「肝機能検査」で数値が高いとどうなる?「検査方法」や放置するリスクを医師が解説!

肝機能検査方法とは?メディカルドック監修医が検査概要や見つかる病気・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
岡本 彩那(淀川キリスト教病院)
目次 -INDEX-
肝機能検査とは?どんな方法で肝臓の何を調べる?
肝機能検査とは文字通り肝臓の機能を調べる検査です。肝臓の身体における主な役割は多く、主なものでは
① 糖、タンパクなど栄養の合成、貯蔵、代謝
② 解毒
③ 消化液(胆汁)の分泌
等が挙げられます。肝機能検査とはこれらの機能がわるくなっていないか、肝臓の細胞に障害が起こっていないかなどを調べる検査です。ここでは肝機能検査について解説していきます。
健康診断で肝機能検査は受けられる?
一般的に健康診断では血液検査を行います。そしてその多くには肝機能検査の項目も入っていることが多いでしょう。具体的には
AST・ALT、γ-GTP、LDH、ALP、総ビリルビン(T-Bil)
などが当てはまります(健康診断の種類などによって変わることもあります)。
血液検査以外でも、プランによっては腹部超音波検査を行うことがあります。腹部超音波検査では、肝臓の状態を画像として確認します。
肝機能検査で何がわかるの?主な項目
肝機能検査では文字通り肝臓の細胞が障害されることで機能が障害されていないかを判断します。主に血液検査でAST・ALT、γ-GTP、LDH、ALP、総ビリルビン(T-Bil)などの項目を調べます。その他、肝機能の指標としてタンパク、アルブミン、PTなどの値を調べることがあります。
肝機能を見る場合、どの値が優位に、どのように上がっているかでどの部分に異常があるか、肝臓の余力がどのぐらいかなどを見ていきます。
肝機能低下・肝臓が弱っているときの主な自覚症状とは?
肝臓はダメージを受けたとしてもなかなか症状が現れません。そのため、症状が出たときには肝臓はかなりのダメージを負っています。
ここでは肝機能が悪くなった時にどうなるのか解説していきます。
肝機能低下時に現れやすい身体的なサイン
上に述べた通り、肝臓が原因で症状が出た場合、肝臓はかなり悪いと考えて良いでしょう。
初めは少し疲れやすいという症状から、黄疸(白目から徐々に黄色くなります)や手足の痒み、むくみ、腹水などが現れます。最終的にお腹は腹水でパンパンなのに身体は痩せている、などの状態になることもあります。
その他、意識が悪くなったり、血が止まりにくくなったり、手のひらが赤くなるなど、様々な症状を起こします。
肝機能が低下する原因は?
肝機能が低下する原因は様々です。代表的な物としては
① ウイルス感染(肝炎ウイルスなど)
② アルコール
③ 脂肪肝
等が挙げられますが、その他にも自己免疫性(自分の免疫が肝臓などを攻撃してしまう)や胆道(胆汁の通り道)の障害等でも肝機能が障害されることがあります。また、心臓等が悪く、肝臓に血液がうっ滞する等でも肝機能障害が起こります。
自覚症状がなくても肝機能検査が必要な理由
肝臓はダメージを受けたとしてもなかなか自覚症状が現れにくい臓器です。ある程度障害を受けたとしても、最後の最後、崖っぷちまで耐えてしまうような臓器です。そのため、肝機能障害により症状が出た時には肝臓はかなり悪い状態と考えていいでしょう。症状が出て病院に行った時には肝硬変末期でもう元には戻りません、と言う状態であったり、肝臓がんがかなり進行していました、と言う状態であることもあります。
そのため、自覚症状として出てくる前に健診などで定期的に肝機能を確認し、悪ければ早期に治療を行っていく必要があるのです。
肝臓の状態を調べる主な検査方法
血液検査
血液検査では
AST、ALT、γ-GTP、LDH、ALP、総ビリルビン(T-Bil)
などの項目を確認します。一部、胆道系酵素(胆汁の通り道)が含まれており、どのような上がり方をするか、どんな比率で上がるかなどでどこに異常があるかある程度目星をつけていきます。また、タンパクや凝固因子を確認し、肝臓の予備能(余力)がどの程度あるかも確認していきます。
肝機能障害が指摘された場合は、その原因精査として自己免疫の抗体やIgGなど、フェリチンやウイルス検査などを調べていきます。また、その他に甲状腺の機能など、AST,ALTが上がる原因となり得る病気の項目を調べることもあります。
腹部超音波検査
腹部超音波検査は身体への負担が最も少なく、肝臓の状態を一番評価できる検査です。この検査ではお腹の上からゼリーをつけたプローベを当てることで肝臓を超音波でスキャンし、画面に描出します。
肝機能障害の原因として、胆道に異常がある場合もあります。胆道は胃や腸の裏にあるため、食事をとってしまうと胃や腸の中にある食べ物や空気に超音波が遮られてしまい見えなくなることがあります。肝臓自体が胃や腸に隠れることは多くはないですが、この検査を受ける場合は朝から絶食となります。
脂肪が多すぎる人や、肝臓が皮膚から遠く肋骨の上の方に上がってしまっている人、息を吸ったり吐いたりが意識してできない人などは全体の検査が難しいこともあります。ただし、唯一と言って良いほど合併症や副作用がほぼない検査ですので、肝機能障害が指摘された場合はまず行う検査でしょう。
腹部造影CT検査
CT検査とは放射線を使用することで体内をスキャンして、臓器や骨などを画像として映し出す検査です。
検査時間は5-15分程度と短いものの、放射線を使用するため被爆してしまうというデメリットがあります。また、肝機能障害を指摘されてCTを行う場合は、がんなどの腫瘍があるか、胆管(胆汁を流す管)に炎症があるか、詰まりがあるかなどを見ることが多く、造影剤を使用した「造影CT検査」を行うことが多いです。この検査は手足から点滴をとり、そこから造影剤を投与してCTを撮影することで血流の有無などを鮮明化してみていく方法です。ただし、この造影剤はアレルギーが出やすいという欠点があり喘息やアレルギーのある人には使えません。また、腎臓に負担のかかる検査のため、腎機能障害がある人は検査自体ができない可能性もあります。
腹部MRI検査
MRI検査とは、磁気を利用して体内をスキャンして臓器や血管を画像として映し出す検査です。前述のCTに比べて、軟部組織の性状などもわかりやすくなります。また、CTは被爆の問題がありますが、MRIでは磁力を利用するので被曝はしません。一方で、かなり強力な磁力を利用しているため、体内に金属が入っている人やペースメーカーが入っている人は検査を受けることができません。検査時間はCTに比べて30分程度と長く、狭い場所に長時間いるため圧迫感などから閉所恐怖症の人は検査に耐えれないこともあります。
肝臓を見る際にはCTと同じく造影剤を使用することもあります。
肝生検(針生検)
肝生検とは、肝臓の組織を針で刺すことで採取し、顕微鏡で評価する検査です。肝生検の場合は外来、日帰りではできず、基本入院となる検査です。
まず、検査の前は基本絶食とします。検査を行う際は腹部超音波検査(エコー)を行い、超音波で肝臓を映し出すします。血管をよけて肝臓や目的となる腫瘍をさせる場所が確認できれば皮膚及び肝臓の表面という痛みが出る場所に局所麻酔を行います。その上でエコーで肝臓を見ながら表面から肝臓に針を刺して組織を採取します。
針を刺した後は出血のリスクがあるため、数時間は絶対安静となります。腹圧がかかることができないため、基本首や腕、手は動かせますが、首から下、足なども含め全く動かすことができません。
「肝機能検査」の見方と再検査が必要な「肝機能」に関する数値・結果
ここまでは診断されたときの原因と対処法を紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。
「肝機能検査」の基準値と結果の見方
肝機能の検査として一般的に行われるのはまず血液検査です。
血液検査では下記のような項目が調べられます(項目右は基準値)。
- AST:30 U/L以下、ALT:30 U/L以下
肝細胞の中に存在する酵素、上昇では肝細胞が壊れていることを示す (ASTは筋肉など他の細胞にもいるので、それらの細胞が壊れても上がります) - γ-GTP:0~50 U/L
アミノ酸の産生に関わる酵素。飲酒で上がることでも知られています。 - LDH:106~220 U/L
全身の細胞内に存在する酵素。身体の細胞が障害を受けたときに上がり、肝臓が障害された場合も上がります。 - ALP:38~113 U/L、総ビリルビン(T-Bil):0.3~1.2 mg/dL
胆道の異常により胆汁がうっ滞するなどで上がる - 総タンパク:6.5~8.0 g/dL、アルブミン:4.0~5.2 g/dL
肝臓のタンパク質などの合成能が影響される - PT:80~100%
止血する能力を評価する。肝臓でどのぐらい凝固因子を作るかが反映されます。
少しでも異常があれば何かの病気が隠れているかもしれないので、一度内科・消化器内科を受診しましょう。
特に年齢が若いのに肝機能障害が指摘された等であれば何かが隠れている可能性があります。一度病院で検査を受けましょう。
「肝機能検査」の異常値・再検査基準と内容
肝機能障害が指摘された場合、受診のタイミングにもよりますが、それが一時的であったのか調べるために再度同じ項目をみる事が多いでしょう。それに加えて何か原因となるようなものがないかウイルスや自己抗体(自分を攻撃してしまう抗体)、免疫なども調べることが多いでしょう。また、何が原因か調べるために詳細な問診(新しくサプリメントや薬を始めていないか、何か今まで病気がないか、食生活、運動習慣、飲酒の有無、家族に大きな病気がないかなど)を行います。
その上で適宜その時の状況次第で腹部超音波検査、MRI、CTなど画像検査を行っていきます。
基本肝機能障害を指摘された場合は内科、消化器内科を受診して検査を受けますが、何らかの症状が出ている、急に肝機能障害が出てきた、また、かなりの高値(ASTやALTが100以上だったり10000以上の数値であったりした際など)であればすぐに受診するようにしましょう。
「肝機能検査」で見つかる病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「肝機能検査」で見つかる病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
脂肪肝
脂肪肝とは文字通り肝臓に脂肪が蓄積してしまった状態のことを指します。たかが脂肪がたまっただけと思っても、肝臓に慢性的な炎症を起こし、最終的には肝硬変を起こすこともあります。脂肪肝が指摘された場合は一度腹部超音波検査などを受けて肝臓の状態を確認するとともに、運動やバランスの良い食事等で改善を試みることが重要です。
アルコール性肝障害
アルコールを大量に飲む、飲み続けると肝臓にダメージが蓄積します。それが続くと炎症(アルコール性肝炎)や肝硬変になっていきます。
アルコール性肝障害の唯一の治療は禁酒ですが、なかなかやめることができず飲酒を続けることで病状が悪くなる人も多い病気です。脂肪肝や肝炎の状態であれば禁酒により元に戻る可能性がありますが、肝硬変になった場合は元に戻りません。他の病気からなる肝硬変であれば肝移植などの治療も視野に入ることがありますが、アルコールによるものの場合は適応になりません。
アルコールは適切に適量までにしておくこと、異常が指摘されたなら禁酒に努めて、「一滴ぐらい」という考えも持たないようにすることが重要です。
ウイルス性肝炎(B型・C型)
肝機能障害、肝炎、肝硬変の原因の一つとしてウイルス感染が挙げられます。肝炎ウイルスはA~E型までありますが、とくに問題となりやすいのは慢性肝炎、肝硬変を引き起こすB型、C型肝炎でしょう。
B型肝炎は一過性の症状で終わることも多い反面、その後持続感染となってしまいほぼ一生涯感染が続く人もいます。C型肝炎は感染すると大半の人はそのまま持続感染となり、その後慢性肝炎、肝硬変、肝臓がんなどを引き起こす可能性があります。
B型・C型肝炎ともに近年では飲み薬での治療が主流となっています。特にC型肝炎の内服治療は高額となるため、国や都道府県の行っている医療費助成の申請を行うことが大切です。
肝硬変
肝硬変の多くは慢性的に炎症が続くことにより起こります。炎症によって肝細胞が障害され、その後再生、また障害と繰り返されると肝臓の機能は徐々に落ちていき、肝臓自体が徐々に硬くなっていきます(線維化)。このなれの果てと言える状態が「肝硬変」です。
肝硬変の原因は肝炎や脂肪肝等です。この段階であれば元の肝臓に戻る可能性はありますが、肝硬変になってしまうと元には戻りません。だるさや黄疸、腹水、全身のむくみなどの自覚症状が現れてきます。また、食道静脈瘤などを作り吐血を起こすこともあります。
肝臓がん
肝臓がん(肝細胞がん)は肝臓の細胞からできるがんです。肝臓は障害を受けてもなかなか症状に出ない臓器であり、全く症状がないのに調べてみると肝臓がんがあった、進行していた、というケースもあるでしょう。
肝臓がんの原因としてC型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルスが大半を占めますが、近年はウイルス感染が原因ではない肝臓がん(脂肪肝やアルコールなど)も増えてきています。
肝機能を健康に保つための正しい改善法とは?
肝機能を改善するための食事法
肝臓に良い食事とされているのは良質なタンパク質です。具体的には全粒穀物、肉類、魚類、大豆、卵等です。豆腐や納豆も良いでしょう。逆に加工肉や精製された穀物、清涼飲料水などは控えるようにしましょう。これらをとるだけではなく、栄養バランスを考え、塩分を控えた食事をしましょう。また、アルコールは摂りすぎないように注意しましょう。
適度な運動が肝臓に与える良い影響
脂肪肝などでは脂肪が肝臓についてしまっています。治療としては適切な運動と食事になります。運動を続けることで体重も減り、脂肪肝も徐々に改善していきます。毎日仕事や家事で歩いているから大丈夫、というのではなく、「歩く」という目的のために毎日30分以上のウォーキングなどを行うように心がけましょう。
休肝日の設定や節酒などの生活習慣の改善
アルコールを飲みすぎると肝臓に悪いということは一般的にも知られています。これはアルコールが肝臓で分解される過程において、肝臓に有害な代謝物が作られるからです。大量にお酒を飲むと肝臓へのダメージが大きくなりますし、休肝日がなく毎日お酒を飲むと傷ついた肝臓が回復する時間が無くなります。そのため休肝日の設定やお酒を飲みすぎないということは重要です。
「肝機能検査方法」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「肝機能検査方法」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
肝臓機能の検査方法は何種類ありますか?
岡本 彩那 医師
肝機能検査として一般的に行われているのは血液検査です。その他肝臓の状態を調べるものとして腹部超音波検査やMRI等があります。
肝臓病は血液検査の何の項目でわかりますか?
岡本 彩那 医師
一口に肝臓の病気と言っても様々です。肝機能障害であれば肝酵素であるAST.ALTやγGTP、ALP、ビリルビンなどの胆道系酵素を調べますが、原因を調べるのであれば各種ウイルス検査や自己抗体、免疫系の検査などを行っていきます。
肝臓が悪い時に出る症状は何がありますか?
岡本 彩那 医師
肝臓が悪くなり自覚症状が出る場合、肝臓はかなり悪くなっていると言ってよいでしょう。具体的には身体のだるさ、疲れやすさから、黄疸、全身のむくみ、腹水、意識障害など様々な症状が出てきます。
肝機能の検査は何歳から何科で受けるべきですか?
岡本 彩那 医師
肝機能検査は健診でも行うことが多いでしょう。健診は隠れた病気がないかを確認するためのものですので、何歳からでも受けるべきです。健診で異常が指摘された場合は内科、消化器内科を受診して精査を受けましょう。
肝臓の健康度は超音波検査でもわかるのでしょうか?
岡本 彩那 医師
腹部超音波検査は肝臓の状態を画像で評価する検査です。脂肪肝があるか、何か腫瘍がないかなどを評価することはできますが、肝臓が「健康か」を確認するのであれば血液検査で肝機能をみておくことも必要です。
まとめ 「肝機能検査」は異常があれば一度精査を!
肝臓は何らかの病気があったとしてもなかなか自覚症状として表れにくい臓器です。そのまま気づかずに過ごし、いざ気付いたときには肝硬変や肝臓がんなど重篤な病気になってしまっていることもあります。
肝機能は健診などでも確認される検査であり、適宜健診を受けること、異常があれば早めに病院を受診し、詳しい検査を受けることが重要です。
「肝機能」の異常で考えられる病気
「肝機能」から医師が考えられる病気は13個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
循環器系の病気
肝臓以外に原因がある場合でも肝機能障害を指摘されることがあります。
「肝機能」の異常で考えられる症状
「肝機能」から医師が考えられる症状は10個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
肝臓が原因で症状が出た場合、何らかの病気が進行している可能性が高いでしょう。すぐに病院受診をしましょう。