすることが重要です。
肥満
今までに多くの研究が報告されており、大腸がんは生活習慣や食習慣に影響されることが分かっています。高カロリー食の摂取、肥満は大腸がんのリスクとなります。
特に肥満度を示すBMI30以上で大腸がんのリスクが上昇したとの報告もされています。また、活動量が増えることは、大腸がんの発症率を低下させることも報告されており、適切なカロリー摂取と適度な運動を行い、肥満を防ぐことが大切です。
加工肉・赤肉の過剰摂取
諸外国からの報告では、加工肉や赤肉の摂取量が増加すると大腸がんの発生率が増加することが分かっています。日本人では、赤肉や加工肉の摂取量が比較的少ないですが、近年食事も変化しており気を付ける必要があります。加工肉や赤肉の過剰摂取とならないように気をつけましょう。また、野菜・果物の摂取不足にならないことも大切です。
大腸ポリープができると現れる症状
便通異常
大腸ポリープが小さいうちには症状がないことが多いです。ポリープが大きくなると、腸の内腔が細くなるため、便が細くなることもあります。また、便秘の原因となることも考えられます。
以前と便通の状況が変化した場合には大腸ポリープが原因となっている可能性もあります。消化器内科で相談をしてみましょう。
血が混じった便
大腸ポリープが大きくなると、表面を便が通過する時にこすれて出血し、便に血が混じることがあります。見た目でもわかることもありますが、見た目ではわからず便潜血検査で陽性となり初めて分かることも少なくありません。また、徐々に出血して貧血が進んでいることで発見されることもあります。
血便を認めた場合はもちろんですが、便潜血が陽性となった場合には、症状がなくとも消化器内科で相談をして、検査を検討しましょう。
腹痛
大腸ポリープが小さい場合には、痛みがある事はありません。しかし、大腸ポリープが大きくなると、腹痛がみられることもあります。腹痛が何度もみられる場合には、消化器内科で相談をしてみると良いでしょう。
大腸ポリープができやすい人の特徴
家族歴がある人
家族性大腸腺腫症は、若い時から大腸に腺腫が多く発生し、大腸がんを発生する危険性が高い遺伝性の病気です。この遺伝子異常のある家系である場合には、若い時から大腸カメラの検査を受け、気をつける必要があります。
このほかにも、大腸がんの全体の20〜30%程度で血縁者に大腸がんが多くみられる家系の方がいます。家族の中で大腸がんの方がいる場合には、気をつける必要があります。
加齢
年齢とともに大腸ポリープ・大腸がんの発生率が増加します。40歳代以降で徐々に発生率が上昇し、70歳代以降でピークとなります。このため、40歳以降では大腸がん検診などを定期的に受診して気を付けましょう。
生活習慣
大腸ポリープ・大腸がんの発生は、生活習慣に影響があると考えられています。高カロリー食や肥満、高身長は大腸がんのリスクです。また、加工肉や赤肉の摂取量が多いと大腸がんになりやすいことも報告されており、野菜や果物の摂取が大腸がんの発症低下に影響を与えます。
バランスの良い食事を摂ることが非常に大切です。また、運動量が少ない事や、喫煙やアルコール多飲も影響しており、生活習慣を改善することが大腸がんの予防にもつながります。
「大腸ポリープの原因とストレス」についてよくある質問
ここまで大腸ポリープの原因とストレスについて紹介しました。ここでは「大腸ポリープの原因とストレス」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
女性が大腸ポリープを発症する原因について教えてください。
和田 蔵人 医師
女性だけではありませんが、年齢が上昇するほど大腸ポリープを発生する可能性は高くなります。また、女性では閉経し女性ホルモンが減少することも大腸がん発生に影響している可能性も考えられています。40歳代以降では徐々に大腸がんの発症が増えるため気をつけましょう。
そのほかに食事や生活習慣の影響も考えられ、特に女性では赤肉の摂取量が多いと大腸がんの発症リスクとなると報告されています。また、肥満や高身長は大腸がんのリスクであることも分かっています。バランスの良い食事をし、肥満を予防することが大腸がんを予防することにつながるため、注意をしましょう。
大腸ポリープができやすい人の食生活について教えてください。
和田 蔵人 医師
高カロリー食、加工肉、赤肉の摂取量が多いと大腸がんの発生頻度が上昇します。また、アルコール多飲も大腸がんの発生に影響します。飲酒量が多い、食事のバランスが悪い、カロリーが多く、肉類の摂取が多く野菜などの摂取量が少ないことが大腸がん・ポリープができやすいと考えられます。
編集部まとめ バランスの良い食事をして大腸ポリープを予防しよう。
大腸ポリープ、特に腺腫は大きくなると大腸がんを含む可能性があり注意が必要です。大腸ポリープ・がんを予防するためには、生活習慣を改善することが有効であると考えられます。適度なカロリー、バランスの良い食事、節酒、禁煙、適度な運動など生活習慣を改善することで、大腸ポリープ・がんを予防しましょう。また、家族歴などのリスクがある方では、定期的な検診も非常に大切です。近年増加している大腸がんを予防するためにも普段から気を付けて過ごしましょう。
「大腸ポリープ」と関連する病気
「大腸ポリープ」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
大腸ポリープは、腺腫である場合には、大きくなると大腸がんを含む可能性があり、切除がすすめられます。大腸ポリープが大きくなると出血などがみられ、他の病気との区別が必要です。出血がみられる場合には、早めに消化器内科を受診しましょう。
「大腸ポリープ」と関連する症状
「大腸ポリープ」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
大腸ポリープは通常症状がないことが多いです。しかし、大きくなると上記の様な症状がみられることがあります。気になる症状がある場合には、早めに消化器内科で相談をしましょう。




