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新型コロナウイルス治療薬「ゾコーバ」はどんな薬? 薬剤師に聞く

 更新日:2023/06/01
新型コロナウイルス治療薬「ゾコーバ」はどんな薬? 薬剤師に聞く

新型コロナウイルスが流行してから、ワクチンを始め、様々な薬剤が世の中に出てきました。2022年11月には、国内メーカーである塩野義製薬から「ゾコーバ」という新薬が厚生労働省に承認された記憶も新しいでしょう。今回は、薬剤師の栗原さんに承認された新型コロナウイルス治療薬「ゾコーバ」について薬剤師の栗原さんに薬効や安全性、副作用などを伺いました。
※本記事は、2022年2月時点での情報になります。

栗原 徹

監修薬剤師
栗原 徹(薬剤師)

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パパ薬剤師。製薬メーカーにて「抗がん剤」「神経領域(不眠・パーキンソン病など)」「関節リウマチ」と幅広い領域で医薬品情報担当者(MR)として従事。現在は薬剤師兼ライターとして活動中。

塩野義製薬が開発した「ゾコーバ」とは? 効果や特徴、副作用について解説

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編集部編集部

「ゾコーバ」はどのような種類の薬なのでしょうか?

栗原 徹さん栗原さん

抗SARS-CoV-2剤に分類される新型コロナウイルス感染症治療薬です。適応はSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)による感染症であり、2022年11月より発売開始となりました。プロテアーゼ阻害薬であり、ウイルスの増殖に必要な酵素を選択的に阻害することで、新型コロナウイルスの増殖を抑制します。

編集部編集部

似たような種類の薬もあると思いますが、特徴や効果にはどのような違いがあるのですか?

栗原 徹さん栗原さん

SARS-CoV-2による感染症に対する効能効果を有する内服薬は「ゾコーバ錠125mg」「パキロビッドパック」「ラゲブリオカプセル200mg」の3種類があります。ゾコーバはその中でも重症化リスクの有無によらず、試験が実施されています。発症後3日以内に服用開始することで、偽薬群と比べ、25時間症状が短縮されました。

編集部編集部

安全性・副作用についてはどうですか?

栗原 徹さん栗原さん

実感する、目に見える副作用として、頭痛・悪心・発疹などがありますが、いずれも1%未満となっています。ただし、服用時の注意点が2つあります。1点目は「妊娠中、妊娠の可能性のある女性」は催奇形性が認められることから使用できません。2点目は「一緒に服用できない薬剤が多数存在」することです。事前に、医師・薬剤師にご自身の状況・服用中の薬剤を伝え、治療選択しましょう。

「ラゲブリオ」「パキロビッド」との違いは? 承認から1年が経った経口抗ウイルス薬との比較

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編集部編集部

ほかにも似たような薬剤はあるのでしょうか?

栗原 徹さん栗原さん

同じ種類に分類される薬剤としては「ラゲブリオカプセル200mg」「パキロビッドパック」などがあります。

編集部編集部

「ラゲブリオ」とはどのような違いがあるのでしょうか?

栗原 徹さん栗原さん

ラゲブリオは体内で代謝されることで効果を発揮します。RNAに取り込まれることで、複製にエラーを発生させ、増殖を阻害することで効果を発揮します。重症化リスクの高い方で軽症〜中等症の患者様を対象に試験を実施しており、入院・死亡のリスクについて確認し、評価されています。また、「ゾコーバ錠125mg」と同様に妊娠中・妊娠可能性の女性への投与はできません。

編集部編集部

「パキロビッド」との違いについても教えてください。

栗原 徹さん栗原さん

パキロビッドパックはニルマトレルビルとリトナビルが組み合わさった薬剤です。ニルマトレルビルはウイルスの増殖に必要な酵素に作用し阻害します。リトナビルはニルマトレルビルの体内での分解を遅らせ、効果維持に働きます。重症化リスクの高い方で軽症~中等症の患者様を対象に試験を実施しており、入院・死亡のリスクについて確認し、評価されています。しかし、一緒に服用できない薬剤が多数存在しますので、注意してください。

薬剤師が考える、今後の新型コロナウイルス治療薬・ワクチンに期待していることとは

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編集部編集部

どうすれば、新型コロナウイルスを気にせず過ごすことができるのでしょうか?

栗原 徹さん栗原さん

以前は新型コロナウイルスに対して過剰な反応がされていました。誰が罹ってもおかしくない病気です。予防法・治療法について理解を深めることで、適切な対応が取れると思っています。

編集部編集部

コロナワクチンに対して期待することはなんでしょうか?

栗原 徹さん栗原さん

現在のコロナワクチンでは数か月に1回の頻度で投与の必要があり、加えて副作用として高熱が出るケースがあります。インフルエンザワクチンのように年1回で副作用リスクが少し低減することで世の中の認識は大きく変わると思っています。

編集部編集部

治療薬についてはどうですか?

栗原 徹さん栗原さん

ほかの感染症でも同様ですが、根治につながる薬剤の開発を強く期待します。現状、3種類ありますが、医薬品不足も影響し、薬が行き届かない場合があります。新薬開発と生産、提供と医薬品業界の充実を願っています。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

栗原 徹さん栗原さん

新型コロナウイルスに対する内服薬を紹介させていただきました。いずれも、臨床試験がしっかり行われています。特にゾコーバに関しては、重症化リスクによらずに試験がおこなわれています。処方医、臨床試験結果を信じ、治療選択してください。

編集部まとめ

新型コロナウイルスに関連する薬剤の有効性・安全性について解説いただきました。実際に罹患した際に全く知らない薬剤は怖いですよね。適切な治療を受けることで、症状軽減につながる可能性があります。コロナかな? となった際には、近隣のクリニックなどに受診・相談するようにしましょう。

この記事の監修薬剤師