FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 健康診断
  4. 「超音波検査でゼリー」を塗るのはどうして?かゆみが出た場合の対処法も医師が解説!

「超音波検査でゼリー」を塗るのはどうして?かゆみが出た場合の対処法も医師が解説!

 公開日:2024/10/19
「超音波検査でゼリー」を塗るのはどうして?かゆみが出た場合の対処法も医師が解説!

超音波検査でゼリーを塗るのはなぜ?Medical DOC監修医がエコーゼリーの目的や当日の注意事項・発見できる病気・検査結果の見方等を解説。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

プロフィールをもっと見る
名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

超音波検査でゼリーを塗るのはどうして?

超音波検査を受ける時は、身体に直接ゼリーを塗られたり、ゼリーをつけた機械を体に当てられたりします。ぬるぬるして気持ちが悪く感じるかもしれませんが、このゼリーがなければ超音波検査は成り立ちません。
この記事では、超音波検査でエコーゼリーを塗る理由や、超音波検査の注意点や結果の見方などを解説します。

超音波検査とは?

超音波検査とは、超音波を利用した生理機能検査の一種です。プローブと呼ばれる機械を身体の表面にあてて超音波を検査対象の臓器に反射させ、跳ね返ってきた超音波を画像として映し出します。
放射線を使わないので被ばくの心配がありません。そのため、妊娠中の方でも検査が可能であり、何度でも繰り返し手軽に行えます。リアルタイムで臓器を観察できるのが大きな特徴です。
肝臓や乳腺などの超音波検査では、検査目的によっては造影剤を使用して血流を詳細に観察することもあります。一方、超音波を通さない骨や、超音波をほとんど通さない空気で満たされた肺などは検査困難となります。

超音波検査でゼリーを塗る目的とは?

なぜ超音波検査でゼリーを塗るのかというと、検査において必要不可欠なものだからです。
超音波検査で使われるゼリーには、大切な役目が3つあります。
1つめは、超音波を通さない空気の隙間を埋めることです。前述の通り、超音波は骨や空気を通過できません。ゼリーがなければ画像として映し出すことは非常に困難です。
2つめは、プローブが滑らかに動くようにすることです。これによって、検査の際に、必要な部位を正確に観察することが可能となります。
3つめは、皮膚とプローブが直接接触するのを防ぐことで、皮膚の摩擦や刺激を和らげる役割もあります。

超音波検査の費用は?

保険適用の有無や保険適用の場合の負担率の違いなどにより、超音波検査の費用は変わってきます。
検査を行った部位によって違いがあります。一般的な超音波検査において保険適用の3割負担では、目安として
・腹部:約1,600円
・下肢血管:約1,350円
・四肢、体表(乳腺、甲状腺など)、末梢血管:約1,050円
・心臓:約2,640円
程度が見込まれます。
さらに、造影剤の使用や特殊な状況下での検査の場合は追加で費用がかかります。
詳しくは医療機関でご確認ください。

超音波検査前日や当日の注意点

身体のどの部分の検査を受けるかにより、注意点は異なります。
肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓などの上腹部の超音波検査を受ける場合は、胃の内容物できちんと観察できなくなってしまいます。検査の数時間前から食事はできません。具体的な時間の指示は医療機関によって異なりますので、確認しておきましょう。
また、膀胱や子宮、前立腺など骨盤内の臓器を観察する時は膀胱にある程度尿が溜まっている方が観察しやすくなります。検査の前は排尿を控えるようにしましょう。
超音波検査は素肌にゼリーを塗って検査しますので、検査を受ける臓器によっては上下に分れた着脱しやすい服装だとスムーズに検査が受けられるでしょう。
なるべく正確な検査となるように、検査を受ける時に医療機関で受けた説明を守るようにしてください。

超音波検査でゼリーを塗った箇所がかぶれたりかゆみが出た場合の対処方法は

もし検査後にゼリーが塗られた場所にかゆみやかぶれなどの症状が起こった場合、まずはかゆみのある場所を冷やすようにしましょう。かゆみが和らぐことがあります。かゆみやかぶれの症状が続く場合には、皮膚科を受診しましょう。経過観察でも改善がみられる場合が多いと考えられますが、かゆみが強い場合などには外用薬などが処方されることもあります。
超音波検査で使われるゼリーの成分は、メーカーによる違いもありますが、主に水、グリセリン、カーボンポール樹脂、pH調節剤、中和剤、防腐剤など[佐々木祐子1] です。製品によっては、銀系抗菌剤や浸透型コラーゲンを含んだものもあります。[佐々木祐子2]
これらの成分にアレルギーがある場合はかゆみやかぶれを起こす可能性があります。ゼリーに含まれる防腐剤の一種であるメチルパラベンでアレルギーが起こったという報告もあります。
超音波用のゼリーには多くの成分が含まれているので、何がアレルギーの原因かわからないこともあります。そのため、超音波検査でかゆみやかぶれなどがあった場合、次回以降に超音波検査を受ける際には、その旨を医療機関へと伝えることが大切です。超音波検査後すぐに、しっかりとゼリーを拭き取ることで、症状が再度現れることを予防できたとする報告もあります。

超音波検査の結果の見方と再検査が必要な診断結果・所見

ここまでは超音波検査について基本的なことを紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

超音波検査の結果の見方・分類と主な所見

人間ドックや健康診断において、超音波検査の結果には診断名や所見名(検査者の意見)と、それに対するカテゴリー判定区分が記載されます。
それぞれの臓器に対して各学会が判定基準を設けていますが、それらを元にして施設独自の基準が設けられていることもあります。
一般的に「良性悪性の判断が困難」「悪性の可能性が高い」「明らかな悪性」「高危険軍」などとされた場合は、精密検査の受診が勧められます。
「異常なし」「良性」などの場合、精密検査は必要ありません。

超音波検査の結果で精密検査が必要な基準と内容

超音波検査で精密検査が勧められた場合、どの臓器が対象となるかで受診すべき診療科が異なります。
肝臓、胆嚢などの消化器なら消化器内科、心臓なら循環器内科、乳腺なら乳腺外科を受診します。健康診断の検査結果を見ただけでは緊急度が判断できないこともあるため、なるべく早い受診が望ましいでしょう。
医療機関で超音波検査を含めて再検査を行い、必要に応じて治療方針が決定されます。
対象となる臓器と診断名によって治療内容は異なりますが、薬物療法や手術などが行われることもあります。

「超音波検査」で発見できる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「超音波検査」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

胆石症

胆嚢や胆管など、胆道の中でうっ滞した胆汁が固まって結石が形成された状態です。痛みや発熱などの症状が起こることがありますが、無症状で発見されることもあります。
経過観察、薬物で胆石を溶かす温存療法、胆のう摘出術といった治療法があります。重症度は人によって異なりますので、医師の指示に従いましょう。
無症状の場合は健康診断などで経過観察を行います。痛みなどの症状があれば炎症を起こしている可能性もあるため、早めに消化器内科を受診してください。

尿路結石

腎臓、尿管、膀胱などの尿路に、尿成分の一部が結晶化して結石が形成された状態です。尿の停滞や尿路感染症、食生活などの生活習慣や肥満、内分泌疾患が原因と言われています。
自然に尿中に排出されることもありますが、排出しない場合は内服や手術による治療が行われる場合があります。痛みや血尿がなく無症状の場合には経過観察となることもあります。血尿や痛みといった症状がある場合はすぐに泌尿器科を受診しましょう。

虫垂炎

虫垂炎とは、虫垂に何らかの原因で炎症が起こった状態です。「盲腸炎」とも呼ばれます。右下腹部に存在していますが、なぜ炎症が起こるのかはっきりした原因はわかっていません。さまざまな原因が考えられますが、糞石などの異物によって虫垂が閉塞し、そこに細菌感染が起こって炎症が起きることが多いとされています。
みぞおちの痛みや吐気、微熱、右下腹部の痛み、と症状が現れ、重症になると虫垂の壁に穴が開いて腹膜炎を起こす可能性があります。
抗生剤で炎症を抑える保存的治療、虫垂を切除する手術療法のどちらかで治療を行いますが、保存的療法を行っても再発することがあります。
右下腹部の痛みが続く場合は、早めに消化器内科を受診しましょう。

子宮筋腫

子宮筋腫とは、子宮を構成している平滑筋と呼ばれる筋肉組織から成る良性腫瘍です。幅広い年齢層で発症し、発生する部位や大きさによって症状が異なります。過多月経、貧血、月経痛、頻尿、便秘、腰痛などの症状が見られ、不妊や流産、早産の原因になる可能性もあります。一方で、症状がなく偶然発見されることもあります。
無症状の場合は経過観察のみで特に治療は必要ありませんが、生活に支障が出るほどの症状がある場合は薬物療法や手術療法が考慮されます。
もし、これらの症状があれば婦人科を受診し、医師の指示に従って経過観察や治療を行うようにしましょう。

がん・腫瘍

がんや腫瘍はさまざまな部位に発生します。中でも、超音波検査で発見される代表的ながんには甲状腺がん、乳がん、すい臓がん、肝臓がん、腎臓がん、前立腺がんなどが挙げられます。
発症の原因は部位によってさまざまなものがあります。しかし、がんについて共通する一般的なリスクとしては、喫煙、飲酒、肥満、感染、化学物質などが挙げられます。
体調に異変を感じる、もしくは健康診断や人間ドックの結果で精密検査を勧められた場合は早めにそれぞれの臓器に対応する医療機関を受診しましょう。
精密検査を行い、必要と判断された場合は適切な治療が行われます。部位や進行度によって手術療法、薬物療法、放射線療法などが検討されるでしょう。

「超音波検査のゼリー」についてよくある質問

ここまで超音波検査のゼリーについて紹介しました。ここでは「超音波検査のゼリー」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

超音波検査で体にゼリーを塗るのは何のためですか?

木村 香菜木村 香菜 医師

超音波が良く伝わるようにし、プローブを動かしやすくしてスムーズな検査を行うためです。

エコー検査のときに体に塗られるゼリーは何でできていますか?

木村 香菜木村 香菜 医師

メーカーによる違いもありますが、主に水、グリセリン、カーボンポール樹脂、pH調節剤、中和剤、防腐剤などです。銀系抗菌剤や浸透型コラーゲンを含んだものもあります。

超音波検査のゼリーを上手く拭き取る方法を教えてください。

木村 香菜木村 香菜 医師

かき集めてからぬぐい取ると、あちこちにゼリーが広がりにくく綺麗に拭き取れます。
検査の担当者がある程度拭き取る場合もあります。

超音波検査のゼリーが洋服に付着してしまったのですが、洗濯すればいいのでしょうか?

木村 香菜木村 香菜 医師

有害な成分は含まれていないため、普段通りに洗濯して問題ありません。

編集部まとめ 超音波検査のゼリーはスムーズな検査のため

超音波検査でゼリーを塗る目的を解説しました。
ぬるぬるしていて気持ちが悪く感じるかもしれませんが、ゼリーなしでは超音波検査は行えません。骨や肺などを除いたさまざまな臓器の検査が手軽に行える超音波検査。健康診断などで精密検査がすすめられた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

「超音波検査」の異常で考えられる病気

消化器科の病気

循環器科の病気

乳腺外科の病気

塗られるとちょっと気持ちが悪いですが、エコーゼリーは超音波検査に欠かせないものです。

この記事の監修医師