「朝の血圧を下げる」には何が効く?”3つの方法”とモーニングサージを医師が解説!

朝の起き抜けに血圧が高いのはなぜ?メディカルドック監修医が、朝の血圧を下げる方法や生活習慣の改善法を詳しく解説します。

監修医師:
小鷹 悠二(おだかクリニック)
目次 -INDEX-
血圧とは?
血圧とは、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す力のことです。心臓はポンプのように縮んだり広がったりして血液を全身に送っています。心臓が縮んで血液を送り出す時の最も高い圧力が「上の血圧」、広がって血液を溜める時の最も低い圧力が「下の血圧」です。血圧が高い状態が続くと、血管が傷つき、脳卒中や心臓病などの重大な病気を引き起こす原因になります。
血圧の数値が意味すること
心臓が縮んで血液を押し出す時の最も高い圧力が「収縮期血圧(上の血圧)」、広がって血液を溜める時の最も低い圧力が「拡張期血圧(下の血圧)」です。
血圧の日内変動のメカニズム
血圧は1日の中で変動しており、通常は寝ている夜間に低く、起床前後に高くなります。これは、体が活動の準備を始めるためです。朝になると「交感神経」という自律神経が活発になり、血管を収縮させたり、血圧を上げるホルモンが増えたりして血圧を上昇させます。逆に夜はリラックスして血圧が下がります。この変動は、体が1日の活動リズムに合わせるための自然な仕組みです。
朝の血圧が高くなる原因とリスク
血圧は1日中ずっと同じではなく、通常は夜間に低くなり、朝に高くなるというリズムがあります。しかし、この朝の血圧が異常に高くなってしまう人がいて、これを「早朝高血圧」と呼びます。病院でお昼ごろに測ると正常に戻っていることが多いため、健康診断などでは見つかりにくい「仮面高血圧」とよばれる病態のひとつです。気づかないうちに心臓や血管に大きな負担をかけ続けてしまうので、自宅で朝に血圧を測ってチェックすることがとても大切です。
なぜ朝に血圧が上がってしまうのか?
朝起きると、体は活動モードに切り替わります。この時「交感神経」という神経が活発になり、血管を縮めて血圧を上げます。これは自然な反応ですが、血管が硬くなっていたり、急な寒さを感じたりすると、血圧が上がりすぎてしまいます。また、前の晩のお酒や、高血圧の薬の効果が朝までに切れてしまうことも原因になります。さらに、睡眠時無呼吸症候群などで夜しっかり休めていないと、夜の高い血圧がそのまま朝まで続いてしまうこともあります。
寝起きの血圧が急上昇する「モーニングサージ」とは?
「モーニングサージ」とは、夜寝ている間は血圧が低いのに、目覚めると同時にジェットコースターのように急激に血圧が上がる現象のことです。波(サージ)のように押し寄せることからこう呼ばれます。健康な人でも朝は少し血圧が上がりますが、モーニングサージはその上がり方が激しいのが特徴です。血管に急な衝撃がかかるため、他の時間帯は血圧が正常でも、このタイプは特に注意が必要です。朝の家庭血圧が135/85mmHgを超えるようなら警戒が必要です。
朝の血圧が高い状態を放置するリスク
朝の血圧が高い状態を放っておくと、脳卒中や心筋梗塞などの命に関わる病気を引き起こす危険性が非常に高くなります。実際、こうした危険な病気は朝の時間帯に多く起きています。朝の血圧が急上昇する人は、そうでない人に比べて脳卒中などのリスクが約2.5倍以上高いというデータもあります。また、脳や心臓だけでなく、腎臓などの臓器も少しずつ傷ついていきます。「昼間は正常だから大丈夫」と油断せず、早めに医師に相談して治療することが大切です。
朝の血圧を効率よく下げるための正しい対処法は?
朝の血圧が高い「早朝高血圧」は、脳卒中や心筋梗塞などの命に関わる病気を引き起こすリスクが高い危険な状態です。しかし、薬に頼るだけでなく、日々の生活習慣を少し変えるだけでも血圧を下げることができます。まずは家庭で朝の血圧を測って自分の状態を知り、これから紹介する方法を無理なく生活に取り入れて、健康な血管を守りましょう。
朝の習慣を見直す
寒さは血管を縮めて血圧を上げる主要な原因の一つです。冬の朝は、起きる前に暖房で部屋を暖めたり、トイレや脱衣所も寒くないように工夫しましょう。ゴミ出しなどで外に出る時も、薄着のままではなく上着を羽織ることが大切です。また、睡眠不足やストレスも血圧を上げる原因になります。夜はリラックスして十分な睡眠をとり、朝は余裕を持って行動して、心と体の緊張をほぐすようにしましょう。目が覚めてから布団の中で5分休む「スロースタート」も効果的です。
食生活の改善と減塩のポイント
塩分のとりすぎは血圧を上げます。1日の塩分量は6g未満を目標に、麺類の汁を残したり、漬物を控えたりしましょう。逆に、野菜や果物に含まれる「カリウム」は余分な塩分を体の外に出す働きがあるので、積極的に食べることがおすすめです。また、肥満も高血圧の原因になるので、食べ過ぎに注意して適正体重を目指しましょう。お酒の飲み過ぎも翌朝の血圧を上げるので、控えることが大切です。
グーパー運動(ハンドグリップ)は血圧に効果がある?
タオルや器具を握る「ハンドグリップ運動」は、血圧を下げる効果があることがわかっています。全力の30%程度の力で2分間握り、1分休むのを繰り返す方法が一般的ですが、より軽い15%程度の力でも、12週間続けると朝の血圧が下がったという研究結果もあります。テレビを見ながらでもできる簡単な運動ですが、やめると効果がなくなってしまうため、毎日コツコツ長く続けることが最も大切です。
医療機関でできる血圧の治療・改善
高血圧は自覚症状がほとんどありませんが、放置すると血管が傷つき、脳卒中や心臓病などの怖い病気を引き起こす「サイレントキラー」です。特に、病院では正常でも家で測ると高い「仮面高血圧」や、朝の血圧が高い「早朝高血圧」はリスクが高いことがわかっています。食事や運動などの生活習慣を変えても血圧が下がらない場合や、すでに血圧がかなり高い場合は、医療機関での治療が必要です。医師は血圧だけでなく、他の病気の有無や血管の状態も調べて、最適な治療法を提案してくれます。
朝の血圧が気になる場合、何科に受診すれば良い?
健康診断や家での測定で血圧が高いとわかったら、まずは近くの「内科」や「循環器内科」を受診しましょう。高血圧は心臓や血管の病気と深く関係しているため、循環器内科は専門的な検査や治療が得意です。また、ホルモンの異常などが原因で血圧が上がっている「二次性高血圧」が疑われる場合は、内分泌内科などの専門医を紹介されることもあります。まずは、かかりつけの医師に相談してみるのが一番安心です。
医療機関で行われる血圧の治療法・降圧薬とは?
治療の基本は、減塩や運動、減量などの「生活習慣の改善」です。それでも下がらない場合は「降圧薬」という血圧を下げる薬を使います。血管を広げる薬、余分な水分や塩分を体の外に出す薬、血圧を上げる物質をブロックする薬などがあります。医師は患者さんの体質や他の病気の有無に合わせて薬を選びます。最近は1日1回飲むだけで良い薬や、複数の成分が一緒になった飲みやすい薬(配合剤)も増えています。
高血圧で受診する前に行った方が良いことはある?
受診前にぜひ行ってほしいのが「家での血圧測定と記録」です。病院で測る血圧は緊張して高くなることがあるため、家でのリラックスした状態の血圧(特に朝起床時と、夜寝る直前の血圧)の記録は、医師が正しい診断をするためにとても重要です。血圧手帳やノートに記録して持参しましょう。また、家族に高血圧の人がいるか、普段の食事や運動の状況、今飲んでいる薬やお薬手帳の情報も整理しておくと、診察がスムーズに進みます。
「朝の血圧を下げる方法」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「朝の血圧を下げる方法」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
血圧が気になるときにタオルを握るグーパー運動は朝起きてすぐ行っても良いですか?
小鷹 悠二 医師
基本的には、自分の好きな時間に行って大丈夫です。ただ、朝起きてすぐは血圧が急に上がりやすい時間帯でもあります。特に寒い冬の朝などは血管が縮まりやすいため、部屋を暖かくして、少し動いて体が起きてから行うのが安心です。この運動は、一度きりではなく毎日コツコツ長く続けることで効果が出るので、自分が忘れずに続けやすいタイミングを見つけてやってみましょう
朝だけ血圧が高い場合でも、薬を飲む必要はありますか?
小鷹 悠二 医師
朝だけ血圧が高い「早朝高血圧」は、脳卒中や心臓病を起こす危険が高いため、治療が必要です。まずは減塩や寒さ対策などの生活習慣を見直すことから始め、それでも下がらない時は薬を飲む必要があります。病院での血圧が正常でも安心せず、医師に相談して自分に合った治療を受けることが大切です。
朝の血圧が150以上だったら、すぐに受診すべきですか?
小鷹 悠二 医師
朝の血圧が135以上あると「早朝高血圧」と呼ばれ、150は高い状態です。もし激しい頭痛や胸の痛み、しびれなどがあれば、すぐに受診が必要です。症状がなくても、血管に負担がかかっている状態が続いてしまうため、放置せずに早めに医師に相談しましょう。
モーニングサージによる高血圧は冬になりやすいのでしょうか?
小鷹 悠二 医師
はい、冬はモーニングサージが起こりやすくなります。寒さで血管が縮まるうえに、暖かい布団から寒い部屋へ移動する温度差が刺激となって、血圧が急上昇してしまうからです。心臓病などの危険も高まるため、冬の朝は暖房で部屋を暖かくしてから起きるなどの工夫が大切です。
まとめ 朝の血圧管理は生活習慣の改善と早期の受診が大切!
朝の血圧が高いことは、脳や心臓の病気などの深刻な病気の原因となってしまうため、注意が必要です。
まず日常生活の中で改善できることを見なおし、それでも改善がない場合には早期にて適切な治療を受けることが大切です。
「朝の血圧」に関連する病気
「朝の血圧」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
一言:様々な心臓や脳、血管の病気が血圧が高いことによって引き起こされます。特に「朝の血圧が高い」場合には、急激な血圧上昇によって重大な疾患を引き起こすリスクとなるため、放置せずに生活習慣を改善したり、病院を受診して治療を受けることが大切です。
「朝の血圧」に関連する症状
「朝の血圧」から医師が考えられる症状は5個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
一言:高血圧は無症状なことも多いですが、上記のような症状が出現している場合には臓器への過度の負担がかかっている可能性もあるため、速やかに受診が必要です。
参考文献
- 高血圧管理・治療ガイドライン2025
- 一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」の解説冊子
- 早朝高血圧とは オムロン
- 特に危険!早朝の高血圧とは? 日本予防医学協会




