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「血液検査の前にやってはいけないこと」は何?前夜の食事・当日のNG行動も解説!

 公開日:2024/03/18
「血液検査の前にやってはいけないこと」は何?前夜の食事・当日のNG行動も解説!

血液検査の前に避けるべきNG項目とは?Medical DOC監修医が採血を控えた前日&当日の食事やお酒・水分・運動などの注意点を解説します。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

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血液検査の前日にやってはいけないこと・前夜の食事のNGとは?

健康診断や普段の診察の際に血液検査を行う機会があると思います。この血液検査の前にやってはいけない事は、ご存じでしょうか?前日の食事や直前の水分摂取は大丈夫なのかなど、血液検査に関する注意点をまとめました。

血液検査の前日の食事・夕食は何時まで?

血液検査の項目にもよりますが、空腹で採血を行う必要がある場合には、一般的に採血の10時間前からは食事を摂ってはいけません。食事以外にもカロリーのあるような飲み物をとることも禁止です。例えば、朝の10時に採血であれば、当日の深夜0時以降は絶食となります。

血液検査の前日におすすめの食事メニューは?

血液検査の項目にもよりますが、こってりとした脂質を多く含む料理ではコレステロール値が上昇しやすいですし、アルコールを多く飲むと肝機能に影響します。基本的には暴飲暴食を避けて通常の食事が望ましいです。前日のみ気を付けていつもと違う食事を摂ったとしてもあまり意味はなく、血液検査で知るべき事は通常の状態であると考えられるからです。

採血がある健康診断の前日のお酒・飲酒は良いの?

健康診断の前日のお酒・飲酒は、血液検査での肝機能障害や高中性脂肪血症を起こす可能性があります。これらの影響を出さないためには、飲酒しない方が良いと思われます。

血液検査の前にコーヒーは飲んでいいの?

コーヒーに含まれるカフェインには利尿作用があります。コーヒーを飲むことで利尿作用が働き、尿が多く出ます。ここでしっかり水分を摂取しないと、脱水傾向となる可能性があります。脱水となると、赤血球の値が上昇し多血となったり、腎機能を示すクレアチニンなどが上昇して正確な値を示さなくなります。このため、血液検査の前にコーヒーを飲むことはお勧めできません。
また、糖分や乳分を含むコーヒーですと、血糖値や中性脂肪が上昇してしまいます。血液検査前にコーヒーを飲むのはやめましょう。

血液検査がある健康診断の前日に運動はして良いの?

健康診断の前日に適度な運動であれば問題ありませんが、筋トレなど過度な運動を行うと血液中のクレアチニンキナーゼ(CK)の値が上昇する可能性があります。また、筋トレなどのレジスタンス運動を過度に行うと尿酸値も上昇する可能性があります。軽いウォーキングなどの運動であれば良いですが、激しい運動は避けましょう。

血液検査の前日に喫煙はして良いの?

普段から喫煙をしている方では、前日の喫煙の有無は血液検査に影響を及ぼさないと考えられます。しかし、喫煙者は非喫煙者と比較し脂質異常が起こりやすく、慢性炎症が起きているため白血球増加やCRP上昇、血小板増加がみられます。この結果、動脈硬化が進行しやすいのです。また、喫煙は様々ながんや呼吸器疾患の危険因子ともなり、禁煙することをお勧めします。

血液検査前の当日にやってはいけないこととは?

血液検査当日に気を付けること

血液検査の当日は、直前に激しい運動はしないで、絶食で水もしくはお茶などのカロリーのない水分をとって検査を受けましょう。ただし、血液検査の項目によっては食事をとっても問題ない項目もありますので、病院に確認をしましょう。

血液検査当日の水分は何をどれくらい飲むとNG?

当日の水分に関しては、持病で水分制限などない時には1日1.5~2L程度の水分の摂取が良いでしょう。ただし、検査前に一気に水分をとると気分が悪くなることもあります。満腹になりすぎない程度としましょう。

血液検査当日の朝に食事をしてしまったらNG?

血液検査の前に食事を摂ると、血糖値や中性脂肪などの項目は高くなります。絶対に食事がNGではないですが、食事を摂っても良い検査項目なのかを病院に確認しましょう。項目によっては食事に影響されない項目もあります。

血液検査当日に喫煙をしてしまったらNG?

普段から喫煙をしている人では、当日の喫煙の有無が検査結果に大きく影響することはありません。喫煙をしたからと言って血液検査ができないということはありませんのでそのまま血液検査を受けましょう。

血液検査でわかる病気・疾患は?

ここではMedical DOC監修医が血液検査でわかる病気・疾患について解説します。

貧血

貧血とは、血液中のヘモグロビンが正常値以下に減少した状態です。血液検査でこのヘモグロビンの低下がないかを調べることで診断ができます。軽度の貧血や徐々に進行した貧血では症状がないことが多いです。重度の貧血になると息切れや動悸、だるさなどがみられます。女性の貧血の原因の多くは、鉄欠乏性貧血です。生理での出血と食事からの鉄分の供給のバランスが崩れ、貧血となる方が多いです。そのほかに、消化管出血(胃や大腸からの出血)や血液疾患により貧血が起こることもありますので、異常がある時にはまず内科を受診しましょう。

糖尿病

糖尿病とはインスリンの作用不足により慢性的な高血糖状態となる病気です。血液検査では、血糖値の上昇や過去1,2か月間の平均血糖値を表すHbA1cが高値となります。糖尿病は自覚症状に乏しい病気ですが、そのまま放置することで様々な合併症を来たします。血液検査で異常値が出た場合には早期に内科を受診しましょう。

高脂血症

血液中の脂質(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)の値が基準値から外れた状態を高脂血症(脂質異常症)といいます。これらの異常が持続すると、動脈硬化が進行するため注意が必要です。高脂血症では、自覚症状はありません。しかし、高脂血症が持続することにより動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞など命にかかわる病気を発症することもあります。血液検査で異常を認めたら、内科を受診し食事・生活習慣の見直しを行いましょう。

甲状腺疾患

甲状腺とはのどぼとけの下にある臓器で、甲状腺ホルモンを分泌しています。甲状腺ホルモンは、代謝の活性化や成長を促す役割がある重要なホルモンです。甲状腺ホルモンが多すぎても少なすぎても異常をきたします。甲状腺ホルモンが過剰な状態を、甲状腺機能亢進症といい、動悸や体重減少、手の震えなどが起こります。反対に甲状腺ホルモンが少ない病態が甲状腺機能低下症であり、だるさやむくみ、体重増加や動作が緩慢となることが特徴です。これらの病気は、バセドウ病や橋本病という自己免疫疾患が原因であることが多く、女性に多い疾患です。これらの症状が疑われる場合には、採血で甲状腺ホルモンや甲状腺刺激ホルモン(TSH)を測定することで診断がつきます。甲状腺疾患が疑われた場合には内科(内分泌内科)を受診しましょう。

肝機能疾患

肝機能疾患は血液検査を行うことで異常が分かります。健康診断の項目にも含まれているASTやALT、γGTPの上昇がある場合には肝機能障害の疑いがあります。肝機能障害の原因はさまざまです。B型肝炎やC型肝炎などのウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、薬剤肝炎、自己免疫性肝炎、肥満や糖尿病、高脂血症に伴う脂肪肝などがあります。原因により治療法は異なります。肝機能障害が認められた場合には、消化器内科を受診しましょう。

腎機能疾患

腎臓病には数時間から数日の間に腎機能が悪くなる急性腎障害と慢性の経過(3か月以上)で蛋白尿などの腎臓の障害もしくは腎機能の低下が持続している慢性腎臓病があります。どちらの病気でも腎機能が低下すると、血液検査でクレアチニンや尿素窒素(BUN)の上昇がみられます。これらの病気の原因は、腎炎や生活習慣病(糖尿病、高血圧、高尿酸血症など)、自己免疫疾患などです。腎機能の異常を指摘された場合には、まず内科(腎臓内科)を受診し、原因を調べる必要があります。急性腎疾患では進行が早く早めの治療が必要ですし、慢性腎臓病でも早めに治療することで腎機能低下の進行を遅らせることができます。腎機能疾患を指摘されたら早期に病院を受診しましょう。

「血液検査の前にやってはいけないこと」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「血液検査の前にやってはいけないこと」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

前日の睡眠不足は血液検査に影響しますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

睡眠不足のみでは血液検査に影響することはありません。しかし、健康診断などでは体調を整えて臨む方か良いでしょう。

血液検査の朝は水を飲んでも大丈夫ですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

水分摂取は問題ありません。しかし、糖質や乳分が入っているジュースやコーヒーなどを摂取すると血液検査に影響するため、水もしくはカフェインのない麦茶などの摂取がお勧めです。

血液検査の前に食事をしてしまった場合検査は受けられませんか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

血液検査の項目によります。食事をすることで、血糖値や中性脂肪は高い値が出てしまいます。しかし、食事摂取が関係ない項目もありますので病院へ問い合わせてみましょう。

血液検査前日の飲酒はNGでしょうか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

血液検査前日の飲酒が絶対にいけないわけではありませんが、飲酒をすることで肝機能の異常、中性脂肪が上がる可能性があります。

健康診断の空腹時採血は血液検査の何時間前までなら食事可能ですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

健康診断で空腹を指示された場合には一般的に採血より10時間以上の絶食をするように言われています。10時間以上前に食事を食べ終わるようにしましょう。

採血・血液検査の前に煙草を吸っても良いですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

普段から喫煙している人では、血液検査の前の喫煙によって急激に検査結果が変わることはありません。しかし、健康のために禁煙をお勧めします。

まとめ 血液検査の前・前日は暴飲暴食、過度な運動に注意

血液検査を受ける前には、普段と違う行動はなるべく控えましょう。現在の状態を把握するために検査を行っているからです。検査前だけ日常と違う行動で異常が出た場合には、病気の診断がつけにくくなります。検査の前には暴飲暴食、飲酒、激しい運動などは控えた方が良いでしょう。また、水分をとらないことで脱水になり、検査結果が異常となることもあるため、検査前には水やお茶などカロリーがない水分を充分摂取しましょう。そして異常値が出た場合には医療機関を受診しましょう。

「血液検査」の異常で考えられる病気

「血液検査の異常」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

腎・泌尿器系の病気

  • 腎臓病

血液系の病気

  • 血液疾患(白血病など)

消化器系の病気

代謝内分泌系の病気

血液検査でわかる疾患は色々とあります。中には自覚症状があまりない病気もありますが、症状がなくとも放置せず、異常が出た場合には再検査をすることが重要です。血液検査で異常がある場合には医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師