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乳がんのしこりは「痛みなしがほとんど」 医師がしこりの良性・悪性の違いを解説

 更新日:2023/10/20
放置危険と医師 乳がんのしこりは「痛みなしがほとんど」 良性・悪性の違いも解説

胸にしこりを見つけたら、誰でもドキッとするはず。まず頭に浮かぶのは乳がんだと思いますが、乳がん以外にもしこりの原因となるものはあります。一体、どのような疾患がしこりの原因となるのでしょうか。Hanaクリニック乳腺外科の朴先生に聞きました。

朴 圭一

監修医師
朴 圭一(Hanaクリニック乳腺外科)

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慶應義塾大学医学部卒業。王子生協病院内科、北里大学形成外科・美容外科、北里大学病院救命救急・災害医療センター、東京共済病院消化器・一般外科、横浜医療センター整形外科、上尾中央総合病院形成外科・美容外科、北信総合病院形成外科・美容外科、横須賀共済病院形成外科、東京共済病院乳腺科を経て現職。医学博士、日本乳癌学会乳腺専門医、日本形成外科学会 形成外科専門医、日本がん治療認定医、検診マンモグラフィ読影認定医師、乳がん検診超音波検査実施・判定医師、日本医師会認定産業医。

女性で「胸にしこりがある」「しこりができる」症状と主な原因を医師が解説

女性で「胸にしこりがある」「しこりができる」症状と主な原因を医師が解説

編集部編集部

「胸にしこりがある」とは、具体的にどのような症状のことを言うのですか?

朴圭一先生朴先生

しこりとは医学用語で「腫瘤(しゅりゅう)」といいます。簡単にいうと腫瘤とは、できものやこぶ、はれものなどの総称です。

編集部編集部

なぜ、胸にしこりができるのですか?

朴圭一先生朴先生

胸にしこりができるときは、病気の可能性があります。よく「乳がんでしこりができる」といわれますが、実は乳がん以外にもしこりができる病気はさまざまあります。

編集部編集部

では、しこりがあるからといって、必ずしも乳がんではないのですか?

朴圭一先生朴先生

はい。しこりには良性と悪性があり、良性のしこりが悪性化することはありません。ただし、良性のしこりでも徐々に大きくなったり、良性のように見えて実は乳がんであったりすることもまれにあるので注意が必要です。

乳がんじゃなくてもしこりはできる 乳腺線維腺腫など胸にしこりがある症状で乳がん以外で考えられる病気一覧

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編集部編集部

胸にしこりができる原因として、どのような疾患が考えられるのですか?

朴圭一先生朴先生

しこりがある場合には、以下が疑われます。
乳腺症
嚢胞
線維腺腫
葉状腫瘍
乳腺炎
乳がん など

編集部編集部

このなかで悪性のものはどれですか?

朴圭一先生朴先生

乳がんです。葉状腫瘍は一部悪性のものもあります。悪性の場合は全身にひろがり、体に悪い影響を及ぼすため治療が必要です。そのほかの良性の疾患は、症状に合わせて治療を検討します。

編集部編集部

しこりで特に多く見られるのはどれですか?

朴圭一先生朴先生

最も頻度が高いのは乳腺症です。胸の痛みで来院される方の多くは乳腺症と診断されます。症状の大部分は周期性で、生理前になると症状が強くなりますが、月経周期によって消失することが多いですね。

編集部編集部

ほかに多いものは?

朴圭一先生朴先生

乳腺線維腺腫は20〜30歳代の女性に多く、しこりのほとんどは1cm程度の大きさです。小さくなることもありますが、大きくなることもありますので注意が必要です。

乳がん(悪性腫瘍)じゃないのに胸にしこりができる・しこりがある症状の対処法と治療法

乳がん(悪性腫瘍)じゃないのに胸にしこりができる・しこりがある症状の対処法と治療法

編集部編集部

胸にしこりがある場合には、どうしたら良いでしょうか。

朴圭一先生朴先生

できるだけ早く乳腺科や乳腺外科などを受診してください。「痛みがないから大丈夫」と考える人も多いのですが、実際、乳がんのしこりは痛みを伴わないケースがほとんどです。自己判断せず、必ず専門医の診察を受けましょう。

編集部編集部

医療機関ではどのような検査が行われるのですか?

朴圭一先生朴先生

胸にしこりがある場合、また、健康診断や人間ドックなどで「要精密検査」と言われた場合には、乳腺超音波検査、マンモグラフィ、細胞診、針生検などを必要に応じて行います。

編集部編集部

しこりはどのようにして治療するのですか?

朴圭一先生朴先生

たとえば乳腺症の場合は、月経周期に伴って痛みが増減するので基本的に治療の必要はありません。ただし痛みがひどい場合には鎮痛剤などを用います。

編集部編集部

ほかの疾患についてはどうですか?

朴圭一先生朴先生

乳腺線維腺腫の場合、しこりが大きくなく、症状がなければ治療の必要はありません。しかし、まれに乳腺線維腺腫によく似た乳がんもありますので、疑いがある場合には組織検査を行い、適切に対処する必要があります。

編集部編集部

疾患によって治療法が異なるのですね。

朴圭一先生朴先生

乳腺症のように経過観察で良いものもありますが、なかには乳がんとの見分けが難しいものや、再発するもの、大きくなるものなどがあり、状況に応じて適切な処置をとる必要があります。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

朴圭一先生朴先生

どんなに小さなしこりでも、「症状がないから」といって放置するのは危険です。ほとんどが良性とはいえ、悪性のがんである場合もあるため、しこりを見つけた場合には自己判断せず、必ず専門医を受診してください。しこりに限らず、胸に関することで困っていることや悩んでいることがあれば、一度相談してみましょう。

編集部まとめ

しこりを見つけたら、誰でもドキッとするもの。しかし「まだ小さいから大丈夫」「痛みがないから様子を見よう」といって放置すると、知らない間に症状が進行してしまうことも……。しこりを見つけたら早めに専門医に相談を。また定期的にしこりがないかどうか、セルフチェックをすることも忘れないようにしましょう。

医院情報

Hanaクリニック乳腺外科

Hanaクリニック乳腺外科
所在地 〒151-0053東京都渋谷区代々木2-7-5 exside南新宿bldg. 4F
アクセス 「新宿」駅南口より徒歩2分
診療科目 乳腺外科

この記事の監修医師