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「血液検査」で何がわかる?検査でわかる病気や項目について医師が徹底解説!

 更新日:2023/12/07
「血液検査」で何がわかる?検査でわかる病気や項目について医師が徹底解説!

血液検査ではわかる病気とは?Medical DOC監修医が血液検査で発見できる病気や検査結果の見方・項目ごとの数値の基準値・異常値等を詳しく解説します。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

血液検査とは?

血液検査は、採取した血液を検査し体の異常を調べます。検査項目により、どの異常があるかが分かります。血液検査によりどのような異常が分かるかを、詳しく解説します。

血液検査とはどんな検査?

体の静脈に針を刺し、血液を採取し、その血液を検査します。項目にもよりますが、10ml程度あれば、一般的な項目を詳しく検査をすることができます。血液検査の後は針を刺した部位をしっかり押さえましょう。押さえる時間が短かったり、しっかり押さえていなかったりすると後から内出血をすることもあります。

血液検査で体の何がわかる?

血液検査は以下のように種類があり、それぞれわかることが異なります。

  • 血球検査(貧血、血液の病気など)
  • 血液凝固検査(血液の凝固能、出血しやすさ、血液の病気など)
  • 生化学検査(肝機能、腎機能、栄養状態、脂質異常、糖代謝、内分泌機能、電解質異常など)
  • 免疫検査(感染症、膠原病、炎症反応など)

それぞれの検査項目によって、わかる病気が異なります。

血液検査の費用は?

血液検査は、採血の項目や種類により料金が異なります。一般的な項目の検査では保険3割負担で1,500~1,900円程度ですが、中には高額な検査もあります。例えば、アレルギー検査は項目の数によっては費用が3割負担でも5,000円程度かかることもあります。

血液検査前日や当日の注意点

検査前にやってはいけないことは、検査前や前日遅くにアルコールやジュース、食事をすることです。中性脂肪や血糖値は10時間以上食事を摂らずに空腹で採血をすることが推奨されています。食事をとることで、これらの値が普段より高値となってしまい正確な評価ができません。また、脱水となると血液検査の結果が異常となることもあります。このため、脱水にならないように水分を摂取しましょう。水や麦茶などを飲むと良いでしょう。

血液検査結果の見方と項目別の基準値・異常値一覧

ここまでは血液検査について基本的なことを紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

血液検査結果の見方と項目別の主な所見

代表的な検査の項目一覧をお示しします。結果の見方については、まず自分の結果が基準値から外れているものがないかを確認します。基準値とは、健常人の95%の方が含まれる範囲を示しています。基準値から少し外れていても、異常とは言えないため「正常値」という用語は使われなくなりました。この基準値から大幅に外れている場合には、異常がある可能性が高いです。医療機関を受診しましょう。次に、今までの自分の検査結果が大きく変わっているものがないかを確認しましょう。例えば、基準値の範囲内であっても、急に貧血が進んでいる場合などは、病気が潜んでいる可能性があります。ご自身の体の変化を常に確認することが大切です。自分では、わからない場合にはかかりつけ医などに相談するのも良いでしょう。

項目 基準値 単位 何が分かるか
血球検査 WBC
(白血球数)
3300-8600 /μL 血液疾患,
感染症,炎症
Neut
(好中球桿状核球)
0.5-6.5 % 血液疾患,
白血球の異常,
アレルギーなど
Neut
(好中球分葉核球)
38-74 %
Lymph
(リンパ球)
16.5-49.5 %
Mono
(単球)
2.0-10.0 %
Eosino
(好酸球)
0.0-8.5 %
Baso
(好塩基球)
0.0-2.5 %
RBC
(赤血球数)
男435-555,
女386-492
10⁴/μL 多血症,貧血
Hb 男13.7-16.8,
女11.6-14.8
g/dL 赤血球の形状,
貧血の種類
Ht 男40.7-50.1,
女35.1-44.4
%
MCV 83.6-98.2 fL
MCH 27.5-33.2 pg
MCHC 31.7-35.3 g/dL
血小板数 158-348 10³/μL 凝固系の異常、
肝臓病
生化学検査 AST
(GOT)
13-30 U/L 肝臓病
ALT
(GPT)
男10-42,
女7-23
U/L 肝臓病
CPK
(CK)
男59-248,
女41-153
U/L 筋疾患,
心筋梗塞など
UN
(尿素窒素)
8-20 mg/dL 腎臓病,
脱水など
Cr 男0.65-1.07,
女0.46-0.79
mg/dL 腎臓病
UA
(尿酸値)
男3.7-7.8,
女2.6-5.5
mg/dL 痛風
LDL-C 65-163 mg/dL 脂質異常症
HDL-C 男38-90,
女48-103
mg/dL
TG
(中性脂肪)
男40-234,
女30-117
mg/dL
LDH 124-222 U/L 血液疾患,
心疾患,肝臓病,
筋疾患など
BNP ≦18.4 pg/mL 心不全
免疫検査 CRP 0.00-0.14 mg/dL 炎症,感染など

血液検査の項目別異常値と精密検査内容

健康診断で異常値が認められた場合、まずは医療機関を受診しましょう。そして、この結果が持続しているのかを再検査する必要があります。項目にもよりますが、なるべく早く再検査をされた方が良いでしょう。その上で、異常が分かった場合にはさらに精密検査をすることになります。例えば、肝機能障害が持続している場合にはB型肝炎やC型肝炎などのウイルス感染のチェックや膠原病の合併の有無、腹部エコーなど画像的な検査を追加し肝機能障害の原因について調べ、治療方針が決定されます。

「血液検査」で発見できる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「血液検査」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

脂質異常症

脂質異常症とは、血液中の脂質の代謝に異常がある状態です。高LDL-C血症、高TG血症、低HDL-C血症の場合を指します。脂質異常症は虚血性心疾患や脳血管障害などの動脈硬化による病気の原因となります。脂質異常症を改善するためには、脂質制限の食事療法と有酸素運動を中心とした運動療法が重要です。適切な対応が分からない場合には、内科を受診しましょう。また、食事療法や運動を行っても改善がない場合には、早めに内科受診をし、治療を受けることをお勧めします。

貧血

貧血とは、血液中のヘモグロビン濃度が減少している状態です。成人男性で12.5g/dL以下、成人女性で11.5g/dL以下となった時に貧血と診断されます。貧血の原因はさまざまですが、女性の場合の多くは鉄欠乏性貧血です。重度の貧血の場合には、息切れや動悸などの症状が現れます。貧血が疑われた場合には、原因を調べる必要があります。病院を受診し、原因の精密検査と治療を受けましょう。

糖尿病

糖尿病とは、インスリンの作用不足による慢性的な高血糖の状態を言います。高血糖状態が持続すると、網膜症や腎症、神経障害、心血管障害などの合併症が起こります。この合併症の進展を予防するために、血糖値をコントロールすることが、非常に大切です。治療は、適切なカロリー摂取を中心とした食事療法と運動療法、適切な体重管理が大切です。血糖値のコントロールが不十分な場合には、インスリン注射や経口血糖降下薬などの治療が必要となります。糖尿病が疑われた場合には、早めに内科を受診しましょう。

腎臓病

腎臓病は尿検査、画像検査などで腎障害が明らかである場合か、糸球体濾過量が60ml/min/1.73m2未満であることを指し、この状態が3か月以上持続した場合には慢性腎臓病といいます。健康診断では、eGFRの項目が糸球体濾過量の推定値です。60ml/min/1.73m2以下である場合には腎機能の低下が疑われます。慢性腎臓病は生活習慣病と関連していることが多く、これらの生活習慣病の治療が腎臓病の進行予防に非常に重要です。慢性腎臓病は一旦進行すると、改善が難しいため早期での治療が大切です。腎臓病が疑われた場合には、早期に病院を受診しましょう。

健康診断や病院の「血液検査」で引っかかる理由は?

健康診断や病院での血液検査の結果で異常が出た場合には、その時だけ一時的に異常であった場合と本当に病気が隠れている場合の二通りあります。例えば、検査の時に風邪をひいていたりや脱水傾向であった時などでは、一時的に異常が出る場合があります。再検査を行い、この状態が改善をしていれば正常に戻っています。しかし、再検査をしても異常値が続く場合にはこの項目にかかわる病気である可能性が高く、治療が必要なこともあります。検査で引っかかった場合には、必ず医療機関を受診し、再検査を受けましょう。

「血液検査」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「血液検査」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

一般的な血液検査の項目を教えてください。

伊藤 陽子伊藤 陽子 医師

健康診断などでよく行う項目としては、血球検査(白血球数、貧血など)、生化学検査(肝機能、腎機能、脂質異常、血糖値など)を測定することが多いです。

血液検査でわかる病気はどのくらいありますか?

伊藤 陽子伊藤 陽子 医師

血液検査の項目はかなり多く、検査項目を増やせばいろいろな病気を診断することができます。一般的な項目で診断できるものでは、貧血、血液の病気(白血病など)、肝臓病、腎臓病、脂質異常症、糖尿病、高尿酸血症などです。このほかに採血項目を追加することで、甲状腺疾患を含めた内分泌疾患、膠原病などの病気を調べることができます。また、ピロリ菌の感染の有無を調べる検査として、ピロリ菌の抗体を血液検査で調べる方法もあります。しかし、保険の適応となる検査は、胃カメラでの胃炎などの診断をした後に行う血液検査です。このように、血液検査の中には保険での適応があるため、必要な検査かを医師が判断した上で行う必要があります。健康診断などの自費検査とは違い、希望すれば検査ができるわけではないため、医師の判断を仰ぐ必要があります。症状などから心配がある場合には医師に相談をしましょう。

血液検査の前にやってはいけないことはありますか?

伊藤 陽子伊藤 陽子 医師

血糖値や中性脂肪は食事に影響されて上昇するため、一般的には10時間以上の絶食の上採血をすることが推奨されています。検査の前に食事をとったり、糖分がある飲み物を摂取したりすると値が高くなります。また、脱水状態ではBUNやCr、Hbなどの値が上昇することがあります。水や麦茶などの水分を摂取し、脱水状態とならないようにしましょう。また、過酷な運動も脱水を起こしたり、運動により筋肉が損傷されたりするとCKなどの値が上昇する可能性があり、控えるべきです。

血液検査で癌はわかりますか?

伊藤 陽子伊藤 陽子 医師

血液の癌である白血病や悪性リンパ腫などは、血液検査の異常値で発見されることもあります。しかし、残念ながら一般的な癌は採血検査のみで癌を診断することはできません。腫瘍マーカーは癌により体が反応して産生される物質であり、癌が診断された後の指標として測定することがあります。しかし、この腫瘍マーカーは炎症などの良性疾患や生活習慣などでも高くなることもあり、腫瘍マーカーのみで癌を発見することはできません。一般的ながん健診を利用して早期にがんを発見することが勧められます。

健康診断の血液検査の前に食事をしてはいけないのはなぜですか?

伊藤 陽子伊藤 陽子 医師

血液検査の前に食事を摂ることで血糖値や中性脂肪の値が上がってしまい正確な値が分からなくなるためです。これらの検査項目がないか、医師に確認をしましょう。

まとめ「血液検査」で体の異常を早期発見!

血液検査ではさまざまな体の異常を早期に発見することができます。しかし、脱水などの体の状態によっては異常値が出てしまうこともあり、血液検査で異常が出た場合には早期に医療機関を受診し、再検査を受けましょう。また、異常値ではなくとも普段の自分の値から急に変化した場合にも注意が必要です。日ごろから自分の血液検査の結果に注目し、体の異常を早期に発見しましょう。

「血液検査」の異常で考えられる病気

「血液検査」から医師が考えられる病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

腎・泌尿器系の病気

消化器系の病気

内分泌代謝系の病気

膠原病系の病気

血液系の病気

  • 血液疾患(白血病、悪性リンパ腫など)

血液検査では全身のさまざまな病気の異常を知ることができます。しかし、血液検査のみですべてを判断することはできず、再検査や他の検査を組み合わせることで病気の診断がつきます。血液検査で異常値が出た場合には、早期に医療機関を受診し相談をしましょう。

この記事の監修医師