「Creの血液検査」とは?基準値から高い・低い原因と改善するコツを解説【医師監修】

creの血液検査で一体何がわかるのか?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
木村 香菜(医師)
目次 -INDEX-
「creの血液検査」に関する対策と対処法
Cre(クレアチニン)血液検査は、腎機能を評価するための重要な検査です。CREは筋肉の代謝産物であり、腎臓で処理されるため、血液中のクレアチニンの量は腎臓の健康状態を反映します。この検査は、腎機能が低下している場合や、他の病気の早期発見に役立ちます。
creの血液検査の数値が高いときの原因と対処法
CREの数値が高い場合、腎臓の機能が低下している可能性があります。主な原因には次のものが挙げられます。
- 慢性腎臓病(CKD): 腎臓が正常に機能しなくなる慢性的な疾患。
- 急性腎不全: 短期間で腎機能が低下する状態。
- 脱水症: 十分な水分が取れていないとクレアチニン値が上昇します。
- 薬物の影響: 一部の薬が腎臓に負担をかけ、クレアチニン値を上昇させることがあります。
- 横紋筋融解症:クレアチニンは筋肉の細胞が破壊されるような病態の場合に上昇することがあります。
健康診断などでクレアチニン値が高いとわかった場合、まず以下のような対策が考えられます。
- 十分な水分補給: 脱水を防ぐために、水分をしっかり摂取しましょう。
- 食生活の改善: 高タンパク質の食事は腎臓に負担をかけるため、バランスの良い食事を心がけましょう。
しかし、自己判断は禁物です。特に、精密検査・再検査の判定が出た場合には、腎臓内科での診察が推奨されます。早期の診断と治療が腎機能の改善に役立ちます。
creの血液検査の数値が低いときの原因と対処法
CREの数値が低い場合、以下のような原因が考えられます。
- 筋肉量の低下: 高齢者や寝たきりの方は筋肉量が減少し、クレアチニンの産生量が減少します。
- 栄養不足: 特にタンパク質不足はクレアチニン値に影響を与えます。
クレアチニン値が低い場合は、筋肉量の維持やバランスの取れた栄養摂取が重要です。特に高齢者は、定期的な運動や適切な栄養補給を心がけることがすすめられます。
すぐに病院へ行くべき「creの血液検査の数値が高い・低い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
creの血液検査の基準値はどれくらい?
一般的に、成人の血清クレアチニンの正常値は以下の通りです。
- 男性: 1.0 mg/dL以下
- 女性: 0.7 mg/dL以下
そして、健康診断で以下の数値になると、再検査判定となることが多いと考えられます。
- 男性: 1.3 mg/dL以上
- 女性: 1.0 mg/dL以上
しかし、基準値は年齢、性別、体格により異なるため、医師の診断が重要です。クレアチニン値が正常範囲内でも、腎臓に負担がかかっている場合があります。
creの血液検査の数値が高い・低い場合は、腎臓内科へ
クレアチニン(CRE)の血液検査は、腎臓の機能を評価するための重要な指標です。クレアチニンは、筋肉の代謝産物として腎臓でろ過されるため、血中クレアチニン濃度の異常は腎臓機能の低下や他の健康問題を示唆することがあります。クレアチニンの数値が高い、または低い場合は、早急に腎臓内科を受診することが推奨されます。
まず、クレアチニン値が高い場合には、腎臓が老廃物を正常に排出できていない可能性があります。これにより、全身のむくみや尿量の異常(減少または増加)、強い疲労感、息切れ、高血圧といった症状が見られることがあります。また、食欲不振や吐き気などの消化器症状も併発することが多く、日常生活に支障をきたす場合もあります。一方で、クレアチニン値が低い場合は、特に高齢者や長期入院している人に多く見られ、筋肉量の減少や栄養不足が原因となることがあります。このような場合、筋力の低下や体重減少、全身の倦怠感といった症状が特徴的です。
クレアチニン値が高い場合に考えられる主な病気としては、慢性腎臓病(CKD)や急性腎不全、腎盂腎炎、尿路閉塞などがあります。これらの疾患は、腎臓が正常に機能しなくなることにより、体内の老廃物が適切に排出されなくなることで発症します。一方、クレアチニン値が低い場合には、筋肉量の減少による疾患や、長期間の栄養不足が関連していることがあります。筋ジストロフィーのような筋肉の病気や、寝たきりの状態が長引くと、筋肉の量が減少し、クレアチニンの産生が減少するため、結果として血中クレアチニン値が低下します。
このような場合には、腎臓内科での診察が推奨されます。腎臓内科では、まず血液検査や尿検査を通じて腎機能を詳細に評価し、必要に応じてエコー検査やCTスキャンなどの画像検査を行います。さらに、食事療法や薬物療法を提案することによって、腎機能の保護や改善を目指します。また、定期的なフォローアップが重要であり、病状の進行を防ぐための早期治療が推奨されます。
受診時には、事前に行った血液検査の結果を持参することが推奨されます。これにより、医師が迅速に正確な診断を行うことができ、適切な治療を早期に開始することが可能です。また、普段の食事内容や水分摂取量についても記録しておくと、腎臓への負担を考慮したアドバイスを医師から受けやすくなります。特に、クレアチニン値が異常であれば、全身の症状を詳しく伝えることで、医師の診断がスムーズに進むでしょう。
クレアチニン値の異常は、単なる腎臓の問題に留まらず、全身の健康状態に影響を与える可能性があります。適切な診断と治療を早期に受けることで、病状の進行を防ぎ、生活の質を維持するためにも、腎臓内科での受診は非常に重要です。
受診・予防の目安となる「creの血液検査の数値」のセルフチェック法
- 尿量の急激な減少: 腎機能が低下している可能性があります。
- むくみ: 腎臓が適切に機能していない場合、体内に余分な水分が溜まることがあります。
- 全身倦怠感や息切れ: 腎臓の異常は全身の体調に影響を与えるため、これらの症状が現れることがあります。
このような症状が見られる場合は、すぐに医師の診察を受ける必要があります。
「creの血液検査の数値が高い・低い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「creの血液検査の数値が高い・低い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、どのように対策すれば良いのか、など病気について気になる事項を解説します。
糸球体腎炎
糸球体腎炎は、腎臓の糸球体と呼ばれる部分が炎症を起こすことで腎機能が低下する疾患です。主な症状としては、尿に血液が混じる血尿やタンパク尿、血液中のクレアチニン値の上昇が検査所見としてあります。また、むくみが現れます。進行すると腎不全に至ることがあるため、早期に対処することが重要です。
対処法・治療法としては、ステロイド薬や免疫抑制薬を使用し、腎臓の炎症を抑える治療が行われます。また、食事療法として塩分を控えることや、タンパク質の摂取を制限することが推奨されます。腎臓内科での受診が必要であり、早期発見と治療が腎機能の保護につながります。
肝機能障害
クレアチニン値が低い場合、肝機能障害が関与している可能性があります。肝臓の機能が低下すると、体全体の代謝や筋肉量に影響を及ぼし、クレアチニンの産生が減少することがあります。特に栄養状態が悪化している場合や、慢性的な肝疾患を抱えている人では、クレアチニン値が低くなる傾向があります。
また、非代償性肝硬変や劇症肝炎に伴い、急性腎不全が起こることがあります。結果として腎機能が悪化し、クレアチニン値が高くなることもあります。
対処法・治療法としては、肝臓の機能をサポートするための治療や、栄養状態の改善が推奨されます。肝臓内科での受診が必要で、定期的な血液検査や肝機能検査を行いながら、病状を管理していくことが重要です。
筋ジストロフィー
筋ジストロフィーは、筋肉が徐々に萎縮し、筋力が低下していく遺伝性疾患です。クレアチニンは筋肉で作られるため、筋ジストロフィーによる筋肉量の減少が進行すると、クレアチニン値が低くなることがあります。
対処法・治療法としては、筋肉の萎縮を遅らせるためのリハビリテーションや、栄養管理、適切な運動療法が行われます。筋ジストロフィーの進行を抑える薬物療法も併用されることがあります。2020年、筋ジストロフィーの進行を抑える、エクソン・スキッピング治療薬ビルトラルセンが保険承認されました。
脳神経内科などでの定期的なフォローアップが必要です。
「creの血液検査の数値が高い・低いとき」の正しい対処法は?
クレアチニン値の異常が見られた場合、どのように対処すればよいのかについても正しい知識を持つことが大切です。まず、症状に応じた対処法と注意点について、専門医に相談することが第一です。クレアチニン値が高い場合は、腎臓の負担を減らすための食事療法や水分管理が推奨されることがあります。逆にクレアチニン値が低い場合には、筋肉量の維持や栄養管理が重要です。
早く改善したい場合は、医師の指示に従い、処方された薬物療法や生活習慣の改善を実践することが必要です。また、応急処置をしても症状が収まらない場合は、すぐに医師の診察を受けることが推奨されます。自己判断で放置すると、腎機能や他の臓器にさらに負担がかかる可能性があるため、適切なタイミングでの受診が重要です。
「creの血液検査の数値が高い・低い」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「creの血液検査の数値が高い・低いとき」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
CREの正常値はどれくらいですか?
木村 香菜 医師
一般的に、成人男性は0.6~1.2 mg/dL、成人女性は0.5~1.1 mg/dLが正常範囲とされています。
CREの血液検査では一体何がわかるのでしょうか?
木村 香菜 医師
CRE検査は、腎臓が老廃物を適切に排出しているかどうかを評価し、腎機能の状態を把握するために行います。
CREの血液検査の数値が高い時は必ず病院に行く必要がありますか?
木村 香菜 医師
数値が高い場合は腎機能の低下が考えられます。早期に病院での診察を受けることが推奨されます。
クレアチニンの危険値はいくつからなのでしょうか?
木村 香菜 医師
通常、2.0 mg/dL以上は腎機能障害の兆候として重要視されます。危険値としては5.0 mg/dL以上が深刻です。
編集部まとめ
今回の記事では、血液検査でクレアチニン値が高い、あるいは低い場合にどのような病気が考えられるのかについて詳しく解説しました。
クレアチニン値が低いことは、臨床的には大きな問題とならない場合もあります。しかしながら、クレアチニン値が高い場合には、腎機能障害が隠れていることもあります。
健康診断などで腎機能の異常を指摘された場合には、腎臓内科などの専門科を受診するようにしましょう。
「creの血液検査の数値が高い・低い」症状で考えられる病気
「creの血液検査の数値が高い・低い」から医師が考えられる病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
循環器内科系の病気
- 心不全
- 高血圧性腎症
腎臓内科系の病気
- 慢性腎臓病(CKD)
- 急性腎不全
- 糸球体腎炎
肝臓内科系の病気
- 肝腎症候群
- 肝硬変
泌尿器科系の病気
- 尿路閉塞
- 腎結石
これらの病気は、クレアチニン値の異常から医師がまず考える疾患の一部です。正確な診断のためには、追加の検査や医師の診察が必要です。
「creの血液検査の数値が高い・低い」に似ている症状・関連する症状
「creの血液検査の数値が高い・低い」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 顔や瞼、足のむくみ
- 息切れ
- だるさ
- 食欲低下
- 尿量の減少
- 痩せ
- 血尿
上記のような症状は、血液中のクレアチニン値が高い(あるいは低い)場合にみられる可能性があります。気になる症状があれば、内科受診を検討しましょう。
参考文献