あなたの「頭の痛み」はどのような特徴がありますか?医師が原因・対処法も解説!
頭が痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が頭痛で考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
出口 誠(医師)
「頭が痛い」症状で考えられる病気と対処法
「頭が痛い」症状はもっともよく見られる症状の一つです。その原因はさまざまで、自然におさまる軽症のものから、中には命にかかわる病気が隠れていることもあります。頭痛について正しい知識をもつことが大切になりますので、頭痛のさまざまな原因、症状の特徴、それぞれの対処法について順番にみていきましょう。
頭が痛く、吐き気を催す症状で考えられる原因と治し方
頭が痛い症状に吐き気を催す事は決して珍しくありません。代表的なものでは片頭痛や肩こりからくる緊張型頭痛なども吐き気を伴うことがあります。症状を緩和するには横になって安静にする、リラクゼーションが効果的です。その他には、脳出血、くも膜下出血などの脳卒中や脳腫瘍、更には脳炎、髄膜炎といった重症感染症などがあります。これらはご自分での対処はできませんので、速やかに医療機関を受診する必要があります。
もし吐き気以外に意識がもうろうとする、言葉の症状や脱力、しびれなどの症状がある場合には迷わず救急車を呼び早急に病院を受診してください。その他希な病気としては、脳の血管が一過性に繰り返し縮むことが原因の可逆性脳血管攣縮症候群(別名、雷鳴頭痛)という病気もあります。吐き気を伴ったり、脳卒中のような症状がでたりすることもあります。
頭が痛くズキズキする症状で考えられる原因と治し方
頭が痛くズキズキする場合は、脳の血管に原因がある場合が考えられます。代表的なものには片頭痛があります。片頭痛に関しては後ほど詳しく説明いたします。その他、「ズキズキ」という表現に近い痛みでは、神経に原因がある場合があります。後頭神経痛という後頭部から耳の後ろ辺に痛みが出るものや、帯状疱疹という頭に湿疹や水ぶくれの様な皮膚病変を伴うものもあります。後頭神経痛は鎮痛薬により対処できますが、帯状疱疹は抗ウイルス薬などの特別な塗り薬や薬を内服する必要がありますので、もし頭に皮膚病変を伴う場合は皮膚科を受診してください。
頭が締め付けられるように痛い症状で考えられる原因と治し方
頭が締め付けられるような症状では緊張型頭痛があります。長時間の同じ姿勢やパソコン操作、過度のストレスや緊張を伴う場面が続く場合に出やすい症状です。対処法はリラックスできる姿勢をとり、軽い体操を行う、頭部や首、肩のマッサージを行う、お風呂にゆっくり浸かるなどの効果があります。特に緊急性はありませんが、これもひどくなると吐き気がしたりめまいを伴う事もありますので、症状が強い場合は神経内科や脳神経外科を受診してください。
熱中症で頭が痛い症状の特徴と治し方
熱中症では様々な症状の中の一つとして頭が痛い症状が現れます。熱中症とは、体温が上がり、体の中の水分や塩分などの電解質、体温を調節する機能が低下する事により、めまい、頭痛、吐き気、筋肉痛から重症になると意識がもうろうとなり、けいれんや異常な体温上昇などの症状が現れます。直ぐにできる対処法として、涼しい場所に移る、衣服を脱いで水、氷嚢、扇風機などで体を冷やす、水分と塩分を補給する、などがあります。ただし、意識障害やけいれん、異常な高体温など重症化した場合は直ちに病院を受診することが必要です。
頭が痛い症状とストレスで考えられる影響と治し方
ストレスが原因となる頭痛には緊張型頭痛と片頭痛があります。緊張型頭痛については、定期的に首、肩を回して筋肉の緊張をほぐしてあげることで症状を緩和できます。片頭痛の場合はどちらかというとストレスから解放されたタイミングで起こる場合が多いです。どちらも緊急は要しませんが症状が強い場合は受診が必要になります。
すぐに病院へ行くべき「頭が痛い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
突然の激しい頭痛、連日朝起きたときに起きる頭痛、吐き気を伴う頭痛の場合は、脳神経外科へ
突然の激しい頭痛、連日朝起きたときに起きる頭痛、更に程度の差はありますが吐き気を伴う頭痛の場合は緊急を要する場合があります。突然の今まで経験が無い程の激しい頭痛の場合は、くも膜下出血の可能性があります。原因は脳の血管の動脈瘤という血管のコブからの出血ほとんどです。極めて緊急を要する病気ですので、直ぐに病院の脳神経外科を受診する必要があります。また、出血は血圧と密接に関連しますので、いきむ動作や激しく動くなど血圧が上がりやすい状況は避けてください。連日朝起きたときに起きる頭痛では脳腫瘍の可能性があります。脳に腫瘍などの塊ができることにより脳全体の圧が上がり、特に朝に頭痛を引き起こします。緊急を要する事も時々みられますので、早めに病院でMRIなどの検査を受ける必要があります。
「頭が痛い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「頭が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
片頭痛
片頭痛とは痛みが強く、吐き気やめまいなどの症状を伴う事も多いため、生活や仕事への影響がかなり強い頭痛です。通常痛みは数十分から数時間で収まりますが、2-3日続く場合もあります。約20〜30%の方に頭痛が始まる前にギラギラとした光が見えたり、視野の一部が見えなくなったりするような、いわゆる前兆がみられます。痛みがでるきっかけは、悪天候、精神的なストレス、またストレスからの解放時、寝すぎや寝不足、希にアルコール類や香辛料の摂取などがあります。また、女性の場合は月経時のホルモンバランスの崩れがきっかけとなり起こる、いわゆる月経関連症候群の一症状として起こる事もあります。片頭痛は、脳の血管が拡張することが原因とされていますので、薬は脳の血管に関わるものがほとんどです。残念ながら根本的に治す治療法はいまだに確立されていませんが、発作時に内服するトリプタン製剤、予防薬の内服、また最近では抗CGRP製剤という1~3か月に1回の予防注射もあります。専門は神経内科や脳神経外科になります。
緊張型頭痛
緊張型頭痛とは頭の周りが締め付けられるように痛くなる頭痛です。つらい症状が続いてすっきりせず、時にはめまいや吐き気を伴うこともあります。原因は長時間同じ姿勢をとる事で首回りや頭の筋肉が緊張し血流が悪くなり、筋肉中の酸素や栄養素の不足、疲労物質の排出が妨げられた結果、痛みを誘発する物質がたくさん出たり、血管自体が収縮して神経が刺激されたりして痛みが出ます。対処法は先に述べた通りですが、筋肉の緊張を和らげることで滞った血流を改善する効果が期待できます。その他鎮痛薬による治療が有効で、心身のリラクゼーション効果を期待して筋弛緩薬や精神安定剤も投与されます。
群発頭痛
群発頭痛は何年かに一度、片側の眼周囲~前頭部、側頭部にかけての激しい頭痛が数週から数ヵ月の間繰り返し起こることを特徴とした頭痛です。片側の目を中心に、激烈な痛みが起こり、充血、流涙、鼻水、発汗などの症状を伴い、じっとしていられない程の痛みであることも特徴の一つです。原因は、脳の動脈に炎症が起こり、血管が拡張した結果、血管周囲の自律神経に強い影響が及ぶためと考えられています。残念ながら自分で対処できる方法はありませんし、激痛ですのでほとんどの方は病院を受診されます。治療法は片頭痛薬と同じく血管に作用する薬、トリプタン製剤が中心ですが、即効性を考慮して点鼻薬や注射薬が使用されることも多いです。片頭痛と同様に抗CGRP製剤の注射も効果があるという報告もあります。また、酸素吸入も有効である事がこの病気の特徴です。神経内科や脳神経外科が専門になります。
慢性頭痛
片頭痛、緊張型頭痛などの頻度が増えてきて毎日の様に頭痛症状が起こる状態を慢性頭痛といいます。こうなると日常生活や仕事にも影響が強くなり、QOL(キューオーエル:生活の質)が著しく損なわれることになります。また、慢性頭痛の発症の約半分程度には、頭痛薬を長期間、毎日の様に服用することで起こる薬物乱用頭痛も関わっているとされています。鎮痛薬を継続して服用していると、普通はそれほど気にならない程度の頭痛でも脳が敏感になってしまい、痛みを強く感じるようになり、鎮痛薬を内服しないと我慢できなくなるという悪循環に陥ります。自分での対処は困難になりますので、頭痛専門医のもとで的確な診断の上、適切な治療を受ける必要があります。薬物療法の基本は、鎮痛薬をなるべく内服しないようにする指導と予防薬の内服が中心となります。
「頭が痛い」ときの正しい対処法・頭痛薬の飲み方は?
「頭が痛い」ときの正しい対処法・頭痛薬の飲み方について解説します。
市販薬については、その成分は、アセトアミノフェンやイブプロフェン、インドメタシン、アスピリンなどが中心で特に飲んではいけないものはほとんどありません。ただし、飲みすぎると先ほどお話しした薬物乱用頭痛、慢性頭痛状態などかえって頭痛が悪化する事もあります。片頭痛や群発頭痛はそもそも市販の鎮痛薬があまり効かない病気でもあります。発熱に伴うものや、片頭痛のような脳の血管が拡張することが原因の頭痛では冷やすと症状が緩和されますし、逆に緊張型頭痛や慢性頭痛など、ストレスや心身の緊張が関与し脳の血管が収縮する傾向にある場合は温めてあげると症状が緩和されます。コーヒーやチョコレート、アルコール類については、片頭痛を誘発したり、悪化させたりする可能性がありますので、頻度が多い方は少し控えた方がよいかもしれません。
「頭が痛い」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「頭が痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
痛み止めを飲んでも頭痛が続くのは病院で相談できますか?
甲斐沼 孟(医師)
もちろん相談は可能です。これまで述べた通り、頭痛には危険なものもありますので、あまり自己診断を過信せずに病院を受診してください。
頭痛が続いて、特にこめかみが痛いのは何が原因でしょうか?
出口 誠(医師)
こめかみには側頭筋という頭の中では比較的大きな筋肉があり、この部分の過度な緊張が原因である可能性があります。希な病気としては側頭部の血管である側頭動脈の炎症で起こる側頭動脈炎や、片頭痛でこめかみを中心に痛みでる事もあります。
低気圧の日に頭が痛くなるのは、天気頭痛でしょうか?
出口 誠(医師)
気圧が低い場合、自立神経のバランスが悪くなるなり、脳の血管は拡張する傾向になります。結果、頭が痛くなり、めまい、吐き気がおきるなど片頭痛と似たような症状がでることがあります。この様な場合は天気頭痛とか低気圧頭痛とよばれることもあります。
頭が痛くなりやすい体質は、頭痛外来で治療できますか?
出口 誠(医師)
頭痛外来では頭痛の正確な診断と適切な治療を受ける事ができます。ほとんどの頭痛はよくなりますし、気にならないくらいに症状が緩和されます。
頭が痛い症状と体の姿勢には相関関係がありますか?
出口 誠(医師)
猫背でいたり、長い時間同じ姿勢でいると目の疲れや肩・首のこりなどにつながり、これは頭痛の原因になります。そのため、姿勢を正したり、ときおりストレッチすることなども頭痛予防に良いでしょう。
まとめ
最後になりますが、頭痛は病気の様々な症状の中で珍しいものではありませんが、決して軽視してはいけない症状です。脳卒中に関連した頭痛はもとより、片頭痛や緊張型頭痛なども軽症とは言いきれず、頻度や程度によっては日常生活や仕事への影響も大きくなります。個人のみならず社会経済活動への損失も懸念される病気で、過去には頭痛による生産性の低下で、日本の経済的損失は毎年2880億円にのぼると試算されています。頭痛くらいで、と考えずに躊躇することなく専門医を受診し、適切な治療を受けることをお勧めします。
「頭が痛い」で考えられる病気と特徴
「頭が痛い」から医師が考えられる病気は12個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
皮膚科の病気
内科の病気
- 熱中症
頭痛には、自然におさまる軽症のものから、命にかかわる緊急性の高いものもあります。また、慢性頭痛は軽症とは言い切れず、頻度や程度によっては日常生活に支障をきたすため、一度専門診療科への受診も検討しましょう。
「頭が痛い」と関連のある症状
「頭が痛い」と関連している、似ている症状は13個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- こめかみが痛い
- 頭が一瞬ズキッとする
- 後頭部が痛い
- 目の奥が痛く頭痛がする
- 寝すぎて頭痛がする
- 寝不足で頭痛がする
- 頭が重い
- 首が痛い
- 目の奥が痛い
- 突然頭が痛い
- 頭がガンガンする
- 頭がズキズキする
- 頭が締め付けられる
「頭が痛い」他に、これらの症状が見られる際は、「くも膜下出血」「緊張型頭痛」「片頭痛」「脳腫瘍」「帯状疱疹」などの疾患の可能性が考えられます。突然の激しい頭痛、連日朝起きたときに起きる頭痛、吐き気を伴う頭痛を認めた場合は、早めに医療機関へ受診しましょう。
・頭痛の診療ガイドライン2021(日本脳神経外科学会)