目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 病気の事典
  3. 胆嚢ポリープの症状や原因、治療方法とは?

胆嚢ポリープの症状や原因、治療方法とは?

 更新日:2023/03/27

胆嚢ポリープ(読み方:たんのうぽりーぷ)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
川本 徹 医師 みなと芝クリニック 院長

胆嚢ポリープとは

胆嚢は肝臓で作られた胆汁という消化液が腸管に排出される前に一次的に貯める臓器です。この胆嚢の内部のポリープ状に盛り上がった組織が胆嚢ポリープです。
良性のものも多いですが、癌の前段階のポリープなどの悪性のものもあります。また、良性と診断されても大きくなって悪性になるものもあるので注意しておくことが必要です。
おおよそ10人に1人の割合で胆嚢ポリープがあるといわれているので、珍しくない病気です。

川本 徹 医師 みなと芝クリニック 院長ドクターの解説
胆嚢ポリープとは、胆嚢の内側にできる隆起性変化の総称です。基本的には良性で、日常診療で見受けられるもののほとんどはコレステロールポリープです。これは、胆汁に含まれるコレステロールが胆嚢壁にしみ込んで沈着し粘膜が隆起したもので、多発することが多く、数mm以内のものが多いです。またごく稀れにですが、一部に異型細胞を伴い癌化するものもあります。大きさが10 mmを超えた場合は癌を疑います。

胆嚢ポリープの症状

ほとんどの場合、症状が現れることはありません。ほとんどの場合は、健康診断や胆石症や胆嚢炎の検査時などに発見されることがあります。

川本 徹 医師 みなと芝クリニック 院長ドクターの解説
胆嚢ポリープの症状は特にありません。健康診断や人間ドックなどの時に腹部超音波検査で偶然に発見されることが多いです。コレステロールポリープなど良性で、大きさが10 mm以内の場合は特に治療の必要はありません。

胆嚢ポリープの原因・検査法

胆嚢ポリープの中では「コレステロールポリープ」が最も多い種類です。原因としては、コレステロールが沈着し、粘膜が盛り上がっていくことで発生します。

診断は、腹部超音波検査で一般的に行なわれます。ポリープの大きさや性状により精密検査が必要な場合はMRIや超音波内視鏡も追加する場合があります。

川本 徹 医師 みなと芝クリニック 院長ドクターの解説
胆嚢ポリープの主なものは、
・コレステロールポリープ
・過形成性ポリープ
・線維性ポリープ
・化生性ポリープ
・腺筋腫症
・腺腫
・ガン
上記のようなものになります。このうち良く見受けられるものはコレステロールポリープです。重要なのは、悪性のものとそうでないものの鑑別です。また、ある程度大きくなったり、小さくてもコレステロールポリープと所見が違う場合は、がんを想定して精密検査をされたほうが望ましいです。

・血液検査

・腹部超音波検査
腹部に超音波プローブを当て、体内の様子を画像化する方法で、苦痛を感じることなく検査を受けることができます。

・超音波内視鏡検査
小さな病変も詳細に観察でき、良性か悪性かを鑑別するための情報を得ることが可能です。

・CT検査
人体を輪切りの状態でエックス線撮影をしながら映像化する方法で、造影剤を使うことにより、胆嚢ポリープの状態や血流を観察することができ、がんの鑑別に有効です。

・内視鏡的逆行性胆管膵管造影
内視鏡を十二指腸まで進め、細胞を取ったり(細胞診検査)、造影剤を注入しレントゲン撮影をする検査で、病変のより詳細な情報を得ます。

胆嚢ポリープの治療方法

胆嚢ポリープの治療法として、胆嚢を摘出する手術があります。胃や大腸のポリープとは違い、内視鏡を入れてポリープだけ摘出することができません。なお、手術が行われるのは胆嚢癌が疑われる場合に限ります。

良性のポリープの場合は治療をする必要はなく、定期的な検査をして行くことが望まれます。悪性のポリープの場合には胆嚢摘出手術を行います。ポリープを摘出するのみでは再発する可能性があるためです。癌になる可能性が高い場合は胆嚢の周りのリンパ節も同時に切除します。

川本 徹 医師 みなと芝クリニック 院長ドクターの解説
胆嚢ポリープが見つかった場合、良性の物の場合治療は不要です。定期的な検査でポリープの状況を観察していくことになります。
一方、胆嚢がんの疑いがある場合は、放置してがんが進行すると予後も悪いので、胆嚢摘出手術を勧められる場合が多くなります。
胆嚢ポリープがある方は、大きさが変化していないか、ポリープの形や質が変化していないか等、毎年定期検診を受けておくのが望ましいでしょう。

この記事の監修ドクター

この記事の監修医師