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WHO 新型コロナ緊急事態宣言を解除も引き続き注意喚起、収束には至らず

 公開日:2023/05/12
WHO 新型コロナの緊急事態宣言を終了

5月5日、WHO(世界保健機関)は新型コロナウイルスに関する「国際的な公衆衛生上の緊急事態」を終了すると表明しました。このニュースについて中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

WHOが表明した内容とは?

5月5日、WHOのテドロス事務局長が「国際的な公衆衛生上の緊急事態」の宣言終了を表明しました。WHOが宣言を終了した背景など、今回の表明について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

WHOは2020年1月に新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言をおこないました。それ以降、WHOでは新型コロナウイルスへの対応や緊急事態にあたるかどうかを約3カ月に1回、専門家の委員会を開いて協議してきました。2023年1月に開かれた委員会では、変異ウイルスへの懸念などから緊急事態宣言の継続が決められました。

2023年5月4日に開かれた委員会では、医療システムへの負担が減少していることや多くの国で生活が通常に戻っているという現状を踏まえて、緊急事態宣言の終了を勧告しました。この勧告を受けて、WHOのテドロス事務局長は5月5日に開かれた会見で、「勧告を受け入れ、緊急事態の終了を宣言する」と述べました。

こうした発言の一方でテドロス事務局長は、「これは新型コロナウイルスがもう世界的な脅威ではないという意味ではない。ウイルスは命を奪い続けている」と述べるなど、新型コロナウイルスの脅威が去ったわけではないことを強調しました。また、「各国は緊急態勢から、新型コロナウイルスをほかの感染症と同様に管理するよう移行する時期が来た」とも述べました。

緊急事態宣言終了の受け止めは?

WHOが緊急事態宣言終了を表明しましたが、医療現場に立つ医師として、今回の表明に対する受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

世界的にみても新型コロナウイルスの感染者は徐々に減少していることに加え、最近では死亡者も少なくなってきており、それに伴い医療機関の負担も軽減してきています。日本においても、新型コロナウイルスの扱いが5類に引き下げられる現状を鑑みると、今回のWHOの表明は受け入れられると考えます。

日本の新型コロナウイルス対策に与える影響は?

日本でも新型コロナウイルスが感染症法上の5類に分類されるなどの動きがあります。今回、WHOが緊急事態宣言を終了したことが、日本の新型コロナウイルス対策にどのような影響を与える可能性があるのでしょうか?

中路 幸之助 医師中路先生

今回のWHOの表明は、日本における新型コロナウイルス対策の規制の緩和の後押しにはなると考えます。しかし、緊急事態宣言が終了しても新型コロナウイルスの流行が収束したわけではないので、基本的な新型コロナウイルス感染対策の継続は重症化リスクのある人を守る意味でも必要でしょう。

まとめ

5月5日、WHOは新型コロナウイルスに関する「国際的な公衆衛生上の緊急事態」を終了すると表明しました。しかし、テドロス事務局長は「新型コロナウイルスがもう世界的な脅威ではないという意味ではない」と注意喚起も引き続きおこなっており、新型コロナウイルスに対しての警戒を解くべきではないと強調しています。

この記事の監修医師