「血液検査」で何の”ビタミン不足”が分かるのか?現れる症状や費用も医師が解説!

血液検査でビタミン不足はわかる?メディカルドック監修医が、血液検査で調べられるビタミンの項目や、検査を受けられる場所、費用の目安、不足から疑われる病気について解説します。

監修医師:
木村 香菜(医師)
目次 -INDEX-
血液検査でビタミン不足はわかるのか?
血液検査では、体内のビタミンの状態をある程度把握することができます。ただし、すべてのビタミンが日常的に測定されるわけではなく、目的や症状に応じて選択される点に注意が必要です。ここでは、血液検査でわかる内容や検査の考え方についてまとめます。
ビタミンとは?
ビタミンは、体の機能を維持するために必要な微量栄養素であり、エネルギー産生や神経機能、骨代謝など幅広い働きを担います。体内で十分に合成できないものが多く、主に食事から摂取されます。不足すると、貧血や骨の異常、神経症状など、さまざまな不調につながる可能性があります。
血液検査でビタミンを調べる目的
血液検査でビタミンを測定する主な目的は、不足や過剰の有無を確認し、症状の原因を探ることです。例えば、貧血やしびれがある場合にビタミンB12や葉酸を測定することで、原因の特定につながることがあります。また、原発性骨粗鬆症の患者さんに対し、薬物治療の方針を選ぶために行う場合もあります。そのほか、栄養状態の評価や治療効果の確認としても活用されます。
血液検査はどこで受けられる?
血液検査は、内科やかかりつけ医、健康診断施設などで受けることができます。一般的な健康診断ではビタミン項目が含まれていないことも多く、必要に応じて医師が追加で検査を指示します。症状がある場合は保険診療として行われることがあります。
採血でわかるビタミン検査はどこで受けられる?
ビタミンの血中濃度を測定する検査は、主に医療機関で行われます。内科や血液内科などで、症状や既往歴に応じて必要な項目を選択します。検査結果は数日程度で判明することが多く、診断や治療方針の決定に役立てられます。また、近年では「ビタミン 検査キット」として、自宅で少量の血液を採取し郵送することで検査を受けられるサービスもあります。医療機関に行かずに手軽に栄養状態を確認できる点が特徴ですが、測定できる項目や基準値、結果の解釈はサービスごとに異なるため注意が必要です。とくに異常値が疑われる場合や症状がある場合には、自己判断に頼らず医療機関での検査や相談を行うことが大切です。
ビタミン不足を疑う症状はある?
ビタミン不足では、疲れやすさや口内炎、しびれ、骨の痛みなど多様な症状がみられることがあります。ただし症状は非特異的なことが多く、他の疾患と区別が難しい場合もあります。ビタミンの種類によって現れやすい症状には違いがあり、以下のような特徴が知られています。
- ビタミンD:骨の痛みや筋力低下、骨折リスクの上昇、感染症にかかりやすくなる
- ビタミンB12・葉酸:貧血、しびれ、歩行の不安定さなどの神経症状
- ビタミンB1:倦怠感や食欲低下、重症では神経障害(脚気など)
- ビタミンB2・B6:口内炎、口角炎、皮膚炎などの粘膜症状
- ビタミンC:歯茎からの出血、皮下出血
また、ビタミンは種類によって体内での吸収や蓄積のされ方が異なります。脂溶性ビタミンは体内に蓄えられやすい一方、水溶性ビタミンは不足が生じやすいとされています。こうした薬物動態の違いも症状の現れ方に影響します。そのため、症状のみで判断するのではなく、血液検査や背景疾患を踏まえて総合的に評価することが重要です。
血液検査で調べられるビタミンの主な項目
血液検査では、目的に応じていくつかのビタミン項目が測定されます。代表的なものを理解しておくと、検査結果の意味を把握しやすくなります。
骨と免疫に関わるビタミンD
ビタミンDは、骨の形成やカルシウム代謝に関与する栄養素です。血中の25-ヒドロキシビタミンDを測定することで評価します。不足すると骨粗鬆症や骨折リスクの上昇につながる可能性があります。骨代謝異常が疑われる場合に検査が行われます。
貧血や神経に関わるビタミンB12と葉酸
ビタミンB12と葉酸は、赤血球の形成や神経機能に関わります。これらが不足すると、巨赤芽球性貧血や神経障害が生じることがあります。血液検査で濃度を確認することで、原因の特定や治療方針の決定に役立ちます。
代謝に関わるビタミンB1・B2・B6
ビタミンB群はエネルギー代謝に関与し、全身の機能維持に重要な役割を果たします。不足すると倦怠感や神経症状が現れることがあります。これらは通常の健康診断では測定されることは少なく、必要に応じて追加で検査されます。
ビタミン不足の指標となるホモシステイン
ホモシステインは、体の中でたんぱく質の一種(メチオニン)を分解する過程で作られる物質です。ホモシステインの値は、加齢でも高まることがあります。加えて、葉酸やビタミンB6、ビタミンB12といった栄養素が不足した場合や、体内でこれらをうまく利用できない場合にも高くなると考えられています。
血液検査の「ビタミン」の項目の結果と再検査が必要な数値
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。
血液検査の「ビタミン」の項目の基準値
ビタミンDは30ng/mL以上が充足の目安とされ、20ng/mL未満では欠乏と判断されることがあります。特に、くる病という病気の診断基準として、15ng/mL以下では確実とされています。ビタミンB12や葉酸にもそれぞれ基準値が設定されており、施設や測定方法によって若干の違いがあります。結果は単独で判断せず、症状と合わせて評価します。
血液検査の「ビタミン」の異常値・再検査基準と内容
異常値が確認された場合は、再検査や原因検索が行われます。例えば、ビタミンB12低値では消化管疾患の有無を調べることがあります。検査は内科などで受けることができ、緊急性は症状によって異なります。治療は食事改善や補充療法が中心です。なお、ビタミン検査は、症状や特定の病気が疑われる場合には保険適用となることがあります。例えば、ビタミンDやビタミンB12などの検査は、診断や治療に必要と判断された場合に限り保険で実施されます。その場合の自己負担(3割負担)は数百円から1,000円程度が目安です。ただし、すべてのケースで保険が適用されるわけではなく、骨粗鬆症や貧血などの診療上の必要性がある場合に限られます。
血液検査の「ビタミン」の項目の異常で気をつけたい病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「ビタミン」に関する症状が特徴の病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
骨粗鬆症
骨密度が低下し、骨折しやすくなる病気です。ビタミンD不足が関与することがあります。適切な補充や運動療法が行われ、整形外科での管理が基本となります。骨折リスクが高い場合は早めの受診が望まれます。
巨赤芽球性貧血
ビタミンB12や葉酸の不足により、異常な赤血球が増える貧血です。倦怠感や動悸などの症状がみられます。原因に応じて補充療法が行われ、内科や血液内科で治療されます。
末梢神経障害
手足のしびれや感覚異常が現れる状態で、ビタミンB群の不足が関与することがあります。原因に応じた治療が必要で、神経内科などで評価されます。症状が続く場合は早めの受診が重要です。
口内炎
口の中の粘膜に炎症が起こる状態で、ビタミンB群不足が関与することがあります。多くは自然に改善しますが、繰り返す場合は栄養状態の確認が必要です。
吸収不良症候群
消化管の異常により栄養素がうまく吸収されない状態です。複数のビタミン不足を引き起こすことがあります。原因疾患の治療が中心となり、消化器内科での評価が必要です。
血液検査でビタミンを確認するためのポイントや注意点
血液検査でビタミンの状態を確認する際は、検査の目的や実施される条件、結果の解釈の仕方を理解しておくことが大切です。ここでは、検査を受ける前に知っておきたいポイントや注意点について解説します。
血液検査は保険適用になる?費用の目安
ビタミン検査は、症状や疾患が疑われる場合に保険適用となることがあります。例えば、骨粗鬆症の診断方針を決定するなどの目的でビタミンDを測定する場合、診療報酬点数は388点です。初診料などが加わると、3割負担の場合であれば1,000〜2,000円程度になるかと考えられます。一方、健康目的やスクリーニングとして行う場合は自費診療となることが多く、費用は数千円から数万円程度と幅があります。
ビタミンは吸収能力も調べることが重要
ビタミンの状態を評価する際は、摂取量だけでなく体内での吸収や利用も考慮する必要があります。一般診療では吸収能力そのものを直接測定することは少なく、血中濃度や消化管の状態などから間接的に判断します。吸収障害が疑われる場合には、背景となる疾患の評価が重要です。
「血液検査のビタミン項目」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「血液検査のビタミン項目」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
ビタミンが足りていない時の症状はどのようなものがありますか?
木村 香菜 医師
疲労感、口内炎、しびれ、身体の痛みなどがみられることがあります。ただしビタミン不足のみで現れる症状ではないため、検査での確認が必要です。
血液検査でビタミン不足や栄養不足が分かりますか?
木村 香菜 医師
一部のビタミンは血液検査で評価できますが、すべてを網羅できるわけではありません。必要に応じて項目を選択します。
日本人が一番不足しやすいビタミンは何でしょうか?
木村 香菜 医師
日本人で不足しやすいビタミンの一つにビタミンDがあります。ビタミンDは日光によって体内で合成される特徴がありますが、屋内中心の生活や紫外線対策の影響により不足しやすいとされています。骨の健康や免疫機能にも関わるため、必要に応じて食事や補充を検討することが重要です。
体内のビタミンは足りなくても多すぎても悪影響があるのでしょうか?
木村 香菜 医師
脂溶性ビタミンなどは過剰摂取により健康障害を引き起こすことがあります。適切な範囲での管理が重要です。
まとめ
血液検査では、ビタミンの状態を把握することが可能ですが、すべての栄養状態を一度に評価できるわけではありません。症状や目的に応じて適切な項目を選び、結果は背景となる疾患や生活習慣とあわせて解釈することが重要です。気になる症状がある場合は、医療機関での相談を検討しましょう。
「血液検査とビタミン」の異常で考えられる病気
「血液検査とビタミン」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
骨・代謝系の病気
血液・栄養系の病気
血液・栄養系
- 巨赤芽球性貧血
- ビタミンB12欠乏症
神経系の病気
神経系
- 末梢神経障害
- 糖尿病性神経障害
消化器・栄養吸収系の病気
消化器・栄養吸収系
皮膚・粘膜系の病気
皮膚・粘膜系
ビタミンの異常は、特定の臓器だけでなく全身に影響を及ぼすことがあるため、症状が続く場合は早めに医療機関での評価を受けることが大切です。
「血液検査とビタミン」に関連する症状
「血液検査とビタミン」に関連する症状は10個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
ビタミンの不足や過剰は、はっきりした症状が出にくいことも多く、日常的な体調不良として現れる場合があります。気になる症状が続く場合は、血液検査などで原因を確認することが大切です。


