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「自律神経失調症」と「うつ病」の違いをご存知ですか? 自律神経の整え方を精神科医が解説

 更新日:2024/03/29
「自律神経失調症」と「うつ病」の違いをご存知ですか? 自律神経の整え方を精神科医が解説

自律神経が乱れる」とよく聞きますが、その影響や症状について正しく理解していますか? 自律神経の乱れは、体調や健康に様々な影響を与える可能性があります。自分の体のサインを理解し、健康を守るためのヒントを手に入れましょう。今回は、自律神経失調症とうつ病との関連性、その症状のセルフチェック方法や予防策について精神科医の種市摂子先生に詳しく解説していただきました。

種市 摂子

監修医師
種市 摂子(医師)

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Dr.Ridente株式会社代表取締役。筋トレ産業医・精神科医として医療に従事。“心と体を最強に”をモットーに、筋力増強・体力増強を通した能力開発を推進している。ストレングスファインダー認定コーチ・産業精神保健学会優秀賞受賞・TPEC優秀専門医。YouTube配信もおこなっている。

「自律神経失調症」と「うつ病」の違いとは 症状は異なる?

「自律神経失調症」と「うつ病」の違いとは 症状は異なる?

編集部編集部

はじめに、自律神経失調症とはどのような状態なのですか?

種市 摂子先生種市先生

自律神経失調症は、自律神経の乱れによって引き起こされる不調のことを言います。不整脈血圧の変動消化不良胃の不快感過剰な発汗睡眠の問題疲れ・だるさ手足の冷えほてりなどが現れます。これらの症状は、ストレスや過労、睡眠不足、栄養不足、身体的な病気や心の問題など、様々な要因が組み合わさって引き起こされます。

編集部編集部

うつ病についても教えてください。

種市 摂子先生種市先生

うつ病気分の乱れが特徴的な病気です。物事に興味を持てなくなる、元気が出ないといった「精神的な症状」や、眠れなくなる、体がだるい、口が渇くといった「身体的な症状」が現れます。これらの症状が長期間続くと日常生活に大きな影響を与え、重症になると自殺の考えが現れることもあるので、適切な治療が必要です。

編集部編集部

うつ病と自律神経失調症は似た症状が出ますが、どのように違うのでしょう?

種市 摂子先生種市先生

うつ病は、様々な要因で自律神経のバランスが崩れることによって生じる場合が多い疾患です。気分の落ち込みが前面に出ている場合は、うつ病と診断されることが多いですね。他方、自律神経失調症は特定の疾患名ではなく、体の活動時や昼間に活発になる交感神経と、安静時や夜に活発になる副交感神経のバランスが崩れた状態を指します。

自律神経の乱れとうつ病の関係を解説

自律神経の乱れとうつ病の関係を解説

編集部編集部

自律神経が乱れている状態では、どのような症状が出ますか?

種市 摂子先生種市先生

自律神経が乱れると、心臓の鼓動が速くなったり血圧が不安定になったりします。消化器系では胃腸の不調や胃痛が生じ、呼吸に関しては息切れや息苦しさが現れることもあります。体温調節に関しても問題が起こり、手足の冷えや異常な発汗がみられることがあります。その他、睡眠の質が低下して入眠困難、慢性的な疲労感や活力の欠如など、多くの症状が現れることもあります。

編集部編集部

自律神経が乱れやすい人の特徴や要因について教えてください。

種市 摂子先生種市先生

高いストレスにさらされている人」や「感情が不安定な人」が当てはまります。仕事や家庭の責任、金銭的な問題など、環境からの過度のストレス、不規則な睡眠や食生活、運動不足などの生活習慣、カフェインやアルコールを多くとることも、自律神経の働きが乱れる要因となる可能性があります。ほかにも、身体的な病気やトラウマ、長期間の精神的なストレス、過労なども自律神経のバランスを乱す要因となり得ます。

編集部編集部

自律神経とうつ病には、どのような関係がありますか?

種市 摂子先生種市先生

自律神経とうつ病には密接な関係があります。うつ病は、自律神経の乱れが要因の1つとされています。自律神経は、心拍数や消化、呼吸、体温調節など、私たちが普段意識しない体の機能をコントロールします。うつ病の人々は、ストレスに対する身体の反応が健康な人とは異なり、自律神経の機能が不安定になることがあります。互いに影響しあっているため、うつ病と自律神経失調症は、病態としては同じです。

自律神経の乱れをセルフチェックする方法とは? 自律神経の整え方を併せて解説

自律神経の乱れをセルフチェックする方法とは? 自律神経の整え方を併せて解説

編集部編集部

自律神経の乱れをセルフチェックする方法はありますか?

種市 摂子先生種市先生

次のような症状がある場合には、自律神経が乱れている可能性があります。

  • 入眠困難や夜間の頻繁な目覚め、早朝覚醒、睡眠の質が悪い
  • 食欲不振、過食、胃腸の不調(胃痛、下痢、便秘など)
  • 動悸、不整脈、血圧の変動
  • 呼吸が浅い、息切れ、息苦しさ
  • 手足の冷え、しびれ感、体の緊張、こわばり

このような症状には注意しましょう。

編集部編集部

自律神経を整えるためには、どのような方法がありますか?

種市 摂子先生種市先生

自律神経を整えるためには、日常生活での健康的な習慣が重要です。質の良い睡眠をとり、バランスの取れた食事を心がけ、十分な水分を摂取するようにしましょう。また、適度な運動をおこなうことや、ストレスを軽減するリラックス方法(深呼吸や瞑想など)を試すことも有効です。仕事や日常生活での過労を避け、定期的に休息をとることも自律神経のバランスを整えるために重要です。

編集部編集部

最後に、自律神経の乱れとうつ病を予防するためのアドバイスを教えてください。

種市 摂子先生種市先生

自律神経のバランスを整え、うつ病を予防するためには、健康的な生活習慣が大切です。定期的にリラックスする時間を作ることが有効です。運動や余暇活動もとても重要で、自分の好きな運動や趣味活動を取り入れましょう。また、友人や家族とのコミュニケーションを大切にし、心身の状態について気になる点があれば、専門家に相談することがおすすめです。読書などを通して視野を広げることもいいですね。

編集部まとめ

うつ病と自律神経失調症は、混同されやすく、共通点も多くあると教えていただきました。自律神経失調症では、心の症状のみではなく体にも様々な症状が多く現れるとのことでした。一方で、うつ病も自律神経失調症も、要因や予防方法では共通点が多くあり、特に生活習慣で予防ができるとのことでした。本稿をきっかけに読者の皆様が、自律神経の乱れを予防する方法について知るきっかけとなりましたら幸いです。

この記事の監修医師