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おしりから突き上げるような痛み

おしりから突き上げるような痛み

おしりから突き上げられるような痛みは、普段はあまり感じたことがないので不安になる方も多いのではないでしょうか。どうしたらいいのか、緊急性があるのか、などみなさんが知りたいことをMedicalDOC監修医が説明させていただきます!

「お尻から突きあげられるような痛み」がある場合に考えられる原因と対処法

内臓に近いおしりからの痛みはとても心配ですよね。ここでは痛みが現れる理由や考えられる病気を、痛みの特徴ごとに解説していきます。

ズキーンと刺さる、ギューっとねじるような痛みが続く場合

お尻から突き上げられる痛みが、波はあるけどつねに続く、ズキンズキンと痛んで座れないような痛みのことを指します。
原因としては、痔核や肛門周囲の炎症が関わっている可能性があるため、痛みの場所に熱感があれば、少し冷やすと痛みが和らぐことがありますが、痔核の場合は温浴が効果的だと言われています。

  • 痔核 : 無症状の場合もありますが、外痔核が大きく膨れて肛門内に収まらなくなったときは血栓性外痔核といい、痛みが続き一晩寝られないという方もいます。
  • 肛門周囲膿瘍 : 肛門周囲から細菌が侵入し膿のかたまりをつくる病気です。刺さるような痛みが続き、発熱もでます。痛みのために座れなくなるほどです。

このような症状がある際には、消化器科、外科、肛門科を受診しましょう。肛門周囲膿瘍などは程度によって緊急性が分かれます、我慢できないような場合は夜間でも一度電話相談することをお勧めします。

一瞬のズキンとした痛みが突然出現し、これが定期的に起こる場合

おしり付近の痛みの原因としては、痛みが続きその原因がはっきりしたものが多いですが、なかには原因がはっきりわからないが痛みが出現する場合もあります。
痛みの原因がわからなくても、神経痛などでは痛むポイントがご自身でわかることもあります。
その場所を触らないようにしてください。

  • 消散性直腸肛門痛
  • 肛門挙筋症候群
  • 陰部神経痛

これらの病気は、明らかな原因はわかっていません。
お尻の近くにある神経が過敏になってしまうことや、肛門周囲の筋肉が痙攣をおこすなどが原因として考えられます。痛みの原因が病気ではないため、診断することが難しい場合も少なくありません。
痛みが治まるようなら緊急性はありませんが、症状が続くようであれば治療が必要な病気が隠されていないか、消化器科・外科・肛門科などを受診してください。

妊娠中や産後に痛みが起きる場合

妊娠中や産後直後は、女性の体は普段と異なる状況にあることを理解しなければいけません。妊娠中にお尻近くが痛いと感じたとしても、原因は子宮などにあることもあります。
急激な痛みが出たとき、無理は禁物です。痛みが治まるまでは安静にするか、我慢できなければ助けを呼びましょう。
妊娠中では、切迫早産などの緊急性の高い状態から、痔核・産後の会陰切開の痛み、後陣痛などさまざま原因が考えられます。
まずは、かかりつけの産科に一度相談しましょう。切迫早産などは緊急性がありますので、早めに電話相談して受診してください。

生理(月経)、排卵のときに痛みが起きる場合

生理痛や排卵日近くに、おしり付近に痛みが出現する場合、徐々に生理痛が重くなっていて、下腹部だけでなくおしり付近まで痛みがある場合などが考えられます。
これらには子宮内膜症などが代表疾患になります。子宮内膜症では重症化すると痛みが肛門近くに出現したり、腰部まで波及したりします。
一時的な生理痛には、ロキソニン®︎などの市販の鎮痛薬が効果的な場合もあります。
緊急性はありませんが、低用量ピルが症状改善に効果的であること、妊娠希望の方では不妊の原因になるなどの点から、一度婦人科へ受診することをお勧めします。

男性で強く痛みを感じる症状

男性特有の臓器に前立腺があります。
そのなかで急性細菌性前立腺炎、慢性細菌性前立腺炎慢性、慢性非細菌性前立腺炎、慢性骨盤痛症候群ではお尻から会陰部(陰嚢と肛門の間あたり)に痛みや不快感がでます。ときには、突き上げるような強い痛みがでることもあります。
これらに病気に、すぐ痛みが引くようになる特効薬はありません。ただ男性の下部尿路症状は生活習慣と強く結びつくことも多く、不規則な生活を見直すのも重要です。
緊急性はありませんが、薬剤で症状が改善する場合もありますので、一度泌尿器科への受診をお勧めします。

すぐに病院へ行くべき「お尻がつきあげられるように痛む」症状

ここまで様々な症状を紹介しました。「痛みが落ち着いたし、病院は行かなくても大丈夫。」と思っていませんか?
経過観察ももちろん大切ですが、放置してはいけない症状もあります。
ここでは無視してはいけない症状を紹介します。もし、これらの症状が見られる際には早めの受診をおすすめします。

我慢できないほどの強い痛みや高熱症状がある場合は、消化器科、外科、肛門科へ

痛みの程度が強く我慢ができない、高熱がある状態である場合は、肛門周囲膿瘍の可能性があります。
肛門周囲膿瘍は、軽度の場合には抗菌薬内服で軽快する場合がありますが、多くの場合は痔瘻へ移行して、根治術が必要になります。膿が溜まっている場合には切開して、膿を出し切らないと治りません。
早めに治療を進める必要がある病気です。
すぐに消化器科・外科・肛門科を受診してください。夜間などで受診を悩む場合は、休日夜間診療所などに電話で問い合わせてみるといいでしょう。

「おしりが突き上げられるような痛み」は子宮や腸の健康状態との関係がある

おしりが突き上げられるように痛む場合、おしり・肛門だけでなく、骨盤内にある臓器(直腸、子宮、卵巣、前立腺、膀胱など)も原因になります。ここでは、そのおのおのとの関係を整理していきましょう。

子宮の不調が関係する場合

子宮のような女性器が原因で、強い痛みがでる理由はさまざま考えられます。
月経に関連する場合は、月経困難症が考えられます。これは、子宮筋腫や子宮内膜症が原因で月経周期に一致して強い痛みを生じます。子宮の細菌感染症として子宮頚管炎や子宮内膜炎が考えられます。妊娠中では切迫早産、常位胎盤早期剝離などで強い痛みが出現します。
受診すべき診療科は産婦人科で、妊娠中では、まずかかりつけ医に相談しましょう。

腸の不調が関係する場合

腸が原因でおしりが突き上げられるような痛みがでる場合、肛門近くの直腸に原因があることが多いです。
前述の、肛門にいぼ状のはれである痔核や、肛門周囲膿瘍から進行してしまう痔瘻以外にも他の疾患が考えられます。例えば、直腸がんなどの悪性腫瘍、潰瘍性大腸炎やクローン病のような炎症性腸疾患がかかわっていることもあります。そのほか、腸の内臓神経が過敏になることで発症する過敏性腸症候群のために、おしり近くから続く腹痛が起こることもあります。
痛みについて消化器内科、消化器外科を受診して相談しましょう。大腸カメラなどを必要とする場合もあります。

便秘やガス(おなら)が関係する場合

たかが便秘、とあなどってはいけません。
なんらかの原因で便やガスがたまるとお腹が張りますが、さらに重度になると、腸閉塞や閉塞性腸炎という状態になります。
便秘で悩む方は、重症化する前に排便コントロールをつける必要があります。生活習慣を見直す、薬に頼るなどいろいろ解決方法はありますので、一度消化器内科を受診してください。

膀胱炎などの排泄器官の不調が関係する場合

膀胱や尿管といった尿路の不調でもおしりから突き上げられるような痛みがでることがあります。なかでも、膀胱・尿道の炎症が痛みの原因となりやすいでしょう。
急性膀胱炎など尿路に細菌感染することで尿道付近から、ヒリヒリ痛むような感じがすることもありますが、間質性膀胱炎の重症例は特に痛みが強いことで知られています。
排尿時におしりから突き上げるような痛みを自覚する際は、泌尿器科を受診してください。

「おしりが突き上げられるような痛み」を緩和する方法

おしりが突き上げられるような痛みに対しては、状況に応じて温めることも、冷やすこともどちらも効果的になり得ます。
痔核などの痛みでは市販の痔の薬も効果的で、妊婦さんでも安心して使用できるものが多いです。ズキズキするような痛みに市販の鎮痛薬などは一時的には効果的ですが、痛みが続くようなら早めに病院を受診しましょう。
妊婦さんで薬の服用で悩む方は、飲む前に担当医や薬剤師に確認しましょう。

「おしりが突き上げられるような痛み」考えられる病気と特徴

関連する病気

  • 裂肛
  • 内外痔核
  • 嵌頓痔核
  • 血栓性外痔核
  • いわゆる痔のことです。便秘や硬い便の排泄、いきみの繰り返しなど肛門への負担によって形成され、激しい痛みを伴う場合があります。

  • 肛門周囲膿瘍
  • 消散性直腸肛門痛
  • 肛門挙筋症候群
  • 肛門や肛門の周囲に原因がある症状です。

  • 急性細菌性前立腺炎
  • 慢性細菌性前立腺炎
  • 細菌感染などが原因で、前立腺に炎症が起こり痛みと腫れを生じます。会陰部痛や陰茎痛、尿意切迫感なども生じます。

  • 慢性前立腺炎
  • 骨盤内疼痛症候群
  • 陰部神経痛
  • 原因は不明ですが、会陰部などの痛みを生じます。

  • 便秘症
  • 間質性膀胱炎
  • 排泄に原因があるとされる症状です。

  • 月経困難症
  • 子宮筋腫
  • 子宮頚管炎
  • 子宮内膜炎
  • 子宮内膜症
  • 切迫早産
  • 後陣痛
  • 女性特有の症状です。症状が強く出る場合は病院への受診をおすすめします。

  • 直腸がん
  • 炎症性腸疾患
  • 腸閉塞
  • 閉塞性腸炎

腸の問題により引き起こされる症状です。直腸がんは、血便症状が多いのですが、進行期になるまで症状がない場合も少なくありません。

まとめ

おしりが突き上げられるような痛みの原因には、肛門疾患が中心になりますが、それだけではなく、さまざまな臓器の疾患が関係することをおわかりいただけましたでしょうか?
持続する痛み・強い痛みで悩む場合、放置すると悪化する危険もあります。
何科を受診した方がいいか悩む場合には、まずは近隣のかかりつけ医に相談するというのがいいでしょう。

この記事の監修医師