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  4. 「右下腹部の痛み」の原因は?女性・男性の場合やチクチク痛む症状も解説!

「右下腹部の痛み」の原因は?女性・男性の場合やチクチク痛む症状も解説!

「右下腹部の痛み」の原因は?女性・男性の場合やチクチク痛む症状も解説!

右下腹部が痛い症状は何が原因なのでしょうか?ここではMedical DOC監修医が右下腹部のチクチクした痛みなどで考えられる病気や対処法・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

梅村 将成 医師

監修医師
梅村 将成 医師(市中総合病院)

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自治医科大学医学部卒業。その後市中病院で臨床経験をつみ、現在は市中の総合病院で外科専門医・腹部救急認定医として勤務。日本外科学会、日本消化器病学会、日本腹部救急医学会などに所属。
消化器外科・総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患を診療。小児から高齢者まで、健康に悩みを抱えるすべての患者さんが納得した医療を受けられるよう、専門医と総合医の視点をもって日夜診療に努めている。

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「右下腹部が痛む」症状で考えられる病気と対処法

右下腹部が痛むという症状を聞くと、医師ならぱっと10以上の疾患が思いつきます。右下腹部が痛む原因には、それほど多くの疾患が関与する可能性があります。今回は、その右下腹部が痛む症状で考えられる病気と、その対処法を解説していきます。

女性の右下腹部の痛みで考えられる症状の原因と治し方

女性の右下腹部の痛みで考えられる症状の原因に、卵巣茎捻転、卵巣出血、子宮内膜症などがあります。卵巣は左右に一つずつあるため、特に、右卵巣に異常が生じた場合は、右下腹部に痛みが出現します。
市販の痛み止めの内服が効果的なことも多いのですが、普段感じたことのない強い痛みの場合は、治療を要する状態であることが想像されます。
早めに婦人科、外科を受診してください。

男性の右下腹部の痛みで考えられる症状の原因と治し方

男性の右下腹部の痛みで考えられる症状の原因に、精巣上体炎などがあります。

精巣上体炎

典型的な精巣上体炎の症状は陰嚢内の強い痛みですが、炎症が強い時は足の付け根や下腹部に痛みが波及することがあります。それ以外にも、若年男性の場合は精巣捻転の可能性もあります。
右下腹部や精巣周囲の痛みが強い場合は、早めに泌尿器科を受診しましょう。

女性の右下腹部が痛く、チクチクする症状で考えられる原因と治し方

女性の右下腹部が痛く、チクチクする症状で考えられる原因に、子宮内膜症や子宮筋腫があります。

子宮内膜症・子宮筋腫

子宮内膜症や子宮筋腫は、特に月経期間を中心に下腹部痛が出現します。痛む場所は個人差があり、右下腹部が痛くなることもあります。
痛みに対しては市販の痛み止めも効果的ですが、根本的な治療には低用量ピルの処方や手術なども検討されます。気になる方は早めに婦人科を受診しましょう。

男性の右下腹部が痛く、チクチクする症状で考えられる原因と治し方

男性の右下腹部が痛く、チクチクする症状で考えられる原因に、前立腺炎が考えられます。

前立腺炎

前立腺炎は、前立腺という男性特有の臓器が何らかの原因で炎症を起こす病気です。排尿時の痛み・違和感や、会陰部から下腹部にかけての痛みが主症状です。
原因によって治療法は異なりますが、細菌感染の場合は抗生剤投与が必要です。前立腺炎を疑う症状があれば早めに泌尿器科を受診してください。

右下腹部が痛く、ストレスを感じる症状で考えられる原因と治し方

右下腹部が痛く、ストレスを感じる症状で考えられる原因に過敏性腸症候群があります。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群は、腹痛や便秘・下痢などの排便に関する症状が出現します。原因はまだ解明されていませんが、ストレスも関係があると言われています。
治療は、症状改善を目的とした投薬に加えて、生活習慣の改善や休息をとって心身を休めることも大切です。
受診科は主には消化器内科ですが、ストレスが強いと自覚する場合は心療内科・精神科も検討してみてください。

右下腹部が痛く、ズキズキする症状で考えられる原因と治し方

右下腹部が痛く、ズキズキする症状で考えられる原因に、虫垂炎や大腸憩室炎(だいちょうけいしつえん)があります。

虫垂炎

虫垂炎は俗に盲腸とも呼ばれ、虫垂という袋状の臓器に細菌感染することで発症します。

大腸憩室炎

大腸憩室炎は、憩室という大腸壁の一部が袋状に飛び出した部分に細菌感染することで発症します。どちらも右下腹部痛のほか、発熱や下痢などの症状があらわれることもあります。
ズキズキする強い痛みがある場合は、早めに外科を受診してください。

右下腹部につるような痛みがある症状で考えられる原因と治し方

右下腹部につるような痛みがある症状で考えられる原因に、尿路結石症が考えられます。

尿路結石

尿路結石とは、尿の通り道である尿管などに石ができる病気の総称です。右下腹部のつるような痛みや、刺し込むような痛み、ズキズキする強い痛みなど痛み方は個人差があります。それとともに血尿がみられることもあります。
治療は、自然に排石されることを待つ場合や手術加療を必要とする場合もあります。尿路結石を疑う場合は泌尿器科を受診してください。

右下腹部が痛く、便秘の症状で考えられる原因と治し方

右下腹部の痛みが、便秘で起こる場合もあります。大腸内を硬便が通過する際の痛み、便秘により大量の腸内ガスが発生することによる張り痛みなどがその原因です。
一般的に自然排便が週に3回以下の場合は便秘を疑いますが、毎日排便があっても残便感や不快感が残る場合は便秘の可能性があります。
食生活の見直しや水分摂取を心がけることが対処法で、市販の下剤も有効です。頑固な便秘症状で悩む場合は検査が必要な場合もありますので、消化器内科・外科に相談してください。

右下腹部を押すと鈍痛がある症状で考えられる原因と治し方

右下腹部を押すと鈍痛がある症状で考えられる原因に、炎症性腸疾患があります。

炎症性腸疾患

炎症性腸疾患とは、腸に炎症を引き起こす病気の総称で、潰瘍性大腸炎とクローン病が代表疾患です。明確な発症機序(メカニズム)はいまだ解明されていません。
腹痛、下痢、血便などが主症状で、発熱や体重減少などもきたします。
炎症性腸疾患が自然改善することは期待できず、治療を要する場合が多いです。腹部の鈍痛が続く場合は早めに消化器内科を受診してください。

すぐに病院へ行くべき「右下腹部の痛み」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

右下腹部を押すと痛く、歩くと痛みが響く場合は外科へ

右下腹部の痛みに加えて、押すと痛い、歩くと痛みが響いてつらい、という症状がある場合は早めに外科へ受診してください。急性腹膜炎の可能性があります。

急性腹膜炎

急性腹膜炎は、何らかの原因でお腹の中に強い炎症が生じ、その炎症が急激に広く波及し重症化するものを指します。急性虫垂炎や大腸憩室炎などでも重症化すると腹膜炎になります。
急性腹膜炎の場合は、手術加療を念頭に置き早急に治療を開始する必要があります。痛みの程度が強い場合は、休日夜間でも我慢せず病院を受診するようにしてください。

「右下腹部が痛む」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「右下腹部の痛み」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

虫垂炎(ちゅうすいえん)

急性虫垂炎は、右下腹部痛の原因となる疾患の中でも、最も代表的な疾患です。虫垂という袋状の臓器の内腔に細菌が侵入し発症します。右下腹部痛以外にも、発熱、嘔気嘔吐、下痢などの症状が出現します。また、ときに虫垂が破れ穿孔性腹膜炎となり重症化します。
身体所見、採血・CT・超音波検査が主な診断方法です。治療は抗生剤治療や手術加療がありますが、年齢や重症度などを加味して最も適切な方法を選択します。
市販の痛み止めでも一時的な鎮痛効果はありますが、根本治療にはなりません。右下腹部に強い痛みが出現した場合は、外科を受診しましょう。

大腸憩室炎(だいちょうけいしつえん)

大腸憩室とは大腸壁の一部にできる袋状の突起を指し、その部位に細菌感染することで大腸憩室炎を発症します。
大腸憩室は加齢とともに出現し、特に右側の大腸に多いとされています。症状として腹痛や発熱、下痢が出現します。身体所見や採血・CT検査で診断し、基本的には抗生剤点滴&絶食で治療をしますが、繰り返す場合や重症化した場合は手術加療を選択することもあります。
急性虫垂炎と似ているため検査をしなければ見分けがつかないことが多い疾患です。右下腹部や横腹が痛く我慢ができない場合は早めに外科を受診してください。

炎症性腸疾患(えんしょうせいちょうしっかん)

炎症性腸疾患は、腸に炎症を起こす全ての病気をさしますが、一般的には潰瘍性大腸炎とクローン病をさします。どちらも発症原因がはっきりと解明されていない病気です。
下痢、血便、腹痛、体重減少、発熱などが炎症性腸疾患を疑う症状ですが、重症度によってもさまざまで個人差もあります。
治療は薬物治療と外科治療を適切に組み合わせます。特に近年薬物治療は格段に進歩し、免疫調節薬などいろいろな薬が開発されてきました。
若年成人でも発症することがあるため、なかなか下痢や腹痛が治らないと悩む方は、早めに消化器内科を受診してください。

便秘症

便秘は、何をもって便秘とするかは意見の分かれるところですが、本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態を便秘とします。
そのため、一般的に3日程度排便が見られなければ便秘症を疑いますが、毎日排便があっても残便感や不快感を伴う場合は便秘と考えます。
原因の多くは加齢、水分や食物繊維の摂取不足、運動不足など生活習慣によるものですが、中には大腸がんなど重症疾患が関与していることもあります。
便秘は原因によって対処法も異なります。頑固な便秘に悩む方は、一度消化器内科や外科を受診し大腸内視鏡などの検査を受けることをお勧めします。

尿路結石

尿路結石症は、腎臓から尿道までの尿路に結石が生じる疾患を指します。特に壮年男性と閉経後女性に高頻度にみられます。典型的な症状は、突然の下腹部や背部・脇腹に生じる痛みや血尿です。
偏った食事などの生活習慣や肥満も原因になり、結石の成分(シュウ酸やカルシウム、尿酸など)を分析することでその詳細がわかります。
基本的には自然に排出されるのを待ちますが、自然排石しない場合は手術治療が行われます。突然の激しい下腹部痛や血尿を自覚した場合は、泌尿器科を受診してください。

女性で「右下腹部が痛む」症状が特徴的な病気・疾患

子宮内膜症

子宮内膜症は、子宮内膜組織が本来あるべき子宮以外の場所で発生し発育する病気です。20~30代の女性で発症することが多く、そのピークは30~34歳にあるといわれています。
症状は腹痛が主です。特に月経痛の頻度が高く、それ以外にも腰痛・下腹部痛・排便痛・性交痛などがみられます。
痛みに対しては鎮痛剤が効果的です。慢性的な痛みに悩む方には低用量ピルなどを処方します。月経痛や下腹部痛に悩む方は、早めに婦人科へ相談してください。

子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮の筋肉由来の良性腫瘍で、若い方から閉経後の方まで高頻度に見られる疾患です。多くの場合症状はありませんが、下腹部痛や過多月経などの原因になりえます。
子宮筋腫があっても症状がなく、それほど大きくないものであれば、特に治療は必要としません。しかし、サイズの大きい場合や、痛みなどで生活に支障が出る場合には治療が必要です。
治療は薬物療法や手術加療などが選択肢にあがります。気になる方は婦人科を受診し相談してください。

卵巣茎捻転(らんそうけいねんてん)

卵巣茎捻転は、卵巣に卵巣腫瘍などが発生した場合に、子宮とつながっている部分でねじれてしまう疾患です。主な症状は急に発症する下腹部痛です。完全にねじれて血流不全になると壊死する危険もあり、緊急手術が必要になります。
激痛で救急搬送されることもあるため、女性の急に発症した下腹部痛には注意が必要です。強い下腹部痛が出現した場合は、婦人科を早めに受診してください。

卵巣出血

卵巣出血は、排卵期に卵子を包む卵胞が破裂し、腹腔内に出血してしまう状態をさします。卵巣出血に伴い下腹部痛や腰痛が出現します。
基本的には自然止血されるため経過観察で治癒しますが、出血量が多い場合は手術が必要になることもあります。
排卵期に下腹部痛を自覚した場合は、婦人科を受診してください。

男性で「右下腹部が痛む」症状が特徴的な病気・疾患

前立腺炎

前立腺炎は、前立腺に何かしらが原因で炎症が起こり、下腹部痛や排尿時痛などが出現する疾患です。頻度の多い急性細菌性前立腺炎は細菌感染が原因で、高熱や頻尿症状なども伴います。
尿検査や採血検査、前立腺の触診などで診断を行い、治療として抗生剤投与を行います。重症化しやすいこともあり、点滴による抗生剤投与が必要で入院加療を要します。
発熱と排尿時痛がある場合には、早めに泌尿器科を受診してみてください。

精巣上体炎

精巣上体炎は、精巣の横にある精巣上体に炎症がおこる疾患です。精巣のしこりとして自覚したり、陰嚢痛(いんのうつう)や発熱を伴い、急激に発症することが多い病気です。ときに下腹部にまで痛みが波及することがあります。
原因の多くは細菌感染なため、治療は抗生剤の投与を行います。陰嚢や下腹部の痛みが出現した場合は、泌尿器科に受診してください。

「右下腹部が痛い」ときに飲んでも良い市販薬は?

ズキズキする痛みなどに市販の痛み止めは効果的です。
例えば、ロキソニン、ボルタレンなどの非ステロイド性抗炎症鎮痛剤があります。カロナールなどのアセトアミノフェン製剤も痛み止めとして有効でしょう。
ただし、市販の痛み止めを飲んでも我慢が出来ないくらい痛い場合は、安易に内服を続けてはいけません。治療が必要な疾患が隠れている場合もあります。
また、妊娠が疑われる場合も、安易な痛み止めの内服は避けて、医療機関を受診して相談するのが良いでしょう。

「右下腹部が痛む」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「右下腹部の痛み」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

右下腹部の痛みを予防するために、生活習慣で気をつけることはありますか?

梅村 将成 医師梅村 将成 医師

食生活を見直すだけでも、尿路結石は便秘症のリスクは減らせます。規則正しい食生活、適度な飲酒などを心がけてください。

右下腹部が痛む場合、内視鏡検査を受診した方が良いですか?

梅村 将成 医師梅村 将成 医師

臨床経過やその他検査結果にもよるため一概には言えませんが、一度は受けていただきたい検査です。偶然ポリープなどが見つかる可能性もあります。その後、大腸内視鏡をどの頻度で受けるかは、ポリープの有無などにもよりますので担当医と相談してください。

右の下腹部から足の付け根にかけて痛みがある場合何科を受診したら良いですか?

梅村 将成 医師梅村 将成 医師

右下腹部から足の付け根にかけて痛みがある場合は、鼠径ヘルニア(脱腸)の可能性もあります。外科を受診してください。

右下腹部の痛みが、大腸がんと診断される可能性はありますか?

梅村 将成 医師梅村 将成 医師

可能性はあります。ポリープや早期大腸がんは無症状であることが多いため、検診などで早期発見を心がけることが重要です。

生理前に右下腹部に鈍痛を感じるのは子宮の不調かなにかでしょうか?

梅村 将成 医師梅村 将成 医師

生理前に起こる右下腹部痛は、月経前症候群の可能性があります。月経前に発症するイライラなどの精神的変化や、下腹部痛などの症状が起こります。月経開始とともに軽快ないし消失するもので、気になる場合は婦人科を受診して相談してみてください。

まとめ

右下腹部が痛む症状の原因となる疾患は多数あるため、普段と違うな、気になるなという痛みがあれば早めに医療機関を受診してください。痛みの表現や感じ方には個人差があるため、思った通りに伝えていただければ大丈夫です。

「右下腹部の痛み」で考えられる病気と特徴

「右下腹部の痛み」から医師が考えられる病気は21個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器科の病気

泌尿器科の病気

婦人科の病気

腹部症状をきたす原因は幅広く考えられます。既往歴や病歴などから鑑別疾患を大まかに絞ることができるため、受診する際には医師へ伝えてください。

「右下腹部の痛み」に似ている症状・関連する症状

「右下腹部の痛み」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「右下腹部の痛み」症状の他に、これらの症状がある場合「急性虫垂炎」「卵巣茎捻転」「過敏性腸症候群」「尿管結石」「便秘症」「前立腺炎」などの疾患の可能性が考えられます。
複数の症状が見られる場合は、なるべく早く医療機関への受診をおすすめします。