FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 症状から調べる
  3. その他
  4. 「性行為後に腹痛」を感じる原因はご存知ですか?対処法も医師が徹底解説!

「性行為後に腹痛」を感じる原因はご存知ですか?対処法も医師が徹底解説!

「性行為後に腹痛」を感じる原因はご存知ですか?対処法も医師が徹底解説!

性行為後に腹痛がある時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

阿部 一也

監修医師
阿部 一也(医師)

プロフィールをもっと見る
医師、日本産科婦人科学会専門医。東京慈恵会医科大学卒業。都内総合病院産婦人科医長として妊婦健診はもちろん、分娩の対応や新生児の対応、切迫流早産の管理などにも従事。婦人科では子宮筋腫、卵巣嚢腫、内膜症、骨盤内感染症などの良性疾患から、子宮癌や卵巣癌の手術や化学療法(抗癌剤治療)も行っている。PMS(月経前症候群)や更年期障害などのホルモン系の診療なども幅広く診療している。

「性行為後に腹痛がある」原因と対処法

女性の場合、お腹には、子宮や卵巣といった女性生殖器があります。また、男女ともに、胃や小腸、大腸などの消化器、腎臓や尿管、膀胱などの泌尿器がお腹にはあります。そのため、腹痛の原因には、多くの原因があります。
今回は、性行為後に腹痛がある場合の原因や対処法について解説します。

性行為後に腹痛がある原因と対処法

女性の7割程度の方が、生涯に少なくとも1度、性行為中あるいは性行為後に下腹部の痛みを感じるといわれています。多くの場合は筋肉痛などの一時的なもので、心配のいらないことが多いです。しかし、痛みが3ヶ月後以上続く場合には治療が必要なケースがあります。
例えば、婦人科の病気としては、性感染症、卵巣腫瘍、卵巣嚢胞、子宮筋腫、子宮内膜症、排卵に伴う痛みなどがあがります。
また、泌尿器科の病気として、細菌性膀胱炎などの尿路感染症や間質性膀胱炎、膀胱結石、腎臓結石なども性行為後の痛みの原因となることがあります。
その他、胃腸炎などの消化器系の原因によって腹痛が生じることもあります。
自宅での痛みの対処法としては、安静にし、温かいタオルなどで患部を温めること、さらに鎮痛薬を内服するといったことがあります。
痛みが続く場合には、婦人科または泌尿器科、消化器内科を受診し、症状を詳しく伝えるようにしましょう。

性行為後にお腹の左側に腹痛がある原因と対処法

性行為の後にお腹の左側に腹痛がある場合には、婦人科系の疾患では、骨盤内感染症(PID)や、子宮外妊娠、卵巣嚢胞の破裂、卵巣出血などが考えられます。また、子宮内膜症という、子宮外で子宮の内膜と同じ組織が増えてしまう病気があります。その組織が作る嚢胞(子宮内膜症性嚢胞、チョコレート嚢胞と呼ばれることもあります)が破裂することでもお腹の左側に腹痛が生じることがあります。
また、お腹の左側には、胃や脾臓、膵臓、左腎臓、大腸などがあります。そのため、左下腹部に起こる痛みは、大腸憩室炎などの可能性もあります。
痛みが続いたり、発熱などの全身症状があったりする場合には、早めに婦人科や消化器内科を受診するようにしましょう。

性行為後にお腹の右側に腹痛がある原因と対処法

性行為後にお腹の右側に痛みがある場合には、婦人科的な病気としてはPIDや子宮外妊娠、卵巣嚢胞の破裂、卵巣出血、子宮内膜症などがあります。左側と同様に、子宮内膜症性嚢胞の破裂によってもお腹の右側に痛みを生じることがあります。なお、子宮内膜症性嚢胞の左右差について調べた報告はいくつかありますが、はっきりとした差は明らかになっていません。子宮外妊娠についても、右側に多いという報告がみられるものの、現時点では明らかな左右差はないと考えられます。
卵巣出血については右側に多いとされています。これは骨盤内の右側は左側と異なりS状結腸と呼ばれる大腸が無いことが関係しています。こうしたクッションとなるものが無いため、骨盤壁に卵巣が直接衝突し出血しやすいからとされます。
また、消化器内科的な病気としては、急性虫垂炎や胆石症の可能性もあります。
性行為後にお腹の右側の腹痛が続く場合も、早めに婦人科あるいは消化器内科を受診するようにしましょう。

性行為後に腹痛と下痢がある原因と対処法

腹痛や下痢は、特に大腸など消化器の感染症によって主に引き起こされます。性行為でもそうした感染症が引き起こされる場合があり、特に口や肛門を使った性行為ではそのリスクが高まります。
性行為に関連する原因としては、ロタウイルスや大腸菌などがあります。この場合、水のような下痢便が出やすいという特徴があります。
口や肛門を使った性行為の後に、腹痛や下痢がみられる場合には、消化器系の病気の可能性もあります。感染症内科や消化器内科を受診するようにしましょう。

性行為後に腹痛と吐き気を催す原因と対処法

性行為後に腹痛と吐き気を催す可能性がある病気としては、骨盤内炎症性疾患(PID)が挙げられます。これは、女性の生殖器系である子宮や腟、卵管などに影響を与える臓器の感染症または炎症のことです。クラミジアや淋病、マイコプラズマ・ジェニタリウムといった性感染症が一般的な原因です。
PIDの症状は、下腹部の痛みや圧痛、生理痛、排卵痛、おりものが臭くなる、あるいは発熱や吐き気・嘔吐といったものがあります。特にクラミジアや淋病によるPIDは、不妊の原因にもなります。
こうした症状がある場合には、婦人科や消化器内科を受診するようにしましょう。

性行為後に激しい腹痛がある原因と対処法

性行為後に腹部に激痛がある場合には、子宮外妊娠の破裂[一阿1] や、卵巣嚢胞の破裂、卵巣腫瘍の茎捻転(けいねんてん)、子宮内膜症性嚢胞の破裂、卵巣出血といった原因が考えられます。子宮外妊娠では体内での大量出血により、最悪の場合死に至る場合もあります。脱力感やめまい、失神がおこる場合は特に緊急性が高いです。あるいは、消化器の病気として、腹膜炎というお腹の重篤な炎症の可能性もあります。
激しい腹痛がみられる場合には、早急に医療機関を受診するようにしましょう。

すぐに病院へ行くべき「性行為後の腹痛」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

性行為後に激しい痛みが突然生じた場合は、婦人科あるいは消化器内科へ

突然の激しい腹痛や持続的な強い痛みがある場合、すぐに救急外来を受診するようにしましょう。
これらの症状は子宮外妊娠の卵管破裂、卵巣腫瘍の茎捻転、卵巣出血、卵巣嚢胞破裂、急性虫垂炎、腹膜炎など重篤な病気の可能性があり、迅速な診断と治療が必要です。

受診・予防の目安となる「性行為後の腹痛」のセルフチェック法

  • ・激しい痛みや耐えられない痛みがある場合
  • ・発熱や異常な腟分泌物がある場合
  • ・持続的な痛みがある場合

「性行為後の腹痛」が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「性行為後の腹痛」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

性感染症

性感染症(STI)は、性行為を介して伝染する感染症の総称です。代表的な性感染症には、クラミジア、淋病、梅毒、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、性器ヘルペス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、B型肝炎などがあります。
クラミジア、淋病の場合には、抗生物質(アジスロマイシン、ドキシサイクリン、セフトリアキソンなど)による治療を行います。性行為を控え、治療が完了するまでパートナーも検査と治療を受けることが大切です。
梅毒は、ペニシリンによる治療が有効です。こちらも早期発見と治療が重要です。パートナーにも検査を受けてもらうことも必要です。
性感染症は、異常な腟分泌物や尿道分泌物、排尿時の痛みや焼け付くような感覚、性器周辺のかゆみ、痛みなどがあります。また、皮膚の発疹、潰瘍、下腹部の痛み、性行為中または後の出血、発熱や全身倦怠感も症状となります。
女性の場合、婦人科で検査と治療を受けましょう。また、男性の場合、泌尿器科を受診しましょう。
性器ヘルペスなどの皮膚症状がある場合は皮膚科を受診します。
性感染症は早期発見と適切な治療が重要です。症状を感じたら自己判断せず、速やかに医療機関を受診して適切な診断と治療を受けるようにしましょう。また、予防として避妊具を装着するなどの安全な性行為を実践し、定期的な検診を受けることが大切です。

細菌性膀胱炎

細菌性膀胱炎は、膀胱に細菌が感染して炎症を引き起こす病気です。女性に多く見られますが、男性も発症することがあります。発症の原因として最も一般的なのは大腸菌(Escherichia coli)ですが、プロテウス、クレブシエラ、エンテロコッカスなど他の細菌も原因となることがあります。性行為によって尿道に細菌が侵入しやすくなることや、不十分な排尿によって尿道に残った細菌が膀胱に感染を引き起こすことが、主な原因とされています。また、尿路結石や尿道の狭窄などの尿路の異常がある場合、感染リスクが高まります。
対処法としては、まず水分をたくさん摂取することが重要です。これにより、膀胱内の細菌を洗い流すことができます。また、尿意を感じたらすぐに排尿する習慣を持つことや、性行為後には排尿することも予防に役立ちます。
治療法としては、抗生物質が使用されます。一般的にトリメトプリム・スルファメトキサゾール、シプロフロキサシン、アモキシシリンなどが処方されます。痛みや不快感を和らげるためには、イブプロフェンやパラセタモールなどの鎮痛薬が使用されることがあります。
細菌性膀胱炎の症状として、頻尿や排尿時の痛み、焼け付くような感覚、血尿、下腹部の痛みなどが挙げられます。高熱が出ることは少ないですが、発熱がある場合は腎盂腎炎などの合併症の可能性があるため注意が必要です。これらの症状が見られたら、速やかに医療機関を受診することが重要です。泌尿器科は細菌性膀胱炎の診断と治療を専門としていますが、軽度の症状であれば内科でも診察と治療が受けられます。

卵巣出血

卵巣出血は、卵巣内で血液が漏れ出し、出血が発生する状態のことです。これは主に卵胞や黄体の破裂によって引き起こされます。月経周期で卵巣内の卵胞が成熟し、排卵時に破裂することがありますが、この過程で血管が破れ、卵巣内で出血が起こることがあります。また、性行為がきっかけとなることが多く、右側卵巣に多いとされます。骨盤内の右側はS状結腸が無く、クッションとなるものが無いため、直接的に骨盤壁に卵巣が衝突するため起こりやすいとされます。卵巣嚢胞が破裂した場合にも出血が生じることがあります。
対処法としては、まず安静を保ち、痛みを和らげるために鎮痛薬を使用することが一般的です。軽度の出血であれば、体が自然に回復することが多いですが、重度の出血や痛みが強い場合には、早めに医療機関を受診しましょう。出血が止まらない場合や、腹腔内に大量の血液がたまる場合には、輸血や手術が必要となることがあります。手術では、出血している部分を縫合したり、卵巣の一部を切除したりすることがあります。
激しい腹痛、下腹部の圧迫感、めまい、失神、発熱、吐き気などがある場合には、速やかに医療機関を受診する必要があります。これらの症状は、重篤な内出血や他の緊急の医療状態を示している可能性があるため、放置せずに適切な診断と治療を受けることが重要です。
卵巣出血の疑いがある場合、婦人科を受診しましょう。婦人科では、超音波検査や血液検査を通じて正確な診断が行われます。診断が確定したら、必要に応じて治療が行われます。
過去に卵巣出血を経験したことがある場合や、卵巣嚢胞の既往がある場合は、定期的に婦人科での検診を受けることが望ましいです。

「性行為後に腹痛がある」ときの正しい対処法は?

性行為後に腹痛が生じた場合、市販薬を使用しても大丈夫ですが、痛みの原因がわからない場合や重篤な症状がある場合は、医師に相談することが重要です。
軽度の痛みには市販薬を使用しても構いませんが、激しい痛みや長時間続く痛み、発熱や異常な腟分泌物がある場合は医療機関を受診してください。
日常生活では、バランスの取れた食事や適度な運動を心がけ、喫煙を避け、ストレスを管理することが大切です。早く痛みを和らげたい場合は、安静にして体を休め、温かいタオルやカイロで患部を温め、鎮痛薬を服用しましょう。
応急処置をしても症状が収まらない場合や、症状が悪化する場合は速やかに医療機関を受診してください。特に発熱や激しい痛み、異常な出血が見られる場合は緊急性が高いので、早急に診察を受けることが重要です。

「性行為後に腹痛がある」ときに飲んでも良い市販薬は?

腹痛の症状を緩和するためには、アセトアミノフェンやイブプロフェンなどの市販鎮痛薬、または桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)や芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)などの漢方薬が有効である場合があります。

「性行為後の腹痛」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「性行為後の腹痛」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

性行為後の腹痛はどれくらい続くのでしょうか?

阿部 一也医師阿部 一也医師

性行為後の腹痛の持続時間は、原因や個人の体調によって異なります。軽度の筋肉痛や一時的な不快感であれば、数時間から1日程度で自然に治まることが多いです。しかし、感染症や卵巣嚢胞の破裂など、より深刻な原因がある場合は、痛みが数日間続くことがあります。このような場合は、早めに医療機関を受診して、適切な診断と治療を受けることが重要です。痛みが長引いたり、激しい痛みがあったりする場合は、必ず医師に相談してください。

まとめ

今回の記事では、性行為の後の腹痛について解説しました。
性行為の後の腹痛は自然に改善することが多いです。しかし、中には婦人科系の疾患や消化器系の疾患が原因であることもあります。
突然の痛みや激しい痛み、長引く痛み、発熱や下痢、吐き気などの症状が伴う場合には、婦人科や消化器内科を早めに受診しましょう。

「性行為後の腹痛」で考えられる病気

「性行為後の腹痛」から医師が考えられる病気は14個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器科の病気

これらの病気が性行為後の腹痛の原因として考えられます。症状が続く場合や強い痛みがある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。

「性行為後の腹痛」に似ている症状・関連する症状

「性行為後の腹痛」と関連している、似ている症状は15個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 下腹部の痛み
  • 骨盤痛
  • 腰痛
  • 性行為時の痛み(性交痛)
  • 排尿時の痛み(排尿痛)
  • 膣分泌物の増加や異常
  • 吐き気や嘔吐
  • 下痢
  • 膨満感
  • 疲労感
  • 全身の倦怠感

これらの症状は、性行為後の腹痛と関連する場合があり、原因が異なることもあるため、正確な診断が重要です。