「お腹にかゆいぶつぶつ」ができる原因はご存知ですか？医師が徹底解説！

お腹にかゆいぶつぶつがあるとき、身体はどんなサインを発している？Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師：
後藤 和哉 医師（京都大学医学部附属病院）

「お腹にかゆいぶつぶつがある」症状で考えられる病気と対処法

お腹は普段人目につく部位ではないですが、かゆみが強いと集中力が保てなかったり、夜に眠れないなどの問題を引き起こし、仕事や家事に支障をきたしてしまいます。また、ぶつぶつが気になってしまい気持ちが落ち込んでしまうこともあるかもしれません。
この記事では、お腹にかゆいぶつぶつができる原因や対処法などに関して紹介します。

お腹にかゆいぶつぶつがある症状で考えられる原因と対処法

お腹にかゆいぶつぶつがある症状で頻度が高いものは、アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎などの湿疹と蕁麻疹です。湿疹も蕁麻疹も初期は赤いぶつぶつやでこぼこといった見た目であることが多く、蕁麻疹は24時間以内にぶつぶつが消失し、湿疹は消失しないことが両者の違いです。
かゆみがどうしても強い場合は、皮膚科を受診してください。ぶつぶつが全身に広がり息苦しさやお腹の痛みなどが出現する場合はアナフィラキシーという重篤なアレルギー反応を起こしている可能性があります。緊急の処置や治療が必要なこともあるため、すみやかに救急対応が可能な病院を受診してください。

お腹のへそ周りにかゆいぶつぶつがある症状で考えられる原因と対処法

お腹のへそ周りにかゆいぶつぶつがある場合、最も考えられるものはベルトや下着によるかぶれです。ベルトのバックルの金属にかぶれたり、下着で擦れたりすることで湿疹が起こっているのかもしれません。
原因が上記であった場合、治療はステロイド外用となります。かゆいからとかきむしってしまうと二次感染などにつながるため、なるべく我慢しましょう。そして緩めの下着などを着用するようにして、皮膚への刺激を軽減させてください。
治らない場合は皮膚科を受診してください。

お腹と背中にかゆいぶつぶつがある症状で考えられる原因と対処法

お腹や背中などの体幹全体にかゆい時に考えられる原因はさまざまです。蕁麻疹やアトピー性皮膚炎などによる湿疹、接触皮膚炎（かぶれ）や薬剤などのアレルギーによる皮疹、虫刺症などが考えられます。

蕁麻疹の場合は皮疹が出たり消えたりし、湿疹やかぶれの場合はカサカサが伴います。薬剤アレルギーであれば、新しい薬を服用し始めてから2週間前後で出現することが多いですが、それ以上の期間でも起きることがあります。皮疹が続く場合は、なるべく早く近くの皮膚科を受診して正確な診断を受けましょう。
単なる虫刺されであれば外用薬で改善しますが、何らかの食物を摂取した後やハチなどの刺された後などに皮疹が全身に広がり、息苦しさや腹痛などが出現した場合は緊急の治療が必要になる可能性があります。そういった場合は救急車を呼ぶか、救急対応可能な病院を速やかに受診してください。

妊娠中でお腹にかゆいぶつぶつがある症状で考えられる原因と対処法

妊娠中に見られるお腹のかゆいぶつぶつは、妊娠性痒疹やpruritic urtical papules and plaques of pregnancy(PUPPP)、妊娠性疱疹など妊婦に特異的なものや、元々のアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患が妊娠を契機にひどくなった状態を考えます。
前者のような妊婦に特異的なものは、激しいかゆみを伴うことが多いですが分娩後に症状が消退します。
妊娠性痒疹は妊娠中期に、PUPPPは妊娠後期に発症することが多いです。この2つはステロイド外用剤を用いて治療します。かゆみに対して抗ヒスタミン薬の内服を行うこともあります。
妊娠性疱疹は、妊娠を契機に発症する水疱性類天疱瘡とされており、ステロイドの全身投与とステロイド外用剤で治療します。こちらも出産後に自然軽快しますが、分娩中に悪化することもあり注意が必要です。
胎児に影響がある薬も多いため、妊娠中に自己判断で薬剤を使用するのはやめましょう。皮疹が出現した際は皮膚科を受診してください。

すぐに病院へ行くべき「お腹にかゆいぶつぶつがある」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

皮疹が全身に拡大し、息が苦しくなった場合もしくは高い熱が出た場合は、救急科へ

体にかゆいぶつぶつが出現し、それが顔など全身に広がり呼吸も苦しくなってきた場合や腹痛などが出現する場合はアナフィラキシーである可能性があります。緊急の治療が必要ですのですみやかに救急対応が可能な病院を受診してください。
高い熱と全身の発疹が見られた場合、重症の薬疹や、麻疹や水痘（みずぼうそう）などのウイルス感染症、ダニに刺されて感染するツツガムシ病や日本紅斑熱などの細菌感染症の可能性があります。
麻疹は空気感染するため、隔離が必要です。ツツガムシ病や日本紅斑熱はすぐに抗菌薬加療を行わないと死に至る可能性もあります。皮疹に高熱を伴う場合は、速やかに大きい総合病院の救急科もしくは皮膚科を受診してください。

受診・予防の目安となる「お腹にかゆいぶつぶつがある」ときのセルフチェック法

• お腹にかゆいぶつぶつがある以外に眠れないほどかゆみがある場合
• お腹のかゆいぶつぶつがある以外に水ぶくれが形成されている場合
• お腹にかゆいぶつぶつがある以外に発熱がある場合
• お腹にかゆいぶつぶつがある以外に目のごろつきや口内炎がある場合

「お腹にかゆいぶつぶつがある」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「お腹にかゆいぶつぶつがある」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

虫刺され

虫刺されは虫に刺され、血を吸われたりする際に注入される唾液に対するアレルギー反応や、虫の毒液に含まれるヒスタミンなどが原因と言われています。通常は皮膚の赤い腫れの中心に刺し口を認めることが特徴です。かゆみやいたみを伴うこともあります。治療はステロイド外用です。多くの場合は1週間程度で改善しますが、症状が強い場合は飲み薬の治療が必要なこともあるため、皮膚科を受診しましょう。

蕁麻疹

蕁麻疹は、一過性に皮膚に赤みを伴う隆起した皮疹が出現する状態のことを指します。24時間以内に皮疹が消退し、出たり消えたりすることが一番の特徴です。多くの急性蕁麻疹は2、3日程度で改善しますが、慢性化する方もいらっしゃいます。その場合は、抗ヒスタミン薬の継続が必要になるため皮膚科を受診してください。

痒疹（ようしん）

痒疹とは強いかゆみを伴う皮膚の盛り上がりです。見た目は虫刺されとよく似ています。原因となる刺激は不明なことも多いですが、内臓疾患やアトピー性皮膚炎などが原因となり二次性に生じることもあります。治療はステロイド外用とかゆみに対する抗ヒスタミン薬の内服となります。症状がとても強い場合は、ステロイドの内服や免疫抑制剤の内服を行うこともあります。痒疹の治療は長引くため、早めに皮膚科を受診しましょう。

汗疹（あせも）

汗疹は汗を皮膚の外へと排出する汗菅が皮膚の角質などで詰まり、汗が排出されにくくなることで起こります。汗菅がつまり汗が管の中で溜まる場所によって、見た目や症状が異なりますが、赤みを持ったかゆいぶつぶつを認めている場合は表皮内で汗菅が詰まってできる紅色汗疹です。
紅色汗疹はステロイド外用剤を用いて治療しますが、予防も重要です。高温多湿の環境をさけ、こまめに汗を拭き取ることを心がけましょう。

疥癬（かいせん）

疥癬とは、ヒゼンダニが皮膚に寄生することで起こる疾患です。全身に湿疹病変が広がり、強いかゆみが生じます。疥癬は接触で感染し感染力も強いため、施設内や家庭内で感染が拡大します。
治療はフェノトリンの外用もしくはイベルメクチンの内服となり、通常の疥癬であれば1ヶ月程度で治癒します。しかし、角化型疥癬という特殊型であった場合は治療に時間を要してしまうこともあります。また後者は感染力もさらに強いため、家庭内や施設での感染拡大予防も重要になります。
高齢者に痒みの強い皮疹を認め、周囲の人も痒みを感じている場合は、疥癬の可能性がありますので速やかに皮膚科を受診してください。

「お腹にかゆいぶつぶつがある」ときの正しい対処法は？

お腹にかゆいぶつぶつがある時に、搔いてしまうと皮疹が拡大しかゆみがかえって強くなってしまいます。また、傷から細菌感染するリスクにもなるため、なるべくかかないように気をつけましょう。
湿疹の場合はステロイド外用が有効で、軽症であれば市販のステロイド外用剤でも治療可能です。しかし、症状が強い場合は市販の外用剤ではしっかり治すことができないため、皮膚科を受診してください。
湿疹などがお腹にある場合、締め付ける下着などを着用するとそれが刺激となり湿疹がさらに悪化する可能性があります。湿疹がひどい場合は、ゆるい下着などを着用しましょう。

まとめ

お腹にかゆいぶつぶつができる原因や対処法などについて紹介しました。自然に治ったり、市販薬で治癒可能なものもありますが、長引いてしまったり心配な場合などは皮膚科を受診してください。

「お腹にかゆいぶつぶつがある」症状で考えられる病気

「お腹にかゆいぶつぶつがある」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

自然に治ることも多いのですが、抗菌薬の使用や周囲への感染に気をつけなければならない病気も候補に挙がります。

「お腹にかゆいぶつぶつがある」に似ている症状・関連する症状

「お腹にかゆいぶつぶつがある」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「お腹にかゆいぶつぶつがある」症状の他にこれらの症状がある場合も「湿疹」「汗疹」「蕁麻疹」「接触皮膚炎」「乾癬」「疥癬」「毛包炎」などの疾患の可能性が考えられます。全身にも痒みがあり息苦しいなどの症状もある場合には、すぐに医療機関へ受診してください。