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「生理痛で寝れない」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

「生理痛で寝れない」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

生理痛で寝れない時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

島袋 朋乃

監修医師
島袋 朋乃

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産婦人科医師。平成28年に旭川医科大学医学部を卒業後、函館五稜郭病院、釧路赤十字病院を経て、現在は産婦人科医として市中病院で臨床経験を重ねる。総合病院やクリニックで産科、婦人科、生殖医療に携わる。日本医師会認定産業医。日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本生殖医学会所属。

「生理痛で寝れない」症状で考えられる病気と対処法

生理のとき、お腹が痛すぎて夜眠れない、学校や仕事へ行けない、日常生活に支障が出ている…毎月そんなつらい思いをしていませんか?その痛み、解決できるかもしれません。この記事では、つらい生理痛を和らげ、生理と上手に付き合っていくコツについて解説します。

生理痛で寝れない・眠れないほど痛い症状で考えられる原因と治し方

生理中、生活に支障が出るほどの腹痛や腰痛、吐き気、頭痛、疲労・脱力感など一連の症状のことを月経困難症と言います。「生理中、お腹や腰が痛すぎて寝れない」というのは生活に支障があるほどの症状とも言い換えられ、月経困難症である可能性が高いです。月経困難症の原因として子宮内膜症という疾患が存在することもあります。子宮内膜症は20代〜30代で発症することが多い疾患です。子宮内膜症を長いこと放置すると、生理痛がさらに悪化したり、卵巣や子宮が腫れてきたり、不妊症の原因になってしまうこともあります。
生理でお腹が痛くて眠れないときの対処法としては、我慢せずにまず痛み止めを使いましょう。痛み止めと一緒に、腹巻やカイロ、湯たんぽなどでお腹を温めたり、温かい飲み物を飲んだりすると痛みが和らぎやすいです。普段から寝る時間がまちまちな方や、食事の時間が不規則、食事の内容が偏っているなど、生活リズムが不規則な方はより月経困難症が悪化しやすいため、なるべく規則的な生活を心がけるようにしましょう。なんとか眠ろうとすると余計に目が覚めてしまうので、無理に寝ようとせず読書などをして過ごすのもよいでしょう。
いろいろ試してみても生理痛が辛い、生理中や生理前の体調不良が辛いという方は、産婦人科で相談しましょう。薬が効かない、お腹の痛みがどんどん増してくるといった場合には、早めの受診をおすすめします。また、立てなくなるほどの激痛が出てきて何をやっても収まらないようなケースでは、救急病院の受診を検討してください。

生理痛で寝れない・吐き気を催す症状で考えられる原因と治し方

辛い生理痛の原因はいくつかありますが、生理中に体の中で産生される「プロスタグランジン」という物質も大きく影響しています。プロスタグランジンが分泌されると子宮の収縮が促され、痛みを感じやすくなるほか、下痢や吐き気などの症状を引き起こすこともあり、生理中の様々な不快な症状に関わっていると考えられています。プロスタグランジンの産生を抑えるには鎮痛薬が効果的です。薬は、痛みや吐き気のピークで飲むよりも、痛みや吐き気が段々と強くなってきた段階で飲むと、より効果が出やすいです。今では生理痛を和らげるための市販薬も多数販売されているので、自分の体に合う薬を探してみると良いでしょう。市販薬で生理痛の吐き気に高い効果のあるものは残念ながらありませんので、市販薬だけで効果の乏しい方は産婦人科で相談してみましょう。

中学生・高校生で生理痛で寝れない症状で考えられる原因と治し方

中学生、高校生の生理痛は、「機能性月経困難症」であることが多いです。前の項目でお話したプロスタグランジンの作用に加えて、子宮がまだ未熟で経血の通り道が狭い、子宮が強く収縮してしまう、などが原因として考えられています。また、非常に稀ですが子宮奇形が原因で強い痛みを生じることがあります。痛みの和らげ方としてはやはり鎮痛薬を使うのが効果的ですが、胃痛など鎮痛薬の副作用が強くて内服ができないようなケースでは、鎮痙薬や漢方薬が効くこともあります。中高生の時期から辛い生理痛をそのままにしておくと、将来子宮内膜症を発症するリスクが高くなってしまいます。産婦人科受診の目安としては、「市販の鎮痛薬が全く効かない、あるいは効果が薄い生理痛」を一つの指標にすると良いでしょう。

すぐに病院へ行くべき「生理痛で寝れない」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

生理中の強い腹痛や性器出血がある場合は、産婦人科へ

突然の強い腹痛が起きた場合や、普段の生理よりも明らかに強い腹痛があり立ったり座ったりするのもままならない場合、夜用ナプキンが1時間持たないような出血が3〜4時間以上続く場合は、救急病院の受診を検討しましょう。卵巣が出血したり、卵巣腫瘍が捻れたり破裂すると強い腹痛が起きることがあり、同時に性器出血をきたすこともあるので、生理痛と勘違いしてしまうことがあります。また、3か月以内に性交渉の経験がある方の場合は子宮外妊娠で強い腹痛が生じるケースもあります。また、強い生理痛の背景に子宮内膜症の一種である子宮腺筋症がある場合、出血の量が増えて重度の貧血がおきる可能性があります。生理中の強い腹痛や性器出血があれば産婦人科の救急病院受診でOKですが、事前に受診する病院へ、受診可能な状況かどうかを問い合わせておくと尚よいと思います。

「生理痛で寝れない」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「生理痛で寝れない」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

機能性月経困難症(きのうせいげっけいこんなんしょう)

機能性月経困難症とは、初潮後2~3年経ってから始まることが多く、経血の出口が狭いことや、プロスタグランジンの影響で子宮が強く収縮することで強い生理痛(月経痛)を生じます。
痛みが周期的に強くなったりおさまったりするのが特徴です。機能性月経困難症の場合、鎮痛薬と鎮痙薬を併用するとよく効くことが多いです。市販の痛み止めだけでは効果が不十分な場合、産婦人科で薬の相談をしてみましょう。症状を和らげる薬のほか、ピルやプロゲスチンなどのホルモン療法も効果的です。

器質性月経困難症(きしつせいげっけいこんなんしょう)

器質性月経困難症とは、初経から5年目以降に発症することが多く、子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫など、骨盤の中にできた病変により強い痛みを感じます。生理痛が重いことに加えて、性交渉の時に腟の奥の方が痛い、排便時にお尻の奥が痛くなるといった症状のある方は、子宮内膜症の可能性が高いかもしれませんので、一度婦人科での診察を受けることをオススメします。器質性月経困難症は、ホルモン治療や手術療法により症状の改善が期待できます。鎮痛薬で効果が乏しければ、産婦人科を受診することをおすすめします。また、生理痛が薬である程度コントロールできている・または生理痛が軽い方でも、性交渉の経験がある方は、1年に1回程度子宮頸がん検診とエコー検査を受けることをおすすめします。

「生理痛で寝れない」ときの正しい対処法は?

生理痛が辛いときは我慢せず痛み止めを飲みましょう。効果が薄い時は、添付文書の指示に従って一日数回内服しても良いです。痛み止めのほか、桃核承気湯や当帰芍薬散など生理痛の緩和に効果のある市販の漢方薬を併用してみてもOKです。気分転換に、マッサージやストレッチをしてみると症状が緩和される可能性があります。痛み止めを飲んでも、漢方薬を飲んでも、お腹を温めたり規則正しい生活を心がけてみても、何をやっても眠れない時は、市販の睡眠導入剤を飲んでも構いません。しかし、それだけの痛みを婦人科にかからず放置するのは、隠れているかもしれない病気の見逃しにも繋がりかねません。睡眠導入剤を使うのは、婦人科にかかるまで一時的に、という前提で内服してください。
生理痛に悩んでいる、困っている人は、一度婦人科で相談してみましょう。日中でも夜用ナプキンが必要だったり、血のかたまりがゴロゴロ出るなど経血の量が多い場合や、不正出血が続いている場合も、婦人科で検診を受けることをオススメします。

「寝れないほど重い生理痛」の予防方法・治療方法は?

生理痛に悩まされている方は、ホルモン療法も選択肢の一つです。ホルモン治療はピルやプロゲスチンなどの飲み薬のほか、子宮の中に小さな器具を挿入して生理痛を和らげる方法もあります。生理痛のほか、生理前・生理中のイライラや気分の落ち込みなど、月経前症候群(PMS)がある方も、ホルモン治療により症状が改善の改善が期待できます。ピルには血栓症という稀ながら重篤な副作用もあり、1万人あたり3~9人発症するとされています。
一方で、ピルには生理痛の緩和に加えて避妊の効果や将来の卵巣がん、子宮体がんの発症リスクの低下などのメリットもあります。血栓症の副作用を避けるのであれば、プロゲスチンの使用がオススメです。プロゲスチンはピルと同様に生理痛を和らげる効果がありますが、ピルと違って血栓症のリスクはありません。ただしプロゲスチンに避妊の効果は期待できません。どのような治療が自分にとって一番合っているか、信頼できる産婦人科の医師と話し合ってみてください。産婦人科を受診する際には、生理周期や痛みの記録があると診察の参考になりますので、余裕があれば記録していただけると良いですが、記録がなくても問題ありません。
生理痛は不規則な生活や偏った食事によってより悪化しやすくなるため、バランスの良い食事を摂り、睡眠時間を1日7時間ほどは確保すると良いでしょう。マッサージやストレッチなどで気分転換を試みても良いかもしれません。

「生理痛で寝れない」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「生理痛で寝れない」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

生理痛で寝れないとき、寝る体勢はどのようにしたら良いですか?

島袋 朋乃島袋 朋乃 医師

横向きになって、お腹を丸めるような寝方をすると痛みが和らぎやすいです。抱き枕があるとより寝やすくなるかもしれません。

眠れないほど生理痛がひどいのは、婦人科にかかるべきですか?

島袋 朋乃島袋 朋乃 医師

痛み止めですっかり痛みが改善するようであれば良いのですが、そうではない場合は婦人科にかかることをオススメします。婦人科検診も1年に1回は受けておきましょう。

薬を飲んでも生理痛がつらくて夜眠れないのは子宮の病気ですか?

島袋 朋乃島袋 朋乃 医師

子宮に筋腫や腺筋症、子宮内膜症などの病変ができて強い痛みが出ることもありますが、そのような病変がなくても生理痛が辛い人はいらっしゃいます。辛い生理痛は必ずしも子宮の病気とは限りませんが、痛みが辛いのであれば我慢せずに病院にかかりましょう。

重い生理痛で夜中に目が覚めるのは病院で治療できますか?

島袋 朋乃島袋 朋乃 医師

生理痛を和らげる目的で、痛み止めや漢方薬、ホルモン治療などが検討されます。自分に合った方法を産婦人科医師と一緒に考えていきましょう。

まとめ

生理痛は、「全く感じない」という人から、「痛みがひどく、生理の期間は日常生活もままならない」という人まで個人差が大きく、生理の辛さが周りに理解してもらえずに辛い思いをされる方も多いです。ですが、ご紹介したように今日、生理痛の治療の選択肢は広がってきています。生理痛を我慢しても得することはありませんので、辛い生理痛を抱えている方は信頼できる産婦人科の医師を見つけ、一緒に自分の体との上手な付き合い方を考えていきましょう。

「生理痛で寝れない」症状で考えられる病気

「生理痛で寝れない」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

日常生活に支障をきたすような生理痛を感じている場合には、早めに産婦人科に相談しに行くことをお勧めします。

「生理痛で寝れない」に似ている症状・関連する症状

「生理痛で寝れない」と関連している、似ている症状は11個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「生理痛で寝れない」他に、これらの症状が見られる際は、「月経困難症」「子宮内膜症」「子宮腺筋症」「子宮奇形」などの病気の存在が疑われます。
なかなか治らない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。

【参考文献】
・産科婦人科用語集・用語解説集 改訂第3版 日本産科婦人科学会編
・産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2020
・産婦人科専門医のための必修知識 2020年度版
・OC・LEPガイドライン 2020年度版