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「大腸がんの末期症状」はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/11/18

Medical DOC監修医が大腸がんの末期症状などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

※この記事はMedical DOCにて『「大腸がんの主な5つの症状」はご存知ですか?初期症状・末期症状も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

丸山 潤

監修医師
丸山 潤(医師)

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群馬大学医学部卒業。群馬県内の高度救命救急センター救急科及び集中治療科に2022年まで所属。2022年より千葉県の総合病院にて救急総合診療科および小児科を兼務。乳児から高齢者まで幅広い患者層の診療に努める。
【保有資格】
医師/医学博士/日本救急医学会救急科専門医/日本集中治療医学会集中治療専門医/DMAT隊員/日本航空医療学会認定指導者(ドクターヘリの指導者資格)/JATECインストラクター/ICLSインストラクター

「大腸がん」とは?

大腸がんとは、大腸(直腸・結腸)に発生するがんで、腺腫という良性のポリープががん化してできるものと、正常な粘膜から直接発生するものがあります。
がん罹患数における大腸がんの割合は全体の1位であり、日本人にとって身近ながんの1つです。日本人では特に直腸とS状結腸にできることが多く、大腸がん全体の70%を占めます。

動物性の脂肪を摂取すると、胆汁酸によって分解され大腸へ運ばれますが、大腸へ移動した胆汁酸は悪玉菌によって二次胆汁酸へと変化します。
この二次胆汁酸には発がん物質が含まれているため、胆汁酸が増えるとがんの発生リスクが高まると言われており、食生活の欧米化が進んだ日本において大腸がんは増加傾向です。

大腸がんの末期症状

大腸がんの末期症状とは、大腸がんが進行して他の臓器に転移し、さまざまな症状を引き起こす状態です。
大腸がんは他のがんと比べて生存率は高い部類に入りますが、ステージ4まで進行した状態での生存率は10~15%と、その予後は厳しいものとなっています。
積極的な治療の効果が期待できない段階に入ると、終末期として苦痛を取り除く緩和ケアへ移行することになります。

腹膜播種(ふくまくはしゅ)

大腸にできたがん組織が大きくなり、腸壁の外まで広がると、がん細胞が腹腔内にこぼれて散らばったような状態になります。これを腹膜播種と呼びます。
腹膜播種の状態になると、腹水が溜まったり、激しい腹痛が起きたりとさまざまな症状が出現します。
腹膜播種は抗がん剤による化学療法が治療の主体となります。
一般的に腹膜播種発生後の予後は不良ですが、発生源である大腸がん(原発巣)の切除や縮小で腫瘍の量を減らすことで生存期間が延びた事例もあります。したがって、主治医と相談しながら最適な治療を選択していくことが重要となります。

強い倦怠感

余命一ヶ月を迎えたあたりから身体の状態は急速に変化し、身体の強い倦怠感が生じると言われています。
がんそのものの症状や、治療や薬剤の副作用が主な原因として挙げられます。

特徴として、休息や睡眠での回復が見られず、常に倦怠感が続くことから不安や抑うつ状態に陥ることもあります。
症状に合わせ、苦痛を取り除く対処を緩和ケア科やホスピスケアと相談していきます。緩和ケアについてはこのような末期症状が出現する前から少しずつ相談を始めることで、穏やかに過ごすことができるため早めの導入が推奨されています。

意識障害

がん闘病中には「せん妄」という日内変動のある(1日の間で波がある)意識障害が出現することがあります。
これは、治療に用いる薬物や低酸素状態などの理由で、脳の神経伝達に異常が出ることが一因と考えられています。
主な症状に幻覚、妄想、見当識障害、不穏(気分が落ち着かずそわそわする)、昏睡などが挙げられます。

また、がんの疼痛を和らげるために使用する麻薬や鎮静薬の副作用で、うとうとして意思疎通が取れない状態になることもあります。痛みをコントロールする際はなるべく意思疎通が取れるように薬を少なめにするよう努めますが、どうしても末期がんの疼痛が強い場合は、痛みを抑えることが優先されるケースもあります。

すぐに病院へ行くべき「大腸がんの症状」

ここまでは大腸がんの症状を紹介してきました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

便通異常を繰り返す場合は、消化器内科へ

特に思い当たる原因がないにも関わらず、下痢や便秘、血便や残便感といった便通異常を繰り返す場合、大腸がんの可能性があります。
それ以外でも、炎症性腸疾患や過敏性腸症候群などが原因のこともあり、原因を確かめるために検査が必要です。
特に、家族に大腸がんの罹患者がいる方で上記の症状が見られる場合は注意が必要です。
消化器内科、または消化器外科で検査を受けるようにしてください。

受診・予防の目安となる「大腸がんの症状」のセルフチェック法

  • ・便秘や下痢がある場合
  • ・血便や下血がある場合
  • ・貧血がある場合
  • ・意図しない体重減少がある場合

「大腸がんの症状」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「大腸がんの症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

大腸がんがリンパ節転移するとどんな症状が現れますか?

丸山 潤医師丸山 潤(医師)

大腸がんがリンパ節に転移すると、首の周りや脇の下、足の付け根などにしこりができることがあります。しかし、はっきりとリンパ節転移を示す症状が現れないことも多く、自覚症状からの発見は難しいです。リンパ節転移前に発見できることが望ましいので、定期健診や大腸がん検診などを受診し、定期的にチェックすることが大切です。

おならで大腸がんの症状を見分ける方法はありますか?

丸山 潤医師丸山 潤(医師)

おならで大腸がんの症状を見分ける方法は基本的にありません。おならの回数や臭いは食事内容や腸内環境によって変化するため、大腸がんとは必ずしも関係ありません。しかし、便通の異常や腹部の張り、痛みなどの症状を伴う場合は早めに内視鏡内科や消化器内科もしくは消化器・外科を受診してください。

編集部まとめ

近年、生活習慣の変化などの理由で大腸がんの罹患者数は増加傾向にあります。
しかし、早期に発見すればほぼ治癒が可能ながんであり、定期健診などでのチェックを通して早期発見することが大事です。
特に40歳を超えると発生率が高くなりますので、定期的に検診を受けるようにしましょう。

「大腸がんの症状」と関連する病気

「大腸がんの症状」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

感染症内科の病気

内分泌内科の病気

心療内科の病気

便秘や下痢、腹痛といった症状はさまざまな病気で見られるものであり、必ずしも大腸がんであるとは言えませんが、症状が続いていたり、血便が確認されたりする場合は大腸がん検診を定期的に受けるようにしましょう。

「大腸がんの症状」と関連する症状

「大腸がんの症状」と関連している、似ている症状は12個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

これらの症状だけでは原因となる病気の断定はできません。大腸がん以外にも、例えば痔、大腸憩室症、大腸ポリープなどの可能性があります。
心配な症状がある場合は早めに医師に相談してください。特に大腸がんは早期発見で治癒率が高くなります。

この記事の監修医師