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「子宮体がんのステージ別・生存率」はご存知ですか?症状や治療法も解説!

 公開日:2023/12/11
「子宮体がんのステージ別・生存率」はご存知ですか?症状や治療法も解説!

子宮体がんのステージはどのように分かれているか、ご存じですか?Medical DOC監修医が子宮体がんのステージや症状、治療方法などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。本記事では、子宮体がんのステージについて以下の点を中心にご紹介します!

  • ・子宮体がんとは
  • ・子宮体がんのステージと5年生存率
  • ・子宮体がんの治療法

子宮体がんのステージについて理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

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筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

子宮体がんとは?

子宮は女性の生殖器の一部で、胎児の成長と発育の場として機能します。子宮は、骨盤の中にある洋梨を逆さにしたような形の筋肉でできた臓器であり、上部は左右の卵管に、下部にある子宮口は腟につながっています。子宮は大きく子宮体部と頸部の2つに分かれており、子宮体部は胎児が宿る部分であり、子宮頸部はそこから下に向かって続く細長い部分で、その先端は腟に突き出しています。子宮の内側は、子宮内膜という粘膜で覆われています。
子宮体がんは、子宮の内側を覆う内膜の異常な細胞増殖によって発生するがんです。
子宮体がんは、子宮の内膜ががん化した状態のことを指します。子宮内膜は、表層(表面に近い層)と基底層(深い層)によって構成されます。

子宮体がんの症状

子宮体がんの症状にはどのようなものがあるのでしょうか。普段の月経との違いが重要な症状になることが多いです。

出血

通常の月経以外の性器からの出血や閉経後の出血がみられることがあります。いわゆる不正出血というもので、子宮内膜ががん化すると、異常な出血が起こることがあります。

排尿時の痛みや排尿がしにくい

排尿時に痛みを感じる、または尿が出にくくなる場合があります。がんが成長し、尿道や膀胱に圧迫を与えることで、排尿に関連する症状が現れることがあります。

下腹部の痛み

生理痛とはまた別で、下腹部に持続的な痛みや違和感を感じることがあります。がんが成長し、周囲の組織や臓器に影響を与えることで、痛みが生じることがあります。

おなかが張る

腹部が膨らんできて、張りを感じることがあります。がんが進行し、腹腔内の液体が増加することで腹部の張りが生じることがあります。

これらの症状は、子宮体がんの進行に伴って現れることが多いですが、他の疾患でも似たような症状が現れることがあります。したがって、これらの症状が現れた場合は、医師の診断を受けることが重要です。

子宮体がんのステージ

子宮体がんのステージは、がんの進行度や広がりを示す指標として用いられます。子宮体がんのステージは、がんのサイズや子宮への浸潤度合い、リンパ節転移や肺などへの遠隔転移があるかどうかで分類されます。以下に、各ステージの特徴について解説します。

ステージⅠA

がんが子宮体部に留まっている状態を指します。また、子宮筋層の1/2未満に浸潤している状態のことを指します。

ステージⅠB

ステージⅠBでは、がんが子宮体部にのみ認められる状態のことを指します。また、子宮筋層の1/2以上に浸潤している状態のことを指します。

ステージⅡ

子宮は子宮体部と子宮頸部に別れており、子宮体部は子宮の上部、子宮頸部は下部に位置しています。子宮体がんが進行すると、子宮筋層を侵犯し、周囲の組織に広がっていきます。ここでは、がんが子宮体部を越えて子宮頸部に広がっている状態を指します。ステージⅡでは、がんは子宮の外には出ていません。

ステージⅢA

ステージⅢAでは、がんが子宮の外に広がった状態を指します。具体的には、骨盤内の腹膜、または卵巣や卵管に広がっている状態を指します。

ステージⅢB

子宮体部は膣に接しており、ステージⅢBでは、がんが腟や子宮傍組織に広がっている状態を指します。

ステージⅢC1

骨盤リンパ節は、子宮の周りに存在しており、がん細胞がリンパ節に転移することがあります。ステージⅢC1では、骨盤リンパ節に転移している状態を指します。

ステージⅢC2

ステージⅢC2では、傍大動脈リンパ節に転移している状態を指します。傍大動脈リンパ節は、子宮体がんのリンパ節転移の一部であり、子宮の近くに位置しています。

ステージⅣA

子宮頸部は膀胱と尿道に接しています。ステージⅣAでは、がんが膀胱や腸の粘膜まで浸潤している状態を指します。

ステージⅣB

ステージⅣBでは、腹腔内や鼠径部(足のつけ根)のリンパ節に転移がある、または他の遠隔転移が認められる状態を指します。

これらのステージは、治療方針を決定する際の重要な基準となります。早期のステージであれば手術や放射線治療での治癒が期待されることが多いですが、進行したステージでは化学療法やホルモン療法などの組み合わせが考慮されることがあります。

子宮体がんのステージごとの5年生存率

子宮体がんの進行度や広がりを示すステージによって、治療法やその後の経過、生存率が異なります。生存率は、過去の治療実績に基づくものであり、現在の治療を受けている患者さんにそのまま当てはめることはできません。また、生存率は一つの指標に過ぎず、治療に前向きに取り組むことや日常生活を充実させることが大切です。以下に、ステージごとの5年生存率をまとめます。

ステージI

ステージIは、がんは子宮体部にのみ存在し、周囲には広がっていない状態です。5年生存率は92.0%です。ステージIでは、手術によって子宮と周囲の組織を摘出することが主な治療となります。

ステージII

ステージIIは、がんが子宮体部を超えて子宮頚部に広がっており、子宮の外には広がっていない状態です。5年生存率は85.8%です。 ステージIIでは、手術によって子宮と付属器を摘出することが主な治療となります。手術後には、再発予防のための放射線治療や抗がん剤治療が行われることもあります。

ステージIII

ステージⅢは、がんが子宮の外に広がり、骨盤内や大動脈周囲のリンパ節に転移がある状態です。5年生存率は65.8%です。ここでは、リンパ節や隣接する臓器の一部を摘出することが主な治療となります。手術後には、再発予防のための放射線治療や抗がん剤治療が行われることもあります。

ステージIV

ステージIVは、がんは膀胱や直腸まで広がっている、あるいは遠隔転移がある状態です。5年生存率は21.7%です。ステージIVでは、手術や抗がん剤治療が主な治療となります。がんが膀胱や直腸に広がっている場合、人工肛門や人工膀胱の設置が必要となることもあります。

子宮体がんの治療法

子宮体がんの治療法を手術と化学療法の2つに分けて解説します。

手術

手術によって、がんが浸潤している部分を切除します。以下の手術方法は、子宮体がんの進行度や患者さんの健康状態、将来の希望(例:出産)などに応じて選択されます。

単純子宮全摘出術

子宮のみを切除する方法です。また、両側付属器切除術という方法もあります。状況によっては卵巣・卵管も同時に切除することもあります。

準広汎子宮全摘出術

準広汎子宮全摘出術+卵巣・卵管切除術という方法があり、子宮と卵巣・卵管に加えて、子宮の支持組織も切除します。

広汎子宮全摘出術

広汎子宮全摘出術は、子宮の腟の一部、卵巣・卵管を含め、骨盤壁近くから広い範囲で切除する方法です。リンパ節も同時に切除されることが多いです。

化学療法

化学療法は、抗がん剤を使用してがん細胞の増殖を抑制する治療法です。通常、点滴や経口剤として投与されます。子宮体がんが子宮の外に拡がっている場合や、手術後の補助療法としても行われます。

ホルモン療法

子宮体がんの治療法として、ホルモン剤(プロゲステロン剤)を使用した治療も行われています。特に、妊娠を希望する患者さんや、初期の高分化型子宮体がんの患者さんに対して行われることがあります。

放射線治療

放射線治療には、外照射と腔内照射の2種類あります。外照射は、大型の機械を使用して、体の外から放射線を照射する方法です。腔内照射は、子宮内に治療用器具を挿入し、子宮の中から放射線治療を行う方法です。これらの治療方法は、子宮体がんのステージや患者の健康状態に応じて選択され、組み合わせて行われることもあります。

「子宮体がん」についてよくある質問

ここまで子宮体がんの症状を紹介しました。ここでは「子宮体がん」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

子宮体がんにかかりやすい人の特徴はありますか?

馬場 敦志 医師馬場 敦志 医師

子宮体がんのリスクファクターには、糖尿病、高血圧、肥満、乳がんの治療薬としてのホルモン剤の内服、月経不順、不妊、未産婦などがあり、子宮体がんは特に閉経後の女性に多く見られる傾向があります。

子宮体がんの検査ではどのようなことをしますか?

馬場 敦志 医師馬場 敦志 医師

子宮体がんの疑いがある場合、以下の検査を行ってがんの有無や進行度を確認します。細胞診とは、腟から子宮内に細い器具を挿入し、子宮内膜の細胞を採取して顕微鏡で調べる検査です。がん細胞の有無を確認するために行われます。組織診とは、細胞診で異常が認められた場合、疑わしい部分の子宮内膜の組織を採取して詳しく調べます。この検査で子宮体がんの確定診断を行います。また、内診や直腸診によって子宮の位置、大きさ、形、硬さなどを確認します。子宮鏡検査によって、がんの位置や形状を直接確認します。画像を用いた検査では、超音波(エコー)検査で子宮体部の中の様子を調べたり、CT検査・MRI検査でがんの大きさや広がりや転移の有無などを調べたりします。さらに腫瘍マーカー検査では、がんの種類により特徴的に産生される物質を血液検査で測定します。ただし、子宮体がんでは特定の腫瘍マーカーは確立されていません。

編集部まとめ

ここまで子宮体がんのステージについてお伝えしてきました。
子宮体がんのステージの要点をまとめると以下の通りです。

⚫︎まとめ

  • ・子宮体がんは子宮の内側を覆う内膜の異常な細胞増殖によって発生するがんの一種である。
  • ・子宮体がんのステージは、ステージⅠAからステージⅣBに分類され、浸潤度やリンパ節や子宮外へのがんの転移の有無などによって決まる。
  • ・子宮体がんの治療法には、手術、ホルモン剤や放射線を用いた化学療法が行われることが多い。

「子宮体がん」と関連する病気

「子宮体がん」と関連する病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

子宮体がんは、実際に超音波検査や子宮細胞診を行うまでは他の病気と見分けがつきません。しかし、不正出血や持続する腹痛、排尿障害が現れた時は何かしらの病気が隠れている可能性が高いため、まずは産婦人科を受診しましょう。

「子宮体がん」と関連する症状

「子宮体がん」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

子宮体がんは進行に伴い上記のような症状を呈することが多いですが、他の疾患でも似たような症状が現れることがあります。上記のような症状が少しでも気になれば、早めに病院へ行き相談しましょう。子宮体がんは早期に発見し、治療することが非常に大切です。

この記事の監修医師