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「乳腺症」になると現れる症状はご存知ですか?医師が監修!

公開日:2022/08/12  更新日:2022/10/12
「乳腺症」になると現れる症状はご存知ですか?医師が監修!

乳腺症とは、乳腺に変化が起こることにつけられた総称です。女性ホルモンのバランスが深く関係しており、痛みや分泌物が出る場合もあります。ただ、乳がんと症状が似ていることからも、乳腺症になった場合は乳がんではないことを確認することが必要です。

今回はそんな乳腺症の概要や原因、治療などを詳しく解説していきます。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(国家公務員共済組合連合会大手前病院)

プロフィールをもっと見る
2007年大阪市立大学医学部医学科卒業、2009年大阪急性期総合医療センター外科後期臨床研修医、2010年大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、2012年国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、2013年大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、2014年国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医員、2021年国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長。 著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など多数。 日本外科学会専門医 日本病院総合診療医学会認定医など。

乳腺症とは

乳腺症とは?

乳腺症とはどのような疾患でしょうか?

乳腺症とは、乳腺に起こる疾患で主に乳房がはる、しこりを感じるなどといった変化が現れます。このように、乳腺に変化が起こるものに、総合的につけられた病名です。
乳腺症の中には乳房の表面がでこぼこして違和感を覚える、乳頭から分泌物が出るといった症状も含まれます。症状だけみると乳がんと似ているのですが、悪性ではないと判断される良性の疾患なので、まずは検査などで乳がんとの区別をつけることが重要でしょう。

乳腺症の症状

乳腺症の症状にはどのような特徴がありますか?

乳腺症は乳腺にさまざまな変化がみられます。胸が腫れる、しこりを感じるなどがよく挙げられる変化です。周期性を持つ場合は、ホルモンのバランスが関係していることもあり、生理が始まると軽減し、生理前が痛いなどと痛みや腫れが変化するのが特徴です。
乳腺がでこぼこしている場合、自分で触ってもわかるので不安になる人もいるかもしれません。痛みがないこともありますが、痛みを感じるとますます心配になりますよね。症状からは乳がんと見分けがつきにくいものですので、しっかりと検査で判断する必要があるでしょう。中には膿胞(のうほう)という袋状のものがみられる場合もあります。

乳腺症の原因

乳腺症の原因にはどのようなものがありますか?

乳腺症は女性ホルモンのバランスによるものとされています。乳房を構成しているのは乳管、腺葉、そして腺房と脂肪です。これらはホルモンの影響によってさまざまな変化を起こします。
乳腺症はエストロゲンとプロゲステロンのバランスが崩れることが原因です。エストロゲンがプロゲステロンに対し過剰分泌されることで症状が起こると考えられています。
ホルモンバランスが関係しているため、妊娠中や閉経後は起こりにくいといった特徴もあります。
また、カフェインや脂肪の過剰摂取、そして喫煙も乳腺症の原因といわれています。普段の生活習慣も原因になりうるのです。

エストロゲン

エストロゲンとはどのようなものですか?

エストロゲンは、乳管の発育に深く関係するホルモンで、月経直前で過剰分泌されることもあります。そのためエストロゲンが増えると月経前に乳房の張りを感じやすくなるなどといった変化を感じやすいでしょう。これが過剰に分泌されることで、いつもよりも腫れて感じたり、乳汁が出たりする変化が起こるのです。

プロゲステロン

プロゲステロンとはどのようなものですか?

プロゲステロンは排卵直後から増えるのが特徴です。増加することで、終末膨大部を腺房化します。ですが、乳腺症の場合はプロゲステロンの割合に対してエストロゲンが多くなりすぎたときに起こります。ホルモンはバランスが大事なのです。

乳腺症の受診科目

症状から乳腺症が疑われる場合、何科を受診したらいいでしょうか?

乳腺外科外来がある病院を受診しましょう。
もし、乳腺症と診断された場合は、乳腺外科専門医による定期検診が必要になる場合があるので、通いやすい範囲で探すことをおすすめします。

乳腺症の検査

乳腺症ではどのような検査を行いますか?

まずは乳がんではないか判断するために問診、視診、触診をしていきます。疑わしい場合はさらにレントゲン検査や超音波検査、マンモグラフィーなどを行います。
これらで乳腺症と診断された場合は、基本的に治療の必要はありません。しかし検査で石灰化が見つかった場合は乳がんとの鑑別が難しくなります。どうしても判断できない場合、さらに細胞診や組織診をして判断する必要があります。

レントゲン検査・超音波検査

乳腺症の検査

レントゲン検査や超音波検査とはどのようなことを検査するのでしょうか?

乳腺症の場合、レントゲン検査では正常乳腺にくらべ、白っぽくみえることが特徴的な所見として挙げられます。見た目がスリガラス状、綿毛状などといわれます。超音波検査ではまだら状にみえたり、膿胞がみえたりするので、症状と触診を含め総合的な判断が必要です。

細胞診や組織診

細胞診や組織診とはどのようなことを検査するのでしょうか?

しこりや石灰化がある場合は、乳がんとの判別が難しいのですが、石灰化の形や大きさ、さらに分布の状態などから、良性である、つまりがんではないとある程度は区別ができます。レントゲンやマンモグラフィーの結果だけでは判断しにくい場合のみ、さらに細胞診や組織診を行います。
細胞診や組織診は、外から細い針を刺して組織を採取します。そしてそれを顕微鏡で確認し、乳がんではないか判断します。

乳腺症の治療

乳腺症の治療には、どのようなものがありますか?

乳腺症と判断された場合、通常は特に治療する必要はありません。ただし、しこりや分泌物などがあれば経過観察はしていきます。定期的に専門医にみせることで、もし乳がんに発展した場合の早期発見にもつながるでしょう。
強い乳房痛がある場合は治療が必要なこともあります。

乳腺症の治療法

乳腺症の治療法には、どのようなものがありますか?

治療が必要になるのは、日常生活をおくるのが難しいくらいの強い痛みがある場合や、乳がんとの区別がつかない場合です。この場合、乳腺症の原因にあたるホルモンバランスを整えていくことが重要になります。そのため、ホルモン治療をすることになるでしょう。
乳腺症はエストロゲンが過剰に分泌されて、プロゲステロンとのバランスが崩れて起こるものです。痛みが強いとき、胸部がゴツゴツして違和感があるときはこのエストロゲンの割合を減らすことが大事なので、分泌量を抑える薬を服用していきます。
日常生活の中で、カフェインを含むドリンクなどをよく摂取する人、またタバコを吸う人は控えることも重要です。それは、カフェインやニコチンも乳腺症の原因になるといわれているからです。ホルモン治療をするだけでなく、日常生活にも気をつけましょう。

乳腺症の性差・年齢差

乳腺症の発症に性差や年齢差はありますか?

一般的には、エストロゲンホルモンの影響を受けやすい女性に多い病気です。ホルモンが変化して起こるものなので、妊娠中や閉経後はあまりみられません。
ですが、乳腺が存在すれば起こりうるものなので、男性が発症する場合もあります

編集部まとめ

乳腺症という言葉は乳腺に異常がでる症状の総称として使われています。

乳腺が腫れる、ゴツゴツした手触りになる、乳汁が出るなどの症状がみられることもあり、乳がんとの区別がつきにくいので不安に感じる人も多い病気です。しかし、乳腺症は乳がんとは違い良性の疾患のため、経過観察をしていくことが多いでしょう。

日常生活をおくれないほどの痛みがある場合や、画像検査で乳がんが疑われた場合は、ホルモン治療などを施します。

乳腺があれば男性でも起こりうるため、少しでも異常を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。