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【HPVワクチン】単回接種でも2回接種と同等効果、ただし「1回だけ受ければいい」わけではない

 更新日:2023/03/27
HPVワクチン単回接種は2回接種と同等効果

WHOは、HPV(ヒトパピローマウイルス)のワクチン単回接種は、2回接種と同等の有効性があると発表しました。このニュースについて前田医師に伺いました。

前田 裕斗 医師

監修医師
前田 裕斗 医師

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東京大学医学部医学科卒業。その後、川崎市立川崎病院臨床研修医、神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科、国立成育医療研究センター産科フェローを経て、2021年より東京医科歯科大学医学部国際健康推進医学分野進学。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。

WHOの発表内容とは?

WHOが発表した内容について教えてください。

前田 裕斗 医師前田先生

WHOは、SAGE(Strategic Advisory Group of Experts on Immunization:予防接種に関する戦略的諮問委員会)がHPVワクチンの単回接種の有効性が2回または3回接種と同等であるかどうかをレビューした結果を4月11日に発表しました。発表によると、「HPVワクチンは単回接種でも2回接種に匹敵する感染予防効果をもたらす可能性が高い」とのことでした。SAGEでは、女性に対するHPVワクチン接種のスケジュールを9~14歳に対しては1回または2回接種、15~20歳に対しても1回または2回接種を適用可能とされました。一方、21歳以上に対しては6カ月間隔で2回接種を推奨しています。今回の発表の中でWHOは「HIV感染者を含む免疫不全者では可能であれば3回、最低でも2回接種する必要がある」と注意喚起しています。

発表内容の受け止めは?

WHOがおこなった発表内容について、受け止めを教えてください。

前田 裕斗 医師前田先生

今回の発表は、世界的なHPVワクチンの供給不足と接種が進んでいない現状、とくに低・中所得国の現状を改善すべく出されたものです。現在、WHOが推奨するHPVワクチン政策は、9~14歳の女性に2回、15歳以上の女性に3回、HIV感染者を含むあらゆる年齢(9歳以上)の免疫不全集団に3回の接種をおこなうものです。これに対して、ここ5年間で低・中所得国において単回投与でもHPVの持続感染が高率(95%前後)に予防可能があるという研究結果が複数報告されていました。これらの報告が今回の発表につながった形です。

HPVワクチンを接種する際、留意すべき点は?

HPVワクチンを接種する際、留意すべき点について教えてください。

前田 裕斗 医師前田先生

今回の発表は、ワクチン供給の限られる低・中所得国の現状を打破するためにおこなわれたものであり、全ての国を対象として単回接種を推奨したものではないことに注意が必要です。例えば、ワクチンの単回投与が20代のHPV持続感染予防について2回や3回の投与と同じくらい効果があった、というインドからの研究が2021年9月に報告されましたが、最終的に子宮頸がんの予防効果があるかどうかなどについてはまだ判明していません。そのため、この結果を受けて「HPVワクチンは1回だけ受ければいい」と捉えないように注意が必要です。1回で済めば受ける側はとても楽なので1回でやめたくなる気持ちはとてもよくわかるのですが、現状はスケジュール通りの接種を受けることが望ましいと言えます。

まとめ

WHO がHPVワクチンについて単回接種は2回接種と同等の有効性があると発表した事が今回のニュースで明らかになりました。WHOはHPVワクチンの接種について、「2030年までに15歳以下の女性の90%にHPVワクチンを接種する」という目標を立てており、単回接種はその目標達成を早める可能性がありそうです。

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