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「胸の付け根が痛い」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

「胸の付け根が痛い」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

胸の付け根が痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

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「胸の付け根が痛い」症状で考えられる病気と対処法

普段の生活において胸の付け根が痛くなった経験はありませんか。
一時的に胸が痛むときにはゆっくり安静を保持して休養をとれば症状が改善していきますが、強い痛み、息切れや呼吸苦、動悸などの症状を合併する際には何らかの症状が進行している危険性があります。
今回は、胸の付け根が痛い場合にはどのような疾患や原因が考えられるかを解説して、想定される病気の症状や対策方法などを紹介していきます。

胸の付け根が痛い症状で考えられる原因と治し方

胸の付け根が痛い症状で考えられる疾患としては、「乳がん」が挙げられます。
乳がんは、遺伝的な要因と食事、生活習慣などの環境的な要因が関係して発症します。
乳がんは、女性ホルモンのエストロゲンと密接に関係していて、体内のエストロゲン濃度が高い場合だけでなく、長期にわたって経口避妊薬を服用している場合、閉経後に女性ホルモン補充療法を長期間受けている場合などに発症リスクが高くなります。
乳がんは乳腺外科で適切に診断や治療が行われているため、乳腺のしこりが触れる、乳頭部から血性分泌液が出現するなど乳がんと思われる症状が認められる際には、早期の段階で専門医療機関を受診しましょう。

右胸の付け根が痛い症状で考えられる原因と治し方

右胸の付け根が痛くなる症状で考えられる疾患としては、「胸膜炎」が挙げられます。
肺を包む胸膜が炎症を起こす胸膜炎は体勢を変えたときに痛みやすい症状ですが、併せて息を吸うときに痛みが走ったり、発熱や咳などを伴ったりすることも見受けられます。
また、炎症を起こした膜を起点として肺の内部に水が溜まると、胸が圧迫されるような強い痛みが襲ってくるので危険であり、呼吸困難に陥る可能性も十分に考えられます。
心配であれば、早急に内科など受診するように心がけましょう。

左胸の付け根が痛い症状で考えられる原因と治し方

左胸の付け根が痛くなる症状で考えられる疾患としては、「肋軟骨炎」が挙げられます。
肋軟骨炎は肋骨や肋軟骨の周囲の炎症であり、肋骨や肋軟骨の周囲の組織には、筋肉や靭帯が含まれており、肺の外側膜や肋軟骨周囲の組織に炎症があると、肺が膨らんだときに痛みが生じると言われています。
基本的には安静にして痛み止めを用いて炎症が治るのを期待しますが、心配であれば最寄りの整形外科など専門医療機関を受診しましょう。

胸の下側の付け根が痛い症状で考えられる原因と治し方

胸の下側の付け根が痛くなる症状で考えられる疾患としては、「帯状疱疹」が挙げられます。
帯状疱疹という病気は、水痘(すいとう)帯状疱疹ウイルスを原因として発症する病気のことを意味しており、発症の初めの段階では皮膚がぴりぴりするような痛みを自覚して、時間が経つと帯状に赤みや水疱形成などの典型的な皮膚症状が出現します。
帯状疱疹に万が一罹患した場合には、その発症原因となる水痘帯状疱疹ウイルスに特化したアシクロビルやバラシクロビルなどの抗ウイルス薬を投与する治療方法が挙げられます。
またそれらの抗ウイルス薬にくわえて、帯状疱疹は強い痛みを伴うことが多く、一般的な鎮痛剤では対処できないことが多く認められ、脊髄神経ブロックなどを組み合わせた治療内容が必要となる場合もあります。
心配であれば、早急に皮膚科など受診しましょう。

生理前に胸の付け根が痛い症状で考えられる原因と治し方

生理前に胸の付け根が痛くなる症状で考えられる疾患としては、「乳腺症」が挙げられます。
乳腺症は女性ホルモンのバランスの影響によって乳房を構成している乳管、腺葉、そして腺房と脂肪がさまざまな変化を起こします。
乳腺症はエストロゲンとプロゲステロンのバランスが崩れることが原因で発症し、エストロゲンがプロゲステロンに対し過剰分泌されることで胸の痛みなどを始めとする症状が起こると考えられています。
ホルモンバランスが関係しているため、妊娠中や閉経後は起こりにくいという特徴もあります。症状が悪化すれば、最寄りの乳腺外科に相談しましょう。

妊娠初期に胸の付け根が痛い症状で考えられる原因と治し方

妊娠初期に胸の付け根が痛くなる症状で考えられる疾患としては、「乳腺線維腺腫」が挙げられます。
妊娠すると女性ホルモンが大量に排出されて、胸の違和感や痛みを自覚することがあります。
妊娠初期は、子宮を妊娠継続できるように女性ホルモンであるエストロゲンが分泌されることが知られており、このエストロゲンは、胸の乳管や乳腺組織の働きを活発化させる働きを有しています。
また、同時期にはもう一つの女性ホルモンであるプロゲステロンも多く分泌され、さらに乳腺組織を活発化させることで万が一にも胸にしこりが触れて胸の付け根が痛くなると、乳腺線維腺腫という良性の腫瘍を疑う必要があります。
乳腺部にしこりを発見した場合は、すぐに乳腺外科など医療機関を受診しましょう。

男性の胸の付け根が痛い症状で考えられる主な原因と治し方

男性の胸の付け根が痛くなる症状で考えられる疾患としては、「肋間神経痛」が挙げられます。
肋間神経は肋骨を引き上げたり、腹圧を加えたりするための指令を伝えるための神経であり、主に背中から胸腹部にかけて分布する末梢神経です。
肋骨の上部7対は、肋骨に沿って胸骨に向うように走行しており、下部5対は前下方に走行しており腹部に分布しているため、胸や背中、脇腹などに痛み症状を自覚します。
肋間神経痛は、胸や背中、脇付近の痛みが突発的に起こり、何度も症状を繰り返す場合は内科を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「胸の付け根が痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

急に呼吸苦や胸痛を自覚する症状の場合は、呼吸器科へ

突然息を吸ったタイミングで胸が痛むだけでなく、呼吸の苦しさもある場合には「自然気胸」を発症していることが考えられます。
気胸は救急外来で遭遇する比較的頻度の高い疾患であり、自然気胸と外傷性気胸に大きく分けられています1)。
自然気胸は身体の急速な成長や喫煙習慣などの影響を受けて肺に穴が空いてしまい、漏れだした空気が臓器を圧迫してしまうという病気です。
治療は注射針を刺して溜まった空気を逃がすことが基本となります。
症状を放置すれば命に係わりますので、迅速に呼吸器科に受診するようにしましょう。

受診・予防の目安となる「胸の付け根が痛い」時のセルフチェック法

  • ・胸の付け根が痛い以外に呼吸苦症状がある場合
  • ・胸の付け根が痛い以外に乳頭部から血性分泌液が出る場合
  • ・胸の付け根が痛い以外に皮膚症状がある場合

「胸の付け根が痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「胸の付け根が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

乳腺症

乳腺症とは、乳腺に変化が起こることにつけられた総称であり、女性ホルモンのバランスが深く関係しており、乳腺部に痛みや分泌物が出る場合もあって、乳がんと症状が似ていることと言われています。
乳腺症は乳腺にさまざまな変化がみられ、胸が腫れる、しこりを感じるなどがよく挙げられる変化であり、月経が始まると症状が軽減するのが特徴です。
乳腺がでこぼこしている場合、自分で触ってもわかるので不安になる人も多く、その症状からは乳がんと見分けがつきにくいものですので、心配であれば乳腺外科などを受診して検査で判断してもらいましょう。

乳がん

乳がんは近年罹患率が増加傾向と言われており2)、乳腺組織にできるがんであり、乳がんの多くは乳管から生じますが、小葉から生じる場合もあります。
一般的に、乳腺組織のみにとどまっているがんを非浸潤がん、乳房のまわりのリンパ管や血管まで入り込んでいるがんを浸潤がんといいます。
乳がんは、リンパ管や血管を通って乳房からは離れた場所にあるわきの下のリンパ節や、骨、肝臓、肺、脳などの臓器に転移することがあります。
乳がんでみられる主な症状は、乳房やわきの下のしこりが触れる、乳頭のへこみなど乳房の皮膚や乳頭の変化、あるいは乳頭部から血が混じったような茶色の分泌物が認められます。
心配であれば、速やかに乳腺外科など専門医療機関を受診しましょう。

肋間神経痛

脇腹や背中から胸にかけて、ビリッと電気が走るような痛みを「肋間神経痛」と言います。
肋間神経痛は、肋骨に沿って走っている肋間神経が痛む状態であり、主に脇腹、背中から胸にかけて電気が走るような鋭い痛みを呈するのが特徴のひとつです 。
冬場など寒い時期になると起こりやすいのが特徴的であり、痛みがひどい際には、内科など医療機関を受診することが大切です。

肋軟骨炎

肋軟骨炎は、肋骨と胸骨をつないでいる胸肋関節や肋骨と肋軟骨の接合部に痛みが出現する疾患であり、主に左の第2から5肋骨の部位に生じることが多いと言われていますが、現実的には左だけに限らず、左右両側の肋骨においても認められる可能性があります。
通常、体をひねったり、息を吸ったりすると胸が痛いというのが特徴であり、重篤な病気ではありませんが整形外科などに受診して正確に診断することで安心することができます。

「胸の付け根が痛い」ときの正しい対処法は?

胸の付け根が痛いときには、まず楽な体勢をとり、深呼吸して休みましょう。
安静にすることで、症状が治まる可能性があります。
ただし、痛みが10分以上持続する場合や悪化する際には、重大な病気が否定できないため、早急に医療機関を受診する必要があります。
万が一、胸にしこりがある場合には乳腺症や乳がんなどを考える必要があるので乳腺外科を受診する、あるいは胸が痛くて熱がある際には胸膜炎などを疑って内科など専門医療機関を受診しましょう。
症状を緩和させる市販薬の例としては、アセトアミノフェンなどの鎮痛剤などが挙げられます。
症状が軽い場合には、市販薬を飲んで一時的に様子を見るのも良いですが、服用しても症状が改善せずに悪化傾向を示す場合には速やかに医療機関を受診してください。
軽症の胸の痛みだけであれば市販薬の用法用量を遵守して飲んでもいいですが、冷や汗や呼吸苦、動悸症状など重篤な症状を合併する際には早急に受診しましょう。
ツボ療法では、あくまでも応急処置として、腕の手のひら側で手首の横紋のまん中から上へ指三本分の内関のツボを親指で押しもみすることで、胸の痛みが緩和することがありますが、その後に医療機関を受診するように意識しましょう。
過労やストレスなどを契機に自律神経が障害を受けて肋間神経痛などを引き起こす場合には、胸を温めてリラックスすることで症状改善に繋がる可能性があります。
定期的に運動を実践してストレス解消する、睡眠を良好に保って規則正しい生活習慣を送ることで胸の痛みが引き起こされにくい体作りに寄与する可能性が期待されます。
早く治したい時には、自己判断だけに頼らずに専門医療機関に相談する、あるいは応急処置をしても症状が収まらない場合には可及的速やかに病院などを受診するようにしましょう。

「胸の付け根が痛い」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「胸の付け根が痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

胸の付け根が痛い時は何科に行けばいいでしょうか。

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

胸膜炎、気胸、帯状疱疹、乳腺症、肋間神経痛などが考えられます。胸膜炎や気胸であれば呼吸器科、帯状疱疹であれば皮膚科、乳腺症であれば乳腺外科、肋間神経痛であれば内科などを受診するようにしましょう。

女性で胸の付け根・脇が痛いのは乳腺症の可能性がありますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

女性で胸や脇が痛む際には乳腺症を考える必要があります。乳がんと症状が類似していることもあり、心配であれば早期的に乳腺外科など専門医療機関を受診しましょう。

授乳中に胸の付け根が痛いのですが原因は何でしょうか。

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

授乳期間中に胸の付け根が痛い場合には、乳腺に炎症が起きている乳腺炎を発症している可能性があります。代表的な症状としては、乳房の熱感、痛み、腫れだけでなく発熱や倦怠感が出現することもあります。不安であれば、乳腺外科などを受診してください。

乳がんの胸の付け根が痛みはどんな痛みでしょうか。

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

通常、乳がんができたことによって胸に痛みを感じることは少ないですが、乳房に生じるしこり(腫瘤)に伴って痛み症状が出現することもあり、乳頭から茶色い血性分泌物が出る、あるいは乳頭部のただれなどの皮膚症状が認められる際には、早急に乳腺外科など専門医療機関を受診しましょう。

まとめ

胸の痛みは心臓や呼吸器、乳腺や肋骨周辺部に関わってくる場合があるので、症状の度合いによっては命の危険性があるほど重大な病気が潜んでいる可能性が考えられます。
胸の付け根が痛い際には、さまざまな病気を鑑別として挙げる必要があり、症状の悪化がないかどうか、呼吸の変化などにはより一層気を配る必要があります。
症状がひどい際には、迷わずに早急に専門医療機関を受診して身体の健康に注意するように心がけましょう。
今回の情報が参考になれば幸いです。

「胸の付け根が痛い」で考えられる病気と特徴

「胸の付け根が痛い」から医師が考えられる病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

呼吸器科の病気

乳腺外科の病気

整形外科の病気

皮膚科の病気

内科の病気

心臓や呼吸器、乳腺や肋骨周辺部などに関わる可能性があるので、なかには重大な病気が潜んでいることがあります。

「胸の付け根が痛い」と関連のある症状

「胸の付け根が痛い」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「胸の付け根が痛い」症状の他に、これらの症状がある場合も「急性心筋梗塞」「狭心症」「自然気胸」「胸膜炎」「乳腺症」「乳がん」「乳腺炎」「肋軟骨炎」「帯状疱疹」「肋間神経痛」などの疾患の可能性が考えられます。
急に痛みが出た場合や症状がなかなか改善しない場合には、早めの医療機関への受診をおすすめします。