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「視神経脊髄炎」になりやすい人の特徴はご存知ですか?症状や原因も解説!

 公開日:2023/09/27
「視神経脊髄炎」になりやすい人の特徴はご存知ですか?症状や原因も解説!

視神経脊髄炎とは、身体の中枢神経系に起こる慢性的な疾患です。主に視神経と脊髄に影響を及ぼす自己免疫性の疾患として、国の指定難病13に指定されています。

身体の神経活動は、神経細胞から出る神経の線を伝える電気活動で行われますが神経が電線のような役割をしているといわれています。

視神経脊髄炎は、症状もさまざまなパターンがありますが日本では全国で約6,500人の患者がいて、人口10万人あたりに換算すると5人程度の発症率です。

特に30〜40代の年代からの発症が多いとされていますが、10代で発症する人もいるのです。

発症する人の多くは女性で、全体の約9割を占めるといわれています。

視神経脊髄炎の原因は、まだ確定できていませんがAQP4抗体が重要な役割をするということは明らかになりつつあります。

今後の研究が進められて、明らかになっていく研究中の疾患なのです。

この記事では、視神経脊髄炎の原因・症状・治療法に関して詳しく解説します。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

視神経脊髄炎とは

体調不良

視神経脊髄炎とはどのような病気ですか?

視神経脊髄炎は、以前は多発性硬化症の一部の症状として認識されていました。しかし、治療での反応の相違や抗AQP4抗体・抗MOG抗体が陽性となることが解ってから異なる疾患として考えられるようになりました。
主な症状は、視覚異常や手足の筋力低下、体のしびれや感覚鈍麻が生じる炎症性中枢神経疾患です。視神経と脊髄のみが障害され脳には病変がないということが解っています。抗体が自分の身体の一部を誤って攻撃することで、炎症を発症しますが、自己免疫性疾患の中の1例が視神経脊髄炎と呼ばれています。
視神経脊髄炎は、名前のとおり視神経と脊髄に障害をきたしやすいために重篤になることが多く、非常に恐ろしい病気ともいえるのです。早期発見が重要で、再発を繰り返す疾患としても知られている病気なので、継続的に治療が必要になります。

視神経脊髄炎になりやすい人の特徴を教えてください。

視神経脊髄炎の患者さんは圧倒的に女性の割合が多いという特徴があります。発症年齢は、30代以上から遺伝的や生活習慣などの環境的な要素も関連していると考えられていますが、まだ解明されていないことが多い疾患です。
視神経脊髄炎は、一般的に若年層で発症することが多いとされ、10代から40代にかけて発症します。遺伝的な要因が視神経脊髄炎の発症リスクに影響する可能性がありますが、単一の遺伝子の変異とは関連付けられていません。

視神経脊髄炎の患者さんはどのくらいいますか?

視神経脊髄炎は、世界では特にアジアでの発症率が高く10万人あたり5人程度発症するといわれており、疫学調査では約6,500人の患者さんがいます。視神経脊髄炎は、視神経と脊髄の炎症を特徴とする疾患であり、多発性硬化症などの自己免疫疾患の一部として見られていました。
視神経と脊髄を中心に強い炎症を起こし、再発を繰り返していく疾患で重症になると車椅子生活になる場合や失明になる恐れもあるのです。髄膜炎は横断性の場合が多いとされ、橋本甲状腺や全身性エリテマトーデスを合併するので非常に注意が必要になります。

視神経脊髄炎の原因や症状

頭に手を当てる

視神経脊髄炎の原因はなんですか?

視神経脊髄炎の患者さんの多くは、抗アクアポリン4抗体と呼ばれる特殊な抗体を持っていることが特徴です。この抗体が自身の神経細胞を攻撃してしまうといわれています。自己免疫性疾患の多発性硬化症や急性散在性脳脊髄炎と似ているため、以前は多発性硬化症の一部とされていました。
症状としては、抗アクアポリン4抗体を持っているという特徴などがあります。視神経の炎症と脊髄の炎症を特徴としていますが、視神経炎のみの方もしくは脊髄炎のみの方もいるのです。まだ、解明中の疾患のため研究が進んでいる状況です。

視神経脊髄炎の症状について教えてください。

視神経脊髄炎を発症すると、大脳病変・脊髄炎・視神経炎などの症状が起こります。それぞれの症状の特徴は下記になります。

  • 大脳病変:脊髄にある運動神経・感覚神経・自律神経の障害が起き、手足のしびれや硬くつっぱるような感覚が生じ、進行すると認知機能の低下が起こる
  • 脊髄炎:脊髄にある運動神経・感覚神経・自律神経の障害が起き、手足のしびれや硬くつっぱるような感覚が生じ、便秘・頻尿・排尿障害・発汗障害などが起こる
  • 視神経炎:視力の低下・視野の一部が欠ける視野障害・目のかすみなどの症状と眼の奥に痛みが起こる

視神経脊髄炎の経過について教えてください。

視神経脊髄炎を発症すると、前項で説明した症状が数日から数週間で現れますので治療が必要になります。症状が出たら、血液検査で抗アクアポリン4抗体があるかを調べ、髄液検査・頭部MRI・脊髄MRIの検査を実施しましょう。
視神経脊髄炎を発症しているか確認できますので、視神経障害の程度を確認して治療に移ります。治療をすることで、症状の改善はできますが一部は残存する場合がありますので早期発見が非常に重要です。
再発率も高い疾患なので、予防と治療は継続して行うようにしましょう。

視神経脊髄炎は遺伝しますか?

視神経脊髄炎は、親から子に遺伝はしないといわれています。ただし、アレルギーのようになりやすい体質を受け継いでしまう場合はあるので、ヒト白血球抗体が重要とされています。
白血球にも血液が存在していて、HLA-DRB1やHLA-DRB1のアレルを持っている人はなりやすいといわれているのです。遺伝子研究で、視神経脊髄炎と関連する遺伝子要因を特定しようとしていますが確定的な結果は出ていない状況なのです。
遺伝的な要因は複雑で、疾患の発症には遺伝子・免疫系・環境要因などが複合的に関与している可能性があります。

視神経脊髄炎の寿命はどれくらいでしょうか?

視神経脊髄炎を発症したからといって、ガンなどのように寿命はありません。ただし、再発が多い疾患のため、生涯にわたり再発防止に取り組む必要があります。生活習慣の改善やストレスを溜めない生活を心掛けることが再発予防につながるのです。
視神経脊髄炎は、異常な免疫反応が疾患発症の原因になりますので、急性期治療として免疫抑制薬を使用するのが一般的な治療方法です。早期に開始することで、後遺症を少なくできますので、重要な治療方法となります。

視神経脊髄炎の治療

点滴

視神経脊髄炎にはどのような治療法がありますか?

視神経脊髄炎は、異常な免疫反応が疾患発症の原因になりますので、急性期治療として免疫抑制薬を使用するのが一般的な治療方法です。早期に開始することで、後遺症を少なくできますので、重要な治療方法です。
視神経脊髄炎の治療は、初期や再発時に症状を抑えるための急性期治療と症状が落ちついている時に再発予防を防ぐ慢性期治療の2種類があります。それぞれの治療方法を下記に記載します。
急性期治療

  • 副腎皮脂ホルモン:一般的な免疫抑制薬、1週間に3日間の点滴での投薬が必要
  • 血漿交換:身体の血液を一時的に体外に取り出し、異常な自己抗体を取り出して返血する方法
  • 大量免疫グロブリン静注療法:免疫グロブリンを大量に投与して、異常な自己抗体を無効化する

慢性期治療

  • 副腎皮脂ホルモン:一般的な免疫抑制薬、内服治療
  • 免疫抑制剤:副腎皮脂ホルモンでは抑制できない場合に、アザチオプリン・タクロリムス・シクロスポリンなどを投与する

日常生活で気をつけることはありますか?

疲労やストレスなどは、再発の原因になる危険因子とされていますので、ストレスを溜めないようにしましょう。身体の体温が高くなると調子を崩してしまうウートフ現象が起きる場合があります。
ウートフ現象とは、神経系の疾患において一時的に症状が悪化する現象を指します。特に体温が上昇すると、既存の神経症状が一時的に悪くなるのが特徴です。熱中症が懸念されるような気温の高い日の外出やサウナなどは避けて生活して下さい。
また、使用する薬によって注意事項は異なるため、主治医の指示にしたがいましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

視神経脊髄炎は、国が定める指定難病13の疾患として現在も研究が行われている病気です。ただし、治療をすれば抑制することは可能なのです。視神経を刺激することで、視力の低下や視野が欠けたりするため、このような症状が出たらすぐに病院で検査をしましょう。
再発が多い病気ですが、繰り返し再発しても障害などの後遺症がほとんど残らない患者さんもいるので、早期治療が非常に重要なのです。
生涯にわたり再発予防を続けていくことが必要な疾患ですが、長く付き合い重篤にならないようにすれば、健康な人と変わらない生活を送れます。

編集部まとめ

まとめ
視神経脊髄炎は、10万人あたりの発症率が1〜5人程度とされ、日本国内でも6,500人の患者がいると推定されていますが人口に比べると患者さんの数は少ない状況です。

ただし、症例が少ないと原因の特定や治療方法などの確立に時間を要するため、解明されていないことが多い病気です。

生活環境などの関与も考えられますので、健康的な生活を心掛けるようにしましょう。

発症者の9割が女性といわれていますが、遺伝的な要素で発症することはほとんどありません。

研究途上とはいえ治療方法も確立されつつありますので、自分に合った治療方法を主治医と相談の上、進めていくことが重要になります。

神経質になってしまうと身体がストレスを感じますので、視神経脊髄炎と診断されたら治療に専念するようにして下さい。

症状は必ず改善しますので、再発に気をつけながら病気と共に歩んで行きましょう。

必ず道は開けていきます。

この記事の監修医師