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「頻尿」は「子宮筋腫」や「膀胱炎」が原因?自分でできる対処法も解説!

頻尿

加齢とともに頻尿に悩む人は多いです。また年齢に関係なく、誰にも相談できず頻尿を気にしている人もいるでしょう。

そこで今回は頻尿を取り上げ、頻尿の原因や考えられる病気・検査の流れ・治療方法などを解説します。

頻尿と向き合う方法や日々の生活で気を付けることなど、自分でできる対処法も紹介しているのでぜひ参考にしてください。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

頻尿とは?

問診票と聴診器

頻尿とは文字通り尿を頻繁に排出することで、一般的には1日の排尿回数が8回を超える場合に頻尿といわれることが多いです。加齢によりその度合いが増すとされ、加齢以外にも何らかの疾病により頻尿となる場合もあります。回数にもよりますが自分だけで我慢してしまい、出かけることも億劫になるなど気持ちの面でもマイナスになりがちな症状といえます。また頻尿には前立腺肥大などが原因となる「溢流性頻尿」と呼ばれる尿は溜るのに排出できないことも含まれます。
このように単に尿意を感じやすいというだけでなく重大な病気が隠れている場合もあるので、気になる場合は受診して医師の診断を仰ぎましょう。
頻尿については正常な排尿回数に対してどのくらいの頻度なのか、また排尿時に痛むなどの症状がないかなどが受診の大きな目安となります。

正常な排尿回数

正常な排尿回数は個人差があり、成人男性では1日に6回以下、成人女性で4回以下といわれています。もちろん加齢にともない回数が増えたり、飲酒量の多い人は回数が多くなったりと人によって回数は違うのであまり神経質にならないでください。
今行ったばかりなのにすぐに尿意をもよおす場合や夜眠れないほど排尿回数が多い場合など、気になり他のことが手につかないこともあるでしょう。そのような場合は早めに受診し適切な治療を行うことで症状も気持ちも改善されることが多いです。

症状

頻尿の症状にはただトイレが近いというだけでなく、排尿時に痛みをともなったり出血をともなったりする場合もあります。また尿意はあるのにすっきりと出きらない、残尿感があるなどの症状をともなう場合もあります。
このような場合には病気が潜んでいる可能性が大きいので早めに受診を考えてください。

頻尿の原因

お腹が痛い女性
頻尿の原因としてはさまざまなことが挙げられます。主なものをいくつか挙げてみましょう。

  • 加齢によるもの
  • 妊娠中の膀胱圧迫
  • 水分の過剰摂取
  • 薬服用の影響

原因の内、多いものは加齢による頻尿です。加齢により膀胱が尿を溜めにくくなることで頻尿の原因となるのです。加齢により特に病気でなくても夜尿意を感じることも多くなります。
妊娠中は腎臓の働きが活発化することや子宮が膀胱を圧迫するため頻尿になる人が多くなります。
水分の過剰摂取や利尿効果のある薬の服用によってもいつもより排尿回数が増えるでしょう。
その他、感染症・腎臓の疾患・動脈硬化などが原因で頻尿になるケースもあるので注意が必要です。
症状によって不安な時には泌尿器科を受診して診断をあおいでください。

考えられる病気

男子医師
頻尿は何度もトイレに行くという状況が続き辛い思いをしますが、原因となる重大な病気が潜むこともあるので排尿時の症状にも注意が必要です。
頻尿の原因として考えられる病気について解説しましょう。

過活動膀胱

過活動膀胱は膀胱が過剰に収縮することで尿の排出回数が増える病気です。急激な尿意で我慢できない場合もあるほど、頻繁にそれも急な尿意を感じるのが特徴です。
次のような症状が当てはまれば過活動膀胱の可能性があります。

  • 急に我慢できない尿意が起きる
  • 夜中に1回以上トイレに行く
  • トイレに間に合わず尿漏れすることがある

過活動膀胱の症状を改善する治療なども進んでいるので、上記の症状に当てはまる場合には泌尿器科を受診して治療を受けるようにしてください。

膀胱炎

膀胱炎は、尿路感染症の1種で主に細菌の感染によって引き起こされる病気です。「単純性膀胱炎」と「複雑性膀胱炎」があり、単純性膀胱炎は20代〜40代の女性に多く見られます。主に大腸菌などの細菌の感染によって起こります。複雑性膀胱炎は基礎疾患により尿流が妨げられた場合などに起こりやすい疾患です。
また長期間のステロイドなどの投薬によって感染を引き起こす場合もあります。
症状としては頻尿の他に排尿痛・残尿感・血尿・下腹部痛などが挙げられます。
膀胱炎が原因で頻尿の症状が起きている場合には、膀胱炎の治療を適切に行うことで頻尿の症状は改善されるでしょう。

前立腺肥大症

前立腺肥大症は、前立腺が異常に大きくなった状態で、40代以降の男性に多い病気です。前立腺肥大症の症状として頻尿が挙げられます。また尿の勢いがなくなる・尿に血が混じる・腰痛・下腹部の痛みや感覚異常などの症状が特徴です。
前立腺肥大症の治療としては前立腺を小さくするための手術や薬物療法があります。生活習慣を見直し、規則正しい生活を送ることで発症リスクを軽減することが可能です。
頻尿の症状とともに尿の勢いが弱くなった・血が混じるなどの症状があれば早めの受診が必要です。

子宮筋腫

子宮筋腫は子宮の筋層にできる良性の腫瘍です。できる場所によって筋層内筋腫・粘膜下筋腫・漿膜下筋腫があります。この内、頻尿の症状がでるのは主に「漿膜下筋腫」で、筋腫が下腹部を圧迫することにより頻尿や便秘の原因となります。
子宮筋腫は症状がなく大きさにも問題が無い場合には特に治療は不要な場合もありますが、頻尿の症状が気になる場合は受診してください。

検査の流れ

泌尿器科を受診し頻尿の原因を確定するための検査を行います。検査は次の流れで行われます。

1.問診
2.尿検査
3.必要なら超音波検査など

問診では主に次のようなことが確認されます。

  • 症状がいつから続いているか
  • 普段の水分摂取量
  • 普段の排尿回数
  • 排尿時の症状

問診によってさまざまな角度から頻尿のタイプを予測します。その後尿の検査を行いますが検査は主として尿沈査検査で、尿の中の成分を調べ炎症成分の有無を確認します。炎症が認められれば膀胱炎などの治療が行われるのです。
男性は前立腺炎や前立腺肥大の可能性はないか判断します。さらに必要なら腹部超音波検査・膀胱超音波検査など詳しい検査を行い診断します。

治療方法

服用中の薬
頻尿の治療方法はその原因となる病気によって違ってきます。それぞれの治療方法について解説しましょう。
まず頻尿の原因で多いのが過活動膀胱です。過活動膀胱では主に次のような治療が行われます。

  • 抗コリン薬(膀胱の収縮を抑える)
  • β受容体刺激薬(膀胱を広げる・尿道を狭める)
  • 心因的に膀胱を緊張させないための指導
  • 骨盤底筋群の体操(膀胱の下垂が原因の場合)

過活動膀胱の治療では薬物療法が行われる他、さまざまな生活習慣や体操などの指導が行われる場合もあります。
前立腺肥大症の治療は薬物療法が行われますが、効果が少ない場合には手術対応となることが多いです。
膀胱炎が原因で頻尿が起こっている場合には「抗菌薬」を処方することで症状は改善します。
ストレスやアルコールやカフェインが原因で頻尿が起きている場合もあり、生活習慣の見直しなどを指導される場合もあります。

自分でできる頻尿の対処法

水分補給をする女性
頻尿には薬物療法の他に自分でできる対処法がいくつかあります。主なものを挙げてみます。

  • 水分はしっかりと摂る
  • コーヒーやビールなど利尿作用のある飲み物に気を付ける
  • 体温が低下しないように気を付ける
  • 排尿のことばかりに気を取られない

頻尿だからと水分を控える人もいますが、逆効果です。しっかりと水分を摂るようにしてください。目安は1日2リットルで、数回に分けて摂るようにするとよいでしょう。就寝前の水分摂取はなくてよいです。また利尿作用のあるコーヒー・緑茶・ビールなどは過剰に摂取しないよう気を付けてください。
寒い時期には特に体温を低下させないことも頻尿改善には大切です。尿意がなくても念のためにトイレに行く人もいますが、膀胱にはしっかりと尿を溜める力があるので心配し過ぎないようにしましょう。
趣味や楽しみに注意を向けることで、頻尿が改善されることもあります。

すぐ病院に行った方が良い症状は?

高熱や、腰あるいは背中の強い痛みがある、血尿がある場合には、すぐに病院受診しましょう。

行くならどの診療科が良い?

主な受診科目は、泌尿器科 です。

問診、尿検査、血液検査、超音波検査、画像検査(レントゲンなど)などの検査が実施される可能性があります。

病院を受診する際の注意点は?

持病があって内服している薬がある際には、医師へ申告しましょう。

いつから頻尿があるのか、他に症状はあるのかなどを医師へ伝えましょう。

治療をする場合の費用や注意事項は?

保険医療機関の診療であれば、保険診療の範囲内での負担となります。

まとめ

指さす看護師
頻尿について解説しましたが、お役に立てたでしょうか。頻尿で悩む人は多く、誰にも相談できなくて辛い思いでいる人もまた多いのです。

原因が分かれば治療方法も多くあります。早めに泌尿器科を受診して頻尿の原因を確かめてください。

そしていつも排尿のことばかり心配するのではなく、のびのびと楽しい生活を送れるよう生活習慣も見直し、改善していきましょう。

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