「ふくらはぎがむくんで痛い」のは「坐骨神経痛」や「下肢静脈瘤」が原因?
ふくらはぎがむくんでいて痛いとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
柏木 悠吾 医師
「ふくらはぎがむくんでいて痛い」症状で考えられる病気と対処法
「ふくらはぎがむくんでいて痛い」という症状は誰しも経験したことがあると思います。症状の原因はさまざまですが、血管・リンパ管の血流の低下が原因であるケースが多く見られます。どのような場合に病院受診をする必要があるのか解説していきます。
ふくらはぎがむくんでいて痛い症状で考えられる原因と治し方
長時間の立位によるふくらはぎの浮腫み・鈍い痛みがあるときは、下肢静脈瘤かもしれません。
下肢静脈瘤は、立位の姿勢を長時間続けることでふくらはぎの浮腫みや痛みを感じます。立ち仕事をしている方や妊娠をきっかけに発症することが多いです。特に30歳以上の女性によく見られます。
すぐにできる処置は下肢挙上です。
治療は弾性ストッキング(弾性包帯)を着用し保存的に行います。必要に応じて硬化剤を下肢静脈瘤内に注入する硬化療法や静脈瘤切除などを行います。また適度な運動や生活環境の改善によって、症状をある程度改善させることも可能です。
主な診療科は、循環器内科です。超音波検査にて診断します。緊急性は低いため、日中の受診を行いましょう。
片足・片方のふくらはぎがむくんでいて痛い症状で考えられる原因と治し方
片足・片方のふくらはぎが浮腫んで痛みやだるさが出る症状があるときは、リンパ浮腫かもしれません。
リンパ浮腫は、原発性(もともとのリンパ管の機能が弱くて生じるもの)と続発性(悪性腫瘍の治療でリンパ節を切除したり、放射線治療でリンパの通り道がダメージを受けて生じるもの)に分けられます。リンパ浮腫の9割以上が続発性のものです。
治療は弾性ストッキング(弾性包帯)を着用する保存的なものを行います。また運動療法・リンパドレナージ(マッサージ)を行うほか、手術療法を行うこともあります。
主な診療科は、形成外科です。CTや超音波検査にて診断します。緊急性は低いため、日中に外来を受診しましょう。
ふくらはぎの内側がむくんでいて痛い症状で考えられる原因と治し方
長時間足を動かさずにいることで起こる、ふくらはぎの浮腫み・鈍い痛みがあるときは、エコノミー症候群かもしれません。
エコノミー症候群は、長時間足を動かさずにいることによって静脈に血栓ができる疾患です。重篤なもので血栓の一部が剥がれ、肺の血管を詰まらせてしまうことで肺血栓塞栓症が起こることです。食事や水分を十分に取らない状態で長時間寝たまま・座ったままでいることで起こります。特に避難所や飛行機・車内で起こりやすいです。
本症と診断されたらなるべく早期に治療を開始することが重要で、抗凝固療法や血栓溶解療法を行います。
主な診療科は、循環器内科です。採血・超音波検査にて診断します。緊急性は高いため、なるべく早めに受診しましょう。
すぐに病院へ行くべき「ふくらはぎがむくんでいて痛い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
ふくらはぎに電気が走ったような痛みがある場合は、整形外科へ
ふくらはぎに鋭く、ピリピリとした電気が走ったような痛みがあるときは、坐骨神経痛かもしれません。
坐骨神経痛は、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの疾患が原因で起こります。
坐骨神経痛を改善するには、腰痛体操やホットパックを利用して患部を温める方法があります。
主な診療科は、整形外科です。レントゲンやMRI検査によって診断します。緊急性は低いため、日中の外来を受診しましょう。
受診・予防の目安となる「ふくらはぎがむくんでいて痛い」ときのセルフチェック法
- ・ふくらはぎがむくんでいて痛い以外にしびれがある場合
- ・ふくらはぎがむくんでいて痛い以外に胸痛がある場合
「ふくらはぎがむくんでいて痛い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「ふくらはぎがむくんでいて痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
下肢静脈瘤
下肢静脈瘤は、立位の姿勢を長時間続けることでふくらはぎの浮腫みや痛みを感じます。立ち仕事をしている方や妊娠を機に発症することが多く、特に30歳以上の女性に好発します。
本症と診断されたら、まずは弾性ストッキング(弾性包帯)を着用し保存的に治療を行い、必要に応じて硬化剤を下肢静脈瘤内に注入する硬化療法や静脈瘤切除などを行います。また適度な運動や生活環境の改善によって、症状をある程度改善させることも可能です。
主な診療科は、循環器内科です。超音波検査にて診断します。緊急性は低いため、日中の受診を行いましょう。
エコノミークラス症候群
エコノミー症候群は、長時間足を動かさずにいることによって静脈に血栓ができる疾患です。足を動かし始めた時に血栓の一部が剥がれ、肺の血管を詰まらせてしまうと致死的です。食事や水分を十分に取らない状態で長時間寝たまま・座ったままでいると起こりやすいです。特に避難所や飛行機・車内で起こりやすいです。
本症と診断されたらなるべく早期に治療を開始することが重要で、抗凝固療法や血栓溶解両療法を行います。
主な診療科は、循環器内科です。採血・超音波検査にて診断します。緊急性は高いため、なるべく早めに受診しましょう。
リンパ浮腫
リンパ浮腫は原発性と続発性に分けられ、9割以上が続発性です。
本症と診断されたら、弾性ストッキング(弾性包帯)を着用する保存的な治療や運動療法・リンパドレナージ(マッサージ)を行うほか、手術療法を行うこともあります。
主な診療科は、循環器内科です。超音波検査にて診断します。緊急性は低いため、日中に外来を受診しましょう。
坐骨神経痛
坐骨神経痛は、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの疾患が原因で起こります。
坐骨神経痛を改善するには、腰痛体操やホットパックを利用して患部を温める方法があります。
主な診療科は、整形外科です。レントゲンやMRI検査によって診断します。緊急性は低いため、日中の外来を受診しましょう。
「ふくらはぎがむくんでいて痛い」ときの正しい対処法は?
ふくらはぎがむくんで痛い症状を落ち着かせるためには、弾性ストッキングや弾性包帯による圧迫療法があります。また適度な運動や生活環境の改善によって、症状をある程度改善させることも可能です。
坐骨神経痛の場合であれば、湿布などの貼り薬に効果があることがあります。
下肢静脈瘤の場合であれば、マッサージは医学的に推奨されています。
しかし、エコノミー症候群(深部静脈血栓症)の場合、マッサージは足の静脈の血栓を移動させ、肺血栓塞栓症を誘発する可能性があるため禁忌です。どちらの場合も、マッサージやストレッチを行なってよいかは主治医に相談してください。
なお、市販薬は使用しても改善が期待できないため、主治医に相談することをお勧めいたします。
「ふくらはぎがむくんでいて痛い」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「ふくらはぎがむくんでいて痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
ふくらはぎがむくんでいて痛いときに効くマッサージはありますか?
柏木 悠吾 医師
下肢静脈瘤の場合、マッサージは医学的に推奨されていますが、エコノミー症候群(静脈血栓塞栓症)の場合マッサージは禁忌です。まずは受診し、かかりつけ医に相談してください。
ふくらはぎがむくんでいて痛いときは何科に行けばいいですか?
柏木 悠吾 医師
まずは循環器内科を受診してください。
ふくらはぎがパンパンに張って痛いのは塩分が原因でしょうか?
柏木 悠吾 医師
塩分の摂りすぎによる浮腫みによって、ふくらはぎがパンパンに張って痛むこともあります。
ふくらはぎのむくみが続いて痛いのは放置するとどうなりますか?
柏木 悠吾 医師
特に疾患がなければ次第に改善すると思いますが、数週間経ってもふくらはぎのむくみが改善しない場合、大きな疾患が隠れている可能性がありますので、早めに循環器内科を受診してください。
まとめ
「ふくらはぎがむくんでいて痛い」という症状は誰しも経験したことがあると思います。症状の原因は様々ですが、急いで病院を受診しなければいけないケースもあります。お気軽に病院を受診されてくださいね。
「ふくらはぎがむくんでいて痛い」症状で考えられる病気
「ふくらはぎがむくんでいて痛い」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
消化器系の病気
腎臓系の病気
整形外科系の病気
日常生活の病気
- 塩分摂取過多
- 長時間立位
病気でなくても生活習慣によって起こることのある症状です。
「ふくらはぎがむくんでいて痛い」に似ている症状・関連する症状
「ふくらはぎがむくんでいて痛い」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「ふくらはぎがむくんで痛い」症状の他にこれらの症状がある場合でも「下肢静脈瘤」「深部静脈血栓症」「心不全」「肝不全」「腎不全」「坐骨神経痛」などの疾患の可能性が考えられます。症状がなかなか改善しない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。