「目を閉じると痛い」原因・考えられる病気はご存知ですか？医師が徹底解説！

目を閉じると痛いのを治すには？Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師：
伊藤 裕紀（医師）

「目を閉じると痛い」症状で考えられる病気と対処法

目を閉じると痛い症状で考えられる病気には、角膜炎やドライアイなどの病気の他、目に異物が付着している場合も考えられます。中には緊急性が高いものもあるため注意が必要です。症状ごとに考えられる病気とその対処法についてお伝えします。

目を閉じると片目が痛い症状で考えられる原因と対処法

目を閉じると片目が痛い症状の場合、角膜炎の可能性があります。角膜とは黒目の部分に当たる組織で、そこに細菌やウイルスの感染などにより炎症が起きるのが角膜炎です。目が痛い、目が充血する、涙が出るなどの症状が特徴です。角膜炎は目に入ったゴミやコンタクトレンズの装用が原因で目に傷がつき、そこから炎症が起こることがあります。汚い手で目をこすったり触ったりしないようにし、コンタクトレンズを使用する際は手指を清潔に保ち、使用期間を守りましょう。角膜炎は悪化すると角膜が濁り視力に影響を与える可能性があります。放置せず、症状が良くならない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。主な診療科は眼科です。

目を閉じると目の上･上まぶたが痛い症状で考えられる原因と対処法

目を閉じると目の上、上まぶたが痛い症状の場合は、アレルギー性結膜炎の可能性が考えられます。アレルギー性結膜炎とは、アレルギー反応によって結膜に炎症が起きる病気です。結膜とは白目の表面とまぶたの裏を覆う薄い膜で、アレルギー性結膜炎になると目がかゆい、目やにが出る、涙が出るなどの症状が現れます。目をこすったりかきむしると痛みや違和感が加わり、さらに症状が悪化すると、まぶたが赤く腫れたり白目がブヨブヨに腫れるなどの症状が現れることもあります。アレルギー反応の種類には、花粉症など特定の季節に起こるものと、ハウスダストやダニなどが原因で起こる通年性のものがあります。すぐにできる処置としては、アレルギーの原因となる物質を特定して除去しましょう。花粉症の場合は外出の際はゴーグルやマスクを使用したり、人工涙液を点眼して目の表面に付着したアレルゲンを洗い流すなどの方法があります。症状がひどくなる前に医療機関を受診しましょう。主な診療科は眼科です。

目を閉じると目の下･下まぶた･涙袋が痛い症状で考えられる原因と対処法

目を閉じると目の下・下まぶた・涙袋が痛い症状の場合は、涙嚢炎（るいのうえん）の可能性が考えられます。涙囊とは涙が目から鼻に流れる通り道にある組織で、その部分に細菌感染による炎症が起きるのが涙囊炎です。涙目になる、目やにが出るなどが症状の特徴です。症状が悪化すると、涙囊近くの皮膚が赤く腫れ、痛みが生じることもあります。すぐにできる処置としては、抗菌薬の点眼や内服です。涙囊炎は目から鼻への涙の通り道がなんらかの原因で塞がってしまっていることが原因で起こることが多く、その場合は症状が繰り返し起こる可能性があり、応急処置で症状が治まったとしても、涙囊炎が疑わしい場合は早めに医療機関を受診した方がいいでしょう。主な診療科は眼科です。

目を閉じると目の横･目尻が痛い症状で考えられる原因と対処法

目を閉じると目の横・目尻が痛い症状の場合は眼瞼炎（がんけんえん）の可能性が考えられます。眼瞼とはまぶたのことで、眼瞼炎とはまぶた周囲に炎症を起こす病気のことです。まぶた周囲が腫れる、充血する、痛むなどの症状が現れます。眼瞼炎の原因には、細菌などによる感染、アレルギー、皮脂腺のつまりなどの可能性が考えられます。すぐにできる処置としては、細菌感染が原因の場合は抗菌薬の点眼や軟膏を使用すると症状が改善する可能性があるでしょう。アレルギーが原因の場合は冷湿布などで目元を冷やすと症状が和らぐ可能性があります。アレルギーの場合は痒みを伴うことが多いです。症状が良くならない場合は医療機関を受診しましょう。主な診療科は眼科、皮膚科です。

目を閉じると目の奥が痛い症状で考えられる原因と対処法

目を閉じると目の奥が痛い症状の場合は、眼精疲労の可能性が考えられます。眼精疲労とは、目をつかう作業により目の痛みやかすみなどの目の不快症状や、頭痛や肩こりなど全身症状が現れる状態のことです。眼精疲労の原因には、眼鏡やコンタクトレンズの度数があっていない、白内障やドライアイ、更年期障害、精神的なストレスなどが挙げられます。また、パソコンやスマートフォンの画面など近くのものを長時間見る作業は、目のピント調節を司る筋肉などがこり固まり働きが低下してしまい眼精疲労を引き起こします。
すぐにできる処置としては、眼鏡やコンタクトレンズの度数があっているか確認し、必要であれば作り直すことや、長時間にわたる画面作業を行う際はこまめに休憩を挟みましょう。ビタミン剤の点眼薬や内服薬で症状が和らぐ可能性もあります。症状が改善しない場合、十分に休息をとっても回復しない場合は医療機関を受診しましょう。主な診療科は眼科です。眼精疲労の原因は、目の疲れや目の病気の他に、脳神経疾患や糖尿病などの可能性もあります。疑わしい場合は脳神経外科、内分泌内科などを受診しましょう。

目を閉じると痛くて涙が出る症状で考えられる原因と対処法

目を閉じると痛くて涙が出る症状の場合は、睫毛乱生（しょうもうらんせい）の可能性が考えられます。睫毛乱生とは一般に「逆さまつげ」とも呼ばれるもので、まつげがなんらかの原因で黒目に接触してしまう状態のことです。目がチクチクと痛む、異物感、涙が出る、目が充血するなどの症状が現れることがあります。自分でまつげを切ったり抜いたりしないようにしましょう。先が尖ったまつげが生えてきて目を傷つけ症状が悪化する可能性があります。目の周りを清潔に保ち、角膜治療薬の点眼で症状が和らぐ可能性があります。症状が続く場合は視力低下を引き起こす可能性もあるので早めに眼科を受診しましょう。

目を閉じると痛くて眠れない症状で考えられる原因と対処法

目を閉じると痛くて眠れない症状の場合、電気性眼炎の可能性が考えられます。電気性眼炎とは、目が紫外線に晒されることにより角膜の表面が傷つく病気です。電気溶接などの作業を行なった後や、サングラスなしでスキーや雪山登山をした後などに起こります。光に晒された後6～24時間程度後に目の強い痛み、目が開かない、眩しい、涙が出る、結膜の充血などの症状が現れます。紫外線を浴びた後は無症状で、ある程度時間が経ってから発症することが多いため、その日の夜や就寝中に症状が急に現れることがあります。治療法としては、角膜上皮障害治療薬という水分を保つ効果のある目薬の点眼の使用などがあります。目を触らないようにし、目を閉じて安静にしましょう。体が温まる入浴や飲酒は控えた方がいいでしょう。症状がひどい場合は医療機関を受診しましょう。主な診療科は眼科です。

すぐに病院へ行くべき「目を閉じると痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

視力低下の症状がある場合は、眼科へ

目を閉じると痛い症状に加え、視力低下を伴う場合は緊急性が高いです。このような場合は角膜びらんの可能性があります。角膜びらんとは黒目の上皮がただれたり、剥がれたりする病気です。外傷や異物、コンタクトレンズなどが原因で起こることがあります。目の痛み、充血、異物感などの症状が現れます。視力に関わりますのですぐに病院を受診しましょう。主な診療科は眼科です。

受診・予防の目安となる「目を閉じると痛い」ときのセルフチェック法

• ・目を閉じると痛い以外に視力低下の症状がある場合
• ・目を閉じると痛い以外に視野欠損の症状がある場合
• ・目を閉じると痛い以外に異物が付着している可能性がある場合

「目を閉じると痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「目を閉じると痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

ものもらい（麦粒腫）

ものもらいとは、まつ毛の毛根などに細菌感染が起きたり、まつ毛の根元付近にある皮脂腺が詰まってしまう病気です。医学的には、感染によるものを麦粒腫、皮脂腺が詰まることによるものを霰粒腫と呼びます。まぶたの一部が腫れる、痛みや異物感を感じるなどの症状が現れます。気になっても患部を触らないように気をつけましょう。細菌感染が原因の場合は抗菌薬の目薬の点眼、皮脂腺の詰まりが原因の場合はまぶたを温めることで症状が和らぐ可能性があります。数日で良くならない場合は病院を受診しましょう。主な診療科は眼科です。

ドライアイ

ドライアイとは涙の量や質が低下することにより目が乾き、目の不快感を引き起こす病気です。コンタクトレンズの装用や長時間のパソコンやスマートフォン作業などはドライアイの悪化要因として知られています。対処法としては人工涙液を点眼する、悪化要因を避ける、加湿器を使用するなどです。病院で行う治療法としては、水分を補給したり傷ついた角膜を修復する目薬や体の中から涙の成分を出させる目薬などの処方、涙の排出口である涙点を閉じる涙点プラグの挿入などの方法があります。生活に支障がある場合や、痛みを伴う場合は眼科を受診しましょう。

角膜・結膜異物

角膜・結膜異物とは、角膜や結膜に異物が付着した状態です。異物は、鉄粉などの金属片やガラス片、植物片、土、まつげ、コンタクトレンズの破片など様々です。目に異物が付着した場合は痛みや充血、目やに、涙が出るなどの症状が現れます。場所や異物の種類によっては失明の可能性もあるため早急な対処が必要です。
清潔な生理食塩液で目を洗い、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。主な診療科は眼科です。医療機関では異物の除去を行い、その後抗生剤などの点眼を行います。
特に、鉄などの金属を扱う仕事や草刈機で草刈をしている時に目の痛みが出た場合は鉄片が目に入った可能性があります。鉄が目に付着すると錆が発生し、激しい痛みや充血、場所によっては視力低下を引き起こします。少しでも疑わしい場合は放置せず医療機関を受診しましょう。

逆さまつげ

逆さまつげとは、まつ毛が何らかの原因で角膜に接触してしまう状態のことです。まつげは本来眼球とは反対方向へカールして眼球に当たらないようになっています。しかしまつげの毛根周囲の炎症や傷が原因でまつげの中の何本かが眼球に向かって生えてきたり、赤ちゃんでは下まぶたの皮膚や皮下脂肪が原因でまつげが眼球の方に押し込まれてしまったりすることで逆さまつげになります。
自分でまつげを切ったり抜いたりはしないようにしましょう。先が尖ったまつ毛が生えてきて角膜を傷つけ症状が悪化する可能性があります。治療法としては、角膜治療薬の点眼を行う場合があります。重症の場合は手術療法が適用される場合があります。
目がゴロゴロする、涙が出る、充血が続く場合は眼科を受診しましょう。特に重症の場合は視力低下を引き起こす可能性がありますので放置しないようにしましょう。

「目を閉じると痛い」ときの正しい対処法は？

目を閉じると痛い症状の場合、角膜炎やドライアイ、角膜異物・結膜異物などの可能性が考えられます。ドライアイの場合は目が乾く、目が霞むなどの症状が現れることが多いです。ドライアイが原因なら、目が乾燥しないよう人工涙液を点眼したり、加湿器を使用したり、パソコンやスマートフォンなど画面を長時間見る作業の際はこまめに休憩を挟むなどの方法で症状が緩和する可能性があります。市販の人工涙液を使用する際は、防腐剤が入っていないものを選びましょう。防腐剤はかえって目を傷つけてしまう可能性があります。参天製薬のソフトサンティアは防腐剤不使用で、目の保湿に効果があるとされています。点眼するときには目薬のケースが目やまぶたに触れないように気をつけましょう。
角膜や結膜に異物が付着する角膜異物の場合は、目をこすらないようにし、早めに医療機関を受診しましょう。コンタクトレンズの着用も控えましょう。砂埃やまつげ、植物、鉄粉などが異物としてよく見られます。異物がある場合は痛み、異物感、目の充血、涙が出るなどの症状が現れることが多いです。特に痛みが強い場合や鉄粉が入った可能性がある場合は早く医療機関を受診した方がいいでしょう。
また、応急処置をしても症状が治まらない場合や早く治したい場合も、医療機関を受診することをお勧めします。

まとめ

痛みがある症状は要注意です。角膜炎の場合は治療が遅れると視力に関わる可能性もありますし、目に異物が付着している場合は早急に取り除く必要があります。目をこすったり触るとかえって炎症がひどくなったり傷がついたりする可能性があるので、触らないようにして早めに医療機関を受診しましょう。

「目を閉じると痛い」症状で考えられる病気

「目を閉じると痛い」から医師が考えられる病気は16個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

目に痛みがある症状は要注意です。治療が遅れると視力が低下することもありますし、異物は早めに取り除かないといけません。

「目を閉じると痛い」に似ている症状・関連する症状

「目を閉じると痛い」と関連している、似ている症状は19個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「目を閉じると痛い」症状の他にこれらの症状がある場合でも「角膜炎」「霰粒腫」「アレルギー性結膜炎」「麦粒腫」「ドライアイ」「角膜異物」「結膜異物」などの疾患の可能性が考えられます。視力が低下している場合や、見える範囲が狭くなっている場合、遺物が入っている場合には、早めに医療機関を受診しましょう。