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「ビタミンD欠乏症」を発症する原因や主な症状・予防法はご存じですか?

 更新日:2024/01/11
「ビタミンD欠乏症」を発症する原因や主な症状・予防法はご存じですか?

ビタミンD欠乏症を知っていますか?
本記事ではビタミンD欠乏症について以下の点を中心にご紹介します。

・ビタミンD欠乏症の症状
・ビタミンD欠乏症の予防法
・ビタミンD欠乏症の治療

ビタミンD欠乏症について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

ビタミンD欠乏症について

ビタミンD欠乏症について

ビタミンD欠乏症とはどのような病気ですか?

ビタミンD欠乏症は、身体がビタミンDを十分に取り入れられない状態を指します。ビタミンDは、骨や筋肉の健康に重要な役割を果たしており、不足すると様々な健康問題が引き起こされる可能性があります。ビタミンDは通常、日光によって皮膚から合成されますが、日光にさらされる時間や地域の気候条件、食事などの要因によって不足する場合があります。

ビタミンD欠乏症の主な症状を教えてください。

ビタミンD欠乏症は、骨や筋肉の健康に関する症状を呈します。具体的な症状には、骨の脆弱性や骨折のリスクの増加、筋力の低下、筋肉や関節の痛み、身体の疲労感、歩行困難、骨や関節の変形、歯の健康問題などがあります。
また、ビタミンDは免疫機能にも関与しているため、免疫力の低下や感染症への罹患リスクの増加も見られる可能性があります。これらの症状は個人によって異なる場合もありますが、ビタミンD欠乏症の疑いがある場合は、医師に相談し、正確な診断と適切な治療が重要です。

ビタミンD欠乏症はどのように診断しますか?

ビタミンD欠乏症の診断は、以下の検査結果と症状の評価を総合的に考慮して行われます。一般的に、以下の手法が使用されます。

医師は、骨や筋肉の健康に関連する症状や体の不調を評価します。これには、骨の脆弱性、筋力の低下、関節の痛みなどが含まれます。

また、血液中のビタミンDレベルを測定することで、欠乏状態を確認します。一般的には、25(OH)Dと呼ばれるビタミンDの代謝物質の血中濃度が測定されます。欠乏状態の判断基準は異なる場合がありますが、一般的には20 ng/mL未満が欠乏とされます。

症状や病歴に基づいて、骨密度測定(DEXAスキャン)や血中カルシウムやリンの測定など、追加の検査が行われる場合もあります。

何が原因で発症しますか?

ビタミンD欠乏症は、一般的に以下の原因によって発症します。
ビタミンDは、皮膚が紫外線Bを受けて合成されます。日光への適切な暴露が不足すると、ビタミンDの合成が減少し、欠乏症の原因となります。これは、屋内での生活や日焼けを避けるための対策などが関係しています。

高緯度地域では、冬季に日照時間が短くなり、日光への暴露が不足しやすくなります。また、季節によっても日照時間が変化するため、ビタミンDの合成量に影響を与える可能性があります。
日焼け止めや化粧品などの肌の保護剤は、紫外線を遮断し、ビタミンDの合成を妨げる可能性があります。適切な使用量やタイミングの調整が重要です。
高齢者や肥満の人は、ビタミンDの吸収や代謝に影響を及ぼす可能性があります。高齢者は皮膚のビタミンD合成能が低下してしているため、また、肥満の場合、ビタミンDが脂肪組織に取り込まれ、血液中の利用可能な量が減少する可能性があります。
腸管の吸収障害がある場合、ビタミンDの吸収が妨げられるため、欠乏症が発症する可能性があります。

ビタミンD欠乏症にならないための予防法はありますか?

ビタミンD欠乏症の予防法を以下に紹介します。

日光にはビタミンDの合成に必要な紫外線Bが含まれています。毎日の短時間の日光浴や、日中の戸外活動を通じて、肌を適度に日光にさらしましょう。

食品からビタミンDを摂取することも重要です。脂肪魚、乳製品、卵黄、キノコ類などが良いビタミンDの源です。
日光や食事だけでは十分なビタミンDを摂取できない場合は、医師の指示のもとでビタミンDのサプリメントを利用することも考慮しましょう。
適度な運動やバランスの取れた食事、ストレスの管理など、健康的な生活習慣を維持することもビタミンD欠乏症の予防に役立ちます。
これらの予防法を組み合わせることで、ビタミンD欠乏症のリスクを低減する可能性があります。ただし、個人の状況やニーズに応じて適切な予防方法を選択し、医師との相談が重要です。

ビタミンD欠乏症と肌の色は関係がありますか?

ビタミンD欠乏症と肌の色は関連している場合も多くあります。肌の色によって、ビタミンDの合成に必要な紫外線の吸収量が異なるためです。例えば、濃い肌の方ではメラニン色素の量が多く存在し、紫外線が深く浸透しづらい特徴があります。そのため、同じ紫外線量の環境下でも濃い肌の方がビタミンDを合成しにくいと考えられています。
ビタミンDは紫外線(UV-B)を浴びることで皮膚で合成されますが、肌の色によって紫外線の吸収量が異なるため、ビタミンD合成能力も変わります。特に日照時間が限られる地域や冬季の寒冷地では、ビタミンDの合成に必要な紫外線が不足しやすく、肌の色による影響がより顕著に現れることがあります。
、ビタミンD欠乏症のリスクを低減する可能性があります。ただし、個人の状況やニーズに応じて適切な予防方法を選択し、医師との相談が重要です。

ビタミンD欠乏症の治療について

ビタミンD欠乏症の治療について

ビタミンD欠乏症は治療できますか?

ビタミンD欠乏症は、適切な治療と管理によって改善します。治療方法は主に以下のようなものです。
医師の指導のもとでビタミンDのサプリメントや処方薬を適切な量で摂取します。これにより、体内のビタミンDレベルを補充し、欠乏症の改善を促進します。
ビタミンDを多く含む食品をバランスの取れた食事に取り入れることも重要です。これにより、食事からのビタミンD摂取量を増やします。
適度な日光浴や戸外活動を通じて、皮膚が紫外線Bを受けることでビタミンDの合成が促進されます。ただし、日焼けや紫外線過剰曝露には注意が必要です。
ビタミンD欠乏症の治療は、個人の状態や欠乏の程度によって異なる場合があります。また、治療後もビタミンDの血中濃度を適切に維持するためには、定期的な検査と医師のフォローアップが必要です。

ビタミンD欠乏症の治療にはどのような期間が必要ですか?

ビタミンD欠乏症の治療には、通常、1カ月以上の期間が必要です。
ビタミンD欠乏症の治療期間は個人によって異なりますが、一般的には約1カ月間の高用量のビタミンDの投与が実施されます。通常は毎日服用し、その後は徐々に推奨量まで減量します。筋肉のけいれんやカルシウム不足の症状があれば、カルシウムサプリメントが投与されます。リン不足の場合にはリンサプリメントも使用されます。完全な回復は通常期待されますが、慢性の肝疾患や腎疾患の場合は専門的な調剤が必要なことがあります。

ビタミンDはどの程度必要ですか?

ビタミンDの1日の摂取基準量は年齢や性別によって異なります。日本人の食事摂取基準(2020年版)によれば、18歳以上の男女ともにビタミンDの目安量は1日に8.5㎍です。耐容上限量は1日に100㎍とされています。年齢や妊娠・授乳の状況によっても目安量は変わります。ビタミンDは日光によっても生成されるため、摂取量は食事だけでなく日光への曝露も考慮する必要があります。適切なビタミンD摂取量は、骨の健康維持や免疫機能のサポートなどに関与しています。しかし、過剰摂取も問題となりますので、上限量を超えないよう注意が必要です。

日常生活で気を付けることはありますか?

ビタミンD欠乏症に意識を向けた際に、日常生活で以下の点に気を付けることでビタミンD欠乏症のリスクを低減する可能性があります。
日光にさらされる時間やタイミングに注意し、毎日の短時間の日光浴や日中の戸外活動を心掛けましょう。ただし、紫外線の過剰な曝露には注意が必要です。

ビタミンDを多く含む食品をバランスの取れた食事に取り入れることが重要です。食事内容を見直し、脂肪魚、乳製品、卵黄、キノコ類などを積極的に摂取しましょう。
日光や食事だけではビタミンDの摂取が十分でない場合は、医師の指導を受けながらビタミンDのサプリメントを検討することも考えましょう。
高齢者や肥満の人、腸管吸収障害のある人はビタミンDの吸収に影響を受けやすいため、定期的な健康チェックと医師による指導が重要です。
適度な運動やストレスの管理、バランスの取れた食事、十分な睡眠など、健康的な生活習慣を維持することもビタミンDの状態に影響を与えます。

どのような人がビタミンD欠乏症になりやすいですか?

ビタミンD欠乏症になりやすい人の特徴は以下の通りです。
日光への暴露が不足している人は、十分にビタミンDの合成ができず、欠乏症になりやすくなります。屋内での生活や日焼けを避けるための対策をしている人、高緯度地域に住んでいる人などが該当します。
高齢者は、皮膚のビタミンD合成能力が低下するため、欠乏症のリスクが高まります。また、高齢者は日光浴や戸外活動が制限される場合があり、食事からのビタミンD摂取も不十分な場合があります。
日焼け止めや化粧品などの肌の保護剤を頻繁に使用している人は、紫外線Bの吸収が妨げられるため、ビタミンDの合成が減少し、欠乏症になりやすくなります。
消化器疾患や手術による腸管吸収障害のある人は、ビタミンDの吸収が妨げられるため、欠乏症のリスクが高まります。
肥満の人は、ビタミンDが脂肪組織に取り込まれるため、血液中の利用可能な量が減少し、ビタミンD欠乏症になりやすくなります。
これらの要因が重なることによって、ビタミンD欠乏症のリスクが高まります。特に高齢者や腸管吸収障害のある人は、積極的なビタミンDの補充や適切な日光浴を心掛けましょう。

子供はビタミンD欠乏症になりますか?

子供もビタミンD欠乏症になる可能性 があります。日本での調査によると、6ヶ月までの子供の50%でビタミンDが不足しており、特に母乳栄養児では75%が不足していると報告されています。現代の子供は室内での生活が増えているため、日光にあたる機会が減少し、ビタミンD不足のリスクが高まっています。ビタミンDはカルシウムの吸収に必要なため、不足すると成長や発達に影響を及ぼす可能性があります。実際に、ビタミンD欠乏状態だった子供は思春期に入ると問題行動や不安感、抑うつ症状を持ちやすい傾向があると報告されています。子供の健康な成長のためには、ビタミンDの適切な摂取と日光への適度な曝露が重要です。

ビタミンDは、取りすぎても大丈夫ですか?

ビタミンDは健康にとって重要な栄養素ですが、摂りすぎることも健康問題を引き起こす可能性 があります。ビタミンDは脂溶性ビタミンであり、過剰摂取すると高カルシウム血症と呼ばれる状態が起こることが知られています。高カルシウム血症では、血管壁や腎臓、心筋、肺などに過剰なカルシウムが沈着し、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。腎機能障害、食欲不振、嘔吐、神経の興奮性の亢進などの症状が現れることがあります。
したがって、ビタミンDの摂取量は推奨量を守ることが重要です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

ビタミンD欠乏症は、日光不足や食事の偏りなどが原因で起こる病気です。日常生活での気を付ける点や予防法、治療方法などがあります。日光浴やビタミンDの摂取、健康的な生活習慣の維持が重要で、特に高齢者や肥満の人、腸管吸収障害のある人は注意が必要となります。

編集部まとめ

ビタミンD欠乏症
ビタミンD欠乏症についてお伝えしてきました。ビタミンD欠乏症についての要点をまとめると以下の通りです。

・ビタミンD欠乏症は身体がビタミンDを十分に取り入れられない状態のことを指し、骨や筋肉の健康に関する症状を呈する
・ビタミンD欠乏症は、症状や血液中のビタミンDレベルの測定によって診断される
・適度な日光浴、食事からのビタミンD摂取、適度な運動やストレスの管理によって、ビタミンD血病床の予防および症状の改善が見込まれる

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師