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「夜になると体が痒い」症状の原因と対処法を医師がご紹介!

夜になると体が痒い症状でMedical DOC監修医が考えられる病気や原因・何科へ受診すべきかなどを解説します。医師が薦める市販薬なども解説。かゆみや気になる症状が続くときは迷わず病院を受診してください。

梅村 将成 医師

監修医師
伊藤 礼司 医師(松江市立病院)

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2013年香川大学医学部卒業。
島根大学医学部附属病院初期研修修了後、整形外科勤務、2018年に島根大学医学部附属病院皮膚科入局、2021年から松江市立病院にて一般皮膚科診療に従事。
日本医師会認定産業医。卒後臨床研修指導医。緩和ケア研修修了。

「夜になると体が痒い」症状で考えられる病気と対処法

夜になると体が痒くて眠れないなどの症状を経験したことはありますか。症状として皮膚に痒みを生じる病気は多々あります。今回はその原因と対処法について解説します。

夜になると体が痒くなる症状で肌の乾燥から考えられる原因と治し方

肌の乾燥はドライスキンと呼ばれ、あきらかな皮疹がないにもかかわらず、強い痒みを伴うことが多いです。痒みがひどいためにストレスも感じることもあります。また、加齢や入浴時の洗いすぎなどにより、皮脂や汗の分泌が減少し、皮膚が乾燥します。
乾燥による肌のバリア機能の低下で痒み神経が過敏になり、痒みを感じやすく、夜に副交感神経が優位になると体温が上がるため、痒みはさらに悪化します。
痒みへの対応としては掻かずに保湿をすることが最善です。また、冷やすことで一過性に痒みが改善することがあります。患部を冷やして強い痒みに対処しましょう。冷却材は直接皮膚に触れると凍傷のリスクがありますので、タオルで巻いて使うなどの工夫が必要です。市販の保湿剤で改善しない場合などは、皮膚科に相談しましょう。

夜になると体が痒く、ブツブツした発疹や蕁麻疹(じんましん)がある症状で考えられる原因と治し方

夜になると体が痒くなる症状の一つに蕁麻疹(じんましん)があり、皮膚の一部が突然に赤くくっきりと盛り上がる皮疹が特徴的です。痒みを伴い、通常は数十分から数時間で消退します。夜に症状が出て、翌朝には消えるという状態を繰り返します。皮膚だけの症状であれば原因もはっきりせず自然に改善することもあります。
蕁麻疹の場合は様々なものが要因となりうるため、皮膚科やアレルギー専門の医師に相談するのが良いでしょう。
また、蕁麻疹の特殊なものとして目や唇などが腫れる血管性浮腫(けっかんせいふしゅ)というものがあります。血管性浮腫はまれですが喉の粘膜の腫れを起こすことがあり、喉の奥を圧迫して息ができなくなる可能性もある危険な症状です。血管性浮腫を疑う場合や蕁麻疹の原因検索のために、皮膚科や内科にご相談いただくのが良いでしょう。

夜になると体が痒くなる症状で体温の上昇から考えられる原因と治し方

体が温まると痒み神経か過敏になり、痒みが悪化するといわれています。強い痒みの場合にはかきむしらず、患部を冷やしましょう。

夜になると体が痒くなる症状でアトピーから考えられる原因と治し方

アトピー性皮膚炎では寝る時に痒みが悪化して眠れないことがあります。
根本的な治療として、スキンケアに加えてステロイド外用薬などの薬が必要です。夜間眠れなくなるほど痒みに悩まされる症状がある場合には皮膚科でご相談ください。

夜になると体が痒くなる症状でアレルギーから考えられる原因と治し方

ダニはアレルギーの原因となります。ダニが寝具についていると、夜に症状が悪化します。ダニアレルギーの場合、ふくらはぎや腕などに湿疹を伴う痒みがでます。
まずは皮膚に触れる布や布団を変える、ダニ対策などを行いましょう。湿疹に対してステロイド外用薬などの治療が必要になることもあります。皮膚科で相談してみましょう。

夜になると体が痒くなる症状でカビから考えられる原因と治し方

痒みを起こすカビとしては白癬(はくせん)、カンジダ、マラセチアが考えられます。足白癬(水虫)は市販の治療薬でも治療できますが、まずは医療機関で顕微鏡検査を行って、白癬かどうか確認をしてから治療薬を使う必要があります。
また、白癬はデリケートゾーンや頭部、体幹にできることもあります。湿疹と自己判断して市販のステロイド外用薬を不適切に使用された場合、カビ感染症は悪化することがありますので自己判断せずにまずは皮膚科にご相談いただくのが良いでしょう。

すぐに病院へ行くべき「夜になると体が痒い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

痒みが強く眠れない症状の場合は、皮膚科へ

夜眠れないほどの痒みがある場合には皮膚科で治療をしましょう。アトピー性皮膚炎やカビの感染、ダニなどのアレルギーなど、原因によって治療が異なります。

「夜になると体が痒い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「夜になると体が痒い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

肝臓病

肝臓や胆管、膵臓などの病気で胆汁の流れに異常がある場合、全身の痒みがでることがあります。肝臓病や胆嚢炎、胆管炎などにより、胆汁がうっ滞するため黄疸(おうだん)を伴うこともあります。
湿疹がないのに全身が痒い、黄疸があるなどの場合には、早めに内科や消化器内科を受診しましょう。

皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)

皮膚掻痒症は皮膚の見た目の異常がなく痒みだけが出るものです。原因としてドライスキン、内臓疾患、飲んでいる薬などが原因になります。原因によって皮膚科だけではなく、内科で内臓疾患の検査、治療が必要になります。まずは、皮膚科を受診し治りが悪い場合や内科を紹介された際には、内科をご受診ください。

蕁麻疹

蕁麻疹にも種類があり、アレルギー性や非アレルギー性、急性や慢性などに分類されます。原因がある場合には、まずは原因除去を行いましょう。唇や目の腫れなどの顔の症状がある場合には血管性浮腫を疑うため、一度皮膚科や内科にご相談ください。
血管性浮腫はまれではありますが、喉の粘膜がむくんで呼吸困難、窒息などの危険な症状がでる場合があるので注意が必要です。

疥癬(かいせん)

疥癬はヒゼンダニによる皮膚感染で、きわめて痒みが強く、特に夜間の痒みが激しいです。疥癬は寝具などを介して感染することもあるため、病院や施設などで集団感染を起こすことがあります。
全身の強い痒みや湿疹、手首や手足に疥癬トンネルという特徴的な皮疹がでます。症状などから疥癬を疑った場合には、周囲へ感染させないように気をつけて、すぐに皮膚科を受診し治療をしましょう。

「夜になると体が痒い」ときにおすすめの市販塗り薬は?

乾燥が原因で痒みを生じている場合には、市販の保湿剤でも良いでしょう。保湿剤としてはヘパリン類似物質という成分を含んでいる製剤が一般的です。市販薬でも病院での処方でも、ローションやクリームなど様々な剤型があります。
その他にも白色ワセリンなど、水分の蒸散を防ぐことで皮膚の乾燥を改善するものもあります。べたつきを感じることもあり、自分にあったものを見つけましょう。市販のステロイド外用薬は短期使用に適しています。長期に使っても改善が乏しい場合や、症状が悪化する場合には使用を中止し皮膚科にご相談ください。

「夜になると体が痒い」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「夜になると体が痒い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

夜になると体が痒くなるのは、入浴中に体をゴシゴシ洗うのが原因でしょうか?

伊藤 礼司 医師伊藤 礼司 医師

体を強くゴシゴシ洗うとバリア機能が低下するため、痒みが悪化し刺激を受けやすくなります。強くこすらず、石鹸シャンプーなどはよく洗い流しましょう。洗い残しがあると痒みの原因になります。お湯の温度が高すぎると痒みを悪化させるため、38-40℃くらいが良いでしょう。

夜に頭や背中が痒くて眠れないのですが何科にかかるべきでしょうか?

伊藤 礼司 医師伊藤 礼司 医師

強い痒みで眠れない症状がある場合は皮膚科にご相談ください。何らかの皮膚炎が原因で痒みを生じている可能性のほか、蕁麻疹などで痒みを生じる場合もあります。皮膚疾患は多種多様で、判断が困難な場合がありますので、皮膚科を受診しましょう。

夜になると体が痒くなるのは、寝具素材が原因でしょうか?

伊藤 礼司 医師伊藤 礼司 医師

寝具の素材によるアレルギーの可能性があります。また寝具にはダニが発生しやすいので、定期的なメンテナンスが必要です。素材はゴワゴワした羊毛などは避けるべきですが、綿やシルクが合うかどうかは個人差があります。
また、寝具だけではなく、着ている服の素材で皮膚が痒くなることもあります。
自分にあった素材を探しましょう。

夜になると体が痒いのか子どもが体を掻いています。原因と対処方法を教えて下さい。

伊藤 礼司 医師伊藤 礼司 医師

痒みで夜眠れないなどの強い症状がある子どもさんの場合には、アトピー性皮膚炎などを疑います。一度皮膚科や小児科でご相談ください。

まとめ

夜になると痒くなるのはとても辛い症状ですよね。眠れないほどの痒みは、原因などによっても異なりますが、病院で治療することができます。我慢せずに皮膚科にご相談ください。また、痒みの症状から調べたら内科の病気が見つかったなんてことも。ぜひ自己判断せずに病院をご受診ください。

「夜になると体が痒い」で考えられる病気と特徴

「夜になると体が痒い」から医師が考えられる病気は17個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

皮膚科の病気

内科の病気

  • 腎疾患
  • 肝疾患
  • 内分泌代謝疾患
  • 血液疾患
  • 悪性腫瘍
  • 神経疾患
  • 精神障害
  • AIDS
  • 寄生虫感染症

皮膚科の病気と考えがちですが、代謝性の病気や感染症の一症状としてかゆみは出現するため、血液検査などいろいろな検査によって診断されることがあります。

「夜になると体が痒い」と関連のある症状

「夜になると体が痒い」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状


「夜になると体が痒い」症状の他に、これらの症状がある場合「アトピー性皮膚炎」「皮膚掻痒症」「蕁麻疹」「寄生虫感染症」「肝臓病」などの疾患の可能性が考えられます。
複数の症状が見られる場合は、なるべく早く医療機関への受診をおすすめします。

この記事の監修皮膚科医