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「生理が長い」原因とは?更年期との関係・少量の場合や考えられる病気も解説!

「生理が長い」原因とは?更年期との関係・少量の場合や考えられる病気も解説!

生理が長いとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

島袋 朋乃

監修医師
島袋 朋乃

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産婦人科医師。平成28年に旭川医科大学医学部を卒業後、函館五稜郭病院、釧路赤十字病院を経て、現在は産婦人科医として市中病院で臨床経験を重ねる。総合病院やクリニックで産科、婦人科、生殖医療に携わる。日本医師会認定産業医。日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本生殖医学会所属。

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「生理が長い」症状で考えられる病気と対処法

生理(月経)は通常、3~7日の間で終わるものが正常範囲とされており、8日を超えて月経が続くものを過長月経と呼びます。過長月経の原因は様々で、考えられる疾患について解説していきます。長い生理でお困りの方は、ぜひ一度読んでみてください。

いつもより生理が長い・長引く症状で考えられる原因と対処法

「普段は3~7日の間で生理がぴたっと止まるのに、今周期はいつもより生理が長い」という経験をしたことはありませんか。過長月経は、若年の方では特に無排卵周期症や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)による破綻出血が原因であることが多いです。連日の出血量が多くなければ急いで病院を受診する必要はありませんが、次の月もその次の月も生理が8日以上と長引いて、出血の量もわずかという場合は一度婦人科で相談することをおすすめします。

少量だが生理が長い症状で考えられる原因と対処法

少量の出血がダラダラと続くのは、特に若年の方では破綻出血が原因のことが多いです。破綻出血は、排卵のためのホルモンの分泌がうまくいかないまま子宮の内膜が増殖しすぎて維持できなくなり、出血が起こる状態です。生理不順、かつ出血の量が少なく一回の生理の期間が8日以上と長い方は破綻出血を起こしている可能性があります。破綻出血は無排卵周期症や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)で起こりやすく、放置すると子宮内膜増殖症になってしまうこともあるため、「ここ数か月、出血の期間が長く、量の少ない生理しか来ていない」という方は、婦人科で相談してみましょう。

生理が長く量が多い症状で考えられる原因と対処法

生理の量が多く、出血の期間も長いときは、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープなどの疾患が原因であることが多いです。大きいナプキンが1-2時間でいっぱいになる出血が何日も続く、出血に伴って動悸や息切れ、疲れやすさなど貧血の症状が出てくるときは、早めに婦人科を受診しましょう。貧血の症状が強く普段の生活が送れないほど体調が悪いときは、重症貧血に陥っている可能性がありますので、救急病院の受診も検討してください。

生理が長く経血が茶色い症状で考えられる原因と対処法

真っ赤でそれなりの量の出血が出ないまま、茶色く少量の出血が長く続くのは、破綻出血が原因であることが多いです。また、頻度はそれほど高くはありませんが、妊娠初期の出血を生理と勘違いしていることもありますので、普段から性交渉がある方では妊娠検査薬を試すのも一つの方法です。なお、出血がダラダラと2週間以上続くときは、診察を行ったうえでホルモン剤や止血剤を内服して出血を止めたほうがよいケースもありますので、日中の婦人科の受診をおすすめします。

生理が長く下腹部痛や腹痛がある症状で考えられる原因と対処法

生理が長く、腹痛や疼痛を伴う場合は子宮筋腫や子宮腺筋症などの疾患が隠れていることがあります。子宮筋腫が大きくなると子宮や子宮内膜の形状を変形させ、生理の出血量が多くなり、出血する期間が長くなる傾向にあります。子宮腺筋症は、本来子宮の内腔にのみ留まる子宮内膜が、子宮筋層に入り込み子宮が腫大する疾患です。子宮が大きくなってしまうことにより生理の量が多くなり、出血が止まりにくくなります。子宮筋腫や子宮腺筋症は閉経するまで増大していくことが多いため、定期的に婦人科検診を受け、適切な治療のタイミングについて見極めることが大切です。すでに生理の量が多い、生理痛が強い場合は、低用量ピルや黄体ホルモン製剤などのホルモン治療の適応となる可能性がありますので、婦人科で相談してみましょう。

中学生や高校生で生理が長い症状で考えられる主な原因と対処法

初潮を迎えてから数年の間は、排卵の周期が安定しないため、破綻出血を背景に生理不順や過長月経が起こりやすい時期です。3か月に1回は本格的な生理が起こっているのであれば急いで病院を受診する必要はありませんが、1回の出血が2週間以上続くときや、3か月以上生理が来ないときは婦人科で相談してみましょう。婦人科を受診したからといって内診は必須ではありませんのでご安心ください。

40代で生理が長い症状で考えられる主な原因と対処法

40代以上で生理が長くなる原因としては、これまでに説明してきた子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープのほか、子宮体がんなどの悪性腫瘍も念頭に置かなければなりません。特に、肥満がある方、妊娠・出産の経験がない・少ない方、血縁で子宮体がんや乳がんを発症した方がいる場合は要注意です。1~2年に1回の婦人科検診を受けていただくほか、出血の期間がどんどん長くなってきたときや、生理ではないタイミングで不正出血があるときは、早めに日中婦人科を受診しましょう。50歳前後になると閉経が近づいてきて、生理不順や過長月経など生理の周期に乱れが生じてきますが、婦人科検診を受けないまま「閉経が近いから」と自己判断するのはおすすめできません。

すぐに病院へ行くべき「生理が長い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

出血の量が多い場合は、婦人科へ

過長月経はほとんどの場合、出血の期間が長くても出血量は次第に減少し、小さめのナプキン1枚またはおりものシート1枚程度で1日過ごせることが多いです。ただし、出血の期間が長いことに加えて、生理の2日目のような出血が連日続く場合は、貧血になってしまう可能性があるため早めに婦人科を受診しましょう。動悸や息切れ、強い倦怠感は、貧血になってしまっているサインです。出血が続いて動けなくなるほど倦怠感が強くなってしまった場合は、救急外来の受診を検討しましょう。

受診・予防の目安となる「生理が長い」ときのセルフチェック法

  • ・生理が長い以外に出血が多い場合
  • ・生理が長い以外に腹痛や腰痛がある場合
  • ・生理が長い以外に生理不順が続いている場合

「生理が長い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「生理が長い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮にできる良性の腫瘍です。30歳以上の女性の20-30%にみられる腫瘍で、珍しいものではありません。子宮筋腫ができる場所や、筋腫の大きさによって出てくる症状が異なります。代表的な子宮筋腫の症状としては、過多月経、貧血、不正出血、不妊、月経困難症、頻尿、腹部腫瘤感、腹痛などがあり、一般的には筋腫があるために症状が出てきていると考えられる場合は治療の対象となります。症状がなければ何もしないことも多いです。子宮筋腫は生活習慣などに関係なく発症しますので、予防することが難しいです。子宮筋腫はエコーで発見できますので、普段から検診を受ける習慣をつけておくことが大切です。

子宮内膜症

子宮内膜症とは、本来子宮の内腔にだけ存在するはずの子宮内膜が、子宮筋層や卵巣、腸管、腹膜などに病巣を作り、生理痛をはじめとする様々な症状を引き起こす疾患です。
中でも、子宮筋層のなかに子宮内膜が入り込むことで生じる子宮腺筋症では、生理の量が多くなることがあり、出血の期間も長引く傾向にあります。強い生理痛に加え、生理の出血の量が多く生理の期間も長い方では、子宮腺筋症も念頭に置かなければなりません。子宮腺筋症は婦人科のエコーやMRIで診断します。これらの症状がある方は、一度婦人科で精査を受けることをおすすめします。

無排卵性周期症

無排卵周期症は、卵巣のなかで育った卵胞が排卵されないために起こるもので、子宮の内膜をはがすためのホルモンの分泌がうまくいかずにダラダラと出血が長引きます(破綻出血)。破綻出血は無排卵周期症や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が原因で起こるもので、10代~20代と比較的若年の方で多くみられます。病院へ行くべき目安としては、「出血の期間が8日以上で、量が少なく、3か月以上本格的な生理といえるような出血が来ていないとき」「出血が長いことや、生理不順があることで、日常生活に支障が出ているとき」には婦人科受診を検討しましょう。

「生理が長い」ときの正しい対処法は?

これまでに過長月経を引き起こす原因として様々な疾患をご紹介してきましたが、その中でも生活習慣の改善などにより改善が期待できるのは、無排卵周期症やPCOSです。無排卵周期症はストレスや不規則な生活習慣により容易に起こります。なるべくリラックスできるようにぬるめのお風呂に浸かる、ストレッチやマッサージをしてみる、7時間以上の睡眠時間を確保する、1日3食バランスのとれた食事をするなどで改善することがあります。さらに、BMI25以上の肥満を合併したPCOSでは、減量することで排卵サイクルの改善が期待できます。これらのことを試してみても過長月経が続いてしまうときは、一度婦人科で相談してみることをおすすめします。

「生理が長い」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「生理が長い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

生理が長いのですがどのくらい続くと病院に行くべきですか?

島袋 朋乃島袋 朋乃 医師

出血が2週間以上止まらないときは、止血剤やホルモン剤の内服により出血を止めた方がよい場合もありますので医療機関を受診しましょう。また、出血量が少ないまま8日間以上出血が続くといった状態が3か月以上連続するときも、受診を検討してもよいと思われます。

いつもより生理が長い・長引くのは危険な状態ですか?

島袋 朋乃島袋 朋乃 医師

過長月経が一時的なものであれば危険な状態である可能性は低いです。ただし、出血量が多いときや、過長月経の状態が3か月以上続くときは早めに婦人科で診察を受けましょう。

生理期間が長い・終わらないときに止める方法はありますか?

島袋 朋乃島袋 朋乃 医師

出血の原因にもよりますが、止血剤やホルモン剤の内服により出血を止める方法があります。

生理が長いのですが更年期と関係してますか?

島袋 朋乃島袋 朋乃 医師

閉経が近くなると、女性ホルモンの分泌が乱れやすくなり生理が長くなることがあります。生理と関係ない不正出血があったり、生理かどうかもわからないような出血が続くときは、早めの婦人科受診を検討してください。

生理が長いのですがストレスが原因でしょうか。

島袋 朋乃島袋 朋乃 医師

ストレスで排卵がうまくいかなくなると、生理が長くなってしまうことがあります。なるべくストレスの軽減に努めましょう。

まとめ

生理が長引く様々な原因について解説してきました。長引く生理が一時的なものであれば問題ないことがほとんどですが、3か月以上にわたり生理が長引くときや、出血の量が多いときは婦人科を受診するようにしてください。普段から生理のトラブルや婦人科検診などで気軽に受診できるかかりつけの産婦人科を見つけておくと安心ですね。

「生理が長い」症状で考えられる病気

「生理が長い」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

生理期間が3か月以上にわたって長引いたり、出血量が多い場合には病気を疑って受診をする

「生理が長い」に似ている症状・関連する症状

「生理が長い」と関連している、似ている症状は2個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 経血量が多い
  • 生理が終わりそうで終わらない

「生理が長い」症状の他にこれらの症状がある場合でも「破綻出血」「子宮内膜ポリープ」「子宮筋腫」「子宮腺筋症」「子宮体がん」などの疾患の可能性が考えられます。症状がなかなか改善しない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。