「目を動かすと痛い」原因・対処法はご存知ですか?医師が徹底解説!
目を動かすと痛いのを治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
伊藤 裕紀(医師)
「目を動かすと痛い」症状で考えられる病気と対処法
目を動かすと痛い症状で考えられる病気は、ドライアイや眼精疲労など目が原因のものや、副鼻腔炎や自己免疫疾患などの病気の可能性も考えられます。病気の他にも、目の奥の骨が折れていたり、目に異物が付着していることもあります。症状ごとに考えられる病気とその対処法についてお伝えします。
目を動かすと痛い症状で考えられる原因と対処法
目を動かすと痛い症状がある場合、ドライアイの可能性が考えられます。
ドライアイとは、目を保護する役割のある涙の量が減ったり涙の安定性が崩れることにより目の不快感や見えにくさを生じる病気です。目の表面が傷つきやすくなり、目が乾く、眩しい、目が痛い、目が疲れるなどの症状が現れます。ドライアイが発症する原因には、加齢などによる涙の量や質の低下、長時間画面を見るライフスタイル、喫煙などが挙げられます。症状を落ち着かせるための対処法としては、防腐剤不使用の人工涙液を点眼する、ヒアルロン酸点眼薬を使用する、加湿器を使用する、長時間画面を見る作業の際はこまめに休憩する、コンタクトレンズの装用を控えるなどの方法があります。症状がひどく生活に支障が出る場合は病院を受診しましょう。主な診療科は眼科です。また、ドライアイの症状に加え口が乾くなどの症状がある場合は自己免疫疾患など他の病気の可能性も考えられます。その場合は早めに内科を受診しましょう。
目を動かすと目の奥が痛い症状で考えられる原因と対処法
目を動かすと目の奥が痛い症状がある場合は、目の周りの骨が折れている可能性があります。眼球を入れる骨のくぼみを眼窩といい、その部分が骨折することを眼窩底骨折といいます。ボールが当たったり、人や物にぶつかったりすると、目の表面の骨が折れていなくても、眼球の鼻側や下側の骨は薄いため奥で骨折が起きる可能性があります。眼窩底骨折の場合、ものが二重に見えたり、眼が落ち窪んだり、頰から唇が痺れるなどの症状が現れます。また、鼻をかむと症状が悪化するため鼻をかむのは控えましょう。疑わしい場合はできるだけ早く医療機関を受診しましょう。主な診療科は形成外科、眼科です。レントゲン撮影やCT検査を行う可能性があります。
目を動かすと片目だけ痛い症状で考えられる原因と対処法
目を動かすと片目だけが痛い症状の場合、視神経炎の可能性が考えられます。視神経炎とは、目で見た情報を脳に伝達する視神経が炎症を起こしてしまう病気です。視神経炎になると、目を動かすと痛みがでるほか、視力低下や視野異常、吐き気や手足のしびれなどの症状が現れることもあります。視神経炎になる原因には、自己免疫疾患やウイルスや細菌感染などがあります。視神経炎を自分で対処するのは難しく、視力低下を引き起こす可能性のある病気なので、早めに病院を受診しましょう。主な診療科は眼科、脳神経外科です。MRIなどの画像検査をする可能性があります。
目を動かすと痛く頭痛がする症状で考えられる原因と対処法
目を動かすと痛く頭痛がする症状の場合、眼精疲労の可能性が考えられます。
眼精疲労とは、目を使う作業を続けることにより目の痛みや疲労感などが起こる状態のことです。目が痛い、目がかすむ、眩しい、充血するなどの目の症状のほか、頭痛や肩こり、吐き気などの全身症状が現れることもあります。眼精疲労の原因は度の合わない眼鏡の使用やドライアイ、老眼、緑内障など目の病気、ストレス、全身疾患など様々です。パソコンやスマートフォンの使用によっても眼精疲労が引き起こされます。
対処法としては、メガネの度が合わない場合は作り直したり、パソコンやスマートフォンを使用する機会が多い人は適度に休息をとるようにしましょう。ビタミン剤の点眼薬や内服薬が有効であることもあります。
主な診療科は眼科、脳神経外科、内科、心療内科です。他の病気が原因で眼精疲労が起きている場合は緊急性が高い場合があります。症状が長引いて生活に支障が出ている場合や、十分に休息をとっても回復しない場合は早めに医療機関を受診しましょう。
目を動かすと痛く発熱している症状で考えられる原因と対処法
目を動かすと痛く発熱している症状の場合、副鼻腔炎などがあります。副鼻腔炎とはウイルスや細菌、アレルギーなどにより副鼻腔という鼻の周囲の骨にある空洞の粘膜に炎症が起こる病気です。症状の特徴は、鼻づまり、黄色いネバネバした鼻水がでる、頭痛、眼や頰のあたりが痛む、嗅覚障害などです。発熱は37度の微熱から38度台の高熱まで様々です。すぐにできる処置としては、生理食塩水などで鼻の中を洗浄し、たまった膿を洗い流す方法があります。鼻洗浄用の押し出し式のポンプを使い、鼻の中に生理食塩水を注入して洗浄します。痛みや熱が辛い場合は解熱鎮痛剤を内服するのもいいでしょう。1週間以上たっても症状が良くならない場合や急激に症状が悪化した場合は医療機関を受診しましょう。主な診療科は耳鼻咽喉科です。
目を動かすと痛く充血している症状で考えられる原因と対処法
目を動かすと痛く充血している症状の場合は、目の表面に異物が付着し、まぶたの裏や目の表面に傷がついている可能性があります。目に付着する異物は、鉄粉などの金属片やガラス片、植物片、土、まつげ、コンタクトレンズの破片など様々です。目が痛い、異物感がある、目が充血する、涙が出るなどの症状が現れます。対処法としては目をこすらないようにして、異物が瞬きとともに自然に取れない場合は早めに眼科を受診しましょう。
目に付着したのが鉄や化学薬品の場合は特に早急の対処が必要です。鉄が目に付着すると錆が発生し、激しい痛みや充血、視力低下を引き起こします。また化学薬品が目に入った場合は失明の危険もあります。すぐに流水で15分以上洗浄し、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。主な診療科は眼科、救急科です。
すぐに病院へ行くべき「目を動かすと痛い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
目に異物が付着した場合は、眼科、救急科へ
目に異物が付着し、痛みがある場合はすぐに医療機関を受診しましょう。目によく付着する異物は、虫、鉄粉などの金属片やガラス片、植物片、土、まつげ、コンタクトレンズの破片などです。目の痛みや目が充血する、目やにが出る、涙が出るなどの症状が現れます。痛みが激しい場合は、異物が上のまぶたの裏側に入り込んでいたり、黒目の部分が傷ついている可能性があります。放置すると失明の可能性もあり、早急な対処が必要です。
目に付着した異物が鉄粉の場合、錆が発生し、激しい痛みや充血、視力低下を引き起こす可能性があります。目を触らないようにして、少しでも疑わしい場合は放置せず直ちに医療機関を受診しましょう。
また化学薬品が目に付着した可能性がある場合は、流水で15分以上目を洗い、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。化学薬品が目に付着した場合は特に視力に大きな影響を与える可能性が高いです。直ちに医療機関を受診しましょう。主な診療科は眼科です。
受診・予防の目安となる「目を動かすと痛い」ときのセルフチェック法
- ・目を動かすと痛い以外に視力の低下がある場合
- ・目を動かすと痛い以外に視界の一部が見えない場合
- ・目を動かすと痛い以外に黒目の色が変わった症状がある場合
「目を動かすと痛い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「目を動かすと痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
眼精疲労
眼精疲労とは、目を使う作業により目の疲れや乾きなどの目の不快症状や、頭痛や肩こりなどの全身症状が現れる状態のことです。眼精疲労の原因は、ドライアイや白内障など目の病気や、風邪や更年期障害などの体の病気、精神的なストレスなどが挙げられます。パソコンやスマートフォンなどの画面を長時間みる作業や眼鏡やコンタクトレンズの度が合っていない事なども眼精疲労の原因となりえます。対処法としては、眼鏡やコンタクトレンズがあっていない場合は作り直す事、長時間の画面をみる場合はこまめに休憩を挟む事などがあります。原因となる病気がある場合は病気を特定してその治療が必要になります。まずは眼科を受診し、原因が見つからない場合は最初に受診した病院の医師の指示に従い、内科、歯科、耳鼻咽喉科などを受診しましょう。休息を十分にとっても症状が良くならない場合や慢性化している場合は放置せず医療機関を受診しましょう。
視神経炎
視神経炎とは、目で見た情報を脳に伝達する視神経が炎症を起こしてしまう病気です。自己免疫疾患やウイルスや細菌感染が原因となる場合がありますが原因がわからないことも多いです。急激に視力が低下したり、視野が欠ける、色が正常に見えない、目を動かすと目や目の奥が痛むなどの症状が現れます。症状が現れたら早めに医療機関を受診しましょう。治療としては、ステロイド薬やビタミン剤の点滴を行うことがあります。主な診療科は眼科、脳神経外科です。視力検査などに加え、MRIなどの画像検査、血液検査をする可能性があります。
ドライアイ
ドライアイとは、涙の安定性が崩れ目の不快感や見えにくさを生じる病気です。目が乾く、眩しい、目が疲れるなどの症状が現れます。ドライアイが発症する原因には、加齢による涙の量や質の低下、喫煙、全身の病気などが挙げられます。対処法としては、人工涙液を点眼する、加湿器を使用する、長時間画面を見る作業の際はこまめに休憩するなどの方法があります。症状がひどく生活に支障が出る場合は病院を受診しましょう。主な診療科は眼科です。また、ドライアイの症状に加え口や鼻が乾く症状がある場合は、シェーグレン症候群という自己免疫疾患など他の病気の可能性も考えられます。その場合は早めに内科を受診しましょう。
「目を動かすと痛い」ときの正しい対処法は?
目を動かすと痛い症状の原因には、ドライアイ、結膜・角膜異物、視神経炎などの可能性が考えられます。
ドライアイの場合は目が乾く、異物感があるなどの症状が現れることが多いです。ドライアイの対処法としては目が乾燥しないよう加湿器を使用したり、人工涙液を点眼するものいいでしょう。市販薬を使用する際は防腐剤が入っていないものを選びましょう。参天製薬のソフトサンティアは防腐剤不使用で目を傷つける心配が少なく、目の保湿に役立つ効果があるとされています。点眼する際は、目薬のケースがまぶたや目につかないように気をつけましょう。
パソコンやスマートフォンの画面を長時間見続けるとピントを調整する筋肉がこり固まり視界がぼやけたり、瞬きの不足により目が乾燥し異物感や痛みを生じることもあります。意識的に瞬きをし、こまめに休憩を取るように心がけましょう。一回の作業が1時間以上連続しないようにした方がいいでしょう。
コンタクトレンズの使用は装用方法や使用時間・使用期限を守り、レンズケアを適切に行いましょう。目に痛みがある場合は、コンタクトレンズの装用を控えた方がいいでしょう。
コンタクトレンズや眼鏡の度が合っていないとものが見えにくく疲れてしまいます。度が合っていない場合は作り直しましょう。目の状態を確認するためにも眼科で行うといいでしょう。パソコンなどのディスプレイは40㎝以上の距離を確保することが望ましいです。その距離で見やすいように眼鏡やコンタクトを作ることをお勧めします。
食事面では、バランスよく食べるのが大切です。小松菜やホウレン草などに含まれるビタミンA、いちごやレモンに含まれるビタミンC、青魚などに含まれるDHA・EPAなどはドライアイや目の健康に効果的と言われています。
ストレスは涙の量を減らし、ドライアイを悪化させる要因として知られています。ストレスが溜まらないよう休息や睡眠をしっかりとり、リラックスできる時間を確保しましょう。
結膜・角膜異物は目に異物が付着している状態です。まぶたの裏や角膜に異物が付着すると激しい痛みを感じることもあります。目をこすらないようにし、早めに医療機関を受診しましょう。付着した異物が化学薬品の場合は緊急処置を要します。流水で15分以上洗い流し、直ちに医療機関を受診しましょう。
視神経炎の場合は視力低下や視野欠損などの症状が現れます。自己対処は難しいため早めに医療機関を受診しましょう。視神経炎の場合は見ようとする中心部が見えにくい症状が現れることがあります。車の運転は危ないのでやめましょう。
早く治したい場合や、応急処置をしても良くならない時は早めに医療機関を受診しましょう。
「目を動かすと痛い」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「目を動かすと痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
目を動かすと痛いときの対処法はありますか?
伊藤 裕紀(医師)
原因がドライアイの場合は、休息をしっかりとり、人工涙液の点眼やヒアルロン酸の点眼で症状が緩和する可能性があります。
目を動かすと痛いのは放置するとどうなりますか?
伊藤 裕紀(医師)
放置しない方がいいでしょう。痛みが増し、視力に影響を与える可能性もあります。
目を動かすと目の奥が痛いのはすぐに眼科を受診すべきですか?
伊藤 裕紀(医師)
目の奥が痛い場合は早めに眼科、耳鼻咽喉科を受診しましょう。視神経炎という神経の病気や、副鼻腔炎などの可能性や、外傷後であれば骨折している可能性もあります。
風邪で目を動かすと痛くなることはありますか?
伊藤 裕紀(医師)
風邪の感染による炎症が目の奥の方まで波及して痛みが生じることがあります。
まとめ
目を動かすと痛い症状の場合、ドライアイや眼精疲労の可能性が考えられます。休息をしっかりとり、対処法を試しても症状が良くならない場合は医療機関を受診しましょう。また、目に異物が付着した場合は緊急を要する場合があります。異物が取れたと思っても残っていることもありますので、放置せず眼科を受診しましょう。痛みを伴う症状は、要注意です。
「目を動かすと痛い」症状で考えられる病気
「目を動かすと痛い」から医師が考えられる病気は24個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
耳鼻咽喉科系の病気
- 急性副鼻腔炎
- 腫瘍
いろいろな原因で症状は現れます。目の問題はもちろんのこと、鼻や神経疾患、膠原病のような幅広い病気が関わることも考えられます。
「目を動かすと痛い」に似ている症状・関連する症状
「目を動かすと痛い」と関連している、似ている症状は27個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 目が痛い
- 目が疲れやすい
- 目が霞む
- 視力が低下した
- 目がゴロゴロする
- 目が充血する
- 目やにが出る
- 涙が出る
- 物が二重に見える
- 視野の真ん中が見えない
- 視野の一部が見えない
- 目に圧迫感がある
- 目が眩しい
- 目がくぼむ
- 頰が痺れる
- 口が乾く
- 鼻が乾く
- 黄色い鼻水が出る
- 緑色の鼻水が出る
- 頰の奥が痛い
- 目の奥が痛い
- 臭いがわからない
- 目の周りが腫れる
- 肩こり
- 頭痛
- 目の奥が痛く頭痛がする
- 目がゴロゴロする
「目を動かすと痛い」の症状の他にこれらの症状がある場合でも「ドライアイ」「眼精疲労」「VDT症候群」「視神経炎」「眼窩底骨折」「急性副鼻腔炎」「シェーグレン症候群」「多発性硬化症」「視神経脊髄炎」などの疾患の可能性が考えられます。見え方がおかしくなったり、黒目の色が変わったりするような症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。