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「腕にかゆくない赤い斑点」ができる原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

腕にかゆくない赤い斑点がある時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

後藤 和哉 医師

監修医師
後藤 和哉 医師(京都大学医学部附属病院)

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大分大学医学部卒業後、関西電力病院、京都大学医学部附属病院、研修医を経て
京都大学医学部附属病院、天理よろづ相談所、皮膚科医。

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「腕に赤い斑点がありかゆくない」症状で考えられる病気と対処法

多くの人が経験する湿疹や接触皮膚炎、蕁麻疹などは通常かゆみを伴います。かゆみを伴わない赤い皮疹の多くは、ウィルスや細菌による感染症、出血をおこす病気、肝臓病などの内科的疾患と深く関連しているものであることがあります。子供がかかりやすい病気もあり、これらについて解説していきます。

腕に赤い斑点がありかゆくない症状で考えられる原因と治し方

腕に赤い斑点がありかゆくない症状で、もし赤い斑点が蜘蛛の足のように放射状に伸びているものであれば、クモ状血管腫の可能性があります。その場合は肝硬変といった肝臓病が隠れている可能性がありますので、一度病院を受診されることをお勧めします。皮膚症状の治療は必要ありませんが、クモ状血管腫かどうかわからない場合は皮膚科を受診ください。肝臓について心配な場合は消化器内科を受診ください。詳細は後述いたします。

腕に小さな赤い斑点がありかゆくない症状で考えられる原因と治し方

このような症状の場合は、梅毒性ばら疹の可能性があります。梅毒は、梅毒トレポネーマという病原菌による性行為感染症です。感染すると全身に様々な症状が出ます。梅毒は第1期から第4期までステージがあり、第1期は感染後約3週間から3ヶ月の間に症状が現れる時期、第2期は3ヶ月以上経過した時期、第3期は3年〜10年以上経過している時期で、第4期は10年以上経過している状態です。
第1期は陰部にしこりができたり鼠径部のリンパ節が腫れますが、痛みなどの自覚症状が乏しく自然軽快するので、第2期になって微熱やだるさがでたり、体に発疹がでてから気がつくことがしばしばあります。第2期にみられる発疹のひとつが梅毒性ばら疹といい、体や腕、下肢の内側にできる指の爪サイズの淡い赤色の発疹です。痛み・かゆみのような自覚症状がなく、無治療でも長い間でたりひいたりしながら最終的には自然消退するためアレルギー性の皮膚炎と自己判断して見過ごされることがあります。自覚症状が自然軽快しても、抗菌薬で治療しない限り、病原体は体内に残っており、梅毒が治ったわけではありません。発症早期の抗菌薬治療で完治が可能ですが、治療せず長期経過し、第4期になると心血管系や脳神経系に重大な合併症を起こすことがあります。皮疹の見た目で自己判断するのは難しいので、原因のわからない皮疹に気がついた時点で病院を受診するようにしてください。梅毒の治療は泌尿器科、皮膚科、婦人科、性感染内科(性病科)で治療可能ですが、発疹だけであればまずは皮膚科を受診されることをおすすめします。採血をすれば診断がつきます。

内出血で腕に赤い斑点があり症状で考えられる原因と治し方

腕に内出血による赤い斑点がある場合は、紫斑病の可能性があります。
加齢によってもしばしばみられ、老人性紫斑といい、気がつかないくらいの刺激で内出血を起こしますが、自然軽快します。老人性紫斑であれば心配ありませんが、それ以外の場合は注意が必要です。出血を止める作用のある血小板や凝固因子などに問題がある場合があり、白血病などの血液疾患、感染症、膠原病、薬剤、アレルギーなどさまざまな原因が隠れている場合があります。年齢に関わらず強くぶつけた覚えがないのに内出血を起こしている場合は早めに内科を受診されることをおすすめします。特に腕以外の皮膚や粘膜にも出血(歯茎の出血や鼻血など)があるようでしたらただちに受診されることをおすすめします。

ストレスで腕に赤い斑点がありかゆくない症状で考えられる原因と治し方

ストレスが重なった後などに、片方の腕だけにかゆみがなく、むしろ痛みのある赤い斑点が出現し、次第に小さな水疱が集まって帯状にでる場合は、帯状疱疹の可能性があります。水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で起こります。基本的には体のどこかで左右どちらかに発症します。内服や点滴治療で治療します。合併症や後遺症にも繋がりますので、発症後気がついた時点で早めに皮膚科を受診し、適切な治療を受けられることをおすすめします。詳細は後述いたします。

子どもの腕に赤い斑点がありかゆくない症状でが考えられる主な原因と治し方

このような症状の場合、毛孔性苔癬の可能性があります。毛穴に角化した粟粒くらいの大きさ(1-3mm)の皮疹がぷつぷつと沢山できる病気です。時に赤色だったり褐色だったりして、触るとざらざらしますが痒みはありません。子供の頃にできはじめて思春期に症状が一番強くなります。その後大人になるにつれて自然によくなっていきます。主に二の腕にできますが、太もも、肩、おしりにできることもあります。毛穴の角質が増え、詰まったりするため、角質を溶かす塗り薬で治療することがあります。ありふれた疾患で、体質として親から遺伝すると言われています。見た目が気にならなければ特に治療の必要はありません。目立ちにくくする治療を希望される場合は皮膚科を受診ください。
また子供で、風邪症状、発熱などに続いて腕を含む全身にかゆみのない赤い斑点が出る場合は、子供の頃にかかりやすい突発性発疹、手足口病、麻疹(はしか)、風疹などのウィルス疾患の可能性もあります。
突発性発疹は、乳幼児に生じる病気です。比較的元気なことが多いですが、3-4日38-39度の高熱が持続し解熱とともに体、顔、四肢に小さな赤い発疹がでます。次第に融合して3日後に痕を残さず消えます。時に熱性痙攣を起こすので注意して経過をみてください。
手足口病とは、乳幼児に多く見られる病気で、手や足や口に赤い水ぶくれ様の発疹が現れます。一般的には手のひら、足の裏、口なのですが、腕や脚にも皮疹が出ることもあります。発熱はあまり高くならないことが多く、水ぶくれやそれが破れてただれの状態で気づくこともあります。稀に髄膜炎や脳炎などを合併します。
麻疹は、まず38-39度の高熱が3〜4日間続き、鼻水・咳・目やになどの風邪症状が見られます。一旦解熱した後、赤い発疹の出現 とともに、再度39-40度の高熱が数日続きます。発疹は顔面から腕を含めた全身に広がります。次第に発疹同士が融合し、色素沈着を残し治ることが典型的ですが、肺炎、中耳炎、脳炎の合併に注意が必要です。
風疹は軽い風邪症状ではじまり、37-38 度の発熱と同時に全身に赤い発疹がでます。顔の辺りから腕を含む全身に広がりますが、発熱、発疹は 約3日で色素沈着を残さず治ります。首・耳の下・わきの下のリンパ節が腫れることが特徴です。脳炎、髄膜炎などに注意が必要です。いずれも基本的な治療は安静ですが、合併症のリスクもあるためこのような場合は小児科を受診してください。

すぐに病院へ行くべき「腕に赤い斑点がありかゆくない」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

気づかないうちにできた内出血斑やさまざまな場所からの出血症状の場合は、内科へ

気づかないうちに皮膚の内出血斑ができ、さらに歯ぐきからの出血や鼻血などさまざまな場所から出血があり、血が止まりにくいときは血液や肝臓の病気の可能性があります。そのような場合は速やかに内科(できれば血液内科、消化器内科のある総合病院)を受診ください。

受診・予防の目安となる「腕に赤い斑点がありかゆくない」のセルフチェック法

  • ・腕に赤い斑点がありかゆくない以外に水疱ができて痛みがある症状がある場合
  • ・腕に赤い斑点がありかゆくない以外に鼠径部に無痛性のリンパ節腫脹(しこり)がある場合
  • ・腕に赤い斑点がありかゆくない以外に黄疸(皮膚や目が黄色くなる)症状がある場合
  • ・腕に赤い斑点がありかゆくない以外に腹水でお腹がはっている症状がある場合
  • ・腕に赤い斑点がありかゆくない以外に男性の乳房がふくらむ症状がある場合
  • ・腕に赤い斑点がありかゆくない以外に血がとまりにくい症状がある場合
  • ・腕に赤い斑点がありかゆくない以外にさまざまな場所から出血症状がある場合

「腕に赤い斑点がありかゆくない」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「腕に赤い斑点がありかゆくない」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

クモ状血管腫

クモ状血管腫とは、毛細血管が蜘蛛の足を広げたような形(放射状)に赤く拡張したものです。痒みはありません。首、胸、二の腕に好発します。しばしば手掌紅斑(手の平が赤くなります)を合併します。肝硬変などの慢性肝疾患、妊娠、経口避妊薬、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌異常、膠原病(全身性強皮症)で出現しますが、健康な子供でも出現します。
クモ状血管腫を疑ったら、上記の基礎疾患をはじめとする原因を特定することが重要です。肝臓は沈黙の臓器と言われ、障害があっても自覚症状が出にくく早期発見が難しいです。黄疸(皮膚や目が黄色くなる)や腹水(お腹に水がたまり膨れる)、出血傾向などの症状がでる頃には進行してしまっています。また、膠原病のひとつである全身性強皮症では全身の皮膚が硬くなり内臓にも病変がでるため、早期の診断が必要です。このように、クモ状血管腫が重要な疾患を発見する手掛かりになる可能性があります。クモ状血管腫を疑った場合は一度内科(特に消化器内科)を受診されることをおすすめします。クモ状血管腫かどうかわからない場合は皮膚科を受診してください。クモ状血管腫自体は良性のものなので特に治療を必要としませんが、気になる場合は美容目的にレーザー治療を行うことがあります。

帯状疱疹

帯状疱疹は水ぼうそうの原因である水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で起こります。このウイルスは水ぼうそうに感染して治った後も体のどこかの神経節に潜んでいます。ストレスや過労などが引き金となって免疫力が低下すると、潜んでいたウィルスが再び活動を始め、皮膚に帯状疱疹として発症します。そのため、潜んでいる神経節の部位によっては全身のどこにでも出ますが、基本的には体の左右どちらかになります。自然治癒も可能ですが、部位や基礎疾患などによって合併症による重症化の可能性があります。ウィルス血症となり全身に広がると空気感染を起こします。神経麻痺や、脳や脊髄に入ると髄膜炎、脳炎などを合併することがあります。また、帯状疱疹後に神経痛が長期間残る場合もあります。抗ウィルス薬による内服や点滴治療があります。しばしば入院治療が必要になりますので、発症後気がついた時点で皮膚科を受診し、適切な治療を受けられることをおすすめします。

老人性紫斑

老人性紫斑は加齢により皮膚の支持組織がもろくなるため、少しの刺激で血管が破れやすくなり気がつかないくらい軽微な刺激で出血を起こすようになる病気です。特に治療はなく出血は数週間で自然に吸収されて治りますが、普段からこすったりぶつけたりといった刺激をさけるように注意しましょう。

「腕に赤い斑点がありかゆくない」ときの正しい対処法は?

今回ご紹介した疾患のうち、毛孔性苔癬は市販で塗り薬があります。尿素配合軟膏(20%尿素配合のケラチナミンコーワクリーム、ユーリラックスUbや10%尿素配合のウレパールプラスクリーム、ウレパールプラスローションなど)がおすすめです。その他の疾患、特に内出血をしている時は外用による摩擦刺激が悪化するため塗り薬はおすすめできませんし、刺激という意味ではマッサージや温めたり冷やすこともおすすめしません。
早く治したい場合は、早期診断が重要なので早めに病院を受診してご相談ください。

「腕に赤い斑点がありかゆくない」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「腕に赤い斑点がありかゆくない」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

腕に赤い斑点がありかゆみはありません。肝臓が原因でしょうか?

後藤 和哉 医師後藤 和哉 医師

そうとは限りませんが、クモ状血管腫なら肝臓が悪い場合があります。

腕に赤い斑点がありかゆくない場合、何科の病院を受診すべきですか?

後藤 和哉 医師後藤 和哉 医師

まずは皮膚科を受診してください。斑点が内出血によるもので、他の部位の出血も起こしている場合は速やかに内科を受診してください。

腕にできた赤い斑点は自然に消えるのでしょうか。

後藤 和哉 医師後藤 和哉 医師

ウィルス性のものであれば、自然に消える可能性が高いですが、原因によっては原因の治療が皮膚症状の治療に繋がりますので、正しい診断のためにも一度皮膚科を受診されることをおすすめします。

まとめ

腕に赤い斑点がありかゆくない症状の場合は、肝臓病や血液疾患、膠原病、感染症などの内科的疾患と深く関連していることがあります。痒みなどの自覚症状がないからといって放置せず、早めの病院受診をおすすめします。

「腕に赤い斑点がありかゆくない」で考えられる病気と特徴

「腕に赤い斑点がありかゆくない」から医師が考えられる病気は13個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

皮膚科の病気

消化器科の病気

膠原病科の病気

  • 全身性強皮症

感染症科の病気

血液科の病気

原因となる病気には、ウィルスや細菌による感染症、出血をおこす病気、肝臓病などが関与している可能性があります。

「腕に赤い斑点がありかゆくない」と関連のある症状

「腕に赤い斑点がありかゆくない」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「腕に赤い斑点がありかゆくない」症状の他に「痛みを伴う」場合は「帯状疱疹」の可能性が、「紫色の斑点、内出血」がある場合は「紫斑病」の可能性があります。皮膚以外の場所からも出血を伴う場合にはすみやかに医療機関への受診をお勧めします。