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塩野義製薬 国産初の新型コロナウイルス飲み薬を承認申請

 更新日:2023/03/27

塩野義製薬は開発した新型コロナウイルスの飲み薬の製造販売の承認を申請したと発表しました。このニュースについて上先生にお話を伺います。

上昌広 医師

監修医師
上 昌広(医師)

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東京大学医学部卒業。東京大学大学院修了。その後、虎の門病院や国立がん研究センターにて臨床・研究に従事。2010年より東京大学医科学研究所特任教授、2016年より特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所理事長を務める。著書は「復興は現場から動き出す(東洋経済新報社)」「日本の医療格差は9倍 医療不足の真実(光文社新書)」「病院は東京から破綻する(朝日新聞出版)」「ヤバい医学部(日本評論社)」「日本のコロナ対策はなぜ迷走するのか(毎日新聞出版)」。

塩野義製薬による発表の内容とは?

塩野義製薬が発表した内容とは、どのようなものだったのでしょうか?

上昌広 医師上先生

今回の塩野義製薬による発表は2月25日におこなわれたもので、開発した新型コロナウイルスの飲み薬を厚生労働省に承認を申請したという内容でした。これまで新型コロナウイルスの軽症者向けの飲み薬は、ファイザー製の「パキロビッドパック」、メルク製の「ラゲブリオ」がすでに使われていますが、塩野義製薬の飲み薬が認められると3種類目、かつ初めての国産の飲み薬ということになります。

塩野義製薬が今回おこなった承認申請では、臨床試験が完了する前に実用化を認める条件付き早期承認制度の適用を求めていて、新型コロナウイルス治療薬で適用されれば初めてのことになります。今回の申請について岸田首相も「国産の経口治療薬として初めて2月25日に条件付き承認の申請がされており、医薬品医療機器総合機構および厚生労働省審議会で評価している。早期実用化に向けて優先かつ迅速に評価を進め、安全性、有効性が確認された場合には速やかに承認し、国内に必要量を供給したい」と述べ、「一定の安全性、有効性が示された場合は、その後の承認を条件として購入契約をおこない、必要量を確保する措置は可能」と参院予算委員会で言及しています。

塩野義製薬が開発中の治療薬とは?

塩野義製薬が開発を進める治療薬について教えてください。

上昌広 医師上先生

塩野義製薬が現在開発を進めている治療薬はウイルスの増殖を抑制するもので、軽症者や無症状者向けの飲み薬となります。感染初期に1日1回、5日間自宅などで服用することで重症化を防ぐ効果が期待されています。

塩野義製薬はオミクロン株の感染拡大期を中心に、12歳以上の軽症から中等症患者428人を対象に臨床試験を実施してデータ分析しました。その結果、投与を3回受けた後では感染性のあるウイルスが検出された人の割合が10%未満となり、偽の薬を服用したグループよりも低くなったとのことです。塩野義製薬によると3月末までに100万人分、4月以降は年間で1000万人分以上を生産する予定だということです。

国産の飲み薬が承認された際の意義は?

国産の飲み薬が承認された場合、治療現場においてはどのような意義があるのでしょうか?

上昌広 医師上先生

国産の医薬品が開発されれば、日本国内に優先的に供給されることが期待できます。一方、塩野義の薬剤は、入院や重症化予防という臨床的有用性が証明されたわけではありません。ファイザー製とメルク製の薬剤とは、この点でまだ大きな差があります。今後の臨床試験の結果をまち、慎重な判断が必要と考えられます。

まとめ

塩野義製薬が新型コロナウイルスの飲み薬の製造販売の承認を申請したことが、今回のニュースで明らかになりました。新型コロナウイルス治療の選択肢が増えるニュースだけに今後も注目が集まりそうです。

この記事の監修医師