「子宮が痛い」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

子宮が痛いとき、心配になりますよね。普段の生理痛と違うお腹の痛みであればなお不安になります。ここでは、すぐに病院に行くべき症状の特徴や子宮が痛いときにおすすめの対処法などをMedicalDoc監修医が紹介します。
「子宮が痛い」症状で考えられる病気と対処法
子宮が痛いときに考えられる病気としては、月経困難症、月経前症候群(PMS)などの月経に伴う病気の他に、子宮筋腫、子宮内膜症のような良性の病気や、子宮がん、子宮頸がんといった悪性の病気、骨盤内炎症性疾患、妊娠などが挙げられます。子宮は下腹部に位置するため、実際には子宮の痛みというよりも下腹部の痛みとして自覚することも多いです。下腹部には、子宮の他にも様々な臓器があり、子宮以外の臓器が痛みの原因となっている場合もあります。産婦人科疾患以外に、消化器系、泌尿器系、血管系などの疾患も考えられます。全体的な痛みか、局所的な痛みか、どのような痛みかなど、個人によって痛みの特徴が変わってきます。
生理前に子宮が痛い症状の特徴と原因・治し方
生理前に子宮の痛みを自覚する原因として、頻度の多い病気が、月経前症候群(PMS)です。PMSは、生理前のホルモンバランスの変化などによって、下腹部痛や頭痛などのさまざまな症状が出現する病気であり、日本では、生殖可能年齢の女性の約70~80%が下腹部痛などの何らかの症状を持っていると言われています。生理前の子宮の痛みを繰り返すようならば、産婦人科を受診しましょう。
生理じゃないのに子宮が痛い症状の特徴と原因・治し方
生理前や生理じゃないのに子宮が痛む原因として、頻度の多い病気は、子宮内膜症や、性感染症、子宮筋腫などが挙げられます。頻度は低いのですが子宮がんなどの悪性疾患や、性感染症の進行などによる骨盤内炎症性疾患などによる痛みも考えられます。痛みが慢性的なものなのか、もしくは突然痛くなったか、他に症状があるかなどによって、診断・処置が変わってきます。
子宮内膜症
子宮内膜症は、本来であれば子宮内にあるはずの子宮内膜が、子宮外にできてしまう疾患です。
下腹部痛や慢性の腰痛、排便痛、性交痛などの症状がみられます。子宮内膜症は、年齢を重ねるごとに進行するため、早めに治療することが大切です。
性感染症
性感染症は、膣や子宮がクラミジアや淋菌といった微生物に感染した場合に発症します。
骨盤腹膜炎に進展すると、下腹部の痛みや38度以上の発熱、おりものが多くなるといった症状が見られることがあります。
どちらの病気も早めに産婦人科を受診しましょう。
子宮がチクチクと痛い症状の特徴と原因・治し方
子宮がチクチクと痛む主な原因としては、前に挙げた月経困難症、月経前症候群の他に、子宮内膜症、子宮筋腫などが考えられます。子宮筋腫は、良性の腫瘍で、子宮内の筋肉からできる腫瘍です。女性ホルモンの影響を受けており、女性ホルモンの分泌量と関係して腫瘍は大きくなります。この子宮筋腫があると、生理時にみられる下腹痛が強くでる場合があります。また痛み方は、チクチクするような痛みのこともあれば、押しつけられるような痛みを感じることもあります。年齢などによっても治療方針が異なることもありますので、早めに産婦人科で検査を受けましょう。
子宮の左側が痛い症状の特徴と原因・治し方
子宮の左側が痛む場合には、子宮や卵巣といった婦人科系の疾患以外にも、腸など消化器系の疾患や泌尿器系の疾患も挙げられます。例えば、消化器系の疾患で考えられるのは、便秘症、腸閉塞、感染性腸炎、潰瘍性大腸炎、大腸憩室炎、大腸がんなどがあり、泌尿器系では、尿管結石や尿路感染症などが疑われます。多くの疾患が考えられるため、すぐには診断がつかないこともあります。下腹部痛に加えて、下痢、便秘、下血などがあれば消化器内科を、不正出血などがあれば産婦人科を、排尿時痛などがあれば泌尿器科を受診するのが良いでしょう。
子宮の右側が痛い症状の特徴と原因・治し方
子宮の右側が痛むときも、左側が痛む場合に挙げた疾患と同様に、消化器系、泌尿器系、生殖器系の疾患が考えられます。さらに、虫垂は一般的に子宮の右側に位置するため、子宮の右側が痛むときは、虫垂炎の可能性も加わります。症状が続くようであれば、内科や産婦人科を受診して検査を受けることが良いでしょう。
くしゃみをすると子宮が痛い症状の特徴と原因・治し方
くしゃみをすると子宮が痛い場合、前に挙げた疾患の中でも、子宮筋腫の増大などおなかの中の圧力が上昇して痛みを感じるときや、子宮や卵巣の炎症で腹膜炎を起こしていることもあり、治療が必要な場合があります。早めに内科や産婦人科を受診しましょう。
すぐに病院へ行くべき「子宮が痛い」症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
へそ周囲から右下腹部の痛みがあり、振動で痛みが響く場合は、内科・消化器内科へ
臍(へそ)の周囲やみぞおちのあたりが痛くなり、吐き気や食欲低下の症状があり、その後しだいに右下腹部に痛みが移動して強い痛みになるというような腹痛の場合、急性虫垂炎の可能性が考えられます。発熱が出てきて、さらに炎症が悪化し周囲に広がると下腹部全体が痛くなります。振動で腹部に痛みが響く場合は腹膜炎になっており、手術治療が必要になる可能性があります。移動する腹痛で腹部に響く痛みがある場合は、すぐに病院受診をしましょう。
「子宮が痛い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「子宮の痛み」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
異所性妊娠(子宮外妊娠)
異所性妊娠(子宮外妊娠)は妊娠した女性の中で1%程度であり、それほど珍しくありません。そのなかで最も多いものは、卵管への妊娠例です。はっきりとした原因はわかっていません。妊娠初期は無症状ですが、卵管が破裂すると、急激な下腹部痛や突然の性器出血が出現します。
このような場合、すぐに産婦人科を受診してください。
治療は異所性妊娠が見つかった段階で薬物治療か手術治療など最適な治療法を選択します。
妊娠してから異所性妊娠に気がつかず、卵管破裂して大量出血を起こしてしまうと、非常に重篤な状態になってしまいます。そのため、妊娠検査薬などで妊娠が判明した場合には、早めに産婦人科で超音波検査を行って異所性妊娠がないことを確認してもらう必要があります。
「子宮が痛い」ときに飲んでも良い市販薬は?
ここまで、子宮が痛くなる疾患をいくつか挙げてきましたが、痛みの原因や程度によっては、市販薬で痛みを抑えることも可能です。タイレノールなどは比較的安全に使える市販薬になるでしょう。一方で、ロキソプロフェンやイブプロフェンといった非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を主成分とした鎮痛薬については、妊娠中や特定の抗生剤との併用はできませんので、使用する際には十分な注意が必要です。
「子宮が痛い」症状で医師が考えられる病気
「子宮が痛い」症状から医師が考えられる病気は23個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。
関連する病気
婦人科疾患における下腹痛の主な原因
-
妊娠
- 流産
- 早産
- 異所性妊娠
- 月経困難症
- 月経前症候群
- 排卵痛
- 卵巣出血
- 卵管炎
- 子宮内膜炎
- 骨盤内炎症性疾患
- 子宮筋腫
- 子宮内膜症
- 子宮腺筋症
- 卵巣がん
- 子宮がん
機能性
器質性
婦人科疾患以外における下腹痛の主な原因
-
消化器系
- 便秘
- 腸閉塞
- 急性結腸直腸炎
- 潰瘍性大腸炎
- 憩室炎
- 大腸がん
- 尿路結石
- 尿路感染症
泌尿器系
まとめ
子宮が痛む原因には、婦人科系以外にも泌尿器系、消化器系など様々な要因の可能性があります。「いつも下腹部が痛むから」「痛みが治まったから大丈夫」などと安易に考えず、いつもと違う痛みを感じたり、違和感が継続するようであれば、早めに医療機関へ行って相談をしましょう。正しく診断して原因に応じた適切な治療を受けることが大切になってきます。