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「脳ドックは何歳」から?費用や特に受けた方が良い人について医師が徹底解説!

 公開日:2025/07/31

脳ドックは何歳から受けるべき?Medical DOC監修医が脳ドックでわかることや結果の見方や基準値・受けた方がいい人の特徴・発見できる病気などを解説します。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。
2011年福島県立医科大学医学部卒業。2013年福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長を歴任。2022年より東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医、健康経営エキスパートアドバイザー。

脳ドックとは?

現代の忙しい生活の中で、脳の健康を維持することは重要な課題です。特に、脳卒中などの脳の病気は突然発症することが多いので、事前にしっかりと予防策を行うことが重要です。そのために有効な検査が「脳ドック」です。本記事では、脳ドックについて解説していきます。

脳ドックとはどんな検査?

脳ドックとは、MRI(磁気共鳴画像法)や超音波検査などを用いて、脳や血管の状態を調べる検査のことを指します。主に脳梗塞、脳動脈瘤、脳腫瘍、無症候性の脳出血などの有無を調べます。この結果をもとに、脳の健康状態を早期に把握し、必要な治療や予防策を講じることができます。 脳ドックの中心はMRI検査ですが、頚部超音波検査や血液検査、認知症検査、心電図検査など、医療機関によってはいろいろなコースが設定されていることもあります。

脳ドックで体の何がわかる?

脳ドックを受診することで、以下のような脳や血管の状態が明らかになります。 ・脳梗塞の発症既往の有無 自覚する症状はない状態(無症状)で脳梗塞を発症していることがあり、脳ドックで初めて発見されることがあります。 ・動脈硬化の有無 血管の狭窄やプラーク形成の程度がわかります。 ・脳動脈瘤や血管奇形の有無 破裂すると命に関わる動脈瘤や動静脈奇形などの有無を確認できます。 ・脳腫瘍や脳出血 早期段階の脳腫瘍や、気づいていない軽度の出血の有無を確認できます。

脳ドックはどこでできるの?

脳ドックは、以下の医療施設で受診可能であることが多いです。
  • 大学病院や地域の総合病院
  • 脳神経内科クリニック/脳神経外科クリニック
  • 健康診断施設
詳細は希望する医療機関に直接問い合わせるのが良いでしょう。

脳ドックの費用・保険適用の有無

脳ドックの費用は施設によって異なりますが、一般的には3万〜7万円程度が相場と言われています。MRI以外の検査項目が多い場合には10万円以上となることもあります。 基本的に脳ドックは予防目的の検査であるため、保険適用外です。 ただし、検査結果で異常が発見され、その後の精密検査や治療に進む場合は保険が適用されます。

脳ドックや当日の注意点

検査前日の飲酒や過度の運動は避けることが推奨されます。 検査当日は血液検査を行う場合でなければ食事制限はないことが多いのですが、施設の指示に従ってください。 MRI検査を受けるにあたっての注意事項としては、貴金属類(アクセサリーや腕時計)は外す必要があります。MRI検査を受けられない方(心臓ペースメーカー装着者など)はCT検査を行うなどの対応をすることがありますが、事前に施設へ相談してください。

脳ドックは何歳から受診した方がいい?

一般的に脳ドックは、40歳以上の方に勧められます。これは、脳血管障害や動脈硬化のリスクがこの年齢から増加するためです。ただし、以下のような条件に該当する場合は、40歳未満でも受診を検討してください。 ・脳疾患の家族歴がある場合 脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血を発症した方が家族にいる場合は、脳動脈瘤の発生頻度が高まることが知られているため、若いうちから脳血管の評価を行うことが重要です。 ・高血圧や糖尿病などの持病を持つ場合 これらの疾患は動脈硬化を進行させる要因となっており、脳血管障害のリスクを高まっています。

脳ドックの結果の見方と再検査が必要な診断結果・所見

ここまでは脳ドックについて基本的なことを紹介しました。 再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。 以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

脳ドックの結果や数値の見方・分類と主な所見

検査結果は以下のように分類されることが一般的です。 ・異常なし 特に問題がない場合 ・正常範囲/支障なし 異常所見はあるものの病的ではなく正常範囲内であり、日常生活に差し支えない場合 ・要経過観察 軽微な異常所見が見つかるが、すぐに精密検査は必要ない場合 数ヶ月後に再検査と記載されていることもあります。 ・要精密検査 病的な異常所見が疑われ、詳しい検査を行うことが勧められる場合 ・要治療 病的な異常所見があり、早めに治療を行う必要がある場合

脳ドックの結果で精密検査が必要な基準と内容

まず、説明しておきたいことは、異常所見=病的な所見ではないということです。 異常所見と言われたからと言ってショックを受ける必要はありません。 異常所見は正常所見ではないことを意味しているだけです。 そのため、正常範囲内の異常所見であれば治療および慎重な経過観察は必要ありません。 異常所見と言われるものの中に、治療を要する病的な所見が含まれるのです。そのような病的所見は精密検査あるいは治療が必要となります。 精密検査が必要となる例
  • 脳動脈瘤が確認された場合
  • 脳梗塞や血管狭窄が疑われる場合
  • 脳腫瘍の存在が示唆された場合
検査内容
  • 造影剤を用いたCT検査やMRI検査
  • 血液検査
  • 脳血管撮影検査
  • 髄液検査
再検査の費用は通常、保険適用となります。どの検査を行うかによって費用は異なります。 医師の指示に従い、基本的に早急に検査を受けることが推奨されます。

脳ドックを受けた方がいい人の特徴

40歳以上

脳血管疾患の発症リスクは年齢とともに高まり、40代以降から脳卒中が増え始めると言われています。40歳以上の人で、一度も脳ドックを受けていない場合は、早めに受診したほうがよいでしょう

脳疾患の家族歴がある

脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血を発症した方が家族にいる場合には、そのような家族がいない場合と比べると、発症リスクは高いことが知られています。若い方でも定期的に脳MRI検査を受けることをお勧めします。

生活習慣病がある

高血圧症や脂質異常症などの生活習慣病がある場合、肥満や喫煙習慣のある場合には、これらが動脈硬化のリスクとなるため、受診を考慮すると良いでしょう。

「脳ドック」で発見できる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「脳ドック」に関する病気を紹介します。 どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

脳梗塞

脳梗塞は、脳の血管が詰まり、血流が途絶えることで脳細胞がダメージを受ける病気です。発症の原因には、動脈硬化や心房細動などが挙げられます。動脈硬化は高血圧や糖尿病、喫煙、肥満といった生活習慣がリスク要因となり、次第に血管が狭くなっていきます(動脈狭窄)。心房細動は心臓内で血の塊(血栓)を作りやすくなり、それが脳血管に飛んでいき脳血管を詰まらせる可能性のある病気です。 脳梗塞の治療は、早期発見が重要です。発症後4.5時間以内に血栓を溶解する治療(t-PA治療)やカテーテル治療による血栓を取り除く治療(血栓回収術)が有効ですが、予防には生活習慣の改善や血圧・不整脈の管理が重要です。再発予防の内科治療とリハビリテーションを継続していきます。 脳梗塞は突然発症する病気です。突然片側の手足が動かしにくくなる、ろれつが回らない、顔の片側が動きが悪いなどの症状が現れたら、すぐに救急車を呼んで脳神経内科か脳神経外科のある病院を受診しましょう。

脳出血

脳出血は、脳の血管が破れて出血し、周囲の組織を圧迫する病気です。主な原因は高血圧ですが、脳血管の異常や外傷も要因になります。 治療は、血圧をコントロールすることを中心とした内科治療とリハビリテーションです。脳出血の量が多い場合には手術で血腫を除去することがあります。 突然の激しい頭痛、意識障害、手足の麻痺、吐き気がある場合は、すぐに救急車を呼んで脳神経内科か脳神経外科のある病院を受診しましょう。

脳腫瘍

脳腫瘍は、頭蓋骨の中にできる腫瘍の総称です。良性と悪性があり、症状や進行の速さは腫瘍の種類や位置によって異なります。原因は遺伝的要因や放射線被曝などとされています。 治療法には手術、放射線治療、化学療法などがあります。良性の場合は、定期的な検査で経過を観察することもあります。 慢性的な頭痛、視力や聴力の低下、けいれん発作、性格の変化などが続く場合は早めに脳神経外科を受診して相談してください。

くも膜下出血

くも膜下出血は、脳血管が破裂して脳表面に出血する病気です。突然の激しい頭痛を伴うことが特徴です。原因は成人の場合は主に動脈瘤で、小児の場合は脳動静脈奇形です。 高血圧や喫煙が脳動脈瘤の破裂リスクを高めると言われるため、脳動脈瘤を指摘されたら血圧管理と禁煙が重要となります。 治療は、早期の手術と、脳血管攣縮予防と、水頭症の治療です。まずは発症早期に血管内治療(コイル塞栓術)や開頭手術(クリッピング術)で出血の原因を修復する手術を行い再出血を予防します。次に、発症2週間以内に脳血管の縮みこむ(脳血管攣縮)が起こり脳梗塞を発症する可能性があるため、その治療を行います。その後発症して1ヶ月程度の時期に脳内の脳脊髄液の代謝が悪化して水頭症が起これば手術治療を行います。内科治療や後遺症に応じたリハビリを続けていきます。 これまでに経験したことがないほど激しい頭痛が突然あった際には、ためらわずに救急車を呼んで脳神経外科のある病院を受診してください。

「脳ドックは何歳から」についてよくある質問

ここまで脳ドックは何歳から受診した方がいいかについて紹介しました。ここでは「脳ドックは何歳から」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

脳ドックの平均費用はどれくらいですか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

脳ドックの費用は施設によって異なりますが、平均的には3万〜7万円程度です。簡易的なプランから、詳細な検査を含む高額なプランまで幅広く用意されています。検査項目や地域による差もあるため、事前に確認するとよいでしょう。

編集部まとめ

脳ドックは、脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、くも膜下出血といった命に関わる疾患を早期に発見する手段です。人間ドックでは脳ドックが含まれていないことも多いため、適切なタイミングで受診し、結果に基づいて適切な対策を講じることで、健康的な生活を長く続けることができます。40歳以上で脳MRI検査を受けたことのない場合には受診を考慮しましょう。

「脳ドック」の異常で考えられる病気

脳神経内科・脳神経外科の病気

耳鼻咽喉科の病気

整形外科の病気

眼科の病気

  • 眼窩腫瘍
  • 眼内異物

参考文献

この記事の監修医師